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Quiet Village その3 by Martin Denny
タイトル
Quiet Village
アーティスト
Martin Denny
ライター
Les Baxter
収録アルバム
Exotica
リリース年
1956年
他のヴァージョン
別掲
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今日はべつのヴァージョンを看板に立てようかと思ったのですが、エルヴィス以後の時代に、エキゾティカとしては最大のヒット(ビルボード・チャート4位。ただし、オリジナルではなく、ステレオ・リメイク・ヴァージョンだろう)を記録したヴァージョンを外すのは、いかになんでもひねくれすぎていると思い直しました。

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マーティン・デニー盤Quiet Villageは数種類あるので、区別が面倒なのですが、とりあえず、1956年録音のモノーラル・ヴァージョンから。わたし自身、最初に聴いたQuiet Villageは、デニーのこのヴァージョンでした。これはハワイでのライヴ録音ということになっています。アルミ製ドームのなかにあるラウンジという環境だったので、独特のリヴァーブがかかったのだそうですが、とくにリヴァーブに特徴のあるサウンドには思えません。

またしても極端なことをいいますが、このヴァージョンでもっとも好きなのは、パーカッションのオージー・コロンがやったバードコール、鳥の啼き声の物真似です。ハワイで生まれ育ったコロンは、子どものころからバードコールが得意だったといっていますが、たしかに、じつになんともヴァラエティーに富んだ啼き声をつくっていて、そこらのライブラリー盤なんかより、よほどリアリティーがあります。

マーティン・デニー盤Quiet Villageはバードコールがすべてである、なんていっちゃうと、それはないだろー、といわれそうですが、バードコールをとったら、とくにうまくもなければ、特徴的なプレイをするわけでもない平凡なピアニストが率いる、二流どころのジャズ・コンボにすぎません。

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じっさい、後半、それまでパーカッションをやっていたのであろうアーサー・ライマンが、ヴァイブラフォーンをプレイする都合なのか、玉突きが起きて、コロンが本来のパーカッションに戻る必要が生じたらしく、バードコールはなくなってしまいます。そこからは、わたしの耳には、名曲の二番煎じをやっている退屈なローカル・バンドにしか聞こえません。

マーティン・デニーが売れたのは、彼のピアノの腕や、他のメンバーの卓越したミュージシャンシップのおかげではありません。「コンボによるエキゾティカ」を発明したおかげです。そして、そのエキゾティズムの最大の供給源が、オージー・コロンのバードコールなのだから、このヴァージョンはバードコールに尽きる、と断言してはばかるところはありません(とはいえ、自分自身のコピーをしただけのステレオ・リメイク・ヴァージョンを聴くと、プレイそのものはオリジナルのほうがいいと感じる)。

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ネガティヴに受け取られると困るのですが、わたしがいいたいのは、バードコールが「すばらしい」というポジティヴなことです。子どもっぽい気分を刺激されているような気がしないでもありませんが、でも、いいなあ、と思うのだからしかたありません。

エキゾティカがストレート・ロックンロールと決定的にちがうところは、エキゾティカにおいては、「そこにある音そのものはかならずしも決定的な重要性をもたない」という点です。なにが重要かといえば、音がトリガーを引くわれわれのイマジネーションなのです。イマジネーションを点火するなにものかがあるか否かが、決定的に重要です。マーティン・デニー盤Quiet Villageにおけるオージー・コロンのバードコールは、その起爆剤として十分な役割を果たしています。

f0147840_0174446.jpgマーティン・デニー盤Quiet Villageは、このほかにBaked Alaska収録のライヴ・ヴァージョン、アップテンポにアレンジし直したQuiet Village Bossa Nova、そして、Exotic Moog収録のムーグ・ヴァージョンがあります。

Baked Alaskaヴァージョンは、プレイも荒っぽく、機材トラブルがあったのか、途中からバランスがおかしくなったりして(ドラム以外はオフになる)、商品にするのはどんなものかという出来です。ボサノヴァ・ヴァージョンは、ふつうなら、チャチャチャと呼ぶであろうアレンジで、むやみにテンポが速く、Quiet Villageらしい味わいに欠けます。

言及するに足るのはムーグ・ヴァージョンでしょう。何度か書いていますが、そこらじゅうディジタル・シンセサイザーばかりになった時代に生きていると、たまにアナログ・シンセの太い音を聴くと、ムーグの音をはじめて聴いたときの気分を小規模に追体験できます。この楽器が多くの人のイマジネーションを捉えたのも当然でしょう。マーティン・デニーが、ムーグのサウンドに「つぎのエキゾティカ」を見たであろうことは、容易に想像がつきます。モノーラル・ヴァージョン以外で聴くに足るデニーのQuiet Villageは、このムーグ・ヴァージョンでしょう。

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◆ 「原理の発明」と「普及品の開発」 ◆◆
レス・バクスターは、マーティン・デニーのことを褒めていません。ただのコンボのプレイではないか、あんなもののどこが面白いのだ、と音そのものへの否定的意見を述べたあとで、デニーは当初、Quiet Villageは自分の曲だと偽っていた、わたしがそれをやめさせたのだ、といっています。もちろん、印税が入るのだから、デニーのヴァージョンは、わたしにはなんの害も及ぼさなかったが、といっています。

これはつまるところ、オリジネイターの模倣者への軽侮があらわれた言葉でしょう。バクスターは、それまでだれも思いつかなかったコンセプトを生みだし、認知させ、普及させた人です。それに対して、むくつけにいえば、デニーはそのおこぼれにあずかったにすぎません。オリジネイターが模倣者の頭を撫でることはあっても、尊敬することは永遠にないのです。

f0147840_033991.jpgバクスターのそうした立場、見方はそれとして、独創であるか、模倣であるかということから離れても、わたしはレス・バクスターとマーティン・デニーのあいだには、無限の距離があると考えています。

後年、レス・バクスターはハリウッドの主みたいな存在になっていくのですが、インタヴューのなかで、わたしがもっとも気にかけていたことに言及していました。後年、エキゾティカと呼ばれることになるサウンドをつくるにあたって、じっさいに、南米ないしはポリネシアなどの音楽を参考にしたのか、ということです。

答は明白なノーでした。「あの時代には、グレンデイルより遠くへ行ったことがなかった」といっています。この場合、アリゾナのグレンデイルのことではなく、LA近郊のグレンデイルのほうでしょう。昔の江戸っ子が「箱根の山よりむこうにいったことがない」というような意味で、「グレンデイルより遠く」にいったことがないといっているのです。

つまり、あの音は、純粋に、バクスターのスペキュレーションとイマジネーションの産物だということをいっているのです。レス・バクスターは、Quiet Villageによって、「どこでもない世界」の音楽を、虚空から取り出して見せたのです。

どれほど革命的な理論でも、いったん原理が解明されれば、それは自明のことになります。マーティン・デニーがやったことは、「原理の発明」ではなく、「既存製品の改良」ないしは「大量生産工程の開発」、革命の一般化、下流化にすぎません。根本原理の発明ができる人はごくかぎられていますが、こういう二次利用法の開発は、ささやかな才能と運があれば、多くの人にできることです。

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◆ NowhereとSomewhere ◆◆
いや、そういう手柄争いじみたことは、ささやかなゴシップのようなもので、つまるところ、たいして重要ではないのかもしれません。

もっと重要なことは、音がなにをもたらすかです。わたしは先にマーティン・デニー盤を聴き、あとからレス・バクスターのオリジナルを聴きました。そして、こりゃすげえや、と驚きました。

サウンドの作り方も規模も、当然、大きく異なるのですが、もっと重要なのは、こちらが受ける感覚がかけ離れていることです。マーティン・デニーのQuiet Villageは、簡単にいえば「ハワイっぽいけれど、現実のハワイアンとは異なる、キッチュな音楽」です。オーセンティックな音楽ではなく、フォニーだということです。

しかし、レス・バクスター盤は、なんといえばいいのかわからないのです。ハワイないしはポリネシアのムードなんか、レス・バクスター盤Quiet Villageにはありません。レス・バクスター盤Quiet Villageにポリネシア的なものを感じるとしたら、それはマーティン・デニー盤の響きが逆方向に「残響」したからにすぎません。

この「nowhereness」はすごいと思います。凡人のデニーは、「Somewhere, far-away」の音楽しかつくれなかったのに対して、レス・バクスターは「Nowhere, far-away」の音を生みだしたのです。Somewhereは「どこかにある」のですが、Nowhereは「どこにもない」のです。

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以前、わたしは、エキゾティカは本質的にフォニーだということを書きましたが、これは謬りだったと認めざるをえません。いや、マーティン・デニー以下のエキゾティカ類似音楽は、良くも悪くも本質的にフォニーです。しかし、レス・バクスターがQuiet Villageをつくったときには、エキゾティカ(まだそう名づけられてはいなかった)は、フォニーではなく、genuineでauthenticな音楽だったのです。どちらがいいとか悪いとかではなく、ここには大きな差異があるのだということを、はっきり認識するべきだと考えます。

◆ 他のオーケストラ・ヴァージョン(少々) ◆◆
もう残り時間わずかですが、すこしだけ他のヴァージョンを見てみます。

メロディーラインがメロディーラインなので、Quiet Villageは、やはりストリングスでやるのが王道だと感じます。オーケストラものカヴァーでまず「面白い」と感じるのは、クレバノフ・ストリングス盤です。いきなり、イントロから、一昨日ふれたG-C-G-Bb-G-C-Bbというベース・ラインを、ティンパニーでやっているのです。まるで、フィーリクス・スラトキンのI Get a Kick Out of Youです。

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そういうアレンジなので、冗談なのか本気なのかもよくわからないのですが、しかし、50ギターズ・ヴァージョンに通じる派手さがあり、ときおり笑いながら楽しんでしまいます。

ハーマン・クレバノフは、ロシア移民の子どもで、シカゴに生まれ、のちにハリウッドでオーケストレーター、オーケストラ・リーダーをした、とのことです。このExciting Soundsというアルバムのアレンジは、ウェイン・ロビンソンとシーザー・ジョヴァーニという人がやったそうですが、寡聞にしてどういうキャリアか知りません。

ヘンリー・マンシーニ盤もあります。当然ながら、マンシーニは70点を切る盤はつくりません。Quiet Villageは、ハーマン・クレバノフのような極端なところはなく、きれいにまとめています。Moon Riverに使われたのと同じ、あの妙なキーボード楽器(だろうと思う)も使われているところに、マンシーニらしさがちらっとのぞけますが、基本的には、良くも悪くもアノニマスな仕上がりです。フレンチ・ホルンとトロンボーンか、楽器を特定できないのですが、途中で右チャンネルで鳴る管のアンサンブルが好みです。

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Exodusのヒットで知られるピアノ・デュオ、ファランテ&タイチャーのヴァージョンは、ピアノよりもオーケストラのほうが印象的です。

昨日、ちょっとふれかけたビル・ジャスティス盤も、ピアノとオーケストラ、というか、ビッグバンドによるものです。管のアンサンブルをフィーチャーしたQuiet Villageというのは少ないので、変わり種として興味深くはあります。しかし、わたしの好みからいうと、ちょっとテンポが速すぎます。

時間切れなので、これにて打ち切りとします。アーサー・ライマンの数ヴァージョンにまったく言及しなかったのは、われながら手落ちだと思いますし、エディー・バクスター盤なんかも面白いと思うのですが、まあ、そういっていてはキリがありません。夏のあいだ、エキゾティカは何度も取り上げるつもりなので、アーサー・ライマンの話は後日に持ち越しとします。

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by songsf4s | 2008-07-03 23:57 | Exotica
Quiet Village その2 by the 50 Guitars
タイトル
Quiet Village
アーティスト
The 50 Guitars
ライター
Les Baxter
収録アルバム
Return to Paradise
リリース年
1965年
他のヴァージョン
別掲
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昨日は「他のヴァージョン」欄を埋めるのを省いてしまいました。今日も省くつもりでしたが、Space Age Popにリストがあったので頂戴してきました。まあ、これを読む気力のある方は百人に一人だと思いますが、エクスキューズとして以下にペーストしておきます。アーティスト名、アルバム名、レーベル名、マトリクスの順です。

・Leo Addeo and His Orchestra, Hawaii's Greatest Hits, RCA Camden CAS-2506
・The Aliis, Hawaii Right Now!, Reprise RS-6190
・The Astronauts, Go...Go...Go!!!, RCA Victor LPM-3307
・Ted Auletta, Exotica, Cameo C 4008
・Eddie Baxter, More Fantastic Sounds, Dot DLP 25551
・The Exotic Moods of Les Baxter, EMI/Capitol 2CD set
・The Lost Episode, Dionysus/Bacchus Archives CD
・Les Baxter, Ritual of the Savage, Capitol T288
・Vincent Bell, Pop Goes the Electric Sitar, Decca DL 74938
・Odell Brown and the Organ-izers, Cadet LPS-788
・Frankie Carle, The Tropical Sounds of Frankie Carle, RCA Victor
・George Cates and his orchestra, Third Man Theme, Dot DLP 3464
・Clebanoff Strings and Percussion, Exciting Sounds, Mercury PPS 2012
・Dick Contino, Hawaiian Holiday, Mercury MG-20753
・Jack Cooper, Lovely Companion: the Organ Magic of Jack Cooper, Imperial LP-9077
・Al Delory, Floreando, Music Makers 001
・Martin Denny, Exotica, Liberty LRP 3034
・Martin Denny, The Versatile Martin Denny, Liberty LST-7307 (bossa nova)
・Martin Denny, Exotic Moog, Liberty LST-7621
・Martin Denny, Exotica '90, Insideout TOCP-6160
・El Chicano, Viva Tirado, Kapp KS 3632
・El Coco, Let's Get It Together, American Variety AVL 6006
・Don Cunningham Quartet, Something for Everyone, Exclusive Records LP-1002
・Webley Edwards (with The Hawaii Calls Orchestra), Sunkissed Hits of Hawaii, Pickwick/Capitol SPC-3337
・The Ensemble of Seven, Exotic Fantasies, ROV-010-3
・John Evans, Exotic percussion and brilliant brass, Directional Sound DS 500
・Ferrante and Teicher, Golden Piano Hits, United Artists UAS 6269
・Myron Floren, 12 Great Hits, Dot DLP-3684/25684
・Johnny Gibbs and his Orchestra, South Sea Island Magic, RCA Custom/Reader's Digest Box UR2S-3003
・The 50 Guitars of Tommy Garrett, Return to Paradise, Liberty LSS-14033
・The Steve Graham Strings, Music For Those Who Go Steady-Mood Music For Young Lovers, Warner Brothers WS 1437
・Earl Grant, Trade Winds, Decca DL 74623
・The Exotic Guitars, The Exotic Guitars, Ranwood Records R-810
・Danny Gatton, 88 Elmira Street, Elektra CD
・Jon Hall, Directs Music from Honolulu, Mercury MG 20403
・Hawaii...Melodies from Paradise, Longines Symphonette SYS 5118-SYS 5122
・Hawaiian Brass, Longines Symphonette SYS 5601-5606
・Darla Hood, Ray Note RR-26 (45 RPM single)
・Wynton Kelly, Comin' in the Backdoor, Verve V6-8576
・Johnny Kemm, Pop Organ Hits, Concert Recordings CR-E151
・Bill Justis, More Instrumental Hits By Bill Justis, Smash MGS 27065
・Harry Liszt, Liszt Plays Forever, Orange Coast OCR-1069
・Living Percussion, The Beat Goes On, RCA Camden CAS-2255
・Joe Loco Quintet, Ole, Ole, Ole, Fantasy 3285
・Longines Symphonette Society Presents Aloha Moods, Vol 1
・Arthur Lyman, Bahia, Hi-Fi Records R815
・Henry Mancini, Music of Hawaii, RCA Victor LSP-3713
・Billy May, As You Remember Them, Time-Life Records STL 247
・Olguita & The Charanga Kings, Pachanga, Anyone?, World Pacific WP-1414
・Tom Principato, Balzing Telecasters, Powerhouse CD
・The Ritchie Family, African Queens, Marlin MARLIN 2206
・Pete Rugolo, New Sounds, Harmony HL 7003
・Salsa '78 Orchestra, Best of Salsa Disco, Springboard SPB-4097
・Lalo Schifrin, Black Widow, CTI Records CTI 7-5000
・South Sea Serenaders, Hawaii to Tahiti, Somerset SF-25100
・Spike Jones, Omnibust, Liberty LST 7140
・Len Stevens, Mood Music For Listening And Relaxation, RCA Custom/Reader's Digest Box RDM43-6
・The Surfmen, The Romantic Lure of Exotic Island, Somerset SF-105000-A
・The Tampicos, That Torrid Tampico Sound, Columbia CS 9147
・Don Tiare, The Music of Les Baxter, Mercury MG 20845
・The Ventures, Wild Again, GNP Crescendo GNPD 2252
・Watermelon, Cool Music
・George Wright, Encores, Vol.1, Hi-Fi Record R-702

60種あまりのQuiet Villageが並んでいますが、ざっと見たところ、この3分の2ぐらいはもっているか、すくなくとも聴いたことがあるようです。もっていなくて気になるのは、アル・ディローリー、ビリー・メイ、スパイク・ジョーンズの三種です。なんてことを思うから、こういうリストは見ないに越したことはないのですが!

◆ 50ギターズ盤 ◆◆
本日の看板にした、Quiet Villageを収録した50ギターズのアルバム、Return to Paradiseは、右のリンクからいけるAdd More MusicでMP3を聴くことができます。トップページの「50 Guitars」というボタンを押してください。

いまや世界一の50ギターズ・サイトとなったといってよい、Add More Musicのオーナーであるキムラセンセは、Return to Paradiseを褒めていらっしゃいません。はっきりいって、否定的なご意見をお持ちです。

たしかに、50ギターズのアルバムとしては、とくに出来がいいほうには入りません。中折れというか、下り坂に入ったというか、マンネリ化を防ごうという試みがうまくいかなかったというか、まあ、そんなところです。

しかし、各種のQuiet Villageを並べて聴くと、50ギターズのヴァージョンは一頭抜きんでて聞こえます。Quiet Villageは、50ギターズのコンテクストのなかでは、やや異例のサウンドになっていて、めずらしくもドラムが活躍しているのです。

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The 50 Guitars "Return to Paradise" front.
50ギターズのジャケットはややこしい構造になっている。モデルの女性の部分は、印刷上のインレイ処理(はめ込み)ではなく、じっさいに穴がくり抜いてある。

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「上着」をはぐと、ヌードがあらわれる、なんてことはなくて、ただこのようになっている。

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「上着」の裏側、すなわち見開きの左側はこのようになっている。半分は宣伝。

もともと、50ギターズ・シリーズにはトラップ・ドラム(フル・セット)は使われていませんでした。初期の数枚を聴くかぎり、ほとんどはパーカッションのみ、ドラムがあっても、いわゆるカクテル・ドラム(スネア、ハイハット、ライド1枚)程度のもので、しかも、ブラシやサイドスティックをソフトに入れるだけでした。

ところが、Quiet Villageでは、スティックでスネアをハード・ヒットするのみならず、タムタムやフロアタムも使って、派手なフィルインまで入れているのです(さすがにキックはほとんど、またはまったく使っていないように聞こえる)。これは50ギターズというコンテクストでも異例のことですが、じつはQuiet Villageというコンテクストにおいても、それほどよくあるパターンではないのです。

多くのQuiet Villageは、レス・バクスターのオリジナルがそうであったように、ゆるやかに、ミステリアスに、「闇の奥」に分け入っていくようなムード(ふと思いつきを書いてから、うんそうだ、ジョゼフ・コンラッドの連想は正しい、と自分を褒めてしまった)でやっています。

では、50ギターズはどうやっているかというと、コンラッドの連想をつづけるなら、まだ闇に踏み込んでいく手前、コンラッドの原作ではなく、映画のほうでいえば、ジョン・ミリアスが書いたといわれる、『地獄の黙示録』のあのヘリコプター部隊の強襲上陸シーンに近いのです(といっても、ワーグナーを連想するわけではないが)。なんだか、すごく勇ましいのです。まあ、ヘリコプターのシーンというと勇ましすぎますが、少人数で潜行し、河を遡行して「闇の奥」に入っていく感じではなく、機械化師団が散開して、正面衝突で一気に決着をつける、というムードです。

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The 50 Guitars "Return to Paradise" back.

Quiet Villageという曲は、あまりテンポを速くせず、ミディアムでやったほうがいいと思います。しかし、こういう一般化というのは、あらゆるものに適用できるものではありません。例外というのはあるのです。テンポの速いQuiet Villageのなかでは、唯一50ギターズ盤が楽しめる出来になっていると感じます。

ドラマーの名前はわかりませんが、50ギターズの仕事をしたドラマーとしては、アール・パーマーがいることは既知の事実です。Quiet Villageのドラマーはアール・パーマーである、と措定しても、わたしは矛盾を感じません。

書き忘れていましたが、50ギターズのQuiet Villageでは、トミー・テデスコのリードはあまり活躍しません。目にもとまらぬパッセージが何度か出てきますが、ミックスト・アウトされているのです。このヴァージョンの主役は、トラップ・ドラムと、ボンゴ(すばらしいプレイ)、ギロなどのパーカッションです。

◆ エキゾティック・ギターズとビル・ジャスティスの謎 ◆◆
楽曲自体がギター向きとはいえないので、ギターものQuiet Villageはそれほど多くはありません。しかし、ついでなので、ギターものを総ざらえしておきます。

f0147840_0232719.jpgエキゾティック・ギターズというプロジェクトは、例によってハリウッドのスタジオの産物であり、パーマネントなバンドではありません。Quiet Villageを収録したEG's(MG'sにならったキムラセンセの創意になる略称)のアルバムも、50ギターズ同様、Add More Musicで入手できます。トップページの「Rare Inst. LPs」のボタンを押していただき、No.35のエポニマス・タイトルのアルバムをクリックしてください。50ギターズのファイル公開はまだ進行中ですが、EG'sは9枚のアルバムすべてが公開済みです。

ヴェンチャーズやラウターズやマーケッツやTボーンズといった、ハリウッドの有名なギターインスト・プロジェクトは、みなロック系なのですが、エキゾティック・ギターズは、50ギターズ同様、ラウンジ・ミュージック・リスナーをターゲットにしたものです(録音メンバーはロック系もラウンジ系も似たようなものだが)。そもそも、「エキゾティック・ギターズ」というプロジェクト名からして、「60年代のレス・バクスター」たらんとしたのかもしれません。

ふつう、エポニマス・タイトルのアルバムというのは、デビュー盤が多いのですが、エキゾティック・ギターズのアルバムThe Exotic Guitarsは、掉尾を飾る(か、飾っていないかは微妙だろうが)一枚だそうです。じつは、ややこしいことに、デビュー盤も同じタイトルなのです。マトリクスはデビュー盤がR-8002(1968年)、ラスト盤はR-8104(1972年)だそうです。

f0147840_0254039.jpg最後になって、エキゾティカの代名詞といえる曲が出てきたというのが、このプロジェクトの微妙な位置を示しているように思います。エキゾティカを意識していないわけではないものの、名称が暗示するほどにはエキゾティカにベッタリでもないのです。デビュー盤では、明らかにエキゾティカという曲は一曲だけです。つまるところ、キムラセンセがいみじくも名づけたEG'sという略称どおり、実態は「イージー・ギターズ」なのです。

キムラさんがデビュー盤のコメントにお書きになったところによると、リードギターのクレジットはアル・ケイシーとなっているそうです。ほかにはアレンジャーのビル・ジャスティスのクレジットがあるだけのようです。ビル・ジャスティス? それっておかしくない? とわたしは思いました。

f0147840_0271531.jpgなぜならば、Raunchyのビル・ジャスティスは、ハリウッドの人ではないのです。どこがベースかといえば、ナッシュヴィルです。ナッシュヴィルにはくわしくないので、自分の勘違いだろうかと思い、いま確認しましたが、Space Age Popでも、メンフィスのサン・レコードからスタートし、のちにナッシュヴィルに移ったと紹介されています。

ということは、ジャスティスは一時的にハリウッドで仕事したことがあったのか、譜面だけがハリウッドとナッシュヴィルを行き交ったのか(その可能性はきわめて低い。ハリウッドには有能なアレンジャーが山ほどいたので、遠隔地のアレンジャーに依頼する必要などなかった)、変な疑問が残ってしまいました。

エキゾティック・ギターズは、じつはナッシュヴィルのスタジオ・プロジェクトである、という解がもっとも自然に思えるのですが、ドラムはバディー・ハーマンやケニー・バトリーのようには聞こえず、キムラセンセのおっしゃるように、あちこちにハル・ブレインのタッチがあります。ベースもキャロル・ケイだろうというキムラ説に賛成です。ハリウッドのスタジオ・システムが崩壊した70年代になって、ナッシュヴィルに引っ越したのだ、という説も無理です。デビュー盤からすでにジャスティスのクレジットがあるというのですから。

うーん、考えてもわからないときは思考停止しかありません。肝心のEG's盤Quiet Villageの出来はどうかというと、「そこそこ」です。ギター好きは、好みの曲のギター・ヴァージョンというのを聴きたいものです。その意味で、アル・“サーフィン・フーテナニー&サムシン・ステューピッド”・ケイシーのギターでこの曲を聴けることは、ささやかな歓びです。しかし、「消費用」のイージー・リスニング・アルバムですから、ものすごくいい、というわけでもありません。

◆ アストロノウツ盤 ◆◆
ギターもののもっとも古いヴァージョンは、おそらく、1965年のアルバム「GO...GO...GO!!」に収録されたアストロノウツ盤です。しかし、これはアッケラカンとしすぎたアレンジ、サウンドで、Quiet Villageらしさのかけらもありません。聴かなくていいヴァージョンです。

f0147840_032121.jpgアストロノウツは、わたしが小学生のときに日本に来ました。わたしが知るかぎり、世界一下手なバンドでした。記憶というのは変形されてしまうものなので、じっさいにはそれほど下手ではなかったのかもしれないと思いましたが、十年ほどまえ、右のリンクからいける「Yxx Txxxを聴こう」のオオノさんに、日本で録音したシングルというのを聴かせてもらい、幼いわたしの評価は正しかったことを確認できました。ツアー用アストロノウツは、まちがいなく世界一下手なバンドです。どっちが最悪か勝負しようと、アストロノウツに挑戦する資格があるのは、日本に来たツアー用Tボーンズぐらいでしょうが、たとえ挑戦しても、アストロノウツに勝てる見込みはありません。

しかし、盤を聴くかぎりでは、むちゃくちゃにうまいわけではないものの、そこそこうまいバンドで、ツアー用Tボーンズなんかにゆめゆめひけをとることはありません。あちこちにバンドのメンバー自身がプレイしたようなことを書いた盤(たとえば、ライノのCowabunga! the Surf Box)があるにもかかわらず、じっさいには、アストロノウツもまた、スタジオ・プロジェクトだったことが暗示されています。

そもそも、60年代というのは、そんな甘い時代ではないのです。若僧のバンドなんか、あたまからミュージシャンとはみなされず、女の子が好みそうな見てくれかどうかだけが問題にされたのです。見た目が合格なら、音楽のほうはプロがやるから、心配はいらない、ライヴに来る客なんかに演奏のうまい下手はわからないし、そもそも、大歓声で音楽なんか聞こえない、という前提で音楽界/芸能界は運営されていたのです。見た目と音が完全に分離されていたのです。

アストロノウツのセッションには、アル・ケイシーが参加していたのではないか、という説があります。アル・ケイシーは、アストロノウツのプロデューサー、リー・ヘイズルウッドの片腕だったからです。だから、アリゾナ時代に、ケイシーはアストロノウツの盤でベースをプレイしたのだとか(たしかに、アストロノウツのベースはグッド・グルーヴ)。だとしたら、ほかのプレイヤーも、メンバー自身なんかである必要はないでしょう。

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◆ ヴィンセント・ベル盤 ◆◆
68年には、スリー・サンズの出身で、ニューヨークのセッション・ギタリスト、ヴィニー(ヴィンセント)・ベルもQuiet Villageをリリースしています。ただし、Pop Goes the Electric Sitarというアルバム・タイトルが示すように、正確には、ギターではなく、エレクトリック・シタールのプレイです。

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シタール・ギターというと、わたしは70年代ソウルを連想します。たぶん、スタイリスティックスやチャイ・ライツ(Have You Seen Her)のトラックによく使われていたのだと思います。フリーダ・ペインのBand of Goldも思いだします。

そういうソウル系トラックでのシタール・ギターの使い方というのは、ひとつの型があったのですが、ヴィニー・ベルのシタール・ギター・アルバムは、そういう型とはちょっと異なったところにあります。歌伴では、一定の型にはめた使い方をするのですが、ここではギタリストが主役なので、いろいろな技を聴かせてくれています。そもそも、シタール・ギターのオープン・コードなんて、ベルのプレイではじめて聴きました。この楽器が、意外にも、さまざまな表情の音をつくれることがわかったのが、ヴィニー・ベル盤Quiet Villageの最大の収穫のように思います。全体のサウンドとしては、あまりエキゾティックではなく、エキゾティカとギターインストの境界線上のヴァージョンと感じます。

エキゾティック・ギターズから、アル・ケイシーつながりでアストロノウツまでいったので、やはりエキゾティック・ギターズの関係者であるビル・ジャスティスのQuiet Villageまで検討して終えようと思ったのですが、またしても時間切れなので、さらにもう一回、Quiet Villageをつづけることにします。

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by songsf4s | 2008-07-02 23:57 | Exotica
Quiet Village その1 by Les Baxter
タイトル
Quiet Village
アーティスト
Les Baxter
ライター
Les Baxter
収録アルバム
Ritual of the Savage
リリース年
1951年
他のヴァージョン
多数
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先月の26日をもって、当ブログは一周年を迎えました。当初の予定では、四季が一巡りしたら、材料もなくなるだろうから、あっさり店仕舞いするつもりでした。ちょうど、息切れもしてきたところなので、予定どおり幕を下ろそうか、とも思いましたが、まあ、そんなにきっちり考えないことにしました。

タイトルどおりに、四つの季節をすべてめぐったので、ここからはロス・タイムないしは余生のようなものと考えることにします。つまり、お客さんがいらっしゃるからお待たせするわけにはいかないとか、特集として予定したものをすべて取り上げなければなどと、無理をして更新をするようなストレスの多いことはやめ、書きたいときに、書きたいことを、自分で定めたルール(こじつけでもなんでも、その時季にふさわしい曲を選ぶ)にとらわれることなく、気ままに、ぞろっぺえにやることで、なんとか、延命をしようと考えています。

◆ 「声」からの逃亡 ◆◆
さて、今月はなにも腹案がありません。昨年のいまごろは適当に夏の歌を選んでいました。夏こそは音楽の季節なので、夏の歌の材料が尽きるなんてことはないのですが、しかし、材料があればやりたいかというと、それほど気分は盛りあがりません。

いま、自分が聴きたいものを聴き、聴いているものをそのまま書く、という方向に転じようかな、と考えています。聴きたいものを聴かずに、ブログのために、というので、それほど聴く気分ではないものを聴くのは、あまり精神衛生にいいとはいえないのです。そこで、今日は、いま聴いているものを、そのまま書くことにしました。

年をとってからは、人間の声が肌にまとわりついてくるのがイヤで、さまざまな分野のインストを聴くことが多くなっています。もともと、シンガーという存在にはあまり興味がなく、プレイヤー、アレンジャー、プロデューサーへの関心が強かったのですが(極論すると、たいていの場合、シンガーは「道具」にすぎないと考えている。音楽の真の作り手はプロデューサーとアレンジャーだろう)、年をとるにしたがって、いよいよ人の声というのが不快に感じられることが多くなってきました。声の延長線上で、サックスの音というのも聴きたくありません。温度の高いもの、粘液的で、肌にまとわりつくものは、みな気持が悪いのです。

ブログをはじめたおかげで、義務的にヴォーカルものをたくさん聴きましたが、どうやら、それで鬱が誘発されたようで、この三月ほどのあいだに、何回か、本気で全記事を削除しようと考えました。数日前に、もっとも聴きたくない女性ジャズ・ヴォーカルをみな検索対象から外したところ、だいぶ気分が晴れました。それなら、いっそ、ヴォーカルものはすべてなしにすれば、歌詞の解釈もしなくてすみます。

ということで、しばらくは、気ままにインスト曲を選んでいこうと思います。たとえヴォーカル・ヴァージョンがあっても、歌詞の解釈はしないつもりです。一年間やって、もう二度とやらなくてもいいくらい堪能しました。堪能しすぎました。

◆ weirdnessとbasicsの両立 ◆◆
関東は肌寒い日もあり、季節到来とはいえませんが、このところ、プレイヤーに載せているのは、エキゾティカが中心です。ほかに、ケニー・バレル2枚、ゲーリー・バートン3枚、ガボール・ザボ2枚です。気が向いたら、そのへんのことも書くかもしれません。

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エキゾティカといえば、なにをおいても、まずQuiet Villageということになっています。気がつけば、わがHDDには数十種のQuiet Villageが降り積もっていました。これだけのヴァージョンがあるというのは、やはり魅力のある曲だということを示しているのでしょう。

毎度同じことばかりいっているようですが、Quiet Villageも、半音ずつ下がっていくところがあり、これがこの曲のエロティシズムの源泉だろうと思います。そういうアレンジでやっているヴァージョンはないのですが、ラヴェルのボレロに似た雰囲気があると感じます。ボレロもエロティックな曲で、同じ感触があるのです。

どういうわけか、大多数のヴァージョンがCをキーにしていますし、G-C-G-Bb-G-C-Bbという、セヴンスの入ったシンコペートしたベース・ライン(バクスター盤では、ベースの上にピアノの左手も重ねている)も継承しています。こうなると、ベースラインもほとんどメロディーの一部といってよく、この曲のアイデンティファイアのひとつになっています。

じっさい、あるインタヴューで、バクスター自身が、この曲のポイント、というか、「エキゾティカ」のポイントとして、「あのCからBbへの移行」と表現しています。コードというのは微妙なものなので、コードとしてはC7にして、そのまま動かなくてもいいのではないかと感じますが、動かすとするなら、たしかにC-Bbなのです。

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Les Baxter "Exotic Moods" 2枚組ベストCD。あくまでもエキゾティカのベストであって、バクスターの他の側面をこの盤からうかがい知ることはできない。

いっぽうで、Deep Purple その2 by the Shadowsのときにも書きましたが、半音進行のせいもあって、Deep PurpleやThe High and the Mightyにも近い感触があります。ロックンロール時代以前のヒット曲には、時代のコンテクストに合ったレシピがあったのではないかという気がしてきます。ギターで弾くと、あまり素直でないというか、面倒な運指になる曲が多いのです。ピアノで書いた曲である、ということと、表面的にはどれほどweirdであろうと、基本のところでは作曲理論にかなった作り方をしているということを示しているように感じます。

◆ 2種類のQuiet Village ◆◆
先日、Moon Moodsを取り上げたときにも書きましたが、狭義のエキゾティカは、レス・バクスターのQuiet Villageによってはじまります(なんだって拡大解釈はできるので、戦前にまでエキゾティカの淵源をたどる考え方もある)。

数が多すぎて、あらゆるヴァージョンをちゃんと聴いたとはいえませんが、やはり、わたしは、Quiet Villageといえば、レス・バクスターがいちばんだと思っています。マーティン・デニーのコンボ・ヴァージョンでも、十分にいい曲だと感じますが、あとでレス・バクスターのオーケストラ・ヴァージョンを聴き、ストリングスのスラーするラインがあるとないでは、天と地のちがいだと感じました。

コンボであれ、オーケストラであれ、インストではいかに変化をつけるかが重要になります。Quiet Villageはノーマルな構成ではなく、ヴァースだのブリッジだのという概念は当てはめられず、メロディー自体が変化していきます。いわば、短い楽章をつなげたミニ組曲のような構成なのです。

バクスターのオリジナルでは、第一部はストリングスが主役です。第二部に入ったとたん、ピアノがC-F-Gのフレーズを弾きますが、バクスターはここにグロッケンを重ねています。この響きがなかなか印象的で、こういう細部の工夫ができるかどうかが、オーケストレーターにとってもっとも重要な資質だと感じます。

ただし、ピアノとグロッケンのコンビネーションはあくまでも味つけ、バックグラウンドであって、リード楽器はストリングスのままです。このスラーに特色のある曲では、音符と音符の中間の音が出せる楽器だけがもつ味わいを殺すのは愚の骨頂で、これは正しい選択だったと思います。また、この第二部では、バクスターのいうC-Bbの移行ではなく、C-B-C-Bの移行が非常にエキゾティックで印象的です。

レス・バクスターのQuiet Villageには、2種類あります。ひとつはもちろん、オリジナルである、1951年のRitual of the Savageに収録されたモノーラル・ヴァージョン。現在、CDで入手できるのもこのヴァージョンです。そして、もうひとつは、The Sounds of Adventureに収録されたステレオ・ヴァージョンです。

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このステレオ・ヴァージョンは出所が不分明で、レス・バクスターのオフィシャル・サイトでも、複数のインタヴューでも言及されていません。どうも、テイクそのものはオリジナル盤と同じものに思われるので、となると、リプロセスト・ステレオだということになります。しかし、リプロセスト・ステレオ特有のイヤなクロストークはなく、分離もまずまずですし、なによりも、モノーラル・ヴァージョンにはない、ドラマティックな音の広がりがあります。

ひょっとしたら、バクスター自身が関与しないところで、会社が勝手につくったものかもしれませんが、彼がQuiet Villageをつくったときに、ステレオ録音が存在していれば、きっとこういうサウンドを望んだだろう、という響きをもっています。

のんびり、ライナーやバクスターのインタヴューを読んでいるうちに時間切れとなってしまったので、他のQuiet Villageについては、明日以降に持ち越しとします。

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by songsf4s | 2008-07-01 23:56 | Exotica