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2010年 11月 29日 ( 1 )
アル・クーパーのポップ・カヴァーとオリジナル ブラッド・スウェット&ティアーズ篇4

ずいぶん昔のことですが、180グラムLPというのを買いました。あのときは、なんだかLPの断末魔みたいに見えましたが、時代はひとめぐりして、CDは死滅し、生き残るのはLPになりそうな雰囲気が出てきて、じつに喜ばしいかぎりです。CDを捨て、LPを買いに町に出よう、盗作也。

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最近のLPというのをちょっと聴いたのですが、リッパーがキッチリ仕事をすると、ものによってはいい音になります。とくに大編成のものは、管でも弦でも、こんな音だったのか、と驚いてしまいます。

それもこれも、PCとディジタル・オーディオの進化のおかげなのだから、不思議なものです。ディジタルが行き着いてみたら、ディジタル・メディアの元祖であるCDは疎外され、アナログ・オーディオの親玉であるLPが浮上したのですからね。リッピングとロスレス圧縮が、この逆転劇の立役者です。

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もうひとつ、ノイズ・リダクション技術の進歩も見逃せません。ついこのあいだまではこれが大いなる問題だったのですが、最近、何人かのリッパーの仕事を聴いて、数万円程度のソフトで劇的に改善されることがよくわかりました。

残された問題は、リッピングの手間、時間、つまりコストです。当家のお客様、南港のセンセのように、引退したらリッピングにいそしむなどという方もいらっしゃいますが、つまり、そういうことなんです。引退したらいそしむとは、すなわち、引退するまではいそしめない、なのです(そのわりには何枚もリップしたなあ、あのセンセは)。

そのへんは世界中のリッパーの協力でなんとかしていただくしかないですね。じっさい、どこのどなたか知りませんが、昨日はよそさんのすばらしいリッピングでムーディー・ブルーズのDays of Future Passedを聴いて、のけぞったばかりです。オーケストラはLPリップにかぎります。

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わたしも、唯一保存しておいた、ボビー・ウィットロックのデビュー盤のWAVファイルをFlacにしてみましょうかね。

◆ So Much Love~Ending ◆◆
さて、終わりなきシリーズ、アル・クーパーのカヴァーとオリジナルも、今回をもって終了です。最後の曲は、BS&TのChild Is Father to the Manのエンディング、So Much Loveです。

サンプル Blood Sweat & Tears "So Much Love"

なによりもハモンドのサウンドが耳を引っ張ります。とくに、中音域から低音域のmenaceなサウンドがすばらしく、レスリー・スピーカーの威力を見せつけています。

高校のとき、部室にハモンドがおいてあったのですが、レスリーがついていないので、なんの役にも立たず、チューニング・メーターとして使っていました。B3やC3ではなく、もっと安いやつでしたが。

その後、お茶の水の楽器屋の店頭に中古のB3があるのを見ましたが、レスリー込みで130万。ギブソンL6だって60万の時代ですよ。すげえな、と思って眺めているうちに、電源ランプが点灯していていることに気づきました。そして、駿河台の喧噪のなかでも、レスリーがジュワーと派手なノイズを出しているのが聞こえてきて、おー、スピーカー回転中だ、てえんでドキッとしました。

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レスリー・スピーカー(ロータリー・スピーカー)構造図。上段で回転しているのはトウィーター、中段にはウーファーがある。下段で回転しているのはスピーカーではなく、ウーファーの「反射板」のようなもの。これでウーファーの音にサイクルをあたえる。

まるで万引きでもするような感じで(移動にフォークリフトが必要な楽器をどうやって万引きするんだ)、そっと手を伸ばして、Cを押したら、レスリー独特の太い音が流れ、うわあ、と叫びそうになりました。プレイしたわけではなく、ただ音を出しただけで感動したのはあのときだけです。いやホント、レスリー・スピーカーは天下無敵の音が出ます。逆にいうと、レスリー抜きのハモンドは純音に近い退屈な音で、スケートリンクのBGMしかつくれません。

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なんの話なのかわからなくなりましたが、アル・クーパーのオルガンのなかで、So Much Loveのサウンドがもっとも好ましい、ということがいいたかっただけです。

◆ またソフトクリーム頭 ◆◆
So Much Loveのオリジナルと思われるのは(前回はまちがえたので、今回は国会答弁のように逃げ道をつくった)、ベン・E・キングのヴァージョンです。あまり好きではないので、できればYouTubeですませたいのですが、残念ながらだれもアップしていないので、自前のサンプルをいきます。

サンプル Ben E. King "So Much Love"

まあ、悪くはないのですが、あのころのNYはこんな音ばかりで、またか、です。ライチャウス的なベースは、頂戴物ではありますが、まあ、いいと思います。気に入らないのは、まずティンパニー。こんな馬鹿デカいバランシングは変でしょうに。

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ドラマーも下手です。ストップタイムからの戻りのスネアがドスンバタンして、思いきりコケました。ベニー・キングのレギュラーはゲーリー・チェスターのはずですが、この日はだれかべつの人だったようです。

先行ヴァージョンとしては、ほかにパーシー・スレッジ盤があるそうですが、これは聴いたことがありません。

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後続ヴァージョンとしては、どういうわけか、Just One Smile同様、ダスティー・スプリングフィールドのものがあります。

しかも、Just One Smileと同じく、Dusty in Memphis収録です。これはどういうことでしょうね。BS&Tのデビュー盤に収録されたカヴァーを2曲もやるというのは、偶然には思えないのですが……。

サンプル Dusty Springfield "So Much Love"

わたしはダスティーのファンではないので、彼女のヴォーカルのことはあれこれいわずにおきます。こういう言い方というのは、もちろん、好きじゃないことの婉曲表現です、なんてよけいなことはいわないほうがいいんだってば>俺。

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トラックについては、悪くないと思います。とくにストリングスのサウンドはちょっとしたものです。ジーン・クリスマンのドラミングもけっこうです。突っ込まないきれいな4分3連が魅力的。

◆ サンプル総集編 ◆◆
めずらしく時間の余裕があるので、サマリーなどやらかしてみます。すなわち、このシリーズでとりあげた曲のなかで、どれがとくに好みであるか、アル・クーパーのカヴァーと、先行ヴァージョンに分けてリストアップしてみようと思うのです。

まずアル・クーパーのカヴァーから。おおむね好きな順に並べました。

サンプル Al Kooper "Medley Oo Wee Baby, I Love You/Love Is a Man's Best Friend"

サンプル Al Kooper "Hey, Western Union Man"

サンプル Al Kooper "Too Busy Thinkin' 'bout My Baby"

サンプル Al Kooper "She Don't Ever Lose Her Groove"

サンプル Blood Sweat & Tears "Without Her"

サンプル Al Kooper "Monkey Time"

サンプル Blood Sweat & Tears "Just One Smile"

サンプル Michael Bloomfield & Al Kooper "Together 'til the End of Time"

サンプル Michael Bloomfield & Al Kooper "That's Alright Mama"

サンプル Al Kooper & Michael Bloomfielf "Stop"

サンプル Al Kooper & Michael Bloomfield "Man's Temptation"

サンプル Michael Bloomfield & Al Kooper "Green Onions"

サンプル Al Kooper "Toe Hold"


つづいて、オリジナルまたは先行ヴァージョンで好きなものを、こちらもだいたい好きな順で。

サンプル Fred Hughes "Oo Wee Baby I Love You"

サンプル Tim Buckley "Morning Glory"

サンプル Marvin Gaye "Too Busy Thinking about My Baby"

サンプル Jerry Butler "Hey, Western Union Man"

サンプル The Spencer Davis Group feat. Steve Winwood "Together 'til the End of Time"

サンプル Major Lance "Monkey Time"

サンプル Howard Tate "Stop"

サンプル Gwen McCrae "He Don't Ever Lose His Groove"

サンプル Wilson Pickett "Toe Hold"

以上、アル・クーパー関連は今回で完了です。次回は……なんにも考えていませんが、この企画からのスピンオフになるかもしれません。


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by songsf4s | 2010-11-29 22:22