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2011年 09月 04日 ( 1 )
The Better of the Dave Clark Five オブスキュア・トラックから見たDC5 その2
 
昨日、ツイッターには書いたのですが、先月下旬に、ジェリー・リーバーが没したそうです。

何度も追悼記事を書いたせいで、そういう話をするのはやめようと思いました。自分自身が年をとって、死の可能性が高まっているのだから、これから、かつて好きだった人たちの死はどんどん増えていくことを覚悟せざるをえず、気が重くなったのです。

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ジェリー・リーバー(左)とマイク・ストーラー。伝記映画を作るなら、中年以降のジェリー・リーバーはロバート・デニーロに演じてもらいたい。

しかし、「ロックンロールをつくった男たち」の片割れの死となると、さすがに、感慨があります。昨日はNYタイムズとLAタイムズの追悼記事を読みました。やはりアメリカ現代史の偉人の死だけに、どちらもよく調べた丁寧な記事でした。

この二つがあれば、とくにわたしがなにか書く必要もない、リーバー&ストーラーの伝記すら読んでいない人間にたいしたことが書けるはずもない、と思わなくもないのですが、できれば、いずれ、ジェリー・リーバーの仕事についてなにか書こうと思っています。

◆ ワイルド・ウィークエンド ◆◆
さて、ベター・オヴ・ザ・デイヴ・クラーク・ファイヴの二回目です。

前回は間違いだらけの状態で公開することになり、公開してから必死で直し、どうにか文章として格好がついたのは午前二時のことでした。それまでの二時間のあいだにいらした五十数人のお客さんには、お詫び申し上げます。

最後の四曲は二〇分ほどのあいだに選んで探して貼りつけて書くというスクランブル、文字校もせずにアップしたくらいで、書き忘れが山ほどありました。自分自身のための覚え書きとして、今後、書き落とさないようにがんばれよ、というリストを。

・ベースのアレンジ
・エコーの問題
・EMIとの契約
・なぜLPリイシューがなかったか
・なぜ忘れられたか
・ソングライターとしてのレニー・デイヴィッドソン

てなあたりを、今後、徐々に書いていこうと思います。

それでは、本日はバラッドではなく、ロッカーでスタートします。デイヴ・クラーク&マイク・スミス作、映画『五人の週末』の主題歌。

The Dave Clark Five - Having a Wild Weekend


デイヴ・クラークは、マックス・ワインバーグに、ドラムがフロントのバンドなんてほかにはなかった、といわれ、だって、マイク・スミスが、俺はフロントなんかイヤだ、というから、しかたがなかったんだ、と答えていました。

このクリップにはそれがよくあらわれています。フロントであるはずのスミスが、いちばんうしろで歌っているんですから、笑っちゃいます。シャイな人だったようですが、しかし、ロン・ライアンは、戦争中に生まれた労働階級の子どものつねで、マイクはファイターだった、といっています。いや、むろん、シャイであることと、ファイターであることは矛盾しませんが。

主題歌と書きましたが、これははじめから意図されたものではなく、英版ではCatch Us If You Canといっていたものが、米版ではHaving a Wild Weekendと変更されたために、結果的にこの曲がテーマになってしまっただけです。

しかし、盛り上がる曲です。マイク・スミスの力量が遺憾なく発揮されていますし、DCもこういうストレートな曲ではいいドラミングをします。「フライパンを叩いたような」といわれたスネアのハイ・チューニングがぴったりはまるタイプの曲です。

大ヒット曲は避けようと思ったのですが、DC5を知っているのは、わたしらの世代が最後、後年のリイシューというのはわたしが知るかぎり一回だけ、それもベスト盤のみだったので、わたしらの世代にとっては自明の曲でも、いまではまったく自明などではないでしょうから、『五人の週末』の大ヒットした本来の主題歌も聴いてみましょう。

レベルが低くて聴きにくいのですが、映画からとったクリップにしました。タイトル・シークェンスです。デイヴ・クラーク&レニー・デイヴィッドソン作。

The Dave Clark Five - Catch Us If You Can


小学校のとき、このスネアの三連がたまらなく好きでした。いかにも十二歳の子どもが好みそうなサウンド、プレイです。DC5はしばしばハーモニカを使いましたが、この曲がもっとも成功した例でしょう。

小さなことですが、イントロのフィンガーティップスを聴くと、エコーのかけ方がみごとだと改めて感心します。デイヴ・クラークは、もっとも影響を受けたミュージシャンとしてフィル・スペクターをあげています。さもありなん、です。

1963年から68年という彼らの全盛期のエンジニアはエイドリアン・ケリッジという人で、現在のベストCDも、クラークとケリッジがリマスターしたとあります(エンジニアの名前は、コメントでtonieさんのご指摘を受けて修正。あとから過去の記事を調べたら、自分でエンジニアのことを書いていたので、それを再利用した!)。

この曲は日本でも(「若さをつかもう」という恐るべきタイトルで!)かなりエア・プレイがありました。わたし自身、DC5というバンドを認識したのはこの曲を聴いてのことで、すぐにEPを買いました。

そのEPには、ほかにHaving a Wild Weekend、I Like It Like That、そして残るもう一曲はクリップでどうぞ。本日最初のバラッドにして、わがオールタイム・フェイヴ、デイヴ・クラーク&マイク・スミス作。

The Dave Clark Five - Hurtin' Inside


中学のバンドでDC5のものを二曲やりました。Come HomeとこのHurtin' Insideです。Come Homeをやったのは、コードが単純(C-Am-F-Gタイプ)でテンポが遅い、したがって中学生にもできそう、という面が多分にあって、とくにフェイヴというわけではありません。

しかしHurtin' Insideは、その後も、このときのバンドメイトと会い、ギターがあれば、よく歌いました(近ごろ歌っていないな、Mよ)。循環コード依存のわかりやすい進行なのですが、循環コードをうまく組み合わせて使えるのもソングライターの才能のひとつです。

つぎもバラッド、ふたたびデイヴ・クラーク&マイク・スミス作、こちらはちょっとコードが複雑です。

The Dave Clark Five - Your Turn to Cry


すばらしい! オルガンの使い方、メロディーラインとコードの意外性(お得意のオーギュメントの導入)、そして甘さ控えめの乾いた叙情性、これこそがプリ・サイケデリック時代の音楽だ、といいたくなります。

「サイケデリックの断層」というものがありました。1967年を境にして、音楽タイプ、サウンドの手触り、楽曲の構造と外観、そしてパフォーマーが大きく変化し、1967年以降、急速に人気を失っていた「被害者」がたくさん生まれました。ロックンロールが直面した、大人になるための通過儀礼といっていいでしょう。

デイヴ・クラーク・ファイヴは、「サイケデリックの断層」を越えられなかった代表的アーティストです。古めかしい音楽スタイルに固執した、と断じることもできるでしょうが、これだけ時間がたってしまうと、その時代その時代の「明日への意思」など、どうでもいい塵芥に見えます。大事なのは音そのものの手触りだけです。

サイケデリックの断層を越えられなかったおかげで、それ以前の、わたしにとってはもっとも音楽的に幸福だった時代の空気が、彼らの音楽には真空パックされていると感じます。

なかでも、とりわけあの時代を空気を濃厚をまとった曲がありますが、このYour Turn to Cryなどはその代表で、当時は知らず、90年代のCDリイシューではじめて聴いたにもかかわらず、ああ1965年だ、横浜の裏町を徘徊し、楽器屋の前に立ち尽くし、若葉町の三本立て映画館でナポレオン・ソロを見ていた十二歳の俺がこの歌のなかにいる、と涙が出そうになりました。

そして、つくづく思うのです。日々サウンドが変化した時代は、毎日が興奮だったが、でも結局、サイケデリックもウッドストックも、なくてもいっこうにかまわなかった、1965年のほうがずっと楽しかった、と。

しかし、冷静になれば、時代の変化のなかでさまざまなものが失われ、忘れられていくからこそ、過去への執着が生まれ、当時は当たり前に思っていたものが、じつはソリッド・ゴールドだったことを認識できるのだから、このディレンマは受け入れるしかないという諦念にいたります。

オブスキュアという看板を裏切ってしまいますが、つぎはアップテンポのヒット曲を。といってもマイナーコードですが。デイヴ・クラーク&マイク・スミス作。

Dave Clark Five - Try Too Hard


これは1966年に買ったベスト盤の収録曲のなかでも、とくに好きなトラックでした。スネアをいつもより少し低いチューニングにして、でもいつものように四分三連と、さらにストレート・シクスティーンスも織り交ぜて攻めるドラミングは、いま聴いてもDCらしい、いいプレイだと思います。

四分で押し通すとベースとキック・ドラムとそれにかぶさるピアノがつくる直線的なグルーヴ、そして、マイク・スミスを中心に全員一丸となった典型的なDC5コーラスを両輪に、力強く突き進むのを聴いていると、DC5はもともとサッカー・クラブだったというデイヴ・クラークの話を思い出します。

毎回、LP片面分、すなわち六曲はやろうと思っているのですが、つぎが今日の六曲目です。デイヴ・クラーク&マイク・スミス作。

Dave Clark Five - New Kind of Love


この記事の冒頭のほうで、DC5のベースのアレンジのことを書くのだ、と宣言したのに、前回と異なり、その話題にふさわしい曲が出てきませんでした。やっと最後に登場です。

この曲のイントロで(いや、その後も同じプレイをしているらしいのだが、歌が入ってくるとわかりにくくなる)、リック・ハクスリーは部分的に16分を使っています。

こんな変なスタイルのベースは、DC5以外では聴いたことがありません。そして、彼らはしばしばこのアレンジを使っているのです。前回取り上げた曲では、Sometimesがそうですし、To Meでも16分を使っていました。

わたしは、これはレニー・ハクスリーのスタイルというより、プロデューサーのデイヴ・クラークの好みだったのだと考えています。スペクターに私淑しただけに、さまざまな面で、人のやらないことをやり、独特のサウンド構築をした人なので、無意識におかれた音などあるはずがなく、すべては計算の結果として配置されたに違いありません。

まだComplete Historyの二枚目までしか来ていないのですが、気長に進めることにして、以下、次回へ。


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Vol. 1-Glad All Over/Return!/American Tour
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by songsf4s | 2011-09-04 23:21 | ブリティシュ・インヴェイジョン