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2009年 09月 13日 ( 1 )
『拳銃〔コルト〕は俺のパスポート』メイン・テーマ その1(OST 『拳銃は俺のパスポート』より)
タイトル
『拳銃は俺のパスポート』メイン・テーマ
アーティスト
伊部晴美(OST)
ライター
伊部晴美
収録アルバム
日活映画音楽集スタア・シリーズ 宍戸錠篇
リリース年
1967年(映画公開年)
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ちょっと道草を食いましたが(その道草でとりあげたトミー・テデスコのアルバムは今日も聴いている)、日活のあれこれを考えようというシリーズに復帰します。漠然と話していても仕方がないので、ここからは映画を見ながら具体的に考えようと思います。

海外で日活ファンが出現したことを契機として、このような記事を書こうと考えたのだから、これから見ていくものも、海外のブログなどで言及されている日活映画から選ぶのが妥当でしょう。

ということで、どこの日本映画and/or日活映画シネマテークでも非常に人気が高く、それなのに製品化が遅れたという、野村孝監督、宍戸錠主演の『拳銃は俺のパスポート』から見ていこうと思います。

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◆ 遅れて見た三本 ◆◆
以前、『狂った果実』を取り上げたときに、これは、ずいぶんあとになって見て、おおいなる衝撃を受けた日活映画の一本だったということを書きましたが、そういうものはあと二本あります。残り二本のうちの一本が、今日の『拳銃は俺のパスポート』です。

わたしが日活をリアルタイムで見たのは、1960年から65年までの小学校時代のことで、中学に入ってからは、1、2本しか見た記憶がなく、以後、1972年2月から3月にかけての池袋文芸座地下における鈴木清順シネマテーク(毎週五本ずつ、計25本を上映した。当時としては過去最大の規模の清順回顧上映だったと思う。初日はたしか2月24日あたりで、大学受験直前だったわたしは、もう勉強なんかしても意味はないと思いつつ、親が許すはずがないのもわかっていたので、第一回の五本は泣く泣くあきらめ、第二回から通った)まで、映画館で日活映画を見ることはありませんでした。

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パスポートは拳銃とはいいながらも、海外逃亡にはやはり日本国のパスポートがないと不便!

高校三年のときに、テレビで鈴木清順の『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』を見て、日活ファンとしてよみがえってからこっち、映画館で見られるチャンスはすくないので、テレビでやっていれば、きわめて熱心に見ていました。昔はTXで昼間にもオンエアしていたので、さんざんにカットされたものですが、相当数を見ることができました。当然、見ないほうがよかったようなものまで見てしまいましたが!

そういうことをしていると、「収穫逓減」という言葉のとおり、未見のものというのはだんだん減っていき、倦怠が忍びこんで、徐々に、期待せずにテレビのスウィッチを入れるようになっていきます。そういう気分のときに、裕次郎追悼番組で『狂った果実』を見て、ビックリ仰天したのですが、それからまもなくだったと思います、『拳銃は俺のパスポート』を見たのは。

◆ 日活スコアの突然変異体 ◆◆
当家は依然として音楽ブログのつもりなので、今回も先に音楽からいきます。伊部晴美による『拳銃は俺のパスポート』のスコアには、だれにでもすぐにわかる明白な特徴があります。

メイン・タイトル


ということで、露骨にマカロニ・ウェスタン風なのです。大ざっぱにいって半分ぐらいはこういう哀愁のノワール歌謡の世界(メイン・タイトルにはテンポなどを変えた変奏曲がある)、残りはストレートな4ビートのキュー(日活印のサウンドですな)といった塩梅です。メイン・タイトルの4ビート・ヴァージョンも登場します。スコアのつくり方としては、さまざまなヴァリアントを配置するのは当然でしょう。

『荒野の用心棒』の挿入曲、Titoli(「さすらいの口笛」)が日本で大ヒットしたのは65年だったでしょうか。映画としては『夕陽のガンマン』が66年、シリーズとは無関係な、フランコ・ネロ主演の『続・荒野の用心棒』がやはり66年だったと記憶しています。

このうち、音楽ではなく、映画として『拳銃は俺のパスポート』に影響を与えたのではないかと感じるのは、『続・荒野の用心棒』です。でも、それについては映画の中身を検討する次回に先送りとします。

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スコアを書いた伊部晴美(「いべ・はるみ」ではなく「いぶ・はるみ」と読むらしい)は、日活映画でしょっちゅうクレジットを見る人だということしか知りません。『用心棒家業』『ずらり俺たちゃ用心棒』『くたばれ悪党ども』などの宍戸錠映画が彼のスコアですし、いま調べて『赤いハンカチ』もそうだったことを知りました(あくまでもスコアの話。主題歌のほうは萩原四朗作詞、上原賢六作曲)。

うーん、これだけたくさん日活映画のスコアを書いた作曲家が、たとえ、同時上映が中心だったにせよ、ちょいと検索したぐらいではキャリアがわからないというのは、困ったことですねえ。

石坂洋次郎の『若い川の流れ』(田坂具隆監督、石原裕次郎、北原美枝主演で映画化された)のなかで、主人公が友人の作曲家に向かって「おまえが流行歌や映画の音楽のようなくだらない仕事をするようになったら」といいますが、そういう感覚がいまだに残っているのでしょうかねえ。

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どうやったらレコードがヒットするのだ、とマイルズ・デイヴィスにきかれたレス・ポールは、「彼らのために音楽をつくればいいのさ」と答えたそうです。自分のための音楽なんかつくって、ヒットさせようとは、了見が甘すぎるよ、小僧っ子が、とせせら嗤ったわけです。

わたしは、自分のための音楽、自分のための映画、自分のための小説をつくった人には興味がありません。「彼らのために」ものをつくる人たちのほうがはるかに上等な人種だと、子どものころから信じてきました。そのことと、日活映画好きは、当然関係があるのですが、つぶろぐで予告した午前1時が目睫の間に迫っているので、残りは次回に。

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ライフルを組み立てる

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タバコに火をつけ風向きを見る(ここがビルの風陰だったりしたら無意味だと思うが!)

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風向きをたしかめると、おもむろにポイント! こういうショットは盛り上がる。スコープのてかりがいい。

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ターゲットは鞍馬天狗、もとい、アラカン、いやつまり、嵐寛寿郎。この映画では正義の味方ではなく、ヤクザのボスで、鞍馬天狗の杉作に相当するのは深江章喜(いや、目つきの悪いボディーガードだが)。

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ヒット!

by songsf4s | 2009-09-13 01:04 | 映画・TV音楽