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2009年 08月 09日 ( 1 )
新ブログ更新のお知らせ(付:カセット時代回顧)


『長屋紳士録』を完結できないまま、よそのブログ(日々増えている!)に時間をとられています。

前回、音楽や映画とはまったく無関係な、散歩ブログをはじめたことをご報告したら、一日単位としては、新しい音楽、映画ブログなどより多くの方のご来訪をたまわりました。なんだかよくわからなくて困惑しますが、こういうことが予測、計算できれば、だれも苦労はしないわけで、思ったようにはならないところが、人生の人生たるゆえんなのでありましょうな!

あれは音楽や映画について書く時間の一〇分の一もかからず(そのかわり、歩くことに時間をとられるが)、ちょっとした空き時間があれば充分なので、しからばと、今日も散歩ブログを更新しました。

以上で今日の用事はおしまいなのですが、もうこのブログを更新することはめったにないとご案内してあるにもかかわらず、毎日百人以上の方がいらっしゃっているので、ちょっと愛想よくしてみようかと思います。しばし無駄話をしてみようか、というだけのことですが。

◆ 1966年の絢爛豪華 ◆◆
先日、HDDが吹き飛んで、交換しているあいだ、MP3が聴けないので、たまたま古いHDDを探している途中で見つけたカセットを聴いていました。ラジカセがヘタって、ただのラジオの役しかしなくなって以来、カセットなど聴くことはなかったのですが、たまたま亡父のラジカセを引き取ったので、久しぶりにテープを聴いてみるか、と思ったわけです。

いや、そのテープ自体、長いあいだ忘れていたもので、こんな姿をしています。

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なんだかわかりますかね? ドット・インパクト・プリンター(というものをご存じない方もいまではたくさんいらっしゃることだろう!)で打ち出した、トラック・リストをカセット・ケースに入れてあるのです。

どういうデータが書いてあるかというと、左から「ビルボード・チャート・イン日付」(年号は略されているが、1966年)「ビルボード最高位」「アーティスト名」「楽曲名」という4種のデータです。

経験のある方なら、ははあ、とおわかりでしょうが、これはリレーショナル・データベースで必要なデータを拾い出し(もちろん、ビルボード・チャート・データはこれをつくる数年前に自分でタイプした)、年代順に並べて打ち出したものです。つまり、1966年のビルボード・チャートをカセットにしたものの一部なのです。

カセット・ケースから取り出して、リストの頭からしっぽまで見えるようにしてみました。

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リヴァース・インデクシングでやっているので、やや読みにくいかもしれません。Lewis, Gary/ & the Playboysをご覧になればわかるでしょう。カンマの前後が逆転した部分、スラッシュは逆転終了を示します。こういうのは内部的にやる(ソート専用データ)ことにして、見える部分ではリヴァースさせないのが正しいやり方でしょうが、データ入力の手間を省きたかったことと、まだ16ビットで非力だったPCに負担をかけたくなくて、こうなりました。

いや、まあ、そんなことはどうでもいいのです。肝心なのは並んでいる曲です。これがじつに楽しくて、もう遠慮なしに、手放しに、盛大に、大盤振る舞いで、「あれはすばらしい年だった!」、That was a very good yearとシナトラを引用しちゃいます。

新ブログ更新のお知らせ(付:カセット時代回顧)_f0147840_2240547.jpgこのテープは1966年の2本目で(ということは、通年でつくったということ。じつは65年と66年の分を全部つくった!)、二月末チャートインの曲からはじまっています。トップがアイズリーズのThis Old Heart of Mineだっていうんだから、うれしくなります。オープナーとして最適任、わがモータウン・ベスト5です。

つぎがアウトサイダーズのTime Won't Let Meですが、これは中学一年のときに好きだった曲で、買おうか買うまいか迷い、結局見送ってしまい、数十年後にベスト盤を買いました。

なんて書き方では永遠に終わらないので、すこし急ぎます。

リアルタイムで好きだった曲、チャート番組で流れるのを楽しみにしていた曲としては、つぎはシェールのBang Bangです。そのままどんどん行くと、ジョニー・リヴァーズのSecret Agentmanも、「故郷忘じがたく候」てなもんで、子どものときの愛唱曲、じゃなくて、愛プレイアロング・イントロ曲。コピーなんてことをやったごく初期の曲で、あのギター・イントロには教えられるところ大でした。

そのつぎが、なぜかヤードバーズのShape of the Thingsですな。あとでヤードバーズは妙な位置づけをされてしまいますが、子どものわたしには、プレイボーイズやハーマンズ・ハーミッツと懸隔のないポップ・グループでした。いや、Happening Ten Years Time Agoにしても、この曲にしても、素直ではないとは感じましたが、要するに「ちょっと変わっている」だけでした。For Your Loveにしたって、クラプトンとはまったく正反対に、いい曲だと思って聴いていました。ブルーズ馬鹿というのは、ポップのわからない不幸せな人たちだから、気にするなよ>グレアム・グールドマン。クラプトンなんか無視無視。

新ブログ更新のお知らせ(付:カセット時代回顧)_f0147840_22402518.jpgつぎは、もちろん、わがDC5の最高傑作、Try Too Hard。あのころはDC5に夢中でした。ビートルズとどっちが好きか、ってくらいでしたねえ。

しかし、あと知恵も動員すると、このリストはもっと楽しくなります。眺めてもそうですが、聴いても笑ってしまったのは、ディオーン・ウォーウィックのMessage to Michaelのあとに、バーズのEight Miles Highが出てきて、そのあとがハーマンズ・ハーミッツのLeaning on the Lamp Postという、意地の悪い並びです。

どちらに基準をおくかで見方は正反対になるでしょうが、ディオーン・ウォーウィックとバーズが水と油であることだけは、立場の相違にかかわらず、明白でしょう。

チャートというのはそういう「場」でした。なんでこんな曲がかかるんだよ、なんて子どものときはイライラしたりしたものです。たとえば、中学一年生には、この年、もう少しあとのほうに行くと登場する、フランク・シナトラのStrangers in the Nightは不可解の一語でした。戦争前の音楽かと思いましたものね。いや、冗談じゃなくて。子どもというのは、いつだってハイパー・ラディカルかつウルトラ冷酷なのです。昨日の音楽になんか小指の先ほどの興味もありませんでした。いやはや、なんという変わりよう!

それにしても、見れば見るほど、「なんとゴージャスなチャート!」とため息が出ます。十二歳の俺は、アメリカのポピュラー音楽がたどり着いた頂点の、そのまた石を積み重ねたケルンの先端を、リアルタイムで浴びるようにして経験したのだ、と思います。時代の最先端の音楽を聴くのに、十二歳ほどふさわしい年齢があるとも思えません。

あれほど幸せな一年を過ごしてしまっては、音楽的な感覚障害を患ってしまったのも仕方ないか、とあきらめがつきます。いや、要するに、その後のアメリカ音楽の歴史は、退屈地獄への長く物憂い行進だったようにしか思えない、というだけのことです。

あれから7、8年ほどは、チャートとともに生きたのだから、若さというのはたいしたものですが、いま振り返って、1967年以後はずっと下り坂だったと思います。アメリカ音楽は1964年に死んだ、というジョン・ミリアスに賛成したくなるのは、こういう夜です。いや、わたしの場合はもう三年だけ「延命」するのですがね!
by songsf4s | 2009-08-09 22:43 | その他