人気ブログランキング |
2011年 10月 05日 ( 1 )
Steve CropperとFelix Cavaliereの共演 その1 Nudge It Up a Notch
 
前回の続きで、今回もスティーヴ・クロッパーのアルバムですが、少しさかのぼって、2008年にリリースされた、ラスカルズのフィーリクス・カーヴァリーアとの共演盤です。

Cavaliereは、かつてキャヴァリエなどと書かれていましたが、この言葉は発音のヴァリエーションが多く、難読姓のひとつです。ただし、キャヴァリエに近い発音はなく、スペイン系の場合、カーヴァリーアのように発音するとしている辞書があります。

しかし、固有名詞なので、辞書がつねに正しいとはいえず、ことはおおいに厄介なため、以後、この記事ではCavaliereと原綴で書きます。

では、スティーヴ・クロッパーとFelix Cavaliereのアルバム、Nudge It Up a Notchから一曲。

Steve Cropper & Felix Cavaliere - If It Wasn't for Loving You


Cavaliereの声に衰えが見られないことにまず安堵します。ただし、ラスカルズのころのような、文句なしの魅力、あのほどのよい甘さ、叙情性は残念ながら感じられません。

まあ、フィーリクスだってわたしより年上、ご老体ですから、多くを望んでは罰が当たります。ジョニ・ミッチェルやアン・マレイを筆頭に、おばさんたちがみな生まれもつかぬ魔女声になり、地獄の釜をかきまわして魔女のスープを作り、聴く者を恐怖におののかせていることにくらべれば、この程度の軽微な劣化ですんだことを、神に感謝したくなります。

というように、フィーリクスについては、歩留りはどの程度か、といった「被害見積り」になってしまいますが、スティーヴ・クロッパーについては、やっぱり年をとるとギター・プレイは味わいが出るなあ、という「利益計算」になるのがありがたいところです。この曲の間奏なんか嬉しくなります。いや、昔は昔のよさがあり、いまはいまのよさがある、といっているだけであって、どちらがいいということではありません。為念。

f0147840_23911100.jpg

このクリップは音質が劣化した結果、ドラムとベースがよく聞こえなくなっていますが、それがかえって幸いしています。盤では、ドラムとベースが強すぎて違和感があるのです。

ベースはともかく(この手のあいまいな引きずるサウンドは好みではない)、ドラムは遅れず突っ込まず、タイムは安定していて、下手ではないのですが(いや、だからといって好みというわけでもないが)、今風のミックスだと、やはり不必要な低音の強さが癇にさわります。

こういうドラム・サウンドが不愉快だから、同時代の音楽を聴かなくなったのでありましてね。ドラムの音に関するかぎりは、前回取り上げたDedicated a Salute to The 5 Royalesのほうが、ずっと癇にさわりません。いや、プレイではなく、サウンド、レコーディング、ミキシングの話をしているので、誤解なきよう。

しかし、また相対的な話になってしまいますが、フィーリクスのこのひとつ前のアルバム、Dreams in Motionにくらべれば、こちらのほうがまだしもです。あれを割らなかったのは、ディーン・パークスのいいプレイがいくつかあったからにすぎません。

さらに一曲、こんどはインストゥルメンタルです。なんたって、スティーヴ・クロッパーはMG'sのギタリストなのだから、やはりインスト曲が楽しみです。

Steve Cropper & Felix Cavaliere - Love Appetite


しつこくドラムの話になりますが、プレイはそこそこの出来ではあるものの、やかましくて張り倒したくなります。いまどきはこんなものだとは承知していても、フィーリクスとスティーヴ・クロッパーの盤のドラムとベースが下品なのは、やはり嬉しくありません。

この曲を聴いて、MG'sを思い出しました。

Booker T. & The MG's - Be Young, Be Foolish, Be Happy


これはプレイ・アロングするとじつに楽しい曲です。やっぱりMG'sはいいなあ、とため息がでます。アル・ジャクソンとダック・ダンには本物のガッツがあり、腰の据わったプレイをしているから、飽きが来ないのです。そのことを再確認しました。小手先でプレイするような輩ばかりになって、こういう退屈な時代ができあがってしまったのです。

もう一曲聴きます。

Steve Cropper & Felix Cavaliere - Imperfect World


楽曲の出来から見ると、これはOKです。といっても、シングルはこれだ、というものは見あたりません。その点で、フィーリクスの前のアルバム、Dreams in Motionと同程度のレベルです。

ラスカルズ並、なんて贅沢はいいませんが、ベアズヴィルからのソロ・デビュー盤、いや、それも贅沢かもしれないので、Castle in the Airぐらいの楽曲の出来なら、と思います。まあ、楽曲貧困の時代が何十年もつづいているのだから、いまさら嘆いても詮無いことですが。

ポップ・ミュージックというのはそういうものだからやむをえませんが、プロデューサーのひとりは、年をとったかつてのラスカルズやMG'sのファンではなく、若い世代を念頭においていたのでしょう。ラスカルズ・ファンやMG'sファンが聴くと、失望とはいわないまでも、遠い他人事のように感じ、改めてラスカルズやMG'sの盤を引っ張り出したくなるでしょう。

スティーヴ・クロッパー・シリーズは次回もつづきますが、本日はここまで。お別れは、生まれたときからエンディング・テーマ、かつてFENのKantoh Sceneのエンディングで毎日聴いていたあの曲です。まったく、何度プレイ・アロングしたことか!

Booker T. & the MG's - Time Is Tight (45 ver.)



Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう



スティーヴ・クロッパー&フィーリクス・カーヴァリーア
Nudge It Up a Notch
Nudge It Up a Notch


ブッカーT&ザMG's(3CDセット、Time Is TightはLPヴァージョンとライヴ・ヴァージョンを収録)
Time Is Tight
Time Is Tight


スティーヴ・クロッパー(CD)
Dedicated a Salute to The 5 Royales
Dedicated


スティーヴ・クロッパー(LP)
Dedicated a Salute to The 5 Royales [Analog]
Dedicated [Analog]
by songsf4s | 2011-10-05 23:51