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2010年 02月 06日 ( 1 )
You're Going To Lose That Girl by the Beatles
タイトル
You're Going to Lose That Girl
アーティスト
The Beatles
ライター
John Lennon, Paul McCartney
収録アルバム
Help!
リリース年
1965年
他のヴァージョン
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結婚詐欺殺人事件の報道を読んで、アイリッシュだね、と思いました。ウィリアム・アイリッシュの『暗闇へのワルツ』(Waltz into Darkness)です。

映画も見た記憶があるので、検索したら『暗くなるまでこの恋を』という邦題でした。フランソワ・トリュフォー監督、ジャン=ポール・ベルモンドとカトリーヌ・ドヌーヴの共演。ベルモンドは、現実の殺人事件とは異なって、ドヌーヴがニセモノと気づき、そして、殺されることを覚悟する、というか、ニュアンスとしてはむしろ「殺されることを望む」男という役だったと記憶しています(記憶違いはしじゅうのことなので、あてにならないが)。ウィリアム・アイリッシュらしい、孤独と愛についての甘美な物語、というあたり。死と愛は兄弟ですから。

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『暗くなるまでこの恋を』

どうして日活はアイリッシュ原作で映画を作らなかったのでしょうか。日活向きのストーリーがいくつかあると思います。「青いリボン」を小高雄二と石原裕次郎なんて配役でどうですかね? 『幻の女』を川地民夫と芦川いづみなんてのもいいんじゃないかと思います。

◆ You're Going to Lose That Girl ◆◆
さて、今日こそはビートルズ・シリーズをフォールに持ち込もうと思います。またしてもリストをコピーしておきます。

No Reply
I'll Get You
You're Gonna Lose That Girl
I'll Be Back
All I've Got to Do
Ask Me Why
I Should Have Known Better
Yes It Is
How Do You Do It
I Will
I Don't Want to Spoil the Party
What Goes On
If I Fell
You Won't See Me


Help!のLPは、1965年のクリスマスに買ってもらったのだと思います。日本でのリリースから3カ月後ぐらいのことのようです。小学生なので、LPなど特別なことがないかぎり買ってもらえなかったのです。あの時点での最新アルバムだから選んだのでしょう。

映画のほうの『ヘルプ!』は翌年の3月に、A Hard Day's Nightとの二本立てで見ました。映画を見たくらいであれほど興奮したのは後にも先にもあのときだけです。

映画としての出来は『ア・ハード・デイズ・ナイト』のほうがいい、というのが定説のようになっています。まあ、そうかもしれないと思うのですが、いっぽうで、待てよ、とも思います。リチャード・レスターという映画監督の野心のおかげもあって、たまたま『ア・ハード・デイズ・ナイト』は印象的なショットに満ちたすぐれた映画になりましたが、よく考えると、それは付録、余録にすぎません。

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あれはなんのためのものだったかといえば、ファブ4のライヴを見ることのできない土地にいるファンに、彼らのすがたを見せるための「アイドル映画」です。「アイドル映画」だとするとなら、わたしはカラーであるべきだと思います。

『ア・ハード・デイズ・ナイト』をモノクロにしたのは、イギリス人らしい韜晦ぶりで、それはそれでけっこうですが(いや、実態は、予算がなかっただけかもしれないが)、「アイドル映画」としては、『ヘルプ!』のほうがずっと楽しい仕上がりだと思います。さらにいうと、カラーのおかげで、「ミュージック・ヴィデオの先駆」という性格もいっそう明瞭になっています(そのまえにエルヴィス映画があるが)。

ミュージック・ヴィデオとして『ヘルプ!』を見ると、どの曲のシーンもすばらしいのですが、小学校六年生の心拍数がもっともあがったのは、You're Going to Lose That Girlでした。



なんといえばいいのか、「バンドのロマンティシズム」とでも呼びますか、照明に工夫を凝らしたこのレコーディング・シーンはじつに浪漫的で、子どもはこれを見て「俺もバンドをやろう」と決心しました。

地下に落ちたリンゴを見て、大丈夫か、などと当たり前のことはいわず、「ノイズの犯人はおまえだったんだな、悪い奴だ」というのも、ジョン・レノンらしい台詞で、ビートルズ映画の魅力のひとつは、際だった個性を持つ4人にあてて、ちゃんとシナリオを作った点にもあったと思います。ほとんどのアイドル映画はシナリオに工夫がないので退屈しますが、ビートルズの2本は4人が「それらしく」描けていました。

You're Going to Lose That Girlをビートルズの代表作という人はいないでしょうが、映像との組み合わせによって忘れがたい一曲になりました。

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◆ You Won't See Me ◆◆
この曲もベスト14にあげるのはわれながらどうかと思います。ほかに聴くべき曲は山ほどあるような気がするのですが、所詮、好き嫌いは理屈ではないので、いかんともしがたいのです。



イントロやヴァースは、まあ気にしないでください。いや、イントロのリンゴのドラミングは昔から好きですけれどね。スネアとハイハットのユニゾンで4分×2、タムタムの8分×4というシンプルなフレージングですが、きれいにキメています。

問題はミドル・エイト(アメリカではふつう「ブリッジ」と呼ぶが、ジョンやポールはこちらのタームをつかうことが多い)です。ミドル・エイト前半も、ヴァースより魅力的ですが、この曲を忘れがたいものにしているのは、最後のライン「if I knew what I was missing」に呼応して、ジョン・レノンが歌う「no I wasn't, no I wasn't」です。

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これはいっぽうで、ジョンとポールが同じラインをいっしょに歌う「デュオ」の時代が終わったことを象徴してもいます。以後、二人のインターアクションは、この曲のようなコール&レスポンスの形をとったり、Rubber Soulと同時期に録音されたシングル、We Can Work It Outに端的にあらわれているように「つくった人間が歌う」という原則で、ヴァースはポール、ミドル・エイトはジョンというような、棲み分けが基本になっていきます。

好ましいのはもちろん、「デュオ」のほうです。しかし、バッキングにまわったときのジョン・レノンの「食う」力に気づくのも、Rubber Soulからでした。短いだけに、You Won't See Meの「no I wasn't, no I wasn't」の印象は鮮烈で、いまもこのラインが聴きたいばかりにこの曲をプレイヤーに載せます。

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◆ What Goes On ◆◆
どのインタヴューだったか、ジョン・レノン自身がWhat Goes Onをくだらない曲といっていました。いつも「いい曲なら自分で歌う」といっています。だから、ジョージにやったI'm Happy Just to Dance with Youも気に入っていなかったことになります。ジョン・レノンの自作の好き嫌いは、しばしば歌詞にポイントがあるので、その点にバイアスがかかっていることを意識して読む必要があるのですけれどね。歌詞が思い通りにならなかった曲は嫌いなのです。

例によって、代表作なんていっちゃいかんと自分でも思います。しかし、あるムードないしはセンティメントがあり、Rubber Soulのことを思うと、この曲がまず頭に浮かびます。



考えると、あの当時は、とくにこの曲が好きだったわけではなかったと思います。嫌いではないけれど、とくに好きでもない、というあたりでした。Rubber Soulは、特定の楽曲の際だった魅力よりも、トータルなサウンドとして「あの場所=soundscapeにいた記憶」を強く残すという稀なタイプのアルバムです。

こういういわば「ある空間を明瞭に表現したサウンド」は、小分けにしないで「そのまままるごと」にしておいたほうがいいのだと思います。しかし、しいていうと、「あの場所にいた記憶」が、わたしをどの場所に戻りたがらせるかというと、What Goes Onです。

そして、その原因はなにかと考えると、ヴァースにおけるウーアー・ハーモニーと、コーラスにおけるジョン・レノンの上のハーモニーなのです。

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Rubber Soulは、日本ではわたしが小学校を卒業し、中学にあがるときにリリースされました。中学になって寮に入ったため、丸ごと環境が変わり(しかも校舎も寮も新築、つねに靴の生活、上級生はゼロ、われわれの学年だけという、あまり経験できない環境)、その状況に適応しようと必死になっていたときに、つねに頭のなかで流れていたのがRubber Soulだったという、いたってプライヴェートな事情もあります。ほかの人には関係ないこととはいいながら、しかし、ある歌が好きだというのは、詰まるところ、そういう自分の置かれた時空間および精神空間の関数にほかならないとも思います。

◆ I Will ◆◆
またまた小品です。ビートルズの曲というより、ポール・マッカートニーの曲というべきかもしれません。どの曲のことだったか、ジョン・レノンが「ポールはああいうギターでやるジョン・デンヴァーみたいな曲が得意じゃないか」と皮肉っぽくいっていましたが、I Willもその定義が当てはまりそうです。



わたしの場合、White Albumからビートルズは「よそのバンド」になりました。ラジオをつければなにかしらヒットしていたから、ビートルズがなにをしているか知ってはいましたが、関心はなくなりました。White Albumもリリース時点では買わず(あのころは欲しいものが山ほどあり、ビートルズにまで手がまわらなかった)、半年後ぐらいに、後輩から500円で買ったものの、値段にふさわしく、あまり聴きませんでした。

それがいつごろからでしょうか、たぶん十数年ほど前、「散歩の友ベストテン」に突然チャートインし、以来、しばしば歩きながら歌っています。ポールがつくった数々のバラッドのなかで、もっとも嫌味のない、あっさりした甘みのあるいい曲だと思います。

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ビートルズの曲というのはつねにそうですが、細部に工夫があり、それが積もり積もって、総体としてきわめて稀なサウンド・スケープを形成していると思います。「ただやっただけ」というトラックが目立つのはLet It Beだけでしょう。I Willでいえば、やはりなんといっても、ブリッジのそばで強くピッキングしたように聞こえるアコースティック・ギターのオブリガートです。

後年のポールのソロによるこの曲のライヴがあります。アコースティックはただコードをストロークしているだけで、面白くもなんともないのですが、逆にビートルズ・ヴァージョンの美点を浮き彫りにしてもいます。

また、ポール自身が歌っていると思われるベース・パートというか「くちベース」も効果的で、こういうささやかなアイディアを添え木としてトラックを強くしていくビートルズの手法は、やはりたいしたものだと思います。彼らのトラックがなかなか腐蝕しない所以でしょう。

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Fools Rush Inのように、うっかり入りこんだ「天使も恐れをなす場所」も今回でおしまい。次回は鈴木清順に戻れます。


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Help!
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ラバー・ソウル
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The Beatles
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by songsf4s | 2010-02-06 22:49 | その他