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2009年 09月 19日 ( 1 )
メアリー・トラヴァーズ没す その2

われわれの人生はカードをめくっているようなもので、ジョーカーを引いて一発免停というパターンもあれば、猪、鹿、蝶と三枚が徐々に揃って役ができて上がり、というゆるめのパターンもあります。いうまでもなく、年をとればとるほど、ジョーカーや猪鹿蝶の出現確率は高まっていきます。

早い話が、100発込められる銃でロシアン・ルーレットをやっているようなもので、いきなり最初の一発で当たることもあれば、100回もカチカチやって、冷や冷やしなければならないこともあります。わたしも去年、二、三度、当たったかな、と思いましたが、幸か不幸か、思い違いでした。

f0147840_0403498.jpg生きるか死ぬかのことで思い違いなんかするのだから、われながら呆れます。『断腸亭日乗』を読むと、永井荷風は若いころから「自分は長くは生きられない」とかなんとかおっしゃっているわけで、全財産を詰め込んだ鞄を抱えて陋巷をウロウロしながら、荷風が長生きしたことを知っているわれわれは、そういう記述を見るたびに苦笑します。みんな自分の命のことなど、さっぱりわかりはしないのです。

メアリー・トラヴァーズは白血病だったそうで、闘病生活は大変だっただろうなと思います。自分がAnd when I die and when I'm dead and goneのときは、心臓か頭をやられて、考えるまもあらばこそ、一気にお陀仏というコースであってほしいものです。現代の最先端医療などとは金輪際無縁でありたいと願っています。

◆ トラック・リスト ◆◆
脈絡を考えていると時間がかかってしまうので、本日は好きな曲を並べるだけにします。噺を短くするには箇条書きが最適、というので、ただのトラック・リストをつくってみました。まずは第1グループ。

For Lovin' Me
Early Mornin' Rain
The First Time Ever I Saw Your Face
And When I Die
Sometime Lovin'
Kisses Sweeter Than Wine
Pack Up Your Sorrows
For Baby (For Bobbie)
Hurry Sundown
The Good Times We Had
Leaving On A Jet Plane
I Dig Rock and Roll Music

f0147840_042136.jpgどういうグループかというと、ノン・フォーク・ソング・フェイヴァリットです。いや、それではちょっと不正確なので、修正すると、「初期のPP&Mを象徴するフーテナニー用の歌をオミットしたパーソナル・ベスト」といったあたり。12曲のうち7曲がAlbum収録のトラックです。やはり、あれはPP&Mのベスト・アルバムですな。

わたしはPP&Mのスラーを多用したハーモニーが好きなので、勢い、選曲はミドルからミディアム・スロウのグルーミーなバラッドが中心になります。For Lovin' Me、Early Mornin' Rain、The First Time Ever I Saw Your Face、Sometime Lovin'、For Baby (For Bobbie)、Hurry Sundown、The Good Times We Had、Leaving On A Jet Planeという8曲はそのタイプに分類できます。

サンプル For Baby (For Bobbie)
サンプル Leaving On A Jet Plane

Album収録のFor Babyは、ピーターとポールは歌わず、メアリーのソロ・ヴォーカルなので、彼女を偲ぶのにもっともふさわしいトラックでしょう。

このアルバムは、初期だったらギターとスタンダップ・ベースだけですませたであろうタイプの曲でも、控えめになにか音を加えるアレンジを試みていて、それも成功の一因になっています。Hurry Sundownのフレンチ・ホルンの入れ方なんか、うまい、と膝を叩きます。

◆ Did You Dig It? ◆◆
I Dig Rock and Roll Musicは、ヒットしている最中には、うーん、こういうのはちがうんじゃないのー、と思っていました。Puffのグループに、「わたしはロックンロールが好き」なんていうブルーズ・コード進行の曲を歌われても、ちょっと困るのですよ。いまになって(というのはつまり1967年のこと)そういうことをいうなら、過去にロックンロールを見下すような発言をしていないか、チェックしちゃうぜー、というような気分でムッとなったのです。

いまのわたしなら、人はなにかをして稼いでいるのだから、営業上、白を黒といった舌の根も乾かぬうちに、ふりむいて、黒を白といったりするのはあたりまえだ、と思うのですが、あのときは中学生ですからね、正直かつ誠実に腹を立ててしまいました(オリヴィア・ニュートン・ジョンの反捕鯨発言撤回のときも、言葉を発するのは腹を決めてからにしろ、バーカ、と大立腹した)。

しかし、これだけ時間がたつと、もはや、そういうことは恩讐の彼方、ただサウンドだけが残った、です。で、このサウンドがいま聴けばなかなかけっこうで、なるほど、ビルボード・チャート・トッパーの資格はあるかもしれない、と感じます。ドラムとベースのグルーヴがいいのです。

f0147840_0422873.jpg

LPの裏には謝辞があるだけで、クレジットはなく、ただ名前だけが並んでいます。ハーヴィー・ブルックス以下、ベースは多数、でもドラマーはゼロ(たぶん)で、わけがわかりません。

ポーパーズというグループ(カナダ出身だとか)も謝辞に名前がありますが、ここのドラマーでしょうか。ヴァースのサイドスティック、コーラスのシンバル、どちらも好みです。とくにシンバルのプレイはけっこう。でもねえ、あまりロックバンドのドラマーのようには聞こえません。だれかセッション・ドラマーがノン・クレジットでプレイしているのではないでしょうか。

端折りに端折って、これで第一群の楽曲の話は終わりとしても、まだ第二群のリストがあるのです。やむをえず、もう一イニング延ばします。
by songsf4s | 2009-09-19 00:40 | 追悼