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回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代 その4 ザ・ヴェンチャーズ・セッションズ後編
 
ビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーを見ていて、いくつか、ほう、と思った点があります。

ひとつは、ボニー・ギターの1963年のセッションがあげられていたことです(ボニー・ギターについては当家では「Trade Winds by Frank Sinatra」という記事で概略を記している)。

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ボニー・ギターはドールトン・レコードの設立者のひとりです。ドールトンはヴェンチャーズのレーベルでした。ヴェンチャーズをプロデュースしたのは彼女の共同経営者だったボブ・ライスドーフでしたし、そもそもドールトンからヴェンチャーズがデビューしたときには、ボニー・ギターは経営から手を引いていた可能性もあるのですが、しかし、ハリウッドでセッション・ギタリストとして働いた女性が作った会社だったのだから、この関係は非常に興味深いものです。

さて、今回はそのビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーに記されたヴェンチャーズのトラックをいくつか並べます。ほんの一握りなのですが。

The Ventures-2,000 Lb. Bee Pt 1 and 2


このクリップのアップローダーのコメントによると、"Walk Don't Run: The Story of the Ventures"というものに、どっちをノーキーが弾いて、どっちをビリー・ストレンジが弾いた、といったことが書かれているようです。ご興味のある方はご一読を。一度通り過ぎたことなので、わたしとしては、もう一度研究し直す気力は湧きませんが。

パート1のドラマーはわかりませんが、パート2はハル・ブレインである可能性が高いと思います。また、ビリー・ストレンジ御大自身は、手製のファズ・ボックスを使っていたということで、モズライトの組み込みファズについては言及したのを見たことがありません。モズライトを使ったことがあるのは、ヴィデオなどでもわかりますし、とくに12弦については、私信でも、非常に弾きやすいと賞賛していました。

つぎはビリー・ストレンジ作なので、当然のコンファームでしょう。

The Ventures - Ya Ya Wobble


残念ながら、セッションで曲が足りなくなり、ちょっとした断片をもとにその場でつくった、といった雰囲気で、典型的なアルバム・フィラーといったところです。蛇足ですが「ウーブル」はないでしょう。カタカナにするなら「ワブル」あたりが妥当です。

ほかに単独のトラックとしては、Tabooという、後年のアウトテイク集で陽の目を見たものとか、Walkin' With My Baybeという、わたしは聴いたこともない楽曲があげられていますが、これは省略します。

さらに、アルバムとしてLet's Goがリストアップされているのですが、その収録曲であるにもかかわらず、単独でリストアップされたトラックを貼りつけます。

The Ventures - Hot Pastrami


この中間部でのソロは、ビリー・ストレンジのアルバムMr. Guitarに収録された、Kansas Cityあたりのロック系の曲と比較してみると面白いだろうと思います。まあ、いずれ、このシリーズでお聴きいただくことになるでしょうが。

以下、アルバムLet's Goの収録曲をいくつか聴いていくことにします。つぎの曲も、かつて、ヴェンチャーズの謎を解こうと奮闘していたときに、インスピレーションを与えてくれました。

The Ventures - Sukiyaki


ビリー・ストレンジかどうかはいざ知らず、前回あげたLolita Ya Ya同様、いかにもハリウッドのセッション・プレイヤーらしい、隅々まできっちりしたアンサンブルの曲もありました。

クリップは埋め込み不可なので、サンプルで。

サンプル The Ventures - More

ドラムはハル・ブレインでしょう。フェイド・アウトのあたりのフィルインに彼のサウンド、スタイルがあらわれています。

つぎの曲もビリー・ストレンジらしさ、ハリウッドのセッション・プレイヤー集団らしさがよく出ています。邦題は「エル・ワッシ」だったようですが、カタカナにするなら「ワトゥーシ」あたりが妥当でしょう。

The Ventures - El Watusi


ギターもきっちりしていますが、全体のアンサンブルが堅固で、The Ventures in Japanの突っ込みまくるグルーヴの気持悪いバンドには似ても似つきません。

十年前は、初期ヴェンチャーズのリード・ギタリストはボブ・ボーグルではない、などというと、いきり立つフーリガンみたいな輩が山ほどいたので、こちらもねじり鉢巻き、たすき掛け、腕まくりで、ビリー・ストレンジやハル・ブレインのプレイだったのだと、熱弁を振るいましたが、もはや時代は変わりました。

メル・テイラーが叩いたトラックはたくさんあるでしょうし、ノーキーがプレイしたものもあるでしょう。しかし、ビリー・ストレンジ、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル、ジェイムズ・バートンら、ハリウッドの錚々たるギター・エースたちがプレイした曲もたくさんあります。

たんに、それだけのことだと現在では考えていますし、ヴェンチャーズ・ファンも、ツアー用バンドの録音がたくさん残っているのだから、それを聴いて満足していればいいだけです。War Is Overですよ。呵呵。

Let's Go収録曲としては、Sukiyakiと並んで好きなトラックを本日の締めとします。アルバム・クローザーでした。

The Ventures - Over the Mountain, Across the Sea



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by songsf4s | 2012-02-27 23:53 | 60年代
回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代 その3 ザ・ヴェンチャーズ・セッションズ
 
今日、ロマン・ポランスキーの『ゴースト・ライター』を見ていて、the begenningとthe begenningsの違い、という最後の謎解きの鍵を見た瞬間、俺も同じ経験をしたぜ、と思いました。

いや、ゴースト・ライターをしたこともありますが、その話ではありません。「冒頭」なのか「はじめのころ」なのかという違いです。いや、ご心配なく、あの映画のいうbeginningsは意味が違うので、映画を見る妨げにはならないでしょう。

キャロル・ケイさんに、あなたやあなたの同僚たちは、ヴェンチャーズのセッションでプレイしたことがあるでしょうか、とうかがったとき、彼女は、ハル・ブレインにこの質問を取り次いでくれました。

ハルの返事は、俺ははじめからヴェンチャーズのセッションでプレイした、のちにメル・テイラーが入ったとき、レパートリーを教えてあげた、というものでした。

このfrom the begenningはじつに悩ましいものでした。なぜなら、Walk Don't Runのドラミングは、わたしが徹底的に研究したハル・ブレインのドラミング・スタイルやサウンドとはかけ離れたものだったからです。

これは、基本的には時期の違いと、機材の違いに由来するものだと、あとでようやく理解できました。当初は、「はじめから」ではなく、無理に「はじめのころから」と拡大解釈したのですが、そうではなく、ハル・ブレインは文字通り「はじめから」ヴェンチャーズのレコーディングでドラムを叩いたのです。

では、ギターだって、はじめから、ハル・ブレインの仲間であるだれかにちがいありません。当然、ビリー・ストレンジ御大がディスコグラフィーにあげたものより、はるかに多くのトラックが、ハリウッドの若いセッション・プレイヤーたちによって録音されたと考えるのが自然です。

じっさい、The Ventures Play Country Classicsをのぞいて、1963年までのほとんどのアルバムの、多くのトラックがリード・ギターとしてビリー・ストレンジをフィーチャーしたものと、現在のわたしは考えています。

『急がば廻れ'99』という本を上梓したときには、そこまでの確信はありませんでした。Walk Don't Runのときからすでに、ハル・ブレインやビリー・ストレンジが「ヴェンチャーズ」だったのだ、という、たしかな手応えを得たのは、ずっとあとのことだったのです。

The Ventures - Walk, Don't Run


そのつぎのヒット。

The Ventures - Lullaby Of The Leaves


ビリー・ストレンジ特集で、ハル・ブレインのことをあれこれ書くのは気が引けますが、最初からヴェンチャーズなど存在しなかった、という確信を得られたのは、ハル・ブレインのおかげです。

この「急がば廻れ」や「木の葉の子守唄」のプレイでもわかります。これほどのプレイヤーが、ヴェンチャーズに首にされたくらいで、シーンから消えるでしょうか? ぜったいにネガティヴです。

これほどのプレイヤーが、のちに名を成さずにいるものでしょうか? 断じてノーです。かならず大成して、有名なプレイヤーになったにちがいありません。

では、1960年当時にハリウッドのスタジオでレギュラーだったドラマーに比定できるでしょうか? わたしには困難でした。アール・パーマーではないという確信はありましたが、たとえば、シェリー・マンやメル・ルイスが正解だったとしたら、わたしは異議を唱えず、そうか、と納得したでしょう。

ただ、ほんの感触にすぎないのですが、すでに名を成した人ではなく、有望な若手ではないかということは思いました。うしろに引っ込むつもりはなく、覇気横溢で、前に出ようとしているからです。

アルバムを順番に聴いていき、このドラマーがBe My Babyで叩くすがたが、しだいに見えてきました。スネアのサウンドも、プレイ・スタイルも異なりますが、タイムと生来の華やかさはやはりハル・ブレインのものだという気がしてきたのです。

こんどは少しタイプの違う曲、「セレソ・ローサ」を。

The Ventures - Cherry Pink And Apple Blossom White


読書百遍、その意自ずから通ず、といいます。音楽もそういうところがあって、Walk Don't Runを死ぬほど繰り返し聴いているうちに、ギター・プレイヤーのプロファイルが浮かんできました。

ミュージシャンシップに富むヴェテランで、あわてず騒がず、必要な音だけを、一音一音丁寧に弾くプレイヤー、という像です。ほんのちょっと前にギターを手にし、シアトルのクラブでプレイしていた若者、というボブ・ボーグルのプロファイルとはまったく一致点がありません。

ビリー・ストレンジのプレイであると最初に確信のもてた1963年ごろの録音からさかのぼっていき、Walk Don't Runまで行くと、やはり、これは同じプレイヤーだと納得がいきました。

つぎはビリー・ストレンジの、というより、ハリウッドのスタジオ・プレイヤーたちの傑出した技量を示すものとして、この曲を。ストイシズムとプロフェッショナリズムの極致。

The Ventures - Lolita Ya Ya


これが二十歳そこそこの素人同然の若者たちのプレイだとしたら、天地がひっくり返りますよ。「プロフェッショナル・プレイヤー」とは、こういうアンサンブルのできる人たちを云います。

だれも目立とうとしてはいませんが、全員が精確なプレイに徹していて、一糸乱れぬアンサンブルになっています。若者の「ロック・バンド」には無理なプレイです。

初期ヴェンチャーズ・セッションのレギュラーは、ビリー・ストレンジ、キャロル・ケイという二人のギターに、ベースがレイ・ポールマン、ドラムがハル・ブレイン、というのがわたしの想定です。ここに、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル、さらにはジェイムズ・バートンといったギター陣が加わったり、入れ替わったりしたのだと思われます。

今回はあえてビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーでコンファームされていない曲ばかりを選びましたが、次回は逆に、ボスが確認したヴェンチャーズのトラックを聴いてみるつもりです。

お別れはこの曲で。

The Ventures - Lonely Heart



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by songsf4s | 2012-02-25 23:53 | 60年代
「My friend Billy Strange-san」──回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代
 
現地時間の二月二十二日朝、ビリー・ストレンジさんが亡くなりました。ほかのミュージシャンとは異なり、メールを通じて親しく接した人なので、どうも勝手が違うのですが、複雑な気分はさておき、やはり、なにかを書く義務があると強く感じます。

いろいろ考えたのですが、追悼記事のかたちは今回だけにして、さらに数回、ハル・ブレインやジム・ゴードンのように、好きなプレイヤーの特集という気分で、ビリー・ストレンジが遺した音楽を聴いていこうと思います。

まずはサニー・サザン・カリフォルニアを代表するギタリストにふさわしい、明るくにぎやかなプレイから。ビリー・ストレンジ・オン・リード、ドラムはもちろんハル・ブレイン。

The Beach Boys - Surfin' USA


ライノのCowabunga! The Surf Boxのパーソネルでは、この曲のリード・ギターはカール・ウィルソンになっていて、そんな馬鹿なことがあるか、と腹を立てましたが、オフィシャル・ビリー・ストレンジ・サイトのディスコグラフィーで、ボス自身が自分のプレイであるとコンファームしています。

この追悼特集では推定は避け、できるだけ上記ディスコグラフィーにある曲を聴くことにしますが、そもそも、ビリー・ストレンジさんに連絡をとるきっかけになったのは、ある推測の結果でした。そのきっかけになったのは一曲ではないのですが、たとえば、これ。

The Ventures - Lucille


1998年から翌年にかけて、Add More Musicにつどった仲間たちと、ヴェンチャーズのほんとうのリード・ギターはだれだったのだろうということを話し合いました。

最初はキャロル・ケイさんの示唆から、トミー・テデスコの線で考えていたのですが、このあたりのトラックをしつこく聴いているうちに、ビリー・ストレンジに考えがおよびました。

当初は、そういう当てずっぽうを云って遊んでいただけだったのですが、だんだんシリアス・ゲームになってしまい、ついには「オオノ隊長」がビリー・ストレンジ氏のメール・アドレスを発見し、わたしが代表としてメールを送りました。

初期ヴェンチャーズのリード・ギターはビリー・ストレンジではないかという洞察に至ったのは、いろいろなプレイを徹底的に聴いた結果だったのですが、つぎの曲も、これはあの人ではないか、と思わせるものでした。

The Ventures - Sukiyaki


これが、ビリー・ストレンジのどの曲と似ていると思ったか、特定のトラックをあげるのはむずかしいのですが、たとえば、このスタンダード。前半はスパニッシュ・ギターですが、後半、フェンダーでのプレイが登場します。

Billy Strange - Maria Elena


もうひとつ、ビリー・ストレンジらしいバラッドのプレイを。ドラムはハル・ブレイン。みごとなアコースティック・リズム・ギターはだれでしょうか。グレン・キャンベルかトミー・テデスコかもしれません。

Billy Strange - Deep Purple


機材は異なりますが、こういうトラックをしつこく聴いていると、ヴェンチャーズのギタリストが指を動かす像が頭のなかで見えてきたのです。またヴェンチャーズにいきます。

The Ventures - Lonely Heart


かなり確信がもてたときに、ビリー・ストレンジさんのアドレスがわかったので、勇を鼓して、あなたはヴェンチャーズのセッションでプレイしませんでしたか、というメールを送りました。

そのあたりのいきさつは、『急がば廻れ99' アメリカン・ポップ・ミュージックの隠された真実』という(ボロクソにけなされたw)本に書いたので、ご興味のある方は図書館などでどうぞ。

もうこの件でわたしに噛みつく人もいなくなったので、ヴェンチャーズ・ファンも、あきらめて、ライヴだけを聴くようになったのだと考えています。スタジオとライヴは違うバンドだということさえわかっていただければ、わたしのほうはそれで文句はありません。どちらがうまいか、なんていうのは、古来、蓼食う虫も好きずきという諺があるくらいで、お好みですから(呵呵)。

なにかビリー・ストレンジさんが動いているクリップを、と探していたら、灯台もと暗し、オフィシャル・サイトで息子さんがこのクリップを紹介していました。めずらしくもモズライトを持っていますが、音はスタジオのものなので、フェンダーだろうと思います。

Billy Strange - Satisfaction


もうひとつ、アコースティック12弦ですが、こんどはほんとうにプレイしています。

Nancy Sinatra and Billy Strange - Bang Bang


だれしも生老病死は免れず、自分自身だっていつ死ぬかはわからないので、軽々に「驚いた」などという言葉を使ってはいけないとは思うのですが、しかし、今日知ったばかりで、まだ考えはまとまりません。

二度目の返信だったか、Mr. Strangeは勘弁してくれ、ビリーかウィリアムにしてほしいといわれ、では、日本の習慣にしたがって、Billy-sanと呼ばせていただくと書き送りました。

つぎの返信の冒頭は、My friend Yuji-sanでした。Yujiはわたしのファースト・ネーム。スタジオ・プレイヤーはプロフェッショナルなので、お高くとまったりはしないものですが、ビリー・ストレンジさんもその例に漏れず、わたしを歓迎してくれました。

小学校で日本語のクラスをとったので、まだ君が代の断片をかすかに覚えていると、アルファベットで君が代の歌詞の一部を書き送ってくださったのにも、ちょっと驚きました。たしか、pretty closeだと返事を差し上げたと思います。

いや、センティメンタルになることがこの稿の目的ではありません。ビリー・ストレンジという人が遺した音楽を回顧することに徹したいと考えています。次回からは、ふつうのビリー・ストレンジ特集にする予定です。


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by songsf4s | 2012-02-23 23:58 | 60年代
Cool guitars for a hot summer night
 
「えー、四万六千日、お暑い盛りでございます」

と、八世桂文楽が「船徳」のなかでいっています。



近ごろは新暦とやらで、季節感がめちゃくちゃですが、ほんとうなら今日八月九日が旧暦の七月十日、すなわち四万六千日だそうです。当の浅草の観音様自体が、新暦で四万六千日をやるものだから、わけがわからなくなってしまいました。間違った日にお参りしても、四万六千日分の御利益なんか、あるはずがないと思いますが。

七月のはじめなんかでは、お江戸は「お暑い盛り」ではありません。どうしたって四万六千日は八月でないといけないのに、そのころには「立秋」だなどと奇怪なことをいっているのだから、助かりません。仙台や平塚の七夕だけは据わりがよくて助かります。

当地では昨日今日と、たいへんな暑さで、変則的ながら、やっとほんとうの夏が来たと感じます。こういう日に船に乗るのは、涼しいか涼しくないかはさておき、気分はいいでしょう。

子どものころ、「船徳」の主人公、徳さんというのは、ろくに舟も操れないマヌケな三枚目、というイメージをもっていました。

しかし、この噺の源である「お初徳三郎」までたどると、たいへんな色男で、柳橋の芸者衆の予約引きも切らず、まるで60年代中期のハル・ブレイン、来月まで予定がびっしり(だったのはハル・ブレインだが)というぐらいの売れっ子として描かれています。

桂文楽の描く徳さんは、竿も櫓も半人前、でもカッコだけは一人前の色男が匂い立つようです。あの「へい、ちょいと顔をあたってまいりました」の演出のすごいこと。

近々、できるだけユーチューブにあるクリップを使って、番組を組んでみようと思い、まずは「船徳」を検索してみたので、予告編として貼りつけてみた次第です。予告編だけでおわっちゃう恐れもたぶんにありますが。

◆ クール、クール・ギターズ ◆◆
暑いときは鍋にかぎる、という論法で、今日はホットなホットなR&Bだ、まずはオーティス・レディングのI Can't Turn You Looseから、なんて嫌がらせをやってみようかと思ったのですが、わたしのほうが先に辟易して、やめにしました。

暑いときには、わたしの場合、歌というのがそもそもあまり聴きたくありません。インスト、それもギターなんかは、非常にけっこうな消夏サウンドを提供してくれると思います。

いや、ギターといってもいろいろあるのでありまして、やはりイフェクターなどは使わない、ストレートな澄んだ音のほうが夏向きでしょう。となると、4ビート方面に偏ることになりそうです。

加えて、ギター以外の楽器の選択というのも、涼しさを左右しそうです。まずはヴァイブラフォーンを相方にしたものから。

Red Norvo Trio - Strike Up the Band


ヴァイブはもちろんレッド・ノーヴォ、ギターはジミー・レイニー、ベースはレッド・ミッチェルだそうです。

中学3年から高校1年にかけてのごく短いあいだ、ジャズに関心を持ち、十数枚のLPを買いましたが、そのなかの一枚がジミー・レイニーのものでした。しかし、みごとに記憶が消去されて、アルバム・タイトルがでてきません。あのときに買ったものは全部、あげたか、トレードに出してしまいました。ジム・ホールとズート・シムズっていうのもあったと思うのですが。

もう一曲、ギターとヴァイブラフォーンの組み合わせをいってみます。ちょっと音が小さいのですが。

The Gary Burton Quartet - General Mojo's Well Laid Plan


この時期のゲーリー・バートンは中学の終わりから高校にかけて、徹底的に聴きました。スーパーインポーズのタイトルは間違いで、正しくはGeneral Mojo's Well Laid Planです。ゲーリー・バートン・カルテットにはじめてラリー・コリエルが加わったアルバム、Dusterからの曲です。

メンバーも書いてありませんが、ヴァイブ=バートン、ギター=コリエル、ベース=スティーヴ・スワロウ、ドラムズ=ボビー・モージーズです。この曲のスタジオ録音のドラマーはロイ・ヘインズでしたが、その後のツアーや録音では、かつてコリエルとロック・バンドをやっていたモージーズに交代しています。ヘインズは録音のときだけだったのではないでしょうか。

この曲では、モージーズは、右手はブラシ、左手はマレットという、ヘンチクリンな組み合わせで叩いています。右足は下駄、左足はカウボーイ・ブーツなんて組み合わせで歩くようなもので、気色悪いだろうと想像するのですが!

いまになるとわからないかもしれませんが、当時はジャズの臭みのないサウンドに感じました。わたしが日常聴いている盤のあいだにはさまっても違和感がなく、あの時代、そんな4ビート音楽はわたしが知るかぎりゲーリー・バートン・カルテットだけでした。

昔のジャズ・ギタリストは、ベンドをかけたりなんかしませんでした。いまならふつうに聞こえるコリエルのプレイも、当時はひどく不作法に思えたのではないでしょうか。

もうひとつ、ラリー・コリエルのプレイを。こんどはちがう組み合わせで。

Herbie Mann - Memphis Underground


ギター・ソロは歪んだサウンドで、あまり涼しくありませんが、フルートというのも、やはりヴァイブと並んで涼しい音がでるなあ、と再認識しました。

しかし、この曲で印象的なのは、やはりジーン・クリスマンのドラミングです。子どものときはわけもわからず、なんだか妙にカッコいい音だと思っただけですが、改めて聴くと、ハードヒットしているわけでもないのに、バックビートに独特の重さがある(ロジャー・ホーキンズに似ている)ところが、最大の魅力だと感じます。

当家で過去に取り上げた曲としては、ボビー・ウォマックのFly Me to the Moonが、アメリカン・サウンド・スタジオで、ジーン・クリスマンがストゥールに坐って録音されたものです。メンバーは記憶していませんが、エルヴィス・プレスリーのIn the GhettoやSuspicious Mindもここで録音されました。

Bobby Womack - Fly Me to the Moon


こういう文脈においてみると、これはこれでなかなか涼しげな音に感じます。

さらに寄り道ですが、先日、エレクトリック・シタールの曲としてCry Like a Babyをとりあげたボックス・トップスもやはりここで録音していました。それで、はたと膝を叩きました。

あのとき、ドラムはセッション・プレイヤーに聞こえる、ロジャー・ホーキンズが候補だと書きましたが、クリスマンのバックビートはホーキンズに似ていると自分で書いて、そうか、ボックス・トップスのドラマーはジーン・クリスマンだったのか、と納得がいきました。

これ、確度98パーセントぐらいの自信があります。もう一回貼りつけちゃいましょう。このドラマーは、Memphis Undergroundのプレイヤーと同一人物にちがいありません。

The Box Tops - Cry Like a Baby


クラッシュ・シンバルを軽めにヒットするところなんざあ、この人のスタイルなのね、です。キックのタイムもけっこうなものです。Memphis UndergroundもCry Like a Babyも同じころによく聴いていたのですが、さすがに、これは似ているぞ、なんて思いませんでしたねえ。やっぱり年はとっているみるものです。

閑話休題。つい、8ビートに傾斜した時代へとのめっていきますが、そんなことはまだ夢にも思っていなかった時代の、オーソドクスなジャズ・ギターを。

Wes Montgomery - Round Midnight


ウェス・モンゴメリーのRound Midnightはいくつかクリップがあがっていましたが、わたしはこの1959年録音のDynamic New Sound収録のヴァージョンがいちばんいいと思います。相方はピアノより、オルガンのほうがずっと合っていると感じます。

ウェス・モンゴメリーを聴こうとすると、ジミー・スミスと同じで、しばしばグレイディー・テイトのドラムを聴かされるのが悩みの種なのですが、初期ならその心配はありません。それに、まだオクターヴ奏法一辺倒になっていないのも助かります。いくら上手くても、それだけで盤を聴くのは苦痛です。

もはや時間切れですが、ポップ・プロパーを一曲だけ押し込んでおきます。涼しいギター・インストといえばやっぱりこの人たちがナンバー1のような気がします。

The Shadows - Atlantis


シャドウズといっしょに弾くのなら、この曲やWonderful Landなどの系統が気持いいと思います。

シャドウズを出してヴェンチャーズなしというのもなんなので、一曲だけ。

The Ventures - Gemini


わたしは、64年あたりからのヴェンチャーズのメンバーの聞き分けを不得手としています。ギターはビリー・ストレンジ御大とは思えないプレイヤーばかりになり、ドラムはメル・テイラーのように思えるトラックが多くなります。でも、この曲は大丈夫でしょう。テンポは速いにもかかわらず懐が深く、タイムが寸詰まっている人はいません。ツアー用ではなく、ほんもののプロフェッショナルの仕事でしょう。

寄り道がひどくて、用意していた曲がいくつか残ってしまったので、次回か、そのつぎあたりか、続編をやるつもりです。


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八代目桂文楽
昭和の名人~古典落語名演集 八代目桂文楽 二
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ハービー・マン
Memphis Underground
Memphis Underground


ボビー・ウォマック
Fly Me to the Moon / My Prescription
Fly Me to the Moon / My Prescription


ボックス・トップス
Soul Deep: the Best of..
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ウェス・モンゴメリー
Wes Montgomery Trio
Wes Montgomery Trio


シャドウズ
Complete A's & B's
Complete A's & B's
by songsf4s | 2011-08-09 23:58 | Guitar Instro
ギター・オン・ギター2 ジョニー・スミスのWalk Don't RunとStranger in Paradise

今年はいったいどういう気候なんですか。わが住む土地は都の南、海辺なのでマシかもしれませんが、それにしても、この数日、ひどい暑さです。ほんの一週間前には寒い寒い、まるで真冬だ、とボヤいていたら、いまや暑い暑い、まるで真夏だ、です。

べつに気候のせいというわけではないのですが、連休中は毎日更新のつもりだったのに、こと志に反して、結局、隔日よりちょっとマシ程度になってしまいました。

さて、休日明け(まだそうなっていない人もなかにはいらっしゃるでしょうが)、ドンといきたいところですが、今日はあれこれあって、やはり鈴木清順と木村威夫を相手に格闘するだけの余裕がありません。そういうときは例によって、音楽ブログの地を出すことになっています。

◆ Walk, Don't Run ◆◆
先日の「ギター・オン・ギター」はまずまずの好評だったようで、サンプルのアクセスはかなりのものです。Gabor Szaboとボビー・ウォマックに人気が集まり、ハーブ・エリス&レモ・パーミア(パルミエなんていう、なにかの下品な言葉の略称かと思うような表記もあるようだが、固有名詞英語発音辞典の発音にしたがっておいた)のほうは不人気、などと書きましたが、その後、彼らの二曲もアクセスが増えています。

気温が上がると、管楽器の音は聴きたくなくなります。いっぽう、エレクトリック・ギターはどんなシーズンでもつねに好ましいのですが、暑いときはいよいよ素晴らしいサウンドに感じられます。いや、まあ、暑いときはあまり聴きたくないタイプのギターサウンドというのももちろんありますが! あとはハモンドとヴァイブラフォーンでしょうかね、暑いときに好ましい楽器というと。

ということで、安易が安易の羽織を着て安易の披露目をやります。本日は「ヒット作」の安易な続篇、「ギター・オン・ギター2」と参ります。といっても、8ビートの世界ではギター・オン・ギターは当たり前、今日も4ビートです。

あれから、4ビートのギター・デュオとしては、ほかになにがあったっけ、と考えていたのです。すぐに思いあたったのが、これです。

Johnny Smith - 02 Walk Don't Run (HQ)

(2016年9月追記: 自前のユーチューブ・クリップに差し替えた関係で、サンプル音源へのリンクは削除しました。)

ブッキッシュには、ヴェンチャーズのWalk Don't Runのオリジナルはジョニー・スミスのヴァージョンだということはずっと以前から知っていました。でも、じっさいに聴いたのは一昨年のことです。聴いてみれば、いたってノーマルな4ビートの曲で、「あの曲のオリジナル」という意味では、さしたる感懐はありませんでした。

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ジョニー・スミスのセッショノグラフィー

それより、このサウンドは気持いいなあ、と思ったのです。年をとるにしたがって、だんだん強い音から遠ざかり、弱い音の世界に入りこみつつあるようで、そういう気持の変化にぴったりのサウンドだったのですが、もうひとつ重要なのは、ギターでコードを入れていることです。前回も書いたように、やっぱりリード・ギターの隣にはリズム・ギターのコードがある、というのがいちばん落ち着きのいい音なのです。

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ジョニー・スミス・カルテットのリズム・ギター、ペリー・ロペス

Walk Don't Runにはもちろん山ほどカヴァーがあるのですが、ぜひともご紹介したいというほどのものはないし、数が多すぎるので、今日はよけて通らせてもらいます。

◆ Stranger in Paradise ◆◆
たんなる偶然であって、なんの意味もないのかもしれませんが、ジョニー・スミスは、後年ヴェンチャーズがTen Seconds to Heavenのタイトルでカヴァーする、Stranger in Paradiseもやっています。メンバーはWalk Don't Runと同じです。

Johnny Smith Quartet - Stranger in Paradise


Ventures - Ten Seconds to Heaven (Stranger in Paradise)


この曲については、すでに昨年詳述しています。といっても、ひどく忙しない書き方で、駆け足で各ヴァージョンにふれているだけですが。ほかにYouTubeにあるものとしては、パーシー・フェイス盤なんかいいのではないでしょうか。

Percy Faith Orchestra - Stranger in Paradise


バードコールつきのマーティン・デニー盤もそれなりに楽しめます。でも、バードコールをとってしまうと凡庸かも。

Martin Denny - Stranger in Paradise


歌もののいいクリップがないので、この曲のオーソドクスからは外れますが、タイムズのヴァージョンを自前でアップしました。

サンプル The Tymes "Stranger in Paradise"

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知名度の低さが心配なので、よけいなことを書いておきます。So Much in Loveのもっとも有名なヴァージョンはタイムズのものです。


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ジョニー・スミス Walk Don't Run
Walk, Don't Run!
Walk, Don't Run!


パーシー・フェイス
Music of Brazil!/Shangri-La!
Music of Brazil!/Shangri-La!

ベンチャーズ・ジャパニーズ・シングル・コレクション
ベンチャーズ・ジャパニーズ・シングル・コレクション


マーティン・デニー
Quiet Village: The Exotic Sounds of Martin Denny
Quiet Village: The Exotic Sounds of Martin Denny



by songsf4s | 2010-05-06 23:54 | Guitar Instro