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Cool guitars for a hot summer night II
 
すぐに思念がよそに流れ出ていく傾向があるため、ギターの話だったはずのものが、メンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオにまつわるあれこれへと横滑りしたせいで、前回は、用意したトラックを使い切らずに終わってしまいました。

わが友、と呼べるこの世でただひとりのギター・プレイヤー、ビリー・ストレンジさんのトラックから今宵はそろりと入ります。クリップをあげたのもわが友、オオノさん。

Billy Strange - Maria Elena


以前にも書きましたが、わたしは御大に質問したことがあります。あなたのアルバムには複数のリード・ギターがからむ曲がたくさんあるが、ご自分でオーヴァーダブをしたのか、それとも、トミー・テデスコやグレン・キャンベルなどを相方に一発で録ったのか、と。

愚かな質問というしかないのですが、予想したとおりの答えが返ってきました。ケース・バイ・ケースである、と。では、このMaria Elenaの場合はどうだったか?

後半のフェンダーらしきエレクトリックは、いかにもボスらしいサウンド、ボスらしいフレージング、まちがいなくビリー・ストレンジのプレイ、といえます。

しかし、前半のリードをとるガット・ギター(彼らはSpanish guitarないしはflamenco guitarという名詞を使い、gutという言葉を使ったのは見たことがない。やはり「はらわた」という単語は避けたいのだろう)はちょっとした難問で、今回も、ボスか否かを考えながら、じっくり聴いてしまいました。

とりあえずの結論は、こちらもボス自身のプレイである、です。トミー・テデスコだったら、どこかで飛び出しそうな高速ランが、この曲では使われていませんし、トミーのトレードマークである強いヴィブラートのかかった音もありません。そう思って聴くと、なんとなく、フレーズ尻のまとめ方がビリー・ストレンジ・スタイルのように思えてきました。

しかし、そんなことは詰まるところどうでもいいような気もします。このトラックの最大の魅力は、後半のエレクトリックによるプレイ、このソリッド・ボディーのエレクトリック・ギターという楽器の根元にふれるような、柔らかい音の出にあります。

そして、この音が描出しているのは、わたしが知っている、剛胆であると同時に繊細なビリー・ストレンジというキャラクターそのものだと感じます。

同じアルバムから、もうひとつ、涼しい曲をいってみます。

Billy Strange - Deep Purple


オオノさんがクリップに書き写してくださったライナーによれば、ドラムはハル・ブレイン、アップライト・ベースはジミー・ボンド、リズム・ギターはビル・ピットマンというラインアップだそうです。

ビリー・ストレンジはニュアンスのギタリストです。音のニュアンスは、音色、強弱、タイミングによって表現されますが、とりわけ彼が得意としたのは、タイミングのコントロールによるディテールの表現でした。この曲をなぞってみて、彼の「球持ちのよさ」、なかなか音を出さないタイミングのコントロールを実感しました。

ビリー・ストレンジとくれば、やはりこの人を出さないとバランスがとれないでしょう。

Tommy Tedesco - Quiet Night of Quiet Stars


playing for living、生きるためにプレイする、と断言した人ですから、たとえ自分の名義の盤でも、トミー・テデスコは注文に応じてさまざまなタイプの音楽を、さまざまなスタイルで「演じ」ました。

自分でやりたかったのは、後年のオーセンティックなジャズ・コンボのものでしょうが、ガット・ギターによるものも、彼が嫌わなかったものだろうと思います。「マーケッツのギタリスト」とはいわれたくない、と書いていたので、嫌いだったのはポップ系のギター・インストだったことははっきりしています。まあ、さもあらん、ですが!

たまにはカントリー方向に曲がってみるのもチェンジアップになるかもしれません。

Merle Travis - The Sheik of Araby


マール・トラヴィスの「独演会」といった雰囲気の、テレビ・スタジオらしき小さな会場でのリラックスしたライヴ・ヴィデオを見たのですが、なかなか興味深いものでした。ほう、と思ったのは、チェット・アトキンズについての逸話です。

マール・トラヴィスはキャピトルと契約して大人気を博したのですが、それを見て、RCAが対抗馬として見つけてきたのがチェット・アトキンズだったのだそうです。しかし、チェットのギターに満足したRCAのだれとかが、ところで、きみは歌はどうなんだ、ときいたら、ぜんぜん歌えない、というのでがっかりした、というくだりをマール・トラヴィスが仕方話でやって、客を湧かせていました。

チェット・アトキンズのものと信じていたスタイルは、じつはマール・トラヴィスのものだった、なんていわれたら、信じちゃいそうなほど、彼らのギター・プレイには近縁性があります。

一度でもクリップを見たことがおありになればわかりますが、マール・トラヴィスもチェットと同じように、ひとりでプレイしたものがたくさんあり、上掲The Sheik of Arabyも、親指でベースないしはコードを入れながらのプレイです。

それでは、キャピトルのスターと、RCAが見つけたその対抗馬のデュエットを。

Chet Atkins and Merle Travis - Muskrat Ramble


いやあ、カントリー・ピッカーの頂点に立つ二人なので、ただただ感心するばかりです。速さより、音の美しさに技がにじみ出ています。

カントリー・ピッカーに傾きはじめると、どこまでもずぶずぶとはまりこんでいき、ジョー・メイフィスだの、ジェリー・リードだのと、永遠に終わらなくなってしまいます。いずれ、ギター・オン・ギター・シリーズの続編として、カントリー・ピッカー・ギター・デュオというので改めて特集を組むことにします。

できるだけ好きなギター・プレイヤーを網羅しようとしているのですが、そんなことをいったら、あと10回ぐらいはやらないと収まりそうもありません。忘れないうちにこのお父さんを。

Les Paul - How High The Moon (1991)


この曲は、レス・ポールがメアリー・フォードと組んでいた時代の大ヒットです。じっさい、そちらは圧倒的なヴァージョンで、なんだ、ロックンロールというのはレス・ポールがつくったのか、と口をあんぐりしますが、あえて、年をとってからのライヴ・クリップを貼りつけました。やはり指の動きが見たいのと、マルチ・トラッキング抜きでも上手いことを知っていただくためです。

レス・ポールのことを話しはじめると長くなるので、一点だけ。彼の発明や開発は驚くべきものですが、一プレイヤーとして振り返ると、印象に残るのは、華やかさ、明るさです。

だれがだれより上手いなんてことをいったところで、つまるところ、比較のしようがありませんが、レス・ポールの生来の明るさは、彼のキャリアと、われわれが彼のサウンドに抱くイメージを決定したと感じます、その意味で、バディー・リッチ、ハル・ブレイン、レス・ポールはわたしの頭のなかの同じ部屋に住んでいます。

しかし、好きなドラマーを並べたら、あっというまに終わるでしょうが、ギタリストは無限につづけられそうです。最近、ジョー・オズボーンのインタヴューを読んで、へえ、そういう関係だったのかと、新たな目で見るようになったプレイヤーの曲を。

Roy Buchanan - Misty


ロイ・ブキャナンのプレイをじっと見守り、最後にちょっとだけ加わるのはマンデル・ロウで、この人のクリップも用意したのですが、置き場所がなくなってしまいました。

ジョー・オズボーンがルイジアナでジェイムズ・バートンといっしょにプレイしていたというのは知っていましたが、ベースに転じるきっかけになったのは、ロイ・ブキャナンとバンドメイトになってしまったことなのだそうです。エディ幡にじゃんけんで負けたルイズ・ルイス加部が、ギターからベースに転じたようなものです。

しかし、60年代ハリウッドを代表する3人のフェンダー・ベース・プレイヤー、レイ・ポールマン、キャロル・ケイ、ジョー・オズボーンが、いずれも本来はギタリストだったことになり、やはりそういうものか、と思いました。ちがうのはラリー・ネクテルだけ、といいたくなりますが、彼もギターをプレイしたことがありました。

例によって、話があらぬほうに流れたので、本日はここまで。まだ材料はありますが、つづけるか否かは未定です。


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ビリー・ストレンジ
Mr. Guitar
Mr. Guitar


マール・トラヴィス
The Merle Travis Guitar
The Merle Travis Guitar
by songsf4s | 2011-08-10 23:55 | Guitar Instro
Surf'n'Rod WITHOUT (or mistakingly WITH) Hal Blaine Vol. 2
 
サーフ・ミュージックの定義を見つけないとやりにくくて仕方ないのですが、しかし、結局、これは無意味のような気もします。

前回、ライノのカウアバンガ・ザ・サーフ・ボックスがファイアボールズのBulldogではじまっているのは違和感があると書きました。べつのサーフ・アンソロジーには、この曲が収録されていて、うーん、どうかなあ、と首を傾げました。

The Ventures - Lullaby of the Leaves


むろん、この曲が悪いというのではありません。コア・レッキング・クルーただいま形成中という雰囲気で、けっこうなプレイだと思います。しかし、これがサーフ・ミュージック(ないしはホットロッド)かというと、わたしはそういう風には感じません。

そのサーフ・アンソロジーの編集者がいいたいのは、ヴェンチャーズの「木の葉の子守歌」(と当時買ったベスト盤には書いてあった)は、サーフ・ミュージックの形成に強い影響を与えた先駆的トラックである、ということなのでしょうが、それだったら、ほかにもっと適切なものがあるだろうと思います。でも、そう思うのはわたしであって、ほかの人はそう思わないから、このトラックが選ばれたのでしょう。

これはどうなんだろうか、と自問し、まあ、入れちゃっていいんじゃないか、と感じるのはこの曲。

The Pyramids - Penetration


リヴァーブのせいでしょうか、こちらはサーフ&ロッド的な響きがあると感じますし、それは多くの人が共有する感覚だから、このトラックがしばしばサーフ・アンソロジーに再録されているのでしょう。しかし、この時期はみんなこんなものとはいえ、下手ですなあ。

もうひとつ、有名な曲のオリジナルをいってみます。

The Chantays - Pipeline


このオリジナルにたどり着いたときは、なんだ、この程度か、と思いました。そのときの印象にくらべれば(ほかに山ほどゴミ・サーフを聴いたせいで)、いまでは、下手というより、プロデューシングがなっていないのだ、というほうに認識がシフトしましたが、でも、一言でいえばやっぱり「この程度かよ」なのです。

われわれ日本男児は、シャンテイズは無視し、ヴェンチャーズを支持しました。

The Ventures - Pipeline


とくになにかを付け加えたりはしていないのに、シャンテイズのオリジナルよりずっと立体的なサウンドで、格がまったく違うことがわかります。それは抑揚のコントロール、タイム、ディテールをおろそかにしないミュージシャンシップ、といったものがもたらした違いでしょう。

だれもインプロヴをするわけではなく、定められたことをきちんと弾いているだけの、きわめてアノニマスなプレイで、だれとも判断はつきませんが、この懐の大きさは、「The Ventures in Japan」でプレイしている、全員、タイムが微妙に早い(テープの回転速度をいじってスピードアップし、うまく聞こえるように細工したことは有名だが、そういう意味ではなく、プレイのタイムをいっている)、寸詰まりグルーヴのバンドとはまったく異なっていることだけはわかります。

では、こちらのグループはどうでしょうか。

The Astronauts - Baja


アストロノウツについては、ライノのカウアバンガでも、あとなんだったか、他のソースでも、パーソネルはアストロノウツのメンバーしか書いてありません。

しかし、ハリウッドというか、アメリカ音楽家組合(AFM)LA支部(Local 47)のように、半世紀も書類を保存しているのは特別で、NYなど、コントラクト・シートを見たことがありません。

アリゾナ州フィーニクスのAFM支部が、アストロノウツのコントラクト・シートを保存してあり、カリフォルニアのレコード会社(ライノはサンタモニカだったような)のだれかがそこまでいって、きちんと書類を確認した可能性は、コストから考えて低いでしょう。つまり、調べもせずに、アストロノウツは自分たちでプレイしたと書いているのではないかと疑っています。

わたしは小学校六年だったと思いますが、テレビでアストロノウツのライヴを見て、ゲラゲラ笑いました。まるで弾けないのです。いや、まあ、そんな子どものころの印象はあてにならないのは認めますがね。

十数年前、そのことをいったら、畏友、オオノさんが、昔、来日したアストロノウツの日本録音を担当した、日本ビクターのディレクターが、まったく弾けないのに呆れて、匙を投げたということを書いていた、と教えてくださいました。そして、問題の日本録音のシングルというのを聴かせてもらい、小学校のときに聴いたバンドに間違いないと、馬鹿笑いしました。まったくデタラメなプレイです。

スタジオ録音はきれいにやっているけれど、ライヴはガタガタ、というのは、まだ嘘で糊塗できる余地がいくぶんかあります。しかし、スタジオ録音どうしを比較したら、すべては白日の下です。

結論。上掲Bajaでプレイしたバンドと、日本に来てビクターのディレクターを呆然とさせたバンドは異なります。Bajaは、スーパープレイなし、定められたことを丁寧に弾いているだけですが、だれも突っ込んだり、遅れたりといった子どもっぽいミス(それこそが日本に来たアストロノウツの特徴だった)はしていません。

なにしろ、アリゾナ州フィーニクスなんていうところについては、たいしたことは知られていないので、このあたりを追求するのは非常に困難ですが、初期アストロノウツのプロデューサー、リー・ヘイズルウッドの右腕だった人物は、ギタリストとしてよく知られています。セッション・プレイヤーとしての彼、アルヴィン・ケイシーの代表作はこれ。

フランク&ナンシー・シナトラ Somethin' Stupid


ジミー・ボーウェンとリー・ヘイズルウッドの共同プロデュース、エンジニアはエディー・ブラケット、ドラムズはハル・ブレインです。

ブラケットはこのプロジェクトのために、冗談半分で、Producer: Jimmy BowenおよびProducer: Lee Hazlewoodという名札をつくって二人の前に置き、さらに、それぞれ個別にトークバック・マイクロフォンを設置したそうです。ボーウェンだったか、映画を作っておけばよかった、と回顧しています。

サーフ&ブレイン・シリーズでも一曲、アル・ケイシーのサーフ・アルバムからのトラックを入れておきましたが、こんどはシングル盤で、ドラムはハルではありません。

Al Casey - Surfin' Hootenany


歌っているのは、名前はどうであれ、実体はブロッサムズです。後半、彼女らの紹介で、つぎつぎに有名アーティストが登場します。まずディック・デイル、これはそれっぽく、つづいてヴェンチャーズ、これはぜんぜん赤の他人、最後はドゥエイン・エディー、もちろん、アル・ケイシーは、エディーの録音でセカンド・ギターをプレイしたので、そっくりにやっています。

地方都市ではスタジオ・タイムも安価なのでしょうが、それでも、こういう人がいたのだから、アストロノウツのようなぜんぜん弾けない素人のギターいじりなんか、リーははじめから勘定に入れていなかったでしょう。

アル・ケイシーのプレイをもうひとついきます。これは4ビートで、サーフ・ミュージックとして録音されたものではないのですが、どちらにでも聞こえるのではないかと思います。

Al Casey - The Hucklebuck


リヴァーブのあるなしはやはり印象を左右しますが、さりながら、リヴァーブがないとサーフ・ミュージックにはならない、ともいえません。このThe Hucklebuckあたりは、サーフ&ロッド・アンソロジーに入っていたら、とくに違和感なしに通り過ぎてしまうでしょう。

なんだかんだいいつつ、やっぱり素人のプレイはつらい、プロは控えめにプレイしてもグッド・フィーリンを生み出す、という話でした。

次回もいちおうハル・ブレイン抜きのサーフ&ロッドの予定ですが、今日、ちょっと聴いたプロコール・ハルムのボックスのことか、はたまたNow Listeningか、そのあたりに逸れる可能性もあります。


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ヴェンチャーズ
プレミアム・ツイン・ベスト ダイアモンド・ヘッド~ベンチャーズ・ベスト

プレミアム・ツイン・ベスト ダイアモンド・ヘッド~ベンチャーズ・ベスト


ピラミッズ(MP3ダウンロード)
Penetration! The Best Of The Pyramids
Penetration! The Best Of The Pyramids


アストロノウツ
Surfin' With The Astronauts/Everything Is A-OK! [2-on-1 CD]
Surfin' With The Astronauts/Everything Is A-OK! [2-on-1 CD]


ナンシー・シナトラ
Sugar
Sugar


アル・ケイシー
Surfin Hootenanny
Surfin Hootenanny


ライノ・ロック・インストゥルメンタル・アンソロジー
Rock Instrumental Classics 5: Surf
Rock Instrumental Classics 5: Surf


ライノ・レコード カウアバンガ・ザ・サーフ・ボックス(中古)
Cowabunga: Surf Box
Cowabunga: Surf Box
by songsf4s | 2011-08-02 23:50 | サーフ・ミュージック
Surf'n'Rod WITHOUT (or mistakingly WITH) Hal Blaine Vol. 1
 
その必要もなければ、そもそも無益なので、そんなことはしばらく考えていなかったのですが、先日までやっていたサーフ&ブレイン特集のせいで、どういうものがサーフ・ミュージックで、どこからはそうではないのか、という線引きを意識せざるをえなくなりました。

しかし、いざ「サーフ・ミュージック」とはなんだ? と考えると、答えは波にもまれて海の底に沈んでいきます。

サーフ・ミュージックのオリジネイターと目されるディック・デイルは、自身、サーフィン・クレイジーで、波に乗っているときの昂揚感を表現したもの、とサーフ・ミュージックをいいあらわしています。

そりゃそうだろうなあ、とは思いますが、これでは音楽形式の定義としては不十分も甚だしいといわざるをえません。

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デイルは、フェンダーの機材を使っていて、レオ・フェンダーと協力してリヴァーブ・ユニットやギター・アンプを開発します(ShowmanおよびDual Showmanとして製品化される)。彼の考え、というか、彼の感覚にしたがうなら、サーフ・ミュージックにおいては、ギターには深いリヴァーブをかけなければいけなかったからです。

それではリヴァーブ・ユニットの使用前、使用後を聴いてみます。まずはリヴァーブのないドライなものを。デイルの父親が息子のためにつくったレーベル、デルトーンからのシングル、Let's Go Trippin'



つづいて、だいぶあとの、キャピトル時代のトラック。こんどはそれなりにウェットなサウンドです。ディック・デイル&ヒズ・デルトーンズ、Taco Wagon



時期が少し前後しますが、初期はドライなギター・サウンドだったという例をもうひとつ、ポール・ジョンソン、リチャード・デルヴィーらが在籍し、のちにチャレンジャーズへと発展することになるベル・エアーズ、Mr. Moto



そういってはなんですが、ドラムの下手なこと、目を覆います。いや、耳をふさぎたくなります。悪いけど、あたくしでも、このドラマーが相手なら勝負できます。

ライノのCowabunga the Surf Boxというのは、それなりに面白く、それなりに役に立つボックスでしたが、よそさんの考えるサーフ・ミュージックというのは、やはり自分の考えとはずいぶん隔たっているのだな、とも思いました。アルバム・オープナーがこの曲ですからね。

The Fireballs Bulldog


われわれ日本の子どもは、Bulldogをヴェンチャーズの曲として記憶していますが、アメリカではTorquayと並んでファイアボールズの代表作と見られているようです。ただ、いま振り返って、ヴェンチャーズ・ヴァージョンに感銘を受けたのは間違っていなかったと思います。

Bulldogのころはともかくとして、後年のFireballsはタイムが安定し、相応の技量のあるグループになったと思います。しかし、ハリウッド音楽産業のエリート集団の一角に食い込もうとしていた、若きビリー・ストレンジをリードとする、初期スタジオ版ヴェンチャーズとは、やはり比較になりません。

どうであれ、ファイアボールズのBulldogでサーフ・アンソロジーがスタートするというのは、わたしにはちょっと意外でした。まだしも、二曲目のほうが違和感がありません。

The Gamblers - Moondawg!


この曲はヴェンチャーズやビーチボーイズをはじめ、カヴァーがたくさんあるために、そういう印象が形成されているからかもしれませんが、サーフ・ミュージックらしい響きがあると感じます。

しかし、なんだかハリウッド音楽産業経営者視点の感なきにしもあらずですが、素人じみた音というのは、どうしても居心地悪く感じます。やはり、ジョー・サラシーノがプロフェッショナルによるサーフ・ミュージックで、このジャンルとしてははじめてナショナル・チャート・ヒットを生まないことには、サーフ・ミュージックのほんとうの歴史ははじまらないと感じます。

The Marketts - Surfer's Stomp


マイケル・ゴードンは、マーケッツに自分の名前を冠することで、歴史を盗み取ろうとしているらしく、はなはだ不愉快ですが、ほかにこの曲のまともなクリップはないので、これを貼りつけます。

マイケル・ゴードンがなにかスタジオのマーケッツにかかわったことがあるとしたら、もっとあとのこと、いくつか楽曲を書いたことと、一握りの曲のアレンジしたことぐらいでしょう。あとはせいぜい、リズム・ギターかパーカッションでもやらせてもらったか、その程度のことと思われます。この曲とマーケッツというスタジオ・プロジェクトは、ジョー・サラシーノが生み出したものです。

あるときサラシーノは、LAの南のバルボア半島に行き、ボールルームでのダンスを目撃しました。

(サラシーノはなにもいっていないが、このボールルームはランデヴー・ボールルームである可能性が高く、そこでプレイしていたのはディック・デイル&ザ・デルトーンズだったかもしれない。さらにいうと、ランデヴー・ボールルームにはかつてスタン・ケントン・オーケストラがレギュラーで出演し、ここで「ウェスト・コースト・ジャズが誕生した」といういい方をする人さえいる。LAの二大エスニック・ミュージックの誕生に関わったボールルームだったのだ、というと大げさかもしれないが。)

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ランデヴー・ボールルームのファサード

これはいったいどういうダンスだ、ときいたら、サーファーズ・ストンプというものだといわれ、すぐにそのステップを元に、サラシーノはSurfer's Stompという曲を書き、スタジオ・プレイヤーを集めて録音しました。

ライノのCowabunga the Surf boxのライナーでは、このときのメンバーは、ドラムズ=シャーキー・ホール、ベース=バド・ギルバート、ギター=ルネ・ホール、ビル・ピットマン、トミー・テデスコ、ピアノ=レイ・ジョンソン(プラズの兄弟)、サックス=プラズ・ジョンソン、フレンチ・ホルン=ジョージ・プライスとされています。

わたしはギター・インストが好きなのですが、もしもサーフ・ミュージックというのが、ド素人の高校ダンス・パーティー芸であったとしたら、そんなものに興味はもたなかったでしょうし、いまになってはなおのこと、忌避したにちがいあありません。

しかし、マーケッツを聴くと、これなら俺が親しんできた、典型的なハリウッドの音だ、と感じます。ドラマーはエドワード・シャーキー・ホール(アール・パーマーがハリウッドにやってきたころ、ロックンロール、R&B系セッションのエースだった)ですが、ギターやサックスはおなじみの面々です。

とりわけ、プラズ・ジョンソンのテナーは、この人らしい美しい音の出で、非常に印象的ですし、だれも出しゃばらずに、グッド・フィーリンをつくることに専念していて、じつに気持のいいサウンドです。

サラシーノがこのようにプロフェッショナルだけで録音することで、サーフ・ミュージックに背骨とフォームを与え、そしてなによりも、その結果、ナショナル・ヒットを得たことは、その後のこの分野の発展に決定的な影響を与えたと思います。

むろん、ほかにも重要な要素はあるのですが、それは次回、見ていくことにし、本日は、Surfer's Stompのヒットを受けて、そのフォロウ・アップとしてリリースされたシングルをクローザーにします。

The Marketts - Balboa Blue


似たような曲、似たようなサウンドですが、わたしはBalboa Blueのほうが好きです。しかし、マイナー・ヒットに終わりました。

いま、このシリーズの通しタイトルを決めてから、キャピトル時代のディック・デイルのドラムはハル・ブレインが多かったことを思い出しました。Taco Wagonもハルの可能性が高いでしょう。

次回は、少しだけ時計の針を進めて1963年を中心にサーフ・ミュージックを並べる予定ですが、時間がとれなくて、安直なNow Listeningに切り替えるかもしれません。


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ディック・デイル
Dick Dale & His Deltones - Greatest Hits 1961-1976
Dick Dale & His Deltones - Greatest Hits 1961-1976


ディック・デイル(Taco Wagon収録)
Mr Eliminator
Mr Eliminator


ベル・エアーズ
Volcanic Action!
Volcanic Action!


ファイアボールズ
Fireballs/Vaquero
Fireballs/Vaquero


ライノ・ロック・インストゥルメンタル・アンソロジー
Rock Instrumental Classics 5: Surf
Rock Instrumental Classics 5: Surf


ライノ・レコード カウアバンガ・ザ・サーフ・ボックス(中古)
Cowabunga: Surf Box
Cowabunga: Surf Box
by songsf4s | 2011-08-01 21:37 | サーフ・ミュージック
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 7
 
だらだらと引きずってきたハル・ブレインとサーフ・ミュージックも、今回でいちおう幕を閉じる予定です。曲を並べてみないとはっきりしたことは云えないのですが!

今日はちょっと今後の予定を考えてみました。

次回ないしは次々回にスタートしようと思っているのは、The Rest of the Surf Musicです。ハルとは関係ない曲を全部オミットしたことが、いまになって、不親切のような気がしてきたので、そのオミットした部分を生き返らせようと思います。

それから、お盆休みまでのどこかで、ベスト・オヴ・ジム・ゴードンの再公開をやります。今回はたぶん追加トラックはなしで、前回の公開と同じファイルにするつもりです。ただ、その後、いくつか手に入れてはいるので、多少の「ボーナス」はつけるかもしれません。

この二週間ほどは余裕があったのですが、八月はじめは時間をとれないときがありそうなので、Now Listningといったぐあいの、安直な更新をすることもあるだろうと思います。なんの脈絡もなく、いま聴きたい気分の曲をいくつか並べるだけです。できるだけ、よけいなゴタクも云わないようにつとめつつ!

以前、ちょっとふれましたが、Now Listningのように、見たばかりの映画のことを、あっさり、簡略に書く、というのもやりたいと思っています。当家の映画の記事は長すぎて、書くほうもしんどいし、お読みになるお客さんだって楽ではなかろうと思うのです。

いずれも、それだけの分量が必要だったから、記事が長くなったのですが、長い分析に耐えない映画だって、ちょっとふれてみたいと思うときがあるし、そういう記事もあったほうが全体のバランスがとれるような気がするのです。

それから、昨年の夏、いちおうリストアップまではやったのに、結局、流産させてしまった「納涼名人寄席」を復活させようかと思っています。まあ、いろいろむずかしい面があって、まだ迷っているのですが。

とりあえず八月前半はそんな風にやりつつ、ときおり、予定外のものを滑り込ませようと考えています。あ、ラロ・シフリン・シリーズもいずれ再開します。

◆ Still surfin' ◆◆
今日は落ち穂拾いになりそうですが、ハル・ブレインの場合、落ち穂ですら十分に魅力的なのでご心配なく。ただし、もう新しいアーティストは出てこず、既出の人たちのトラックになりそうです。また、最後なので、それはハルじゃないだろうと異論が出そうなコントラヴァーシャルなトラックも入れるつもりです。

まずは一曲、この特集の隠れた主役(意味論的矛盾か)だったブルース・ジョンストンから。

ブルース・ジョンストン Surfin' 'Round the World


すでにフランキー・アヴァロンとアネット・ファニチェロによる映画ヴァージョンをかけていますが、こんどはドナ・ローレンの歌で。

ドナ・ローレン Beach Blanket Bingo


夏になるとラーメンがからっきし売れなくなる、商売あがったりだ、ということから、ある人(小林信彦のオヨヨ・シリーズにこの人モデルにした人物が登場する)が冷やし中華なるものが発明したそうです。戦後の話です。

サーフ・ミュージックだの、ビーチ・ムーヴィーだのは、逆に、冬になると商売あがったりだったので、品揃えを広げようと、サーフィンに似ていなくもないスキーを題材にしたスピンオフが生まれました。

Ski Party 予告篇


音楽はゲーリー・アシャーなので当然ですが、この映画は十数年前にTXで放映したときに再見し、ハル・ブレインだらけだな、と思いました。その後、見ていませんが、機会があったら再々見して、ハルの仕事ぶりを検討したいと思います。

話は脇にそれますが、ロジャー・コーマンという人は、AIP(アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ)を背負っていたにもかかわらず、ビーチ・ムーヴィーはやっていません。ドラキュラだの、モンスターだの、そういう殺伐とした方面ばかりなのです。ビキニ・ムーヴィーにモンスターが乱入するようなハイブリッド・タイプ(いや、冗談ではなく、本当にあるのだ!)ですらやっていません。

その後、ビーチ・ムーヴィーの親戚とも云えるバイカー・ムーヴィーは撮っているのですがねえ。なぜそうなったかは謎です。ひょっとしてアクアフォビアだったとか?

何度も名前を書いたので、もう彼の盤のどれかをかけたようなつもりになっていました。ジェリー・コール、Surf Age



ずっと気になっていたのですが、行きがかりで、バラッドの極度に少ない特集になってしまいました。ハル・ブレインが主役なので、どうしてもアップテンポのものが多くなってしまうのですが、ハル自身はバラッドのプレイが好きだといっています。

サーフ・バラッドというと、たとえばビーチボーイズのSurfer Girlもハルのプレイなのですが、あれではいくらなんでも、ドラマーの曲とはいえないのでありまして、苦しいところなのです。

これもドラマーの曲とはいえませんが、とりあえず広く知られているわけではないので、紹介する意味はあるでしょう。

ファンタスティック・バギーズ It Was I


安全パイばかりで勝負していると、ちょっとアホらしくなってきます。すこしは問題になりそうなトラックをおいておかないと、ハル・ブレイン特集をやる甲斐がありません。ジャン=ポール・サルトルもいっていたでしょ、人生は投機である、と(ちょっと違ったかなあ)。ギャンブルをしないのでは、ハルをやる意味がありません。

あたくし自身、百パーセントの確信はありません。しかし、結局、ほかにこんなドラミングをするドラマーを思いつかず、はじめからハルのプレイだと主張していたオオノさんに、数年遅れで同意することになったトラック。

ヴェンチャーズ Surf Rider


小学校六年のときに、The Best of the Venturesという日本編集のLPを買ったのですが、そのなかにこれが入っていて、頼朝公ご幼少のみぎりのしゃれこうべだったころには、しつこく聴いたものです。

まさか、このドラマーと、やはりしゃれこうべ時分にしつこく聴いたサム・クックのAnother Saturday Nightのドラマーが同一人物とは、あ、お釈迦様でもご存じあるめえ、でありましたな。

なお、この曲は元来、サーフ・チューンとして録音、リリースされたものではなく、オリジナル・タイトルはSpudnikだったのが、サーフ・アルバムに再録の際にSurf Riderと改題されました。

もちろん、ジョー・ミークのTelstarを意識して、同じ人工衛星であるスプートニクをもじったものに違いないので、発音は「スプードニク」でしょう。スパドニクではなんのことかわかりません。ついでにいえば、ヴェンチャーズにはGeminiという曲もあります。Apolloもあったんでしたっけ? Saturnはないと思いますが。

もう未登場アーティストはないなんて書きましたが、探せばあるものです。ミスター・ガサー&・ザ・ウィアードーズ、Little Fink Surfs Again



わたしと同世代以上の人で、プラモデルを好んだ方は、ラヴェル社(だったと思う)のラット・フィンク・シリーズをご記憶でしょう。あの血走ったネズミのキャラクターを借用したアルバムが何枚か出ていますが、そのなかにこういうサーフものが入っているのです。

プロデューサーはジム・エコノミダスとなっていますが、ミスター・ガサー・シリーズは実質的にゲーリー・アシャーのプロジェクトなのでしょう。トレードマークのひどいヴォーカルが聴けます。

まだ未登場の人がいました。アリゾナ州フィーニクスで、リー・ヘイズルウッドに協力して、ドゥエイン・エディーやアストロノウツの録音で活躍し、やがてハリウッドに出てきて、強力スタジオ・ギタリスト陣の一角に食い込んだアルヴィン・ケイシーであります。

アル・ケイシー Surfin' Blues part 1


強烈なリヴァーブをかけたギターというのはずいぶんありましたが、あの時代のアメリカでは、このアルバムのときのアル・ケイシーがもっともすごい音だったような気がします。

タイトル・チューンなど一握りのシングル曲をのぞき、上記のSurfin' Blues part 1以下、アルバム・トラックはすべてハル・ブレインのプレイなのですが、よほど不調だったのか、あまり活躍していません。

もちろん、これがアル・ケイシーのナチュラルなサウンドというわけではないのですが、だいぶたってからの録音でも、やはりリヴァーブはやや深めです。そういう注文がついてしまうのでしょう。

エキゾティック・ギターズ(リード・ギター=アル・ケイシー) I Will Wait for You


企画の趣旨からして、サーフ・ミュージックを録音しているつもりはなかったはずですが、結果としては、サーフに聞こえるところが、このジャンルの本質の一端を指し示しているのかもしれません。

エキゾティック・ギターズ・プロジェクトも、ほとんどがハルなのですが、このトラックについては、だれのプレイとも判断しかねます。でも、ハルと措定して矛盾は感じません。ハルではないとする材料は見あたらないということです。

もう3曲ほどと思っていたのですが、例によってよけいなゴタクを書きすぎたので、いくつかは端折り、ちょっと早すぎますが、夏の終わりの曲をもって、サーフ&ブレイン・シリーズの幕引きとします。

ロビン・ウォード Wonderful Summer


ロビン・ウォードのドットからの唯一のアルバムも、おそらく全曲、すくなくとも大部分はハル・ブレインのプレイです。

以上、サーフ&ブレインはとりあえず完了、次回はノン・ハル・ブレイン・トラックを集めたレスト・オヴ・ザ・サーフ・シリーズをはじめられるかもしれませんし、そうは問屋が卸さず、安直にNow Listeningで行くかもしれません。


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ジャン&ディーン
Complete Liberty Singles
Complete Liberty Singles


ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ファンタスティック・バギーズ
Anywhere the Girls Are the B.O.
Anywhere the Girls Are the B.O.


ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


ジェリー・コール(LP)
Surf Age [12 inch Analog]
Surf Age [12 inch Analog]


ヴェンチャーズ
Walk Don't Run
Walk Don't Run


アル・ケイシー
Surfin Hootenanny
Surfin Hootenanny


エキゾティック・ギターズ
All Time Hits
All Time Hits


ロビン・ウォード(MP3ダウンロード)
The Very Best Of
The Very Best Of
by songsf4s | 2011-07-30 23:58 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 6
 
(7月30日午前9時45分追記 あとからチェックしていて、エラい間違いを発見しました。Jan & DeanのPop Symphony No. 1のなかからハル・ブレインが全編ロールを使っているトラックを選んでサンプルにしたつもりだったのですが、それはDrag Cityなのに、勘違いでSurf Cityをアップしてしまいました。相当数の方がSurf Cityにアクセスされたようで、失礼いたしました。改めてDrag Cityをアップし、リンクを追加しました。)

前回、Wall of HoundのO旦那に、アン=マーグレットのパーソネルを頂戴したことを書きました。以前のアン=マーグレットとハル・ブレインの記事に誤りがあるとのご指摘でした。

クレジットを読んで、記事に修正を加えようと思ったのですが、結局のところ、記事を構成するに足る楽曲はなくなってしまい、修正で対処するのは断念し、あの記事はこのまま冥界に葬ることにしました。Bye Bye Birdieの盤ヴァージョンのサンプルだけ、なにかの記事の付録として、もう一度貼りつけるつもりです。

ということで、O旦那には感謝、お客さん方には陳謝申し上げます。

◆ And sufin' is here to stay ◆◆
そろそろクリップが見つからなくて苦しくなってきましたが、そのあたりはサンプルで補って、本日もサーフ・アンド・ブレインです。

トラックでプレイしたのがほとんど同じ人たちだというばかりでなく、サーフ・ミュージックは上ものも見かけどおりではなく、かなり錯綜しています。

いちばん有名なのは、ジャン&ディーンのSurf Cityでブライアン・ウィルソンがリードをとったことと、そのお返しに、ビーチボーイズのBarbara Annでディーン・トレンスがリードをとったことでしょう。

Surf Cityはこのハル・ブレイン・シリーズですでにかけたので、もう一曲のほうを聴いてみます。小学校六年、本格的にラジオを友として生きるようになったときにヒットしていた曲で、たいした出来じゃないと思いつつ、流れればやっぱりシングアロングしてしまいます。歌うはディーン・トレンス。

ビーチボーイズ Barbara Ann


ハル・ブレインはこのセッションに呼ばれたものの、先約があって、途中で抜けています。この曲ではタンバリンをプレイしているのでしょうが、よくわかりません。ベースはジョー・オズボーンです。

このシリーズでは、ほかに、ブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーが、いくつかリップ・コーズの盤で歌っていることも書きました。すでにThree Window Coupeを取り上げましたが、リップ・コーズのもう一曲のヒットもブルース&テリーが歌っています。

リップ・コーズ Hey Little Cobra


リードはテリー・メルチャーでしょう。しかし、なんともはやという「互換性」で、わかっていても呆れます。ここにジャン&ディーンのヴォーカルが載っていても、なんの違和感もないでしょうしねえ。

よく似ているのはSurf CityやDrag Cityですが、そのへんはすでにかけているので、そういうことにはこだわらず、とにかくジャン&ディーンを。

ジャン&ディーン Dead Man's Curve


ジャン・ベリーが事故で瀕死の重傷を負ったのは、この「死者のカーヴ」ではなかったものの、その近くだったそうです。スティングレイかなにか、スポーツカーをすっ飛ばしていて、停車していたトレイラーの下にもぐりこんでしまったというのだから、よく生きていたものです。ハルはHal Blaine and the Wrecking Crewのなかで、ジャンの事故とその後の療養、リハビリのことをくわしく語っています。

ここまで書いたところで、是非入れなければいけないクリップが残っていたのを思い出しました。畏友オオノさんがアップされた、めずらしいハル・ブレインのライヴ、アーティストはジャン&ディーンです。

ジャン&ディーン Surf Cityほか


ジャン・ベリーはびっこを引いています。テレビ・ドラマの撮影で危うく列車に轢かれそうになり、骨折したということがHal Blaine and the Wrecking Crewに出ていますが、そのときのことでしょう。

オオノさんがお書きになっていますが、ハル・ブレインのほかにも、このライブではトミー・テデスコ(めずらしく口ひげをはやしている)、ドン・ピーク、レイ・ポールマンなどがプレイしています。これはどこのライヴだったか、LAかその近郊だったと思います。そうじゃないと、なかなかこのメンバーでステージには上がれません。ハリウッドのレギュラーはスタジオに幽閉されていたも同然でしたから。

f0147840_0265034.jpg

ハル・ブレインは、ジャン&ディーンとナンシー・シナトラを特別扱いしていました。あまりライヴではプレイしなかった全盛期にも、彼らと彼女の仕事はやったようです。ナンシーはラス・ヴェガスでのショウだから大変だったそうです。週末はハリウッドに帰ってスタジオの仕事をし、ウィークデイにはまたラス・ヴェガスという調子だったそうです。

ナンシーは、金に糸目をつけずにベストのスタッフを集めたといっているので、当然、払いもよかったのでしょう。盤で稼いだ金をすべて注ぎ込んだというのだから、採算度外視だったようで、あとでパパに説教されたといっています。そういうのはビジネスとはいえないね、というわけです。ごもっとも。

f0147840_2350574.jpgもちろんパパは、みずから芸能界の友人たちに電話をかけ、娘がラス・ヴェガスにデビューするんだ、ぜひ行ってやってくれと頼んだそうです。フランク・シナトラの頼みを断れるハリウッド・スターは、あの当時、そうたくさんはいなかったにちがいありません。サンズの客席はものすごく派手なことになったそうです。

このショウをフィルムに収めておけば、あとでVCRやDVDにしておおいに稼げただろうに、惜しいことをしたものです。まあ、NBCで放送されたナンシー・シナトラ・スペシャルはその後パッケージになり、いまでも楽しめますけれどね。これまた豪華ショウです。

閑話休題。ジャン&ディーンは二人しかいないので、ビーチボーイズのような大人数のハーモニーを録音するのは面倒だし、そもそも、二人ともあまりピッチがよくありませんでした。コーラスが得意なはずがないのです。

では、どうしていたのかというと、楽器のほうにもプロがいたように、歌のほうにもスタジオ・シンガーというプロフェッショナルがいました。

しかし、ジャン&ディーンの場合、ある時期はこの二人がハーモニーをやっていたといわれています。フィル・スローン&スティーヴ・バリー、ザ・ファンタスティック・バギーズ、Hot Rod USA



フィリップ・スローンは、まるでジェリー・コールのようなリードギター弾きたがり少年だったので、この曲も間奏は彼のプレイかもしれません。

尻取りはこれくらいにして、そろそろなにかインストをいってみたいと思います。といったはいいけれど、なかなかぴったりのものがなくて、ユーチューブを掘り返してしまいました。

名前はご存知ないでしょうし、このシリーズには何度も登場したパターンですし、始まるまでに手間どって、ちょっと間が抜けていますが、しかし、そうしたあれこれがあっても、やはりプレイの豪快さが魅力、ザ・カタリーナーズ、Banzai Washout



これはめずらしくパーソネルがわかっています。ドラムのハル・ブレインのほかは、ギター陣がビリー・ストレンジとトミー・テデスコの両エースに加えてジェリー・コール、キーボードがリオン・ラッセルとブルース・ジョンストン、ベースがレイ・ポールマン、そしてサックスがスティーヴ・ダグラスです。

ブルース・ジョンストンをのぞけば典型的なレッキング・クルーのサブセットです。一枚だけLPがあるのですが、ヴォーカルは開いた口がふさがらず、顎がだらーんと垂れるほどひどくて、とても聴けたものではありません。下手なだけでなく、味もなく、取り柄ゼロです。

サーフ・インストというと、高血圧タイプが多いのもたしかですが、いっぽうで、選曲するわたしの都合もあります。クレジットなしでわかるハル・ブレインのプレイというと、派手なものに偏ってしまうのです。サイドスティックで軽く2&4を叩いているのでは、ハル・ブレインとアール・パーマーとジム・ゴードンの区別はぜったいにつきません。

つぎの曲はクレジットはないし、かならずしも典型的なハル・ブレインのスタイルではないのですが、バック・カヴァーにハルの写真があるし、じつにあざやかなロールなので、問題ないでしょう。ジャン&ディーン・ウィズ・ザ・ベル・エア・ポップス・オーケストラ、むろん、そんなオーケストラが存在したわけではないけれど、でもとにかく、Surf City

サンプル Jan & Dean with the Bel-Aire Pops Orchestra "Surf City"

(間違ってアップしたトラックもそのまま残しておくことにします。サンプル Jan & Dean with the Bel-Aire Pops Orchestra "Surf City"

タムタムを16分で豪快に叩きまくるハル・ブレインもいいのですが、どこまでも美しいロールもまたたまらなく魅力的です。バーズのセッションで、テイクの合間に、ハルがロールをやるところが記録されていますが、これがまたあざやかなのです。そこらのただ棒を振りまわすだけの芸能人にはぜったいにできません。才能と経験のたまもの。

f0147840_0273028.jpg

つぎは、サーフじゃねーだろー、とブーイングがあるかもしれませんが、サーフ・ミュージックのぎりぎり紫外領域に入り込んでみます。

ウェイン・ニュートン Comin' on Too Strong


サーフ・ミュージックとフィル・スペクター・サウンドの幸せな結婚、というあたりでしょうか。媒酌人はブルース&テリーとハル・ブレイン。ハルはBe My Babyリックを再演しています。

もうひとつ、すこし遅めのムーディーなサーフ・インストをいっていみます。

サンプル Bruce & Terry "Roger's Reef vol. 2"

テンポは高血圧タイプではありませんが、ドラマーの立場からいえば、こういうテンポで、なおかつアレンジの締め付けがゆるいのもまた、叩きまくるにはもってこいだったりします。

しかし、Hal Blaine and the Wrecking Crewのなかで、ハルは、ある時期から、かならず譜面を書くようになった、といっています。こういう曲でもやはり、インプロヴではなく、譜面を書いたのでしょうかねえ。

まあ、サム・クックのAnother Saturday Nightのように、フリー・ウィーリンに聞こえるプレイでも、じつは譜面を固めてあったことがあとでわかったので、いちおう、どんなケースでも譜面を書いたのだとしておきましょう。

これまた、紫外領域に踏み込みますが、わたしは昔から夕暮れの浜辺が見える音だと思っています。鎌倉の由比ヶ浜に住んでいたころ、夕方、よくこの曲をかけました。かのPet Sounds Sessions Boxより。

ビーチボーイズ Let's Go Away for a While


(追記 このクリップは状況を説明しているが、最後のほうに出てくる、スライドギターはバーニー・ケッセルのプレイだと確信している、という部分は、べつの説もあることを書き加えておく。現物が手元にないのだが、たしか、Pet Sounds Sessionsのライナーには、あとで、ビリー・ストレンジがスライドをオーヴァーダブしたと書かれていたと記憶している。わたしの記憶間違いならば、どなたかコメント欄で訂正していただきたい。)

いきなり、ブライアンがホールドして、ハルに、スネアを入れるな、と指示しています。プロデューサーは星の数ほどいますが、ブライアンは非常に鋭敏なドラミング・センスをもっていて、たいていの場合、的確な修正をしていると感じます。

Wouldn't It Be Niceの入口のアレンジが、ハルではなく、ブライアンがドラミングを修正した結果、ああなったのだとPet Sounds Sessionsでわかったときは、すごいアレンジャー/プロデューサーだと思いました。ハルはいたってノーマルな入り方をしたのに、ブライアンが、unusualな入り方をするように指示しているのです。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

今日は長門勇のチャンバラ映画をやっと見終わりました。その続編も見るつもりだったのですが、ふと気が変わって、フランソワ・トリュフォーが見たくなりました。いや、まだ手をつけていませんけれどね。

そろそろなにか映画をやりたいと思って、すこしずつ準備を進めています。しかし、次回は、まだSurf'n'Blaineしていると思います。


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ビーチボーイズ
Party / Stack-O-Tracks
Party / Stack-O-Tracks


リップ・コーズ
Hey Little Cobra & Other Hot Rod Hits / Three
Hey Little Cobra & Other Hot Rod Hits / Three


ジャン&ディーン
Complete Liberty Singles
Complete Liberty Singles


ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ファンタスティック・バギーズ
Anywhere the Girls Are the B.O.
Anywhere the Girls Are the B.O.


ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


ビーチボーイズ
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)


ウェイン・ニュートン
Collector Series
Collector Series
by songsf4s | 2011-07-29 23:30 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 5
 
小松左京没だそうです。以前の記事に書きましたが(このページに一番下のメニューにリンクあり)、わたしは長篇では『こちらニッポン』がいちばん好きでした。『日本沈没』は「騒々しい破滅」でしたが、『こちらニッポン』は「静かな破滅」と再生の物語でした。

短篇はなかなかむずかしいことになりますが、「お糸」というタイトルだったか、明治維新が起こらず、江戸時代がそのままつづいた並行宇宙の話が、妙に強く印象に残っています。司馬遼太郎式維新礼賛はわたしのもっとも忌むところで、アンチ明治維新ものには極度に点が甘いのですが。

大東亜戦争が終わらずに、昭和20年夏以降、ヴェトナム的ゲリラ戦に突入する短篇はなんというタイトルだったか、あれも忘れがたい一篇です。勝海舟の大馬鹿野郎がやった江戸無血開城と、八月十五日が日本を背骨のない国にしたと考えています。

毎度、短い訃報すらちゃんと伝えられないNHKニュースは、今回も間違えました。『日本沈没』を紹介したあと、「その後」といって、細菌によって人類が破滅に瀕する『復活の日』などを書いた、などと、とんでもないチョンボをやらかしたのです。

『復活の日』上梓は1964年、『日本沈没』は1973年です。これくらいのことはどこにだって書いてありますし、小松左京を読んだことのある人なら、この程度の順序は覚えています。

きっと、この原稿を書いた御仁はひどく粗忽で、小説と映画を間違えたのでしょう。『日本沈没』はすぐに映画化されましたが、『復活の日』は、なんでいまごろ、というころになって深作欣二監督で映画になりました。

調べればわかることはきちんと調べましょう。それで金を取るなら、なおさらです。まあ、停波しちゃった世界だから、まもなく業界全体が沈没することになっていて、どうでもいいといえばどうでもいいのですが。

◆ サーフィン・ウィズ・ザ・ドラマーマン ◆◆
てなことを書いていたら、Wall of HoundのO旦那からメールが届き、おまえさん、またチョンボしたぜ、と指摘されました。あたくしが、ハル・ブレインとしたアン=マーグレットの曲の多くはアール・パーマーがクレジットされているのだそうです。

O旦那は、わざわざパーソネルをスキャンしておくってくださったので、明日にでもよく読んで、訂正を書く予定です。それまでのあいだの暫定的な措置として、該当の記事を一時的に非公開にしました。どうかあしからず。間違いを指摘してくださるのはほんとうにありがたいことで、O旦那には改めてお礼を申し上げます。

さて、紅顔鉄面皮、いやさ、厚顔鉄面皮のあたくしも、さすがにチョンボの直後は筮竹にひねって卦を立てるのが怖くなったりします。こうなると、ジュリー・ロンドンだって怪しいわけで、なんたって彼女に関してはアール・パーマーのほうが圧倒的に実績豊富ですし。

さりながら、間違えたからといって推定をやめていたら、ハル・ブレイン研究はできません。十数年やって、まだやめていないということは、ぜんぜん懲りていないということです。精度を上げるには、チョンボを積み重ねる以外に道はないのでありましてな。

さて、今日もハル・ブレイン(またはアール・パーマー!)といっしょにサーフし、ドラッグし、ロッドします。といいつつ、ひょっとしたらアール・パーマーの可能性もあるな、と思い、すでに貼り付けてあったドナ・ローレンのCycle Setを削除してしまいました。今日はいつになく慎重哉。

The Honeysというグループ名は、一見、サーフィンとは関係ないように思えるのですが、サーフ・ターミノロジーでは、girl surferという意味なのだそうです。

マリリン、ダイアン、そしてジンジャー、ザ・ハニーズ、Pray for Surf



わたしはハニーズのファンです。声が好きだということは書きましたが、もうひとつ、きっかけがあります。マリリンがブライアン・ウィルソンとつきあっていたために、彼女らのプロデューサーはブライアンがつとめ、曲の多くも彼が書いています。

ところが、後年、キャピトルが彼女たちのベスト盤を出すとき、マリリンかダイアンかジンジャーか、だれの発案かわかりませんが、ある曲のミックスをやり直すように要請しました。その結果、ブライアンのミックスではよく聞こえなかったハル・ブレインのプレイにスポットライトが当たり、すばらしいドラミングだったことがわかったのです。

ハニーズ The One You Can't Have


フェイドアウトではお得意のstraight sixteenth against shuffle、シャッフル・ビートに逆らう16分のパラディドルが使われていて、フィル・スペクターのトラックを思い出します。

いま、リストを眺めていて、ジャン&ディーンをあまりかけていないことに気づきました。ということで、ジャン&ディーン、デカい波に乗れ!



これ一曲見つけるのに、どれだけクリップを開いたことか。へんなオーヴァーダブをしたものとか、再録音とか、偽物ばかり大量にあって驚きました。いちばんまともなのを選んだつもりですが、これもひどいミックスで、ジャン・ベリーが墓石をぶん投げて、盤を割りに来そうな気がします。

なにかまともなものを、と探したら、またひどいのに山ほどぶつかり、ムッとなりました。これは大丈夫。パサディーナから来た無謀運転バアさん。行け行け婆ちゃん!



いやはや、Go granny, go granny, go granny goには恐れ入ります。無謀運転はやめましょう。今、酔っぱらい運転をしている、バレなきゃゃいいか、というツイートをRTした人のフォローをはずしました。ツイートしたのもさっさと死んだほうがいい馬鹿者ですが、RTする神経もわかりません。フォローをはずされたら気分はよくないだろうから、めったに自分からはしないのですが、こういうのは我慢なりません。

ここらでインストをひとつ。またブルース・ジョンストンのSurfin' 'Round the Worldから。ホント、このアルバムはよく聴きました。

ブルース・ジョンストン Biarritz


ビアリッツはフランスの代表的なサーフ・ポイントなのだそうです。そいつぁ知らなかった。音と関係ないこのクリップの絵は、アン=マーグレットとエルヴィス・プレスリーのようで、ということは『ラス・ヴェガス万歳』からのショットでしょうか。

ハル・ブレインも暴れていますが、それ以上にめだつのは右チャンネルのギター。アヴァランシェーズそっくりのサウンドとプレイなのですが、そこまでわかっていながら、ビリー・ストレンジ親分かトミー・テデスコかの判断ができないところが悔しいのですよ。どなたか札を張りませんか?

このシリーズもいつやめてしまうともかぎらないので、やれるうちにどんどんブルース・ジョンストンのトラックをやっておかないといけないと、ちょっと焦りはじめました。

まだいいトラックがたくさんあるのに、ユーチューブにはほんのわずかしかクリップがないので、今回と次回でサンプルをアップするつもりです。まず一曲。

サンプル Bruce Johnston "Surf-a-Nova"

ここでもまた、さきほどと同じギターの音がしていて、すごく気になります。負けたばかりでスッテンテンなんですが、また丁半博打をやりますかな。

ビリー・ストレンジ、トミー・テデスコ、どちらかであることは間違いないと思うので(まさかグレン・キャンベルの目はないと思うが……)、勝負は五分と五分、あたしはビリー・ストレンジ親分のプレイというほうに賭けます。また大阪方面から異議ありかもしれませんが。

さて本日のトリは、うーん、どうしたものか。これはオープナー向きのサウンドで、ずっと使おうと思いつつ、歌がひどいので、今日まで出すに出せずに来ました。よって、そっとここに滑り込ませることにします。

ドン・ブランドン Doin' the Swim


もう盤を手放してしまったので、クレジットはわかりませんが、ライターはゲーリー・アシャーで、プロデュースも彼かもしれません。ドン・ブランドンは俳優、なのでしょうか、そのへんも忘れました。シンガーとしては実績らしい実績はありません。

次回は未定です。このところ、むやみにお客さんが多くて、なんなのだろうかと、また、いぶかっています。たぶん、クリスマス・ソング特集と同じく、季節要因なのでしょう。そうなると、へそ曲がりの性癖が鎌首をもたげ、チャンバラ映画のことでも書くか、などとあらぬことを考えます。はて、どうなりまするやら。


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ハニーズ(中古)
The Honeys Collection(import)

The Honeys Collection(import)


ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ジャン&ディーン
Complete Liberty Singles
Complete Liberty Singles
by songsf4s | 2011-07-28 23:53 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 4
  
PCを相手にしていると、いろいろなことで時間を空費するもので、今日はほとんど時間がないところにもってきて、オープナーの選択で迷いに迷い、さらに時間を空費してしまいました。下手な考え休むに似たり、目に付いたのからスタート。

チャレンジャーズ Pipeline


ハル・ブレインという人は、いつだって、派手の国から派手をひろめにきたようなところのあるドラマーですが、インストになると、歌の邪魔をしてはいけない、という配慮が消え、思う存分、派手にやるときがあり、そこがじつに楽しいと、毎度思います。

これ、サーフ・ミュージックではないのですが、「スパイ・サーフ」という造語をしたくなるような豪快なプレイなので、気にせずにいっちゃいましょう。リードはビリー・ストレンジ御大と想定しています。

チャレンジャーズ The Man from UNCLE


別に強引に我が田に水を引くつもりはないのですが、子どものころの気分としては、サーフ・ミュージックのすぐとなりに、こういうスパイ・ファイ・ミュージックはありました。もうひとつはマカロニ・ウェスタンです。もちろん、ハル・ブレインはこの三分野すべてで活躍しました。証明したっていいのですが、これ以上脱線がひどくなるのもなんなので、ここから浜辺に引き返します。

だんだんハル・ブレイン特集なのだか、ブルース・ジョンストン特集なのだかわからなくなってきましたが、まあ、どっちをやっても結果は同じでしょう。

ブルース&テリー Look Who's Laughing Now


タムタムが派手に録れていて、ワッハッハです。こういう風に、ふつうならバックビートだけの空の小節にするところに、タムタムのフィルインのようなものをパターンとして組み込むのはハル・ブレインの発明だったとわたしは考えています。

親子がいっしょに仕事をするのはむずかしいもので、たとえば、父親がプロデューサーだったリッキー・ネルソンはいろいろ大変だったようです。でも、なんとか切り抜けたようで、父親のほうも、だんだんリッキーを大人として認めるようになったのかもしれません。

しかし、ブライアン・ウィルソンの父親、マレイ・ウィルソンはかなり困った人だったようです。どのレコーディングのときだったか、ブライアンが爆発して、父親をスタジオから叩き出したという話が伝わっています。

それで黙って引退し、息子の稼ぎで安楽に暮らせば、よくある話で終わったのですが、この人はその後、腹いせにいろいろな悪さをしました。最悪はブライアンの楽曲を売り飛ばしたことですが、もっとずっとささやかな悪事もしました。自分のほうが息子より才能があるのだと証明しようとしたのです。

その親子抗争の結果、マレイ・ウィルソンのプロデュースでデビューしたグループもまた、ビーチボーイズ同様、ハル・ブレインの顧客名簿に記録されました。なにかが分裂するたびに、顧客が増殖していった幸せなドラマーだったのです。

サンレイズ Andrea


選曲が派手なほうに偏重しているのは認めます。でも、なにか派手なプレイを行ってみよう、なんていうと、無尽蔵にそういうのが出てきちゃうのが、ハル・ブレインなのです。

またしても、女性シンガーが少ないのが気になってきたので、一所懸命さがしてしまいました。ミックスは抑えめながら、そんなことはエンジニアにきいてくれと、ハル・ブレインはやっぱり叩くだけは叩きました。プロデュースはジャック・ニーチー、歌うはウェストウッズ、I Miss My Surfer Boy Too



トレイドウィンズのNew York's a Lonley Townの語り手は、家族がNYに引っ越したために、カリフォルニアとサーフィンに別れを告げたのですが、この曲は、カリフォルニアに取り残されたガールフレンドの視点から歌っています。

ウェストウッズなんてグループはご存知ないでしょうが、じつはジャック・ニーチー夫人とブライアン・ウィルソン夫人のデュオ、まるで後年のウィルソン・フィリップスのシニア版、といっちゃ失礼、まだ二人ともこのときは若かったのでした。

さすがはジャック・ニーチー、なかなかすばらしいサウンド・メイキングですし、あたくしはマリリン・ウィルソンの声が好きなので、つづけてもう一曲いっちゃいます。これがまた渋い。

ウェスト・ウッズ Will You Love Me


ジム・ケルトナーが、ハルのボー・ディドリー・ビートはじつにきれいだったといっていましたが、この変形ボー・ディドリー・ビートのイントロ・リックを聴くと、そうそう、俺もそう思う、といいたくなります。

いま、ジャック・ニーチー合切袋フォルダーを見てみましたが、ウェストウッズはこの2曲ですべてのようです。シングル盤を一枚リリースしただけということですね。

いやはや、だれも知らないようなプロジェクトなのに、こんなハイ・レベルのサウンドとパフォーマンスなんだから、やっぱり60年代はアメリカン・ポップ・ミュージックの黄金時代だったとつくづく思います。

いつも、ポップ・ミュージックはヒットしてナンボ、俺はトップ40ヒットという明るい大通りを闊歩する、裏町でゴミ缶をあけてはゴミを拾ってきて、いいだろ、などと見せびらかす、しみったれた真似はしないんだ、と啖呵を切ることにしています。

でも、こういうヒドゥン・ジェムを聴くと、ゴミ漁りに血道を上げる諸兄がいるのも、まあ不思議はないと、いくぶんか譲歩する気になります。60年代というのは、どんな辺鄙な町の暗い裏通りにも、それなりの美人がいる時代でした。

このシリーズをずっとご覧になっている方は納得されるでしょうが、ハル・ブレインは異常なほど大量にサーフ・ミュージックでプレイしています。

どの入口からスタジオの世界に浸透していくかは、人それぞれでしょうが、ハル・ブレインは、サーフ・ミュージックは彼ら若いプレイヤーにとってはチャンスだったのだといっています。

楽器を弾く方ならおわかりのように、サーフ・ミュージックは単純きわまりない構造で、ブルースのように3コードしか必要としないものも数多くありました。ハルは、ヴェテランたちは、こういう仕事をしたがらなかったので、自然、彼らにお呼びがかかるようになり、これを足がかりにスタジオの世界で地歩を築いたというのです。

じっさい、ハル・ブレイン、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル、キャロル・ケイ、レイ・ポールマン、ビリー・ストレンジといったレッキング・クルーの面々は一団となって、ヴェンチャーズからラウターズへ、マーケッツからTボーンズへ、ジャン&ディーンからビーチボーイズへ、ブルース&テリーからファンタスティック・バギーズへと、つぎつぎに衣を着替え、サーフし、ドラッグしていきます。

映画Bikini Beachより、主演アネット・ファニチェロ歌うBikini Beach、that's it, that's right!!!



いいリズム・ギターですなあ。どなたでしょうか。うまい人というのはコードもきれいに弾くものなので、クルーのギター陣はみなリズム・ギターがうまいのですが、わたしはキャロル・ケイさんとトミー・テデスコのストロークがとくに好きです。CKさんは美しく、トミーは豪快かつワイルドにドライヴします。

サーフ・ミュージックが「レッキング・クルーの音楽」になったのには、べつの側面もあります。この音楽形式は、アマチュアの若者がプレイすることで広まっていきました。それは黎明期のトラックを聴けば明白です。

ところが、この音楽が生まれたのがLAだったのが運の尽き。ハリウッド音楽産業は、これは商売になると考えたのですが、アマチュアのプレイは問題外とみなし、盤にするには洗練が必要と、プロで録音することにしました。

むろん、ハリウッドには音楽産業ばかりでなく、映画産業もあるので、これは若者向け、というか、ドライヴイン・シアター向けの映画の題材にもされ、ここでも、盤の制作にたずさわった同じプレイヤーが呼ばれることになりました。

かつて、映画音楽というのは、クラシック出身のプレイヤーがやるもので、60年代になってもまだ、ジャズ系プレイヤーですら少数派でした。まして、ロックンロールができるプレイヤーなど、従来の映画産業にはいなかったのです。

もうひとつハル・ブレインにとって幸運だったのは、50年代後半にほとんどのメイジャーが経営危機に陥り、音楽部門を解体してしまったことです。これは見ようによっては、映画音楽の解放でした。映画スタジオに伝手のない外部の若いプレイヤーが、映画音楽でプレイできるようになったのです。

かくして、ハル・ブレインをはじめとする若いプレイヤーたちは、サーフ・ミュージックを梃子にして、音楽産業と映画産業の狭き扉をこじ開けたのでした。

最後の曲もアネット・ファニチェロ、ハルはちょっとミスッたCalifornia Sun



次回は未定ですが、もう一回、サーフィン・ウィズ・ハル・ブレインをやるかもしれません。


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ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


チャレンジャーズ
Best Of: Killer Surf
Best Of: Killer Surf


サンレイズ(MP3ダウンロード)
Andrea
Andrea


アネット(中古)
アネットのビーチ・パーティ
アネットのビーチ・パーティ
by songsf4s | 2011-07-27 23:39 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 3
 
このハル・ブレイン・サーフ・ミュージック特集は、ハル・ブレイン・ディスコグラフィー読解のスピン・オフとしてやっているのでして、考えてみると、いままでハル・ブレイン自身の名義による盤が登場しなかったのは手落ちでした。

ハル・ブレイン&ザ・ヤング・クーガーズ(ってそんなバンドが存在したわけではないが) (Dance With The) Surfin'Band


このヤング・クーガーズなるバンドの内訳は、

Glen Campbell, Billy Strange, Tommy Tedesco, Carol Kaye, Howard Roberts (guitar)
Steve Kreisman (saxophone)
Russell Bridges (Leon) (piano, organ)
James "Jimmy" Bond (bass)
Frank Capp (drums, percussion).

豪華ギター陣なのですが、あまり活躍しません。スティーヴ・クライスマンとはたしかスティーヴ・ダグラスの本名。ラッセル・ブリッジズはもちろんリオン・ラッセルです。AFMのコントラクト・シートは本名記載なので、あとからパーソネルを調べると、こうなったりします。

フランク・キャップがドラムとパーカッションとなっているということは、ハル・ブレインのかわりに叩いたのか、なんておかしなことになりますが、たぶん、ダブル・ドラムのトラックがあるからでしょう。グレン・キャンベルのギター・インストで、ビリー・ストレンジ御大が6弦リード、グレンは12弦を弾いたなんて例がありましたが、そのたぐいと思われます。

わからないのはジミー・ボンドしかベースがいないことです。ボンドはアップライトのみで、フェンダーは弾かないと思うのですが。そのへんはCKさんがハンドルしたということでしょうか。

この特集のために、曲をリストアップしていて、妙にブルース・ジョンストンが聴きたくなりました。それで、ブルース・ジョンストン偏重の選曲になっているのです。

ブルース&テリー Here Comes Summer


といってもこの曲のリードはテリー・メルチャーのほうでした! 指が痛くなりそうですが、ピアノの三連とスレイ・ベルが重合したサウンドがすばらしく効果的です。

作者ジェリー・ケラーによるオリジナル・ヴァージョンはシンプルで軽いサウンドですが、フィル・スペクター革命を通り抜けたあとのハリウッドでは、ブルース&テリーのアレンジ、サウンドでないと通用しなかったでしょう。

ハル・ブレインは関係ないのですが、いちおう念のために、これだってなかなか楽しい、ジェリー・ケラーのオリジナルHere Comes Summer



これはこれでなかなか長閑でけっこうなのですが、やっぱりわたしが聴きはじめる以前のサウンドなので、古いものを楽しもう、という構えが必要になります。

こんどはブルース・ジョンストンのSurfin' 'Round the Worldから、インストを。

ブルース・ジョンストン Maksha Midnihgt


ギターになにをしたのか、妙な音になっていて、気になります。気になるといえば、左チャンネルの金属的なパーカッションはなんなのでしょうか。ブライアン・ウィルソンが使った自転車のベルに似ています。

さらにブルース&テリーがらみの曲をいきます。

リップ・コーズ Three Window Coupe


リップ・コーズというグループはいちおう実在し、ブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーのコンビがプロデュースしていたようです。

ハリウッドではめずらしいことではないのですが、なにかの曲ができあがると、後先考えず、スタジオを押さえ、プレイヤーを集めて、さっさと録音してしまいます。しかるのちに、このテープをどうしようか、と考えるわけですな。

このThree Window Coupeの場合は、ブルース&テリーのつもりで録音したのだけれど、なにかの都合で、たとえば、彼らがプロデュースしているリップ・コーズにヒット曲がほしい、こいつは仕上がりがいいから、リップ・コーズにしちゃえ、てなことで、ブルース&テリーがリップ・コーズになってしまったようです。いや、そのへんも微妙で、リップ・コーズははじめからツアー専用であり、スタジオに入れるつもりなんかなかったのかもしれませんが。

同じく、録音が終わってから、あと知恵で誕生したグループのトラックを。

ホンデルズ Hot Rod High


ハル・ブレインが叩いたサーフ&ドラッグ・チューン、というと、ゲーリー・アシャーを思い浮かべる人もいるでしょうが、わたしはアシャーのような粗製濫造業界ゴロにはあまり興味がないので、やっと彼のプロジェクトの初登場と相成りました。

ものを知らない評論家が、アシャーをむやみにもちあげた文章を書いたからって、そんなチョボイチにころっと騙されるようでは情けないでしょう>お子さま諸君。自分の耳でお聴きなさいな。

アシャーのような半チク野郎とちがって、仕事のフォームができていたプロフェッショナル、正しくコマーシャリズムに徹し、きっちり商売になる盤をつくったのがジョー・サラシーノ。サーフ・ミュージックの大貢献者のひとりです。

そもそも、サラシーノがSurfer's Stompという曲を書き、これで一儲けしようと考えたところから、本格的なサーフ・ミュージック・ブームへの道が開けたといっていいほどです。

その、史上初めてビルボードにチャートインしたサーフ・チューン、Surfer's Stompのドラマーはエドワード・“シャーキー”・ホールでした。

サーフのつぎは当然ながら車もの、という安易なセカンド・アルバム、The Marketts Take to Wheelsではハル・ブレインがストゥールに坐ります。そのセカンドのオープナー、と思ったのですが、当たり前の曲しかクリップがないため、これはサンプルで。

サンプル The Marketts "Woody Wagon"

Woody Wagonとはもちろん、ボディーに木を使ったステーション・ワゴンで、サーフボードを乗せるためのものです。湘南の路地裏じゃないんだから、自転車にボードを乗せるなんて話は聞いたことがありません。

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なお、この曲はAdd More Musicの「レア・インスト」ページで頂戴してきたものです。ギター・インストのお好きな方は、あちらに行かれてアルバム丸ごとお聴きになるとよろしいでしょう。

最近、マイケル・ゴードンが、マーケッツとラウターズは俺のバンドだ、みたいなことをいっていて、困ったものです。ラウターズはゴードンが関与して誕生したものかもしれませんが、スタジオにおける音楽的貢献はごく微少でしょう。スタジオでラウターズの音楽を作ったのは、ジョー・サラシーノであり、ハル・ブレインやトミー・テデスコといった面々でした。

ひょっとしたら、マイケル・ゴードンはいまでもマーケッツないしはラウターズの名前でツアーをしているのかもしれません。名前の権利がクリアされているなら、その点についてはご自由に、ですが、いくつかの曲をアレンジした程度のことで、音楽そのものをつくったような顔をされてはかないません。

ざっと見渡して、女性シンガーがほとんど登場していないのが気になります。フランキー・アヴァロンの相方としてアネット・ファニチェロを登場させただけです。しからば、つぎはドナ・ローレンかなと思ったのですが、適当なクリップがないので、毎度おなじみながら、ハニーズにしました。

ハニーズ Shoot the Curl
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ギターの入りが遅れているところがあって、おいおい、です。しかも、ビリー・ストレンジ御大に聞こえます。まあ、こういうことというのはプロデューサーの責任なのですが。責任者はブライアン・ウィルソンでした!

Shoot the Curlというのはサーフ用語で、curlというのは波の先端が丸くパイプ状になったところ、それをshootするとは、すなわち、あのトンネルをくぐり抜けることです。

theではなくthatになっていますが、ほとんど同じようなタイトルの曲があったので、聴いてみたら、これまたハル・ブレインでした。こっちもいってみましょう。

キャシー・ヤング&クリス・モンテイズ Shoot that Curl


どうも聴いたような覚えがあるので検索したら、Cowabunga the Surf Boxに収録されていたようです。もうこの箱はもっていないのですが、ライナーにはパーソネルが書いてあったはずです。ハルだなんて書いてあったかどうか記憶なし。

のちにA&Mと契約して、オカマ声でふにゃふにゃバラッドを(やっぱりハル・ブレインのドラミングで)歌うハメになるクリス・モンテイズも、初期はけっこうロックンロールしていて(チカーノ・ロックのオリジネイターのひとりだった)、これはそのころのものでしょう。

まだまだストックがあるので、さらに次回もサーフィン・ウィズ・ハル・ブレインを続ける予定です。いやまったく、よくもこれほどたくさんサーフ・ミュージックを録音したものです。なぜそうなったか、といったハル・ブレインの説明などは次回に。


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ハル・ブレイン
デュース,“ティーズ”,ロードスターズ&ドラムス(紙ジャケット仕様)
デュース,“ティーズ”,ロードスターズ&ドラムス(紙ジャケット仕様)


ジェリー・ケラー(MP3)
Here Comes Summer - The Best Of Jerry Keller
Here Comes Summer - The Best Of Jerry Keller


ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


リップ・コーズ
Hey Little Cobra & Other Hot Rod Hits / Three
Hey Little Cobra & Other Hot Rod Hits / Three


ホンデルズ
Go Little Honda
Go Little Honda


マーケッツ
Outer Space Hot Rods & Superheroes
Outer Space Hot Rods & Superheroes


ハニーズ(MP3)
Shoot The Curl
Shoot The Curl


クリス・モンテイズ
Let's Dance - Monogram Sides
Let's Dance - Monogram Sides
by songsf4s | 2011-07-26 23:03 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 2
 
本日も引きつづき、ハル・ブレインがプレイしたサーフ&ドラッグ・チューンないしはビーチ&ビキニ・チューンです。

まずは、わたしが知るかぎり、唯一ソングライター・クレジットにハル・ブレインの名前がある曲を。ハル・ブレイン、ブルース・ジョンストン共作、アルバム、Surfin' Around the Worldより、ブルース・ジョンストン、Down Under



「下のほう」とは、地図の南のほうのことで、つまりオーストラリアでサーフィンしようという歌です。

キンクスのAustraliaという曲に、We'll surf like they do in the USA, we'll fly down to Sydney for a holiday, on a sunny Christmas day in Australiaというラインがありましたが(いやっていうほどシングアロングしたので、たぶん死ぬまで忘れない)、ブルース・ジョンストンはそれよりもずっと以前に、南半球でのサーフィンを歌っていたことになります。

ハル・ブレインはHal Blaine & the Wrecking Crewのなかでブルース・ジョンストンにふれ、ビーチボーイズの仕事をする以前、すでにブルースとはいっしょにやったことがあった、才能あるキーボード・プレイヤーだった、といっています。

ハル・ブレインがビーチボーイズの仕事をしたのはいつか、という問題があるのですが、これが微妙なんです。多数派は1963年1月録音のSurfin' USAから、という立場だろうと思います。



しかし、これはディテールを忘れてしまったのですが、もう少し以前の曲からすでにプレイしているとしているソースもありました。そういうことをきっちり検討しはじめると、また話が面倒になるので、今日のところは切り上げます。

Surfin' USAについてはいくつかのパーソネルを見ましたが、たとえばライノのCowabunga the Surf Boxの記載は納得がいきません。そうしたデータにもとづくわたしの推定は、ドラムズ=ハル・ブレイン、ベース=レイ・ポールマン、ギター=ビリー・ストレンジおよびキャロル・ケイです。これが初期ビーチボーイズの基本パーソネルでしょう。つまり、実体はヴェンチャーズ!

つぎはちょいとナックルボール、というほどひねくれていませんが、アヴァランシェーズ、Ski Surfin'



この曲については、以前、Ski Surfin' by Avalanchesなる記事に詳細に書いたので、ここではごく簡単に。

ギターはビリー・ストレンジとトミー・テデスコという両エース、この曲ではヴァースを弾いているのがビリー・ザ・ボス、あとから登場し、豪快なピッキングを見せるのがトミー・テデスコと推定しています。

キーボードはグレン・キャンベルをスターにしたキャピトル・レコードのインハウス・プロデューサー、アル・ディローリー、ベースがのちにブレッドで有名になるデイヴィッド・ゲイツ、ペダル・スティールがウェイン・バーディックです。

あたくしは子どものころからのギター・インスト・ファンですが、この曲をタイトルとしたアヴァランシェーズの唯一のアルバムは、星の数ほどあるギター・インストのベスト3には間違いなく入れます。トップといっちゃったってかまわないのですが。

ハル・ブレインが録音した四万曲のうち、いくつあるでしょうか。ほんの一握りであることは間違いないでしょう。ハル・ブレインのドラム・ソロのあるギター・インスト、Tボーンズ、White Water Wipe Out



Tボーンズは、よそのレーベルが、マーケッツとかラウターズといった、テキトーにでっちあげた架空のインスト・バンドで儲けているのを黙って見ている手はないと、リバティーがつくった自前の架空バンドです。実質的によそのバンドと同じバンドなのに、なぜかヒットが出ませんでした。

結局、マーケッツやラウターズの生みの親であり、それまではロサンジェルス特有の音楽だったサーフ・ミュージックを、最初にナショナル・チャートに送り込んだ(Surfer's Stomp)ジョー・サラシーノを招いて、やっとのことでNo Matter What Shape (Your Stomack's in)という大ヒットが生まれます。

ヒットかミスかの岐れめはどこにあるかわかったものではありませんが、このBoss Drag at the Beachというアルバムに収録された曲と、のちのヒット作をくらべると、ギター・インストはギターが活躍しすぎると失敗する、というパラドキシカルな原則を思いつきます。

結局、ギター・インストというのは、派手なギター・プレイを聴かせるものではなく、トータルなサウンドを聴かせるものなのだろうと思います。

といっても、わたしは派手なギターが好きなので、ヒットしようとしまいと、ギターが豪快にすっ飛ばすギター・インストは、おおいにけっこうだと思います。ということで、成功しなかったTボーンズの曲をもうひとつ。

Tボーンズ Haulin' Henry


途中から左チャンネルに入ってくるギターはだれでしょうか。こういうタイプの強引なプレイは、よくグレン・キャンベルがやっていましたが、この曲のギターはグレンよりピッキングが荒っぽいと感じます。ひょっとしてジェリー・コール?

前回も今回も、全力疾走の曲が多いので、ここらですこし遅めの曲を。ブルース&テリー、Don't Run Away



ヴァースはブルース・ジョンストン、ブリッジはテリー・メルチャーのヴォーカル。こういう曲でも手加減なしで、がんがんフィルインを投入してくるのがハル・ブレインらしいところです。

ブルース・ジョンストンも多くの場合、ハル・ブレインですが、テリー・メルチャーは、ハルの信奉者といっていいほどだったようです。CBSのプロデューサーとしてバーズをデビューさせたときは、もちろんハル・ブレインがストゥールに坐っていました。

そこまでは当然として、ずっと後年、Easy Riderのころだったか、またロジャー・マギンに、つぎのアルバムではハルを呼ぼう、といったそうです。まあ、半分は、例によって「ヒットのお守り」みたいな験かつぎだったのでしょうが。

つづいて、ハル・ブレインをキングに押し上げたフィル・スペクターのシングルで、アレンジャーをつとめたジャック・ニーチーが、レコーディング・アーティストとしてヒットさせた、めずらしいオーケストラ・サーフ・インスト、The Lonely Surfer



最初にリードをとるのはダノですが、プレイヤーはたしかビル・ピットマン、6thを入れつつのリズム・ギターはトミー・テデスコだったと思います。さすがはジャック・ニーチー、サーフ・ミュージックの歴史のなかでも、とりわけ異色あるヒット・シングルを残しました。フレンチ・ホルンが効果的。

つぎはふたたびブルース&テリーがらみで、彼らがすべてお膳立てをし、パット・ブーンのヴォーカルだけをのせたバラッド。

パット・ブーン Beach Girl


どういう企画だったのかと思いますが、まあ、時代からズレにズレてしまったパット・ブーンをなんとかすることはできないか、という話だったのでしょう。

さすがに、ブルース&テリーのつくったトラックおよび彼らのバックグラウンド・ヴォーカルと衝突するような愚かなことはしていませんが、やはりアーティスト・イメージというのはいかんともしがたいと感じます。あの姿でサーフ・バラッドはないでしょう。

ビーチボーイズ・ファンはお気づきでしょうが、この曲がベースにしたのはおそらくブライアン・ウィルソンのあの曲。もちろん、ハル・ブレインがストゥールに坐りました。

ビーチボーイズ Don't Worry Baby


どちらも間奏がギター・カッティングだけというのがすごいものです。まあ、これでも用は足りてしまうのですが。

リストアップした曲はまだ相当数残っているので、あと一、二回はこのシリーズをつづけようと思っています。


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ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
Surfin' 'round the World!


ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


アヴァランシェーズ
Ski Surfin
Ski Surfin


ビーチボーイズ
Surfin Safari / Surfin Usa
Surfin' Safari / Surfin' USA


ビーチボーイズ
Surfer Girl / Shut Down 2
Surfer Girl / Shut Down 2


ジャック・ニーチー
Jack Nitzsche Story: Hearing Is Believing
Jack Nitzsche Story: Hearing Is Believing


パット・ブーン
Singles
Singles
by songsf4s | 2011-07-25 23:55 | ドラマー特集
Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 1
 
どうしてこう、なにをやっても肩が凝るのかと、思案投げ首です。ハル・ブレインをやると、ハリウッド音楽史のようなことになり、妙に構えてしまいます。

すこし構えずに、クレジットがなくて、こちらの当て推量でしかない場合でも、慎重にならず、これだけハル・ブレインの聴いてきたのだから、そうそう大間違いはするはずがない、ハルだなと思ったら、それはハルなのだ、といった調子の大たばな気分で、じゃんじゃんトラックを並べるというのを、しばらくやってみます。

なんの枠組みもないと面白くないので、夏でもあるし、ハルが叩いたサーフ・チューン、という縛りで並べます。むろん、サーフ、ドラッグ、それからビーチ、ビキニ、といったあれこれをひっくるめての「サーフ・ミュージック」です。

ゴタクが長くなる前に一曲、フィル・スローン&スティーヴ・バリー作、歌うはブルース・ジョンストン&テリー・メルチャー、夏はいつもお楽しみ!

ブルース&テリー Summer Means Fun


わが家には、この曲は、ジャン&ディーン、ブルース&テリー、ファンタスティック・バギーズという3ヴァージョンがあるのですが、どれでもOK、全部ハル・ブレインです。

当家を発足したころ、すなわち2007年夏に、この曲については歌詞をはじめ、事細かに検討しています。

Summer Means Fun その1 (by the Fantastic Baggys)
Summer Means Fun その2 (by Bruce & Terry)
Summer Means Fun その3 (by Jan & Dean)

つづいて、そのファンタスティック・バギーズ、夏だ、野球なんかやってられっか、チームの連中には、俺は板もってマリブにいったといっといてくれや、Tell'em I'm Surfin'



すばらしい。ストップ・タイムからの戻りの一打を、ほんのミリ・セカンド、微妙に、微妙に遅らせるところで、これがハルだ! と思います。このタイミングが体に染みこむと、ハル・ブレインが聞こえるようになるわけです。

この曲も、Summer Means Funと同じころに歌詞の詳細などを検討しています。

Tell'em I'm Surfin' by the Fantastic Baggys

つづいて、サーファー国の国歌、起立しなくてもいいけど、乞う斉唱。ブライアン・ウィルソン、ジャン・ベリー共作、歌うはジャン・ベリー&ディーン・トレンス、それにブライアンも参加です。やってきましたサーフ・シティー、車はボロでも心は錦、男一人に女が二人、たまらんぜ!



このクリップ、音が悪くて、ハル・ブレインとアール・パーマーのユニゾン・プレイなんていうのはぜんぜん聞き取れませんが、わたしら60年代の子どもが夢見たエル・ドラド、シャングリラ、パラダイスがみごとにフィルムに定着されています。60年代の日本から見れば、非現実の国の夢の世界の出来事でした。

こんどはまともな音で、ハル・ブレインとアール・パーマーのドラム・デュオを。ジャン&ディーン、Drag City



そろそろなにかインストをいきたいところです。ヴェンチャーズでしょうかね。ご心配なく、確実にハル・ブレインが叩いたものを選びます。

ヴェンチャーズ Wipe Out


さらにインスト。オリジネイター・オヴ・ザ・サーフ・ミュージック、ディック・デイル、The King of the Surf Guitar



もうひとつインスト。チャレンジャーズ、K-39


ハル・ブレインはビーチ・ムーヴィーのサントラもけっこうやっています。ウィリアム・エイシャー監督、レス・バクスター音楽監督、1965年AIP製作、歌うは主演のフランキー・アヴァロンとアネット・ファニチェロ、Beach Blancket Bingo



プロデューサーのジェイムズ・ニコルソンというのは、ジャック・ニコルソンのことかと思って調べてしまいました。別人でした。ニコルソンは若いころ、AIPの仕事もしていたはずです。

ビーチボーイズ抜きというのもなんなので、ちょっとお義理ではありますが、最後にひとつ。波を掴め。

ビーチボーイズ Catch a Wave


いやはや、ハル・ブレインという人はアメリカ音楽史そのものなのですが、そのサブカテゴリーである、サーフ・ミュージックの歴史もやはり体現しているのでありました。

本日はここまで。しかし波路は果てしなく、この日のためにリストアップした曲がまだまだ続々と登場します。Stay tune!!!


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ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
The Best Of Bruce & Terry


ファンタスティック・バギーズ
Anywhere the Girls Are the B.O.
Anywhere the Girls Are the B.O.


ジャン&ディーン
Complete Liberty Singles
Complete Liberty Singles


ヴェンチャーズ
ベンチャーズ大全集BOX
ベンチャーズ大全集BOX


ディック・デイル
Dick Dale & His Deltones - Greatest Hits 1961-1976
Dick Dale & His Deltones - Greatest Hits 1961-1976


チャレンジャーズ
Best Of: Killer Surf
Best Of: Killer Surf


ビーチボーイズ
Surfer Girl / Shut Down 2
Surfer Girl / Shut Down 2
by songsf4s | 2011-07-24 12:26 | ドラマー特集