人気ブログランキング |
2011年 08月 15日 ( 1 )
クライム・ギターズ: 60年代スパイ、クライム映画音楽
 
このところ無休でやっていたので、たまにはいいかと昨夜はのんびりしていたのですが、なにもしなくても、いちおう当家を開いてみようというお客さんも多数いらっしゃって、そうなると根が貧乏性の小心者、そぞろ落ち着かない心地になります。

どうせ今日はうちにいるのだから、久々のリアルタイム更新をしようと思います。午前中の二時間ほどを使って、曲を並べてみます。が、そのまえに、ちょいと落語を。

今日はそっちのほうに行くつもりはないのですが、8月15日とくれば(大東亜戦争ではなく)怪談だなあ、とひとりごちました。桂小南で知ったのではなかったかと思うのですが、ユーチューブにはこの人のものがありました。

桂枝雀「皿屋敷」


多くの落語がそうですが、骨格だけを取り出せば、この「皿屋敷」も短い噺です。どう引き延ばすのかと興味深く聴きましたが、なるほど、やはり演出の仕方にはその人の地が出るもので、いかにも枝雀らしい肉付けでした。

もうひとつ、こんどはお江戸のほうで、のちの六代目三遊亭圓生によるものがありました。SP盤なら短いから骨格の明瞭なものだろうと思って聴いたのですが、予想はみごとに外れました。

三遊亭圓生(橘家圓蔵)「皿屋敷」


エンタツ・アチャコの早慶戦がヒットしたことを受けたものなのか、「皿屋敷」にラジオの実況中継をはめこむという、後年の圓生とは異なったスタイルの演出で、さすがに若いなあ、と思いました。

芝居などでは、皿屋敷は「番町皿屋敷」の外題で、東京の麹町での出来事に置き換えられていますが、もともとは「播州皿屋敷」で、上方からきた伝説のようです。子どものころに映画を見た記憶があるのですが、だれが主演だったかも記憶から飛んでしまいました。

昔、ライノがCrime Jazzという2枚シリーズをリリースしたとき、そういうのは好きだなあ、でも、俺がなじんできたのは、そっち方面ではなく、ポップ/ロック系なんだけど、と思いました。

先日、サーフ・ミュージックを束にして並べたとき、十代はじめの音楽的気分の在処としては、サーフの隣はスパイだ、なんて思いました。今日はそのあたりを、いい加減かつテキトーに思いつきで並べます。

まずはビリー・ストレンジ御大のダノ・リードで、若き日のジェリー・ゴールドスミスの代表作を。



ライノの編集盤のいう「クライム・ジャズ」というのは、ジュールズ・ダッシンの「裸の町」あたりに代表されるようなフィルム・ノワールないしは犯罪映画に付された、ジャズ系の映画音楽を指しているようです。

OSTとしては、ギターをリード楽器にした8ビートのものというのは少ないのですが、しかし、この分野を切りひらいたとも目されるヘンリー・マンシーニの曲は、8ビートでした。ドゥエイン・エディーのカヴァーでその曲を。

Duane Eddy - Peter Gunn


エディーのギター・サウンドは妙にこの曲に合っていて、楽しいサウンドですが、あのギター・リックを繰り返す以外にはやりようがなかったようで、メロディーはサックスが引き受けているところで、思わず笑ってしまいます。

デビュー・ヒットはアリゾナで録音し、あとからハリウッドでプラズ・ジョンソンのサックスをオーヴァーダブしたといわれていますが(こういうのはうっかり信用すると思わぬうっちゃりを食らうことがあるが)、この曲もプラズのプレイだったりするのでしょうか。

ちょいと予定変更で、つぎの曲でいったんおしまいにし、午後、もう何曲か追加することにします。おあとが気になる方は昼下がりにでもまたおいでください。

The Marketts - Batman


またしても、マイケル・ゴードンの名前がくっつけてありますが、泥棒のことは無視してください。ドラムはハル・ブレイン、ギターはトミー・テデスコ、プロデュースはジョー・サラシーノです。

それではここでおなか入り、午後にまた。

さて、後半です。もっと早くはじめるつもりだったのですが、タイトルを忘れてしまった曲を探して、手間取ってしまいました。

タイトルはわかったものの、ユーチューブに目的のクリップはなく、かわりにカヴァーだというクリップがあったのですが、これがほぼ完璧なコピーで、長い時間をかけて本物と比較していたため、手間取ってしまいました。

映画『077/地獄のカクテル』よりDriftin'


これをお聴きになれば想像がつくでしょうが、もとはシャドウズです。わたしだったら、このクリップにシャドウズと書いてあれば、そのまま信じてしまうくらいに完璧にそっくりです。

ちがうのは、イントロのハイハットの途中で、このカヴァーにはキック一打が入っていることぐらいで、あとはミックスによるニュアンスの違い程度しかわかりません。適当にリミックスしたものを、カヴァーといってアップした、というのが、わたしの推測ですが、はてさて。

映画は、中学のときに見たきりで、なんともいいかねますが、くだらねえな、ジェイムズ・ボンドの物真似のなかでもCクラスだ、とせせら笑ったことだけ記憶に残っています。

予告編を貼りつけますが、まあ、見ないほうが賢明だと思います。この記憶から飛んでしまったマット・モンローもどきの主題歌はエンニオ・モリコーネによるもののようです。



二度出てくる屋根から転げ落ちるスタントはがんばっています。イタリアあたりは、危険なことを平気でやる傾向があったので、そのせいじゃないでしょうか。うーむ、なんだかひどい時代に映画少年をやっていたような気がしてきて、落胆しました。

映画やテレビドラマの曲のカヴァーというわけではなく、スパイ映画をイメージした音楽というのもつくられました。わたしとしてはもっとも意外だったのは、この曲がそうだったということ。レズリー・ギターはビリー・ストレンジ、ドラムズはハル・ブレイン、ベースはキャロル・ケイ。

The Beach Boys - Pet Sounds


このメロディーを思いついたとき、ブライアン・ウィルソンの頭にあったのはスパイ映画だったそうで、そういわれれば、そうかもしれないなあ、と思ういっぽう、ずいぶん原型から遠いテクスチャーへと加工したのだろうとも思いました。

たんなる調査不行届にすぎず、映画ないしはテレビの音楽をカヴァーしたものである可能性も残りますが、つぎの曲も、クライム・ストーリーないしはスパイものをイメージしてつくられたものだろうと思います。

Al Caiola - Underwater Chase


けっこうなサウンドで、どうしてアル・カイオラの人気がないのかと不思議です。曲としても魅力的ですし、カイオラのプレイ、サウンドもけっこうなものです。

つづいて、いまもって人気の高いイギリスのドラマのテーマ曲。「プリズナーNo.6」



「秘密情報部員ジョン・ドレイク」の主演だったパトリック・マグーハンの新しいドラマというので、スパイものだと思って見はじめたら、あれですから、中学生はびっくりしました。家族にはひどい不評でした。まあ、そうでしょうね。

以前にも書きましたが、この曲でギターをプレイしたのはヴィック・フリックという人で、ジェイムズ・ボンド・テーマや『ア・ハード・デイズ・ナイト』に出てくるThis Boyのインスト・カヴァー、Ringo's Themeも、フリックのプレイです。フリックはジョン・バリーのバンドでギターを弾いていたそうで、それで映画のテーマをプレイすることになったようです。

それではそのJames Bond Themeを。



やはりよくできたテーマで、曲としてもちょっとしたものですが、ヴィック・フリックのサウンドは耳に残りますし、じっさい、この分野のスタンダードとなった印象があります。

やはりジェイムズ・ボンドのテーマ曲、こんどはビリー・ストレンジのカヴァーで。ドラムズはいつものようにハル・ブレイン。

Billy Strange - Goldfinger


おつぎは、わたしらの世代の子どもがギターをもつと、かならずといっていいほど弾いた曲です。1弦を開放にして、2弦を開放から半音ずつ上げ下げしながら2本の弦を交互にピッキングするだけなので、まだコードもわからないうちに弾けるリックでした。

Sandy Nelson - Secret Agent Man


サンディー・ネルソンの盤でじっさいにドラムをプレイしたのはたいていの場合、アール・パーマーであったことはすでに何度か書きました。この曲も、精確なタイムで、ネルソンのプレイである可能性はゼロ、アール・パーマーと断言します。

サンディー・ネルソンは、フィル・スペクターの知り合いで、彼のデビュー・ヒット、To Know Him Is to Love Himでストゥールに坐ったことで知られます。

ゴールド・スター・スタジオのオーナー、スタン・ロスだったか、デイヴ・ゴールドだったか、どちらかがそのときのことを回想して、ひどいドラマーだった、といっていました。才能あるドラマーは、テクニックは未熟であっても、若いころからタイムだけは精確なものです。

ロスないしはゴールドが、ひどいドラマーだったといったとき、当然、タイムが不安定なことを指しているに違いありません。そんなにひどいタイムのドラマーは、長年プレイしても、タイムが安定することはありません。このSecret Agent Manのドラマーが、名義人のサンディー・ネルソンのはずがない、と断言するゆえんです。

こういう商売のやり方は60年代のハリウッドでは日常茶飯事でした。だから、ヴェンチャーズがスタジオ版とツアー版でメンバーが異なるなんていうのは、べつに驚くようなことではないのですがねえ。いやまったく、疲れることです。

疲れたところで、本日は擱筆します。この続きはやるかもしれませんし、やらないかもしれません。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう



ビリー・ストレンジ(MP3)
Secret Agent File
Secret Agent File


ドゥエイン・エディー(ライノ2枚組)
Twang Thang-Anthology
Twang Thang-Anthology


マーケッツ
Batman Theme
Batman Theme


シャドウズ
Complete A's & B's
Complete A's & B's


ビーチボーイズ(モノ/ステレオ)
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)


ジェイムズ・ボンド編集盤
Best of Bond: James Bond (Score)
Best of Bond: James Bond (Score)
by songsf4s | 2011-08-15 09:25 | Guitar Instro