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2010年 09月 06日 ( 1 )
二人の誓いのように木々の緑も色褪せる レスリー・ゴアのThe Things We Did Last Summer
タイトル
The Things We Did Last Summer
アーティスト
Lesley Gore
ライター
Sammy Cahn, Jule Styne
収録アルバム
It's My Party
リリース年
1965年
他のヴァージョン
Frank Sinatra, Dean Martin, Shelley Fabares, the Beach Boys
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今夜は鈴木清順『野獣の青春』を休んで、再び夏の終わりの歌を聴いてみます。一昨昨年の九月にフランク・シナトラのヴァージョンを看板に立てて記事にした、The Things We Did Last Summerです(歌詞などはオリジナル記事をご参照あれ)。

ただし、ちょっとだけインチキがあって、本来なら夏の終わりや秋の初めの歌ではなく、晩秋か初冬の歌と分類するほうがいいかもしれません。その理由はあとで書くとして、自前サンプルに行く前に、まずYouTubeのクリップからどうぞ。

フランク・シナトラ


The Things We Did Last Summerは、タイトルが明快に示しているように、夏の歌ではなく、「夏を回想する歌」なのですが、このクリップの作り手は、単純な夏の絵で構成しています。工夫足らず。

そもそも、わたしがもっているコロンビア時代のシナトラのThe Things We Did Last Summerとは微妙に音がちがっていて、なんだか尻がむずむずしますが、まあ、いいか、と思考停止。どれくらいちがうか、サンプルで示したほうがいいのでしょうが、残念ながら、これまでの数字を見るかぎり、当家におけるフランク・シナトラの人気はきわめて薄いのです。

シナトラと来れば、ラットパックのもうひとり、ディーン・マーティンです。

ディノ The Things We Did Last Summer


おみごと。ディノの「世界を手に入れた男の余裕」みたいなものはどこから来るのか、歌という次元を超えたところで成立している芸だと、毎度感嘆します。

ディーン・マーティン盤The Things We Did Last Summerは、じつは、当家ではしつこく賞賛した彼の代表作、A Winter Romanceに収録されています。タイトルが暗示するように、これは実質的なクリスマス・アルバムです。なぜそういうことになるかといえば、

The things we did last summer
I'll remember all winter long


というコーラスのリフレイン、「冬のあいだずっと忘れないだろう」というラインの解釈の仕方によっては、The Things We Did Last Summerは「初冬の歌」に分類できるからです。

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◆ レスリー・ゴア ◆◆
さて自前サンプルは、まずレスリー・ゴア盤から。

サンプル Lesley Gore "The Things We Did Last Summer"

トレブルをきかせたうえでリヴァーブをかけたベースのトーンが魅力的ですし、アコースティック・リズムの響きも悪くありません。ストリングス・アレンジメントも好み、薄い女声コーラスもいいし、ステレオ定位も文句なし。けっこうなトラックです。レスリー・ゴアもほめたいところですが、ファンとしては大満足とはいかず、アヴェレージの出来、という感じです。

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遊園地でのくだり、

The bell I rang to prove that I was strong

をそのまま女の子が歌うとアマゾネスになってしまいます。まあ、いまならばこういう「強いところを見せちゃおう」という女の子もたくさんいるかもしれませんが、古き良き時代の女性は筋肉を誇ったりはしなかったので、レスリーは、

The bell you rang to prove that you were strong

と、二人称be動詞の過去形も正しく、「あなたが強いところを見せようとして鳴らした鐘」と替えて歌っています。史上最初のフェミニズム・ソングといわれることもある、You Don't Own Meを歌ったレスリーですが、男と対立したときのタフなアティテュードは肯定できても、デートのときに力自慢なんて、やはり利口な女のすることじゃないでしょうね!

◆ シェリー・ファブレイ ◆◆
もうひとり、レスリーよりデビューの早かったシェリー・ファブレイのヴァージョンもサンプルにしました。

サンプル Shelley Fabares "The Things We Did Last Summer"

シェリー・ファブレイは、叔母さんのナネット・ファブレイほどシンガーとしての才能はなく、あくまでも「アイドルの義務」で歌っていたようなところがあります。そのぶん、裏方は一所懸命に仕事をする必要があって、どのトラックも聴きどころがあります。いや、ヴォーカルはほうっておきましょうや。過ぎ去った楽しい夏の想い出を一抹の哀しみとともに振り返っている歌詞なのに、そんなことおかまいなしの、おっそろしく軽い味で、なるほど、アイドルはこうでなくちゃな、としかいいようがありません。

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シェリー・ファブレイ盤The Things We Did Last Summerでいちばん好きなのはハイハットです。うまいし、いい音だし、文句なし。ベルや端や、叩く位置を細かく変える技を駆使した、じつに地味な大人のプレイです。だれでしょうね。シェリーのトラックでは、初期にはアール・パーマーが、のちにはハル・ブレインがプレイしたことがわかっていますが、シンバルだけなので、見当もつきません。山勘の丁半バクチをやるなら、アール・パーマーに持ち金の半分を張ります。

時間がないので、ここまででいったんアップしますが、サンプルはもうひとつ用意しています。

◆ ビーチボーイズ ◆◆
さて、最後のヴァージョンはビーチボーイズです。いや、とくに出来がいいわけではないのですが、当時はリリースされなかったため、後年の編集盤でしか聴けないので、サンプルにする価値があるだろうと考えました。

サンプル The Beach Boys "The Things We Did Last Summer"

ボックスを手放してしまったので、データがわからないのですが、サウンドから考えて、1964年のクリスマス・アルバムのアウトテイクと思われます。ディーン・マーティン同様、冬の歌という解釈なのでしょう。


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レスリー・ゴア
It's My Party
It's My Party

シェリー・ファブレイ
Shelly / Things We Did Last Summer
Shelly / Things We Did Last Summer


ディノ
Winter Romance
Winter Romance


シナトラ
Best Of Columbia Years 1943-52 [4-CD SET]
Best Of Columbia Years 1943-52 [4-CD SET]


ビーチボーイズ
Good Vibrations: Thirty Years Of The Beach Boys
Good Vibrations: Thirty Years Of The Beach Boys
by songsf4s | 2010-09-06 23:49 | 過ぎ去った夏を回想する歌