タグ:ジョニー・マーサー ( 4 ) タグの人気記事
スウィング発→ロックンロール直行便――映画『ベニー・グッドマン物語』をめぐって
 
前回のアンドルーズ・シスターズ駆け足紹介をご覧になって、パイド・パイパーズを思い起こしたと、ツイッターで反応なさった方がいらっしゃいました。

The Pied Pipers - Route 66


「ルート66」というのは、子どもにはそれほど面白いドラマではなく、なんだか車が走ったり止まったりしていたなあ(当たり前だ!)ぐらいの記憶しかないのですが、曲は印象に残りました。作者はジュリー・ロンドンの夫君にしてシンガー、ピアニストのボビー・トゥループです。

当家で過去に紹介したパイド・パイパーズの曲は、クリップがなくて、ついこのあいだ、クリスマス・ソング特集の補綴のために、サンプルをアップしました。ここに再度貼りつけておきます。

サンプル Johnny Mercer with the Pied Pipers and the Paul Weston Orchestra "Jingle Bells"

ジョニー・マーサーのすっとぼけたキャラクター、パイド・パイパーズの柔らかいハーモニー、ポール・ウェストン・オーケストラの生き生きとしたグルーヴ、三位一体のすばらしいジングル・ベルズです。

1940年代の音楽を聴いていて思うのは、なぜこの流れがいったん断ち切られたのだろうか、ということです。戦時と戦争直後のハイ・テンションをいったん冷ます必要があったのでしょうか。

そのことを意識するようになったのは、この映画を見たのがきっかけになっています。トランペット・ソロはハリー・ジェイムズ、ドラムはジーン・クルーパ。いや、つまり音だけではなく、画面にもホンモノが登場しているという意味です。

映画『ベニー・グッドマン物語』よりSing Sing Sing


感じ方は人によってさまざま、よそさんのことは知りませんが、わたしはこういうグルーヴに、モダン・ジャズ的なものは感じません。なにを感じるかといったら、ロックンロール・スピリットです。

高校のころ、団塊の世代のモダン・ジャズ・ファンにゴチャゴチャいわれたのをいまだに根に持っているのと、新宿のジャズ喫茶なんてものに足を踏み入れてみたら、じっと黙って目をつぶり、陰険に音楽を聴いているゾンビの群がいて、ゾッとした記憶があるためですが、わたしは、いまだにいわゆる「モダン・ジャズ」にはいくぶんかの反感をもっています。

そういうもやもやしたものを、言語化できないまま大人になり、リヴァイヴァルで『ベニー・グッドマン物語』を見て、なんだ、モダン・ジャズのほうが鬼子だっただけじゃないか、と膝を叩きました。

アメリカ音楽の歴史は、モダン・ジャズとクルーナー時代を飛ばして、スウィングからロックンロールへと直接つなげれば、なんの疑問もなく、すっきりきれいに流れます。

映画『ベニー・グッドマン物語』よりLet's Dance/Stompin' At The Savoy


このあたりは、ベニー・グッドマンがまだ大物になっていない1930年代終わりの出来事ですが、いずれにせよ、このような新しいダンス・ミュージックが、スウィングという名のもとに40年代の潮流を形作ります。

後年のモダン・ジャズのようにインテリジェントでハイ・ブロウなものではありませんが、しかし、わたしは音楽をきわめて肉体的なものと考えているので、どちらがよりエッセンシャルであるかといえば、考えるまでもなく、スウィングのほうに軍配をあげます。人間の根元的音楽衝動により忠実なグルーヴです。その意味で、精神においてロックンロール的であって、アンチ・モダン・ジャズ的なのです。

映画としては、この前年に製作された『グレン・ミラー物語』のほうが出来がよかったのですが、つぎのシーンは強く印象に残りました。映画的に、ではなく、音楽的に、です。

映画『ベニー・グッドマン物語』よりOne O'Clock Jump


曲がはじまったときと後半では、客の数がぜんぜん違うという「映画的詐術」がおこなわれていますが、はじめて見たとき、なんとロックンロール的な、と思いました。

ダンスをするための音楽であり、同時に聴くための音楽である、という意味で、スウィングとロックンロールは「同系統」の音楽だということが、このシークェンスには端的にあらわれています。

レス・ポールがいっていました。マイルズ・デイヴィスに、どうしたらシングル・ヒットが出るんだときかれて、こう答えたのだそうです。「自分のために音楽をやっていたのでは駄目だ。彼らのための音楽をやるんだ」

モダン・ジャズというのは、音楽的にではなく、概念的に定義するならば「彼らのための音楽を軽蔑し、否定することによって自己を規定する音楽」といっていいでしょう。さすがにレス・ポールはスウィングの時代を生きたプレイヤーだけに、モダン・ジャズの根本的な欠陥が一目でわかったから、マイルズ・デイヴィスに、ストレートにそのことをいったのだと想像します。

『ベニー・グッドマン物語』製作の動機は、たんに1954年の『グレン・ミラー物語』がヒットしたので、その余慶にあずかろうという、どうということのないものだったのでしょう。

しかし、それでもなお、モダン・ジャズの時代が下り坂に入り、まさにロックンロールが生まれようとしていた時期に、スウィング・ミュージックをあつかった映画が立てつづけに製作され、どちらもヒットしたことは、たんなる偶然ではないと思います。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


パイド・パイパーズ
Dreams From the Sunny Side of the Street
Dreams From the Sunny Side of the Street


ジョニー・マーサー(すくなくとも数曲でパイド・パイパーズがコーラスで参加している)
Collector's Series
Collector's Series


DVD
グレン・ミラー物語 / ベニイ・グッドマン物語 Great Box [DVD]
グレン・ミラー物語 / ベニイ・グッドマン物語 Great Box [DVD]
[PR]
by songsf4s | 2011-12-19 23:56 | 映画・TV音楽
クリスマス・ソング特集増補中+フランク・シナトラのFly Me to the Moon
 
昨夜は時間の余裕はあったのに、なんとなく気力が尽きた感じになって、更新をあきらめてしまいました。

この時期はお客さんが多数で、家にいるのに更新していないと、すごく居心地が悪いので、久しぶりにバックステージ・ニュースです。

昨日は昼間から当家の2007年のクリスマス・ソング特集を補綴していました。あのときは、まだ千社札を貼ることができず(おかげでいま開いてもページが軽い!)、ストリーミング・サービスも使っていなかったので、どの記事も音なしなのです。

以前からそれが気になっていて、なんとかしたいと思っていました。新しい記事は書いていないのですが、シーズンになると、まだたくさんのお客さんがクリスマス・ソングをもとめてご来訪なさっているのです。しかし、ちゃんとやろうと思うと、手がつけられないので、気ままにぽつぽつとクリップを貼りつけていくことにしました。

じつは、昨年だったか一昨年だったか、年内いっぱいの期間限定で公開するといったサンプラー・パッケージのリンクがまだ生きているのを見つけて、ギャッといってしまったのですが、必要な方は自助努力をお願いします。

知名度の問題なのか、もはや歌手であったことすら忘れられているようですが、ジョニー・マーサーはやはりおおいに魅力的だな、と作業の途中で思いました。

サンプル Johnny Mercer "Jingle Bells"

作詞家として傑出した才能の持ち主だったのが、結局、歌手として名を残すには至らなかった理由かもしれませんが、それにしても、これだけ歌えて、これだけのキャラクターをもっていたのに、じつに惜しいことです。

ジョニー・マーサーのJingle Bellsについて書いたオリジナル記事は、

「Jingle Bells by Johnny Mercer」

です。

ツイッターである方と話しているうちに無性に再見したくなってきた映画があります。しかし、引っ越し以来、DVDが見あたらず、うーむ、なのです。

不明言語吹き替え版『スペース・カウボーイ』よりフランク・シナトラ歌うFly Me to the Moon


クリント・イーストウッド監督だから、最後にこの曲にもっていくように、冒頭できちんと伏線を張っていますが、そのクリップは見あたりませんでした。トミー・リー・ジョーンズ(声だけ)がX-1だったか、テスト機をぶっ飛ばしながら、Fly Me to the Moonを歌うのです。直後に墜落しますが!

今日は本気でDVDを発見しようと思います。もうこの映画のリリースから十年以上たってしまいましたが、まだクリント・イーストウッドが元気で映画を作り続けているのはほんとうにありがたいことだと思います。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう
[PR]
by songsf4s | 2011-12-07 10:10 | backstage news
Baby It's Cold Outside その2 by Ann-Margret with Al Hirt
タイトル
Baby It's Cold Outside
アーティスト
Ann-Margret with Al Hirt
ライター
Frank Loesser
収録アルバム
Beauty and the Beard
リリース年
1964年
他のヴァージョン
Dean Martin, Johnny Mercer with Margaret Whiting, Carmen McRae with Sammy Davis Jr., Buddy Clark with Dinah Shore, Ray Charles with Betty Carter, Avalanches, Jimmy Smith & Wes Montgomery,
f0147840_023048.jpg

この記事は、もともとひとつだったものを、エクサイト・ブログの文字数制限のために、二つに割った後半部分です。先に前半部分をお読みくださったのちに、以下をお読みになっていただければ幸いです。

◆ ディーン・マーティンのオリジナルと偽「新録音」 ◆◆
まだどれを看板に立てるか決めていませんが、最終候補は2種、例によって、わたしの大好きなディーン・マーティンのヴァージョン、そして、アン=マーグレットとアル・ハートのデュエットという勝負です。

f0147840_0264950.jpgディノはもうはまり役というしかありません。彼のためにあつらえたような曲です。ただし、ちょっと問題があります。すくなくともオリジナル盤はデュエットではないのです。

ディノのBaby It's Cold Outsideには2種類のヴァージョンがあります。ただし、ディノのヴォーカル自体は同じテイクです。どういうことかというと、最近になって、古いディノのヴォーカルに、新しいバックグランドを付け加え、べつにうまくもないし、雰囲気なんかまるっきりない女性シンガーとのデュエットに仕立てたものがあるのです。

f0147840_0304414.jpg会社がゴミ箱に捨てた古いトラックについていえば、わたしの耳にはまったく問題があるようには聞こえません。グルーヴはいいし、弦のアレンジはすばらしいし、フルートのオブリガートと間奏も立派なものです。これに問題があると感じるのは、近ごろの極端に低音を持ち上げたバランシングに慣れて、耳が馬鹿になった人間だけです。

問題があるとしたら、オリジナルの「マウス」役が女性コーラスだということです。でも、他のヴァージョンとは異なり、これはあくまでも「ウルフ」役のディノが主なのだから、ディノのキャラクターを浮き上がらせるには、むしろこのほうが効果的だと判断したのでしょう。わたしはオリジナル録音を支持します。

f0147840_031544.jpg確認できたかぎりでいうと、「新」録音を収録しているのは、Forever Coolという最近の編集盤だけです。デザインがいいので、ちょっとほしくなってしまうでしょうが、中身はすべて、Baby It's Cold Outsideと同様、「新」録音のデュエットばかりのようです。それ以外の盤はオリジナルを収録しているようですが、ディノのクリスマス・アルバムは種類が多く、毎年、シーズンになると新しいものが加えられています。そのなかの一枚は、改作盤を収録しているといっているブログがあったので、ご注意ください。

◆ アン=マーグレットとアル・ハート ◆◆
ディノ盤は「ウルフ」が主役ですが、ほかは「マウス」すなわち「可愛い子ちゃん」のほうが主役か、もしくは男女対等でやっています。

女性が目立っているものとしては、なんといってもアン=マーグレット盤が代表です。これまたディノ盤同様、新録音があり、相手役がだれだったか、最近の男性シンガーになっているようですが、オリジナルの「ウルフ」はアル・ハート、あのトランペッターです。といっても、ここではあのすばらしいトランペットはなしで、ヴォーカルのみですけれどね。



アン=マーグレットですから、どうしたってお色気たっぷりで、口では帰る、帰るといっているけれど、これならもう一押しすれば泊まるな、と思わせる雰囲気になっています。それがこのヴァージョンの最大の魅力です。

f0147840_0363148.jpgこの曲のカヴァーのなかには、「露骨」なものがあるそうです。でも、結局は「ウルフ」の企みも懇願も無に帰すのが構成の根幹なので、あまり露骨にやっては面白くないでしょう。アン=マーグレットのレンディションが「露骨」なほうの限界ではないかと思います。彼女の歌い方なら、男に言い寄られるなんて日に何回もあること、めずらしくもないという美女、相手を傷つけないあしらい方も承知している女性、という感じがします。期待だけはもたせてくれるのです。残念ながら、実体をともなわない空頼みですが!

いや、それにしても、すばらしい声の持ち主だなあ、といまはじめて聴いたように感心してしまいました(小学校のときから聴いていたのだから、いくらなんでも空々しい)。ボビー・ジェントリージュリー・ロンドンについては、当ブログでは声を大にして推奨してきましたが、アン=マーグレットもこのクラスに加えようと思います。

◆ 懇願する狼たち ◆◆
「ウルフ」をコミカルに演じるタイプのヴァージョンもあります。

うちにあるものでは、まずジョニー・マーサーとマーガレット・ホワイティングのヴァージョンがそうなっています。調べがついたかぎりでは、これがオリジナル録音と思われます。マーガレット・ホワイティングの歌い方は、ぜんぜん「期待」をもたせてくれません。「おもてなしありがとう」というところでさえ、なんだか冷たく聞こえますし、I'll take your handsのところでは、小さな悲鳴まであげています。相手の反応を読めずに、うっかりもう一押しなどしたら、平手打ちを喰らいそうな気配すらあります。

Margaret Whiting & Johnny Mercer - Baby Its Cold Outside


こういう状態では、男としては、ディノみたいにクールにかまえているわけにはいかず、泣き落とし戦術しかなくなります。How can you do this to meのところでは、ほんとうに泣きが入っちゃいます。こうなると、「そんなひどいことしていいのかよ」というディノ盤を想定した解釈は通用しません。「そんなひどいことしないでくれよ、頼むから」というニュアンスへと変化しているのです。いや、じつに面白い歌詞です。

こういうコミカルな面は、シンガーとしてのマーサーの持ち味なのだと感じます。そのことは彼のJingle Bellsのところでもちょっとふれました。

f0147840_0493376.jpgカーメン・マクレーとサミー・デイヴィス・ジュニアのヴァージョンでは、「ウルフ」はさらに滑稽の度を増しています。「マウス」役がカーメン・マクレーなので、「未経験」には感じられず、大人がたわむれているようなヴァージョンです。いやあ、ニュアンスが千変万化する、じつに面白い曲ですねえ。

後半、サム・ザ・ウルフは、いろいろな声色を使い、大手搦め手から、いや、それどころか、立ち上がったり、ひざまずいたり、上下動まで加えて、なんとか口説き落とそうとしますが、相手は海千山千、かどうかは知りませんが、小娘ではないので、笑って取り合いません。いや、一カ所、サムの大熱演がよほど可笑しかったらしく、カーメン・マクレーはほんとうに笑いそうになっていますが。これはこれで、じつに面白いヴァージョンです。

f0147840_0554649.jpgバディー・クラークとダイナ・ショア盤も、コミカルなレンディションです。ダイナ・ショアは、男のあの手この手につい乗せられて、その気になりそうになっては、I really have to goと、自分に言い聞かせています。これもいいなあ、と思います。イントロで、ドアを開け、外では木枯らしが吹き、ついでにこの曲のメロディーが流れてくるという趣向も笑えます。

レイ・チャールズ盤はいらないでしょう。テンポも、アレンジ(マーティー・ペイチ)も重いし、相手役のベティー・カーターの声と歌い方も気に入りません。まったく楽しさが感じられないヴァージョン。

◆ インストゥルメンタル盤 ◆◆
インストゥルメンタル盤は2種だけもっています。ひとつは、すでに何度も登場しているアヴァランシェーズ盤です。またしてもクレジットとは異なり、ギターはひとりですが、この曲についてはこれでいいと感じます。オルガンとのデュエットでやっているからです。ギターが「マウス」、オルガンが「ウルフ」と、逆ではないかという役割分担ですが、歌詞を知らなければ関係ないことですから。

f0147840_103985.jpg後半はギターのインプロヴですが、なかなかいいプレイです。この盤が面白いのは、ギターのトーンといい、フレージングといい、すでに後年の「ギター・ヒーロー」たちのプレイのニュアンス、イディオムを先取りしてしまったようなところがある点です。

64年にこれだけのことをやった盤があると、当時の子ども、すなわちわれわれが、ちょっと遅れて、たとえば68年ごろに知ったら、なんと思っただろうかと考えざるをえません。いや、どう思ったんでしょうかね。正直にいって、自分のことながら、うまく想像力が働きません。ひとつだけハッキリいえることは、60年代終わり、ギターの「新しい」スタイルに大騒ぎしていた自分は、ものを知らない馬鹿者だったと、いまでは痛感しているということです。

f0147840_113336.jpgもうひとつ、ウェス・モンドメリーとジミー・スミスのヴァージョンもあります。同じオルガンとギターのデュオでも、こちらはアヴァランシェーズのように、きっちり役割を分けてはいません。ジャズだから、申し訳程度にテーマをやると、すぐにインプロヴに突入なので、あとは曲がなんだろうと同じです。Baby It's Cold Outsideの「ヴァージョン」とはいいかねます。プレイも面白いものではなく、聴きどころなし(最後のシークェンスで、めずらしくウェスがミスっているのが「聴きどころ」か)。

一粒で二倍おいしい、とはいかず、天ぷらとマグロをひとつのどんぶりに盛って、「鉄天丼」というのをつくってみたら、まずかったというオチ。インスト盤は、ハル・ブレインもビシッとキメているアヴァランシェーズに軍配です。

◆ 名作と作者とその妻 ◆◆
フランク・レサーの曲は、すでにMoon of Manakoora by Dorothy Lamourと、Moon of Manakoora by the 50 Guitarsと、同じ曲ですが、二回にわたって取り上げています。そのときに書き落とした、人口に膾炙したレサーの曲としては、On a Slow Boat to Chinaもあります。

このBaby It's Cold Outsideは、もともとは、レサー自身が奥さんのリンといっしょに歌うために書いた曲なのだそうです。娘さんによると、パーティーでは大受けに受ける曲で(そりゃそうでしょう!)、「いつだってキャヴィアとトリュフに困ったことはなかった」と両親がいっていたとのことです。夫婦による盤もあるそうですが、残念ながら聴いたことがありません。

f0147840_1405652.jpg
左から、アンソニー・クイン、リン・レサー、フランク・レサー(1945年)

リンは、フランクといっしょにBaby It's Cold Outsideを歌うのが大好きだったので、フランクがワーナー・ブラザーズにこの曲を売ってしまったときには、烈火のごとく怒ったそうです。フランクは、こうでもしないかぎり、呪縛から逃れられず、一生、これを上まわる曲を書けないような気がした、と弁明したとか。ものをつくりつづけなければならない人間としての決断だったのでしょう。でも、奥さんが納得したかどうか。「夫婦の曲」として、Baby It's Cold Outsideを愛していた奥さんの気持ちもよくわかります。ほんとうに楽しい曲ですからね。

しかし、ワーナーに売ってしまったのも、それほど悪い取り引きではありませんでした。1949年のリカルド・モンタルバンとエスター・ウィリアムズ主演の映画、Neptune's Daughterの挿入歌となった結果、Baby It's Cold Outsideは、その年のアカデミー最優秀主題歌賞を獲得することになったからです。呪縛から逃れようとしたフランクにとっては、むしろ十字架になったかもしれませんが。

f0147840_1412649.jpg
フランク・レサー・ソングブック、"I Hear Music: Capitol Sings Frank Loesser"。Baby It's Cold Outsideは、ジョニー・マーサー盤を収録している。

ある曲のあらゆるヴァージョンを並べて聴いていると、原稿を書き終わったころには、その曲を歌いまくっているか、あるいは逆に、もう一生聴きたくないと思っているかのどちらかです。Baby It's Cold Outsideは、聴けば聴くほど面白くなってくるタイプの曲です。思ったよりむずかしい曲で、まだ歌うにはいたっていませんが!


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう



ディーン・マーティン
My Kind of Christmas
My Kind of Christmas
[PR]
by songsf4s | 2007-12-21 00:23 | クリスマス・ソング
Jingle Bells by Johnny Mercer
タイトル
Jingle Bells
アーティスト
Johnny Mercer
ライター
James Pierpont
収録アルバム
Christmas Cocktails Part Three
リリース年
1940年代後半
他のヴァージョン
Alvin & the Chipmunks, Andre Kostelanetz, Andrews Sisters with Bing Crosby, Barry Manilow, Benny Carter & His Swing Quintet, Booker T. & the MG's, Buck Owens, Chet Atkins, Dean Martin, Disney, Domenico Savino & His Orchestra, Esquivel, Fats Domino, Fats Waller, Frank Sinatra, Frank Sinatra [Alternate Take], Henry Mancini, Herb Alpert & the Tijuana Brass, Hollyridge Strings, Jackie Gleason, Jingle Cats, John Denver, Johnny Mercer [alt. take], Louis Armstrong & Friends, Nat King Cole, Nelson Eddy, Paul Anka, Paul Mauriat & His Orchestra, Ray Conniff, Rick Nelson, Rosemary Clooney, Sammy Davis Jr., Singing Dogs, Smokey Robinson & the Miracles, the Lennon Sisters, the Osmonds, the Partridge Family, the Ray Charles Singers, the Three Suns, the Ventures, Three Stooges, Tijuana Voices, Willie Nelson
f0147840_0193784.jpg

Jingle Bellsも、当然、山ほどヴァージョンがありますが、今回はずらっと並べたりせずに、面白いものだけに絞り込んでいくつもりです。それでも、すべてにふれられるとは思えませんが。

看板にしたジョニー・マーサーのJingle Bellsは、少なくとも2種類あるのですが(ともにSPでのリリースというところまでは判明したが、それ以上の詳細は不明。片方はパイド・パイパーズおよびポール・ウェストン・オーケストラとの共演)、Christmas Cocktailsのパート3に収録されたもののほうが出来がよいと感じます。

サンプル Johnny Mercer "Jingle Bells"

◆ 馬のボブテイル ◆◆
ジョニー・マーサー盤は、途中、歌詞をすこし変えているので、一般的なものと異なっているところについては、その箇所で注記することにします。以下はファースト・ヴァース。

Dashing through the snow
In a one horse open sleigh
O'er the fields we go
Laughing all the way
Bells on bob tail ring
Making spirits bright
What fun it is to laugh and sing
A sleighing song tonight

「一頭立ての橇で雪のなかを突っ走る、野原を突っ切りながらずっと笑いつづけさ、馬の尾につけた鈴の音が気分を明るくしてくれる、今夜、こうして笑いながら橇歌をうたう楽しさよ」

辞書にはボブテイルは「切り尾」となっていて、細かくいえば、短く切り落とした尻尾につけた鈴、ということになります。つづいておなじみのコーラス。

Jingle bells, jingle bells
Jingle all the way
Oh, what fun it is to ride
In a one horse open sleigh
Jingle bells, jingle bells
Jingle all the way
Oh, what fun it is to ride
In a one horse open sleigh

「ジングル・ベル、ジングル・ベル、シャンシャンと鳴りつづける、一頭立ての橇に乗るのはなんて楽しいんだろう」

◆ 大作詞家のコメントつき歌詞 ◆◆
つづいて、ブリッジのようなもの。ふつう、こんなパートはありません。このヴァージョンだけのもので、ジョニー・マーサーは歌わず、バックのパイド・パイパーズが歌います。

There's nothing new about jingle bells
In case you wanna know
Here's the verse that your daddy sang
When he was mummy's boy

「ジングル・ベルなんて目新しいことはなにもない、あなたが知りたいかもしれないから念のために、あなたのお父さんが子どものころに歌っていたヴァースをやるよ」

では、以下にその古いヴァース。といっても、ふつうのと同じセカンド・ヴァースですが!

A day or two ago
I thought I'd take a ride
And soon Miss Fanny Bright
Was seated by my side
The horse was lean and lank
Misfortune seemed his lot
We got into a drifted bank
And then we got upsot
What?

「一日二日前、橇に乗ろうと思った、それでミス・ファニー・ブライトをとなりに坐らせることになった、痩せた馬鹿な馬で、不運な生まれつきだったらしく、ぼくらは雪の吹きだまりのなかに突っ込んで、ひっくり返ってしまった。え、ウソ?」

f0147840_1475658.jpgセカンド・ヴァースなんかだれも気にしないといったソングライターがいましたが、それにしても、これはまた変なところにいってしまう歌詞です。

ジョニー・マーサー盤では、The horse was以下は、ジョニー・マーサーは歌わず、パイド・パイパーズが歌いますが、最後の「What?」はジョニー・マーサーです。コミカルなタイミングのわかっている人と見ました。ちょっと笑えます。後年の大作詞家としては、大昔の歌のへんてこりんな歌詞への批評として、この詞はないでしょ、という意味で、What?を付け加えたくなったのではないでしょうか。

二度目のコーラスでは、歌うかわりにベルを鳴らしたり、ジョニー・マーサーのアドリブっぽいラインが出てきます。ちょっと聴き取りにくいところで、「I don't know who's playing'em bell but I wish they'd sound that way」としている歌詞サイトがありました。前半はいいとして、最後はthat wayとは聞こえませんし、そもそも、意味が通りません。といって、わたしも聴き取れないのですが。

あとは、ちょっと変形しながらコーラスを繰り返して、エンディングとなります。

◆ ジョニー・マーサー盤 ◆◆
わが家には30種あまりのJingle Bellsがあります。はじめからジョニー・マーサー盤を看板に立てる心づもりだったものの、念のためにいろいろなヴァージョンを聴き直してみましたが、やはり、マーサーが文句なしにナンバーワンだと感じました。

f0147840_1495462.jpgジョニー・マーサーというと、ふつうは作詞家だと思われていますが、キャピトル・レコード設立時はまだシンガーで、初期、つまり1940年代終わりから50年代はじめのキャピトルのカタログを見ると、かなりの数のシングル、ではなくて、SP盤をリリースしています。

テクニカルなタイプのシンガーではありませんし、一般的に美声といわれるタイプでもないでしょうが(いや、個人的にはすごく好みの声)、じつに雰囲気のある歌い方で、はじめて聴いたときは、こんなに魅力的なシンガーが歌うのをやめて、レコード会社経営と作詞に専念するとは、なんとももったいないことをしたものだと思いました。

f0147840_151961.jpgあえて想像すると、こんなことではないでしょうか。マーサーの会社、キャピトル・レコードは、「ナット・コールがつくった」といわれるほどであり、ハリウッド・ブールヴァードとヴァイン・ストリートの交叉点にある有名な本社、いまではハリウッドのランドマークとなった円筒形のビルは、フランク・シナトラに建ててもらったようなものです。マーサーは、経営者として、作詞家として、この二人の偉大なシンガーを間近に見ていて、自分がシンガーとしてナンバーワンになる日はこない、と見切ったのではないのでしょうか。あの二人に給料を払っていたら、だれだって歌うのが馬鹿馬鹿しくなりまさあね。

f0147840_153826.jpgマーサー盤の魅力は、彼の歌だけではありません。アレンジ、ポール・ウェストン・オーケストラのプレイ、パイド・パイパーズのコーラス、どれもみなすばらしい出来です。とくに、ベース(もちろんアップライト)がすばらしいグルーヴで、全体をドライヴしています。なるほど、昔は、ドラムではなく、ベースのほうがグルーヴの重要な担い手だったのだな、と改めて思いました。

ジョニー・マーサーが書いた歌詞、Moon RiverAutumn Leavesは、だれでも聴いたことがありますが、彼の歌を聴いたことがある方はそれほど多くないでしょう。機会があったら、ぜひお聴きになってみてください。シンガーとしてもっていた独特の味と、彼の作詞はまんざら無関係ではないと、わたしは思います。

◆ フランク・シナトラ盤 ◆◆
他のヴァージョンで、どれがいいかというと、やはりフランク・シナトラ盤です。ジョニー・マーサー盤を知らなければ、こちらを看板に立てたでしょう。いや、マーサーを看板にするのは、わたしの偏った趣味にすぎず、客観的にいえば、シナトラのほうが上だろうと思います。

Frank Sinatra - Jingle Bells (1957 ver.)


技術的なことではなく、シナトラの声が流れた瞬間、その場の空気ががらりと変わり、「シナトラのような世界」になる、というこの一点で、やはりフランク・シナトラは偉大なのです。映画でよく経験するじゃないですか。たとえば、近年でいえば、クリント・イーストウッドの『スペース・カウボーイ』のエンド・タイトルで、シナトラのFly Me to the Moonが入ってくるときの、あの感覚です。

f0147840_1542981.jpgこれだけは、だれにもどうにもできないもので、いくらジョニー・マーサーのJingle Bellsがすばらしいといっても、そういうパワーはもっていません。わたしがクリスマス映画をつくって、エンド・タイトルにJingle Bellsを流すことにしたら、ジョニー・マーサー盤ではなく、やはりフランク・シナトラ盤を選びます。

なお、わが家にはフランク・シナトラのJingle Bellsは2種類あります。46年録音と57年録音の2種類で、セッショノグラフィーによれば、これですべてのようです。スレイベルの音だけではじまる、テンポが早いほうの57年ヴァージョンが、好ましい出来に感じます。

◆ バック・オーウェンズとバッカルーズ盤 ◆◆
どのヴァージョンも、ひどいということはなく、水準以上の出来なので、ここからは思いつきで、ランダムにいきます。どれがいいか、などと考えていると、夜が明けてしまいます。

まず、目立つのはバック・オーウェンズ&ヒズ・バッカルーズのヴァージョンです。これはインストゥルメンタルで、歌は入っていません。これを収録したChristmas with Buckは1965年、ヴェンチャーズのクリスマス・アルバムと同じ年にリリースされています。子どもだったわたしは、この年に両方を聴いたとしても、ヴェンチャーズのほうを好んだでしょう。子どものころはカントリー系の音が嫌いだったのです。

Buck Owens & His Buckaroos - Jingle Bells


しかし、この年になると、もはや恩讐の彼方(ちょっとちがうか)、ただただ、バック・オーウェンズ盤のグルーヴのよさに感心してしまいます。まずなによりもギターがすばらしいのですが、ドラムも、いくつかのミスはあるものの、バックビートは軽快で、カントリー系クリスマス・アルバムのいい面、脳天気なお気楽ぶりを演出しています。

f0147840_205392.jpgバッカルーズは実在のグループで、ツアーしていたようですが、いくつか目にしたデータから考えて、スタジオではセッション・プレイヤーが中心になっていたようです。ハル・ブレインもプレイしたことがありますし、まだものすごく若かったジム・ゴードンがプレイした盤もあるそうです。

1965年録音とはまたなんとも微妙な……。まだティーネイジャーだったジム・ゴードンの可能性もゼロとはいえないのです。ジム・ゴードンの最初のプロフェッショナルなレコーディングである、エヴァリー・ブラザーズとの仕事がちょうどこの時期だからです。

f0147840_22910.jpgこのバック・オーウェンズのJingle Bellsのドラマーは、かなり才能のある人です。落ち着いてやれ、何テイクになってもかまわない、といえば、いくつかのミス・ショット(フィルインからの戻りの拍がわずかに遅れる)を修正できた可能性があります。バックビートは正確そのものです。まだ高校生だった天才少年ドラマーが、3時間で4曲だ、と急かされれば、こんなプレイをする可能性があると感じます。スネアのチューニングも、エヴァリー・ブラザーズでのジム・ゴードンのスネアに近くて、いや、なんとも悩ましいトラックです。

いずれにせよ、このトラックでプレイしたギタリストとドラマーの名前はちょっと解明したくなります。いい出来です。ギターはひょっとしたらジョー・メイフィスか……。低音弦の太い響きが、モズライトのサウンドに聞こえます。

◆ インスト、コンボ篇 ◆◆
どこまでいけるかわからないので、先にインストからいきます。わたしの好みはヴォーカルよりインストなのです。

バック・オーウェンズ盤を聴くと、ちょっと色褪せて感じますが、やはりヴェンチャーズ盤は子どものころからのおなじみなので、イントロが流れた瞬間に乗ってしまいます。この曲では、レイ・チャールズのWhat'd I Sayのリックを借用しています。コーラスでセカンド・ギターを入れるところがいいと感じます。この曲も転調を使っています。

f0147840_26879.jpgチェット・アトキンズ盤は、このところ何度か取り上げた、80年代録音のクリスマス・アルバムからのものではなく、50年代の録音です。すでに奏法的には完成されていますし、バックのサウンドとしては、シンプルで落ち着きのあるこちらのほうが好ましく感じます。ギターにときおりディレイをかけているのは、ひょっとしたら、レス・ポールの影響でしょうか。うーん、それにしても、聴けば聴くほどうまい!

ブッカー・T&ザ・MG's盤は、ほかのトラックとちがって、いつものMG'sスタイルでやっています。こういうのが聴きたくてMG'sのクリスマス・アルバムを買ったのですが、好みからいうと、まだおとなしくて、もっともっと、ナスティーにやってほしかったと思います。

ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスのクリスマス・アルバムは、聖歌隊風混声コーラスの長いイントロがつく構成になっていて、これがどうも邪魔でいけません。わたしは信仰心に欠けるし、日本人なので知らなかったのですが、アメリカではいまだに、クリスマスは神聖な宗教行事なのだから、馬鹿騒ぎをしてはいけない、にぎやかな流行歌などもってのほか、と主張する人たちがずいぶんといるようです。MG'sやTJBが聖歌風のアレンジをちりばめ、フォー・シーズンズやビーチボーイズのクリスマス・アルバムも、聖歌隊風のアレンジを織り交ぜているのは、そういう層への配慮なのかと、この年になって気づきました。

あまり敬虔ではない仏教徒のリスナーとしては、そういうのは邪魔なのですが、まあ、事情があるようだから、しかたありません。で、TJBのJingle Bellsは、エクスキューズとしての聖なる1分間が終わると、いきなり脳天気ないつものTJBに変身します。ハル・ブレインのドラムと、アコースティック・リズムが生むグルーヴはいつもどおりで、この後半だけはたいへんけっこうな仕上がりです。

◆ インスト、オーケストラ篇 ◆◆
オーケストラはどれもがんばっています。やっぱり、クリスマス・アルバムは、オーケストラの檜舞台なのでしょうね。

f0147840_2162575.jpg今シーズン仕入れた、わたしにとっては「新しい」、アンドレ・コステラネッツ(という読みでいいのかどうか知りません。Andre Kostelanetz)盤は、ドラムとベースがともに非常にうまくて、土台がしっかりしています。そのおかげで、変化に富んだアレンジが、どこもぎくしゃくすることなく、スムーズな一連のドラマとして展開されていて、なかなかけっこうな出来です。ジャケットもいいですよ。

キャピトル・スタジオ・オーケストラ(怪しい名前ですなあ。まちがいなく、実体のないスタジオ・プロジェクト)は、チャチャチャ・アレンジです。アルヴィン・ストーラーのRudolph the Red-Nosed Reindeerと並ぶ、South American Wayアレンジの代表作でしょう。ハリウッドのオーケストラは、どれもみな楽しくて、大好きです。

f0147840_2175511.jpg同じハリウッドのオーケストラもの、ヘンリー・マンシーニ盤は、4ビートで、女声コーラスを入れてやっています。Charadeがスウィングしたみたいなアレンジといいますか。マンシーニの盤は、どれもつねに水準以上の出来で、たいしたものです。この曲では、変化をつけるために、後半にはSleigh Rideをつないでいます。どちらかというと、Sleigh Rideのほうが出来がいいかもしれません。ドラムはシェリー・マンに聞こえます。

もうひとつのハリウッドのオーケストラ、ジャッキー・グリーソン盤は、昨日ご紹介したSanta Claus Is Coming to Townと同じアルバムからのトラックなので、同じような、ゆるいテンポのしめやかなアレンジです。それがこの人の盤のスタイルだから、嫌いな人は嫌い、彼のファンには満足のいく仕上がりです。

f0147840_2185796.jpgさらなるハリウッドのオーケストラ(いや、ほんと、たくさんあるのです)ホリリッジ・ストリングスは、ベース・ラインにシックスとセヴンスを入れ、8ビートにして、変化をもたせています。なんだか、細部に微妙によく知っている雰囲気が感じられて、ハリウッドのポップ/ロック系のプレイヤーが多数参加しているのではないかという気がします。

ニューヨークで録音していたエスクィヴァルも、昨日ご紹介したアルバムからのトラックです。これはアルバム・オープナーですから、いつものおそろしく珍なエスクィヴァルで、しかも、ご本尊が声で登場し、ものすごくナマりのひどい英語で、ご挨拶をしています。不思議な人です。好き嫌いでいえば、好きです。

やはり昨日のSanta Claus Is Coming to Townで登場した、ドメニコ・サヴィーノもJingle Bellsをやっていますが、これもやはりご家庭向き安心上品アレンジです。

以上のようなラウンジ/イージー・リスニング系とは流れが異なる、ジャズのビッグ・バンド系のオーケストラものもいくつかあります。ルイ・アームストロング盤は文句のないグルーヴで最後まで飽きません。ベニー・カーター盤も、昔のものらしい、懐の深い、ゆるやかなグルーヴが心地よく、いい出来です。

◆ 残るヴォーカルもの ◆◆
ビング・クロスビーとアンドルーズ・シスターズの共演盤にも、Jingle Bellsは収録されています。これまた安心な盤で、どのトラックも楽しめます。ビングの声はすばらしいし、アンドルーズのハーモニーもいうことがありません。アレンジとしては、かなりテンポが速く、笠置シズ子がここに加わっても、ぜんぜん違和感がないだろうと思います。こうして聴くと、笠置シズ子とアンドルーズの雰囲気はじつによく似ています。

同じ女性コーラス・グループでも、アンドルーズがロネッツだとすると、レノン・シスターズはマーメイズという感じで、ご清潔な雰囲気だから、上品なご家庭でも大丈夫。

f0147840_311457.jpgファッツ・ドミノは全盛期のものではありませんが、ファッツ・スタイルは健在で、その点は楽しめます。バックがニューオーリンズ・フィールをもっていないのが惜しい。

バリー・マニロウは、アヴァンギャルド・ジャズが混入した、不思議な不思議なアレンジでやっています。なにしろ、もうとうの昔に著作権が切れている19世紀の曲ですから、考えられるあらゆるアレンジが適用済みなので、こうでもするしかないのかもな、です。まあ、退屈はしません。

f0147840_32282.jpgポール・アンカは、これまでに取り上げたものと同様、非常にけっこうなビッグ・バンド・サウンドのバッキングです。この曲では、女声コーラスもいい感じです。このアルバム、なかなか完成度が高く、わが家の今年のThe Christmas Album of the Year賞の有力候補です。

まだいくつかふれたいヴァージョンがありますが、そろそろ制限時間いっぱいです。残りは明日、といいたいところですが、今日、つらつら候補曲リストとカレンダーをつきあわせてみたところ、何曲かはみ出すことがわかり、もう二回に分割する余裕がなくなってしまいました。明日はべつの曲を取り上げます。

最後にひと言、ジングル・キャッツとチップマンクス、それに三馬鹿大将ヴァージョンもあります。

Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう
[PR]
by songsf4s | 2007-12-15 00:20 | クリスマス・ソング