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ジェリー・ラゴヴォイ・ストーリー Pata PataとTry (Just a Little Bit Harder)(ミリアム・マケバ、ジャニス・ジョプリン、ロレイン・エリソン)
 
以前から、成瀬巳喜男監督『めし』は検索キーワードの上位にくることがよくあったのですが、今月は奇態な現象が起き、目をむいています。

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なにがどうしてこうなったのか、さっぱりわかりませんが、成瀬巳喜男の盛名日々高まるなのね、と解釈しておきます。どなたにでもお勧めできるタイプの映画を撮った人ではありませんが、やるだけのことはきちんとやっているので、いつまでも価値の減じないものが多い、ということはいってよいでしょう。

◆ Pata Pata ◆◆
さて、思ったより長引いてしまったジェリー・ラゴヴォイ・ストーリー、本日は比較的人口に膾炙したものを二種聴きます。まずは南アフリカの女王、なんていうとジョン・ヒューストンの映画か、はたまた、ライダー・ハガードのアラン・クォーターメイン・シリーズみたいですが!

Miriam Makeba - Pata Pata


ソングライター・クレジットは、ジェリー・ラゴヴォイとミリアム・マケバの二人になっています。もともとの曲はミリアム・マケバが書き、それをアメリカ市場向けにジェリー・ラゴヴォイが手直しした、なんてあたりの可能性もありますし、そもそも、原曲はDorothy Masukaという人が書いたのだとしているソースもあります。

シンプルなのに、不思議に飽きが来ないのは、やはりグッド・グルーヴのおかげでしょう。タイムはすこし早めですが、このドラムは、チューニング、サウンドまで含めておおいに好みです。

かなりの数を聴いてみたのですが、あまりいいカヴァーはないので、ミリアム・マケバ自身のライヴを。

Miriam Makeba - Pata Pata (live)


ふーむ、やはり音楽は聴いてみないとわからないものだなあ、と感じ入りました。バンドのタイムは早くて、うわあ、どうしよう、というグルーヴなのですが、ミリアム・マケバのタイムというのは独特で、この状態でもソリッドに聞こえます。「頑丈な」と表現したくなるグルーヴ。

こういうのは好みが分かれるので、善し悪しはいいませんが、ここにもいる、あそこにもいる、というタイプのシンガーではないことだけははっきりしています。

気になるので、もうひとつ、ミリアム・マケバのライヴ。

Miriam Makeba - Pata Pata (live)


こちらはバンドもソリッドで安心して聴けます。安定したタイムで聴いていて思うのは、ひょっとして、この人は裏拍を裏拍とは感じていないのか、ということです。裏拍のほうが、われわれにとっての表拍のようなものだから、裏を強調した、シンコペート感覚の強い歌い方をしても、どっしりとしたグルーヴになるのかもしれません。

すこし他人のヴァージョンも。ディスコなので、お嫌いな方はご注意。

Osibisa - (I Feel) Pata Pata


もうひとついきます。ルクレチア(ボルジア家か!)というのはキューバのシンガーのようです。あたくしはそちら方面はいたって不調法で、よく知りませんが、どちらかというと、オシビサより好みに合います。2007年のアルバムに収録されたもののようです。

Lucrecia - Pata Pata


二度、移調をするのが効果的です。これより音質のいいクリップがあったのですが、こちらを貼りつけたのは、山下公園で猫が魚を釣る合成写真がでてくるからにすぎません! 猫より女性のほうがいいという方は、ユーチューブで検索すれば、そちらを発見できるでしょう。

◆ Try (Just a Little Bit Harder) ◆◆
もう一曲、こちらは簡単に。まずは有名なカヴァーのほうから。わたしもこちらから入りました。

Janis Joplin - Try (Just a Little Bit Harder)


ジャニス・ジョプリンのバンドはみな苦手なのですが、この曲のプレイは容認できる範囲内です。いや、すぐれている、とはいいませんけれどね。もうすこしうしろに重心をおいてくれると助かるのですがねえ。

ヴォーカルのことは好みの問題と棚上げしていうなら、オリジナルのロレイン・エリソン盤のサウンドのほうが楽しめるのではないでしょうか。

サンプル Lorraine Ellison "Try (Just a Little Bit Harder)"

スネアのチューニング、サウンドはあまり好みではありませんが、グルーヴはけっこう。グッド・フィーリンがあります。

次回、このロレイン・エリソンのヒット曲をフィーチャーして、引っぱりすぎたジェリー・ラゴヴォイ・シリーズを終える予定です。


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ジェリー・ラゴヴォイ
Jerry Ragovoy Story: Time Is on My Side
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ミリアム・マケバ
In Concert/Pata Pata/Makeba
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オシビサ
The Very Best of
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ジャニス・ジョプリン
Pearl (Exp)
Pearl (Exp)


チップ・テイラー・ソングブック(ロレイン・エリソンのTryを収録)
Wild Thing: The Songs of Chip Taylor
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by songsf4s | 2012-02-07 00:06 | ソング・ブック
ジェリー・ラゴヴォイ・ストーリー I Can't Wait Until I See My Baby's Face篇(パット・トーマス、アリサ・フランクリン他)
 
前回の最後で、ジェリー・ラゴヴォイ・ソングブックはつぎぐらいで完了の予定と書きましたが、やっぱり「ぐらい」でした。簡単に書けそうに思えた曲が、とりかかってみたら、あまり簡単ではなく、もう二回ぐらいは引っ張ることになりそうです。

前回はジェリー・ラゴヴォイとバート・バーンズの共作でしたが、今回はラゴヴォイとチップ・テイラーの共作です。こういうのをやると、こんどはチップ・テイラーのソングブックをやるときにまた困りそうですが、それはそのときのこと、にしておきます。

本日はI Can't Wait Until I See My Baby's Face、いまジョエル・ウィットバーンのチャート・ブックが行方不明で確認できませんが、たぶん、チャート・アクションはゼロだと思います。

しかし、ちょっとした曲ですし、それはカヴァーの多さも裏づけています。わが家にはオリジナルのベイビー・ワシントンのほかに、アリサ・フランクリン×2種類、パット・トーマス、ダスティー・スプリングフィールドのカヴァーがありますが、ユーチューブを検索すると、さらに数種類が聴けます。

まずはオリジナルのベイビー・ワシントン盤から。

Baby Washington - I Can't Wait Until I See My Baby's Face


お聴きになればわかるように、長いあいだ会えなかった恋人に会えるのが楽しみで待ちきれない、という暢気な歌ではなく、遊びまわっている彼氏に、今度こそはもうこれでおしまいだ、といってやるつもりだ、そのとき、あいつがどんな顔をするか、楽しみで仕方ない、という、ちょっと意地の悪い歌です。いや、遊びまわっている男のほうに非はあると認めたうえでいっているのですが!

すくなくとも前半はそういうニュアンスなので、ベイビー・ワシントンのちょっと辛味の強い歌い方だと、過度に意地悪げに聞こえるという難点があると思います。サウンドもちょっとデコボコがあって、それもマイナスに働いています。

そういうことを踏まえて、パトリシア・トーマスのカヴァーをお聴きあれ。アレンジはジェリー・ラゴヴォイ自身なので、サウンドにもご注意を。

Pat Thomas - I Can't Wait Until I See My Babys Face


サイドスティック、アップライト・ベース、ピアノ、カッティング・ギターというベーシックからして、主としてドラムのタイムのよさのおかげで、イントロを聴いただけで、これなら大丈夫、腹の立たないヴァージョンだ、と判断できます。

ピアノもいいバッキングですし、トロンボーンの使い方もけっこうなのですが、このヴァージョンの最大の美点はストリングス・ラインです。何度か、おお、そっちへいくのか、いいなあ、と手を叩きました。

やはり、自分の曲だから、コード・チェンジの妙をよくわかっていて、それをストリングスで強調できる方向に譜面を書いたのだろうと思います。とくに、Or will he turn aroundの尻尾を伸ばすところのストリングス・ラインは好みです。

つづいてアリサ・フランクリン・ヴァージョン。アリサはこの曲をすくなくとも二度録音していますが、これはおそらく最初のヴァージョン、まだアトランティックに移籍する前、コロンビア(だったか?)時代のものです。

Aretha Franklin - I Can't Wait Until I See My Baby's Face


アリサ・フランクリンも、これくらいの感じで軽く歌ったほうが声のよさが生きると思うのですがねえ。アトランティックでの再録音では、ちょっと歌の上手さが前に出過ぎて、煩く感じます。

歌よりサウンドを聴く人間だから、そう思うのでしょうが、ドラムと違って、歌なんてのは、うまくなくてかまわないのであって、上手い人も、上手さを強調しないでくれると楽しめるのですが。

この曲のドラムは、下手だというのではなく、重いサウンドで雰囲気を毀していて、あまりいただけないバッキングの主犯といえるでしょう。

後半、はっきりわからないのですが、たぶんトロンボーンとアルト・サックスのコンビネーションによるホーン・ラインが登場して、雰囲気がよくなります。これがこのヴァージョンの美点でしょう。

つづいて、ヴェルヴェレッツ、といっても、どういうグループが知らないのですが。

The Velvelettes - I Can't Wait Until See My Baby's Face


だれの責任か、タイムがむやみに不安定で、イントロからヴァースに入った瞬間に、いきなり一段ギアがあがったりして、思わず頬がゆるみます。ここまでタイムがヨタヨタすると、学園祭で友だちのバンドのプレイを聴くような楽しさが生まれるところが、音楽の奇怪さ。ドラムも、タイムはひどいものですが、やりたいことはよくわかります。もっと重心をうしろにして、一呼吸おいてくれると助かるのですがね!

つぎは急がないディー・ディー・ウォーウィックのヴァージョンを。

Dee Dee Warwick - I Can't Wait Until I See My Baby's Face


ほかのヴァージョンはミディアム・アップで軽めにやっているのですが、ディー・ディー・ウォーウィックはミディアム・スロウで、ムーディーにやっています。早めだとバート・バカラック風に聞こえる曲ですが、このディー・ディーのヴァージョンだけは、そういうムードがありません。おかしなものです。ドラムはあまり好みではありませんが、オルガンはよろしいのではないでしょうか。

つづいて、ソーンジー・クレイという、これまたはじめて知ったシンガーのものを。ちょっと70年代スケベ・ソウルを先取りしたようなムードと、ギターがなかなかけっこうです。

Sonji Clay - I Can't Wait Until I See My Baby's Face


で、この人はなんなのと思って調べたら、クレイという姓にヒントがありました。ムハメッド・アリが、まだカシアス・クレイという本名だった時代に結婚した相手なのだそうです。クレイがイスラムに傾いたのが気に入らなくてすぐに離婚してしまったようですが、たぶん、その経歴のおかげでシングルをいくつかリリースできたのだと思われます。

そろそろ満腹でしょうから、これを最後にします。またまた、ぜんぜん知らないグループ、モンティセーローズ。

The Monticellos - I Can't Wait Until See My Baby's Face


この歌詞が男が歌うのに向いているとは感じませんが、ヴォーカルをまわすのは悪くない考えだと思います。モータウンの音で、テンプスがまわす、なんていうのだったら、すごくいいものになったかもしれない、という空しい想像をしてしまうところに難ありですが!

ダスティー・スプリングフィールドのクリップは見あたりませんでした。ぜひ聴きたいというほどのものでもないので、サンプルにはしません。

パット・トーマス・ヴァージョンが群を抜くすばらしさで、サウンドも歌も申し分なし。「もうこれでおしまいだからね、といってやったら、あいつ、どんな顔するか、ホント楽しみだわ」という強面スタートが、「でも、彼が涙を見せれば走っていって抱きしめちゃうだろうな」という腰砕けエンディングに落ちつくという構造の歌詞にも、彼女の声とスタイルがふさわしいと感じます。

コード・チェンジが興味深い曲なのですが、その点からいうと、アリサ・フランクリン・ヴァージョンが上出来でしょう。あとは、ヴァリエーションのお楽しみ、上々ヴァージョンの引き立て役というところでしょうか。


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ジェリー・ラゴヴォイ
Jerry Ragovoy Story: Time Is on My Side
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アリサ・フランクリン
Just a Matter of Time: Classic Columbia Recordings
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by songsf4s | 2012-02-03 22:07 | ソング・ブック