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2008年 09月 09日 ( 1 )
池玲子と「テリー」が描くニッポンの横顔

最近、一番呆れたことは、わが家の百日紅(サルスベリ)が、いまになって開花したことです。長雨のあとに快晴の暑い日がつづいたので、七月中旬から梅雨明けのような気分になり、「梅雨も明けて、夏本番になったようだから、そろそろ咲くか」と大ボケかましたようです。

二番目に呆れたことは、海外のブログで、寺内タケシの盤に何度か遭遇したことです。いや、とくに恨みも嫌悪もないのですが、うーん、この人が日本の60年代を代表するプレイヤーに見えちゃうのかあ、てえんで、なんか、ふっと力が抜けるんですよねえ。

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三番目に呆れたのは、昨日、当家のユニーク・ユーザー数カウンターが、開設以来はじめて200を超え、219を記録したことです。ご存知の方も多いでしょうが、「ユニーク・ユーザー数」の場合、あなたが当家のことをいたくお気に召し、一日のあいだに百回訪れたとしても、「ユニーク・ユーザー」であるからして、カウンター上は1と記録されます。この点が、同じ人(つまり同じIPアドレス)でも、百回訪れれば、100と記録される通常のカウンターとは異なります。

昨年六月末に当ブログをはじめたころは、ユニーク・ユーザー数カウンターは一日に20から30でした。たまに38なんてなっていると、うわあ、千客万来だなあ、と思っていました。最初に急激な大幅増加を記録したのはクリスマス・ソング特集の最中で、ここではじめて50を超えて当たり前と思えるようになりました。

今年に入ってからは70から80のあいだでうろうろ、たまに100を超えると、今日は来客多数と思っていました。それがまた変化したのが7月からはじめた、映画TV音楽特集の最中でした。120から150のあいだを上下するようになり、二桁に戻ることはめったになくなったのです。

しかし、これは、当家の内容の変化を反映したものではなく、どうやら、ヤフーでの当家の扱いが変わったことが原因のようです。それまでグーグル経由でいらっしゃるお客さんが第一位だったのに、七月からはヤフーが圧倒的な首位になったのです。

日曜から、なんだか多いな、と思いはじめ、昨日は過去最高の「表通りには人垣、うーらーらーら」状態、今日も昨日ほどではないにしても、当家としてはかなり多いほうです。180ぐらいまではいくのではないでしょうか。

なにかの加減で(たとえば管理ソフトウェアのバグ!)、「瞬間風速」として飛びぬけた数字が出ることはあるのですが、三日つづけて多いとなると、やはり、なにがあったのだろう、と考えてしまいます。有名アニメ監督のことをボロクソにいいましたが、幼稚な連中が検索エンジン経由でやってきて、しょーもない書き込みなんかしないように、不本意ながら伏字にしたので、この線はありえません。あとは、最近、いつもとちがうことを書いたとしたら、鈴木清順と検索エンジンのことぐらいです。

◆ 闇鍋リスト ◆◆
貧乏性なので、当家史上最高の数字が出た直後に、二日連続で更新を休むのは気が引けて気が引けて、書く材料なんかなにもないのに、つい、こうやって机に向かってしまい、「行き先はウナギにきいてください」(いうまでもないが「素人鰻」のサゲ)みたいな状態で書いているわけです。

でも、降ってわいたような数十人の「増加分」のお客さんたちが、なにを求めて当家にいらしたのかがわからないので、コーヒー、紅茶、緑茶、それとも強い飲み物、なにでおもてなしすればいいのか、まるっきり見当もつかないのです。検索キーワードのランキングを見ると、Who Put the Bomp(バリー・マンの昔のヒット曲で、当家ではこの記事で詳説している)がいきなりナンバーワンになりましたが、これは、そういう人たちがたくさんいらっしゃったという意味ではなく、ひとりの人がこのキーワードで何度もいらしただけでしょう。全体的な傾向の反映ではなく、ひとりのお客さんのお好みだということです。

結局、なにもわからないので、増えることはいいことだ、理由がなんであろうと、減るよりはずっといい、と、ものすごく鈍感に、大束に片づけておくことにします。だいたい、わたしてえ人間というものは、細かいことにこだわりすぎるのがよくないのです。年もとったことだし、これからは人生のサニー・サイドだけを見て生きたいと願っています。

で、本日はなにもネタがないので、どこぞの料亭のように、古いネタを引っ張り出してみることにしました。いつ書いたかも忘れてしまったのですが、ずいぶん以前に、海外のブログで何回か池玲子を見た、ということを書きました。いま、ShareMinerで検索してみましたが、まだヒットしますね。

「ウナギ」はどこへ向かいはじめたかというと、先日の鈴木清順のつづきで、ブログ時代の海外における日本「文化」(池玲子が日本文化かよ、というご意見もございましょうが、まあ、最後までお付き合いあれ)の話です。

遠まわしに書きますが、「ZipとRARで代表されるようなブログ」で出会った日本の音楽というのを思い出せるかぎり列挙してみましょう。こんなリストになりました。

小野リサ(スペル存じ上げず。これでよい?)
寺内タケシ
フラワー・トラベリング・バンド
モップス
エイプリル・フール
頭脳警察
陳信輝
カルメン・マキ
ジャックス
ハプニングス・フォー
ザ・ピーナツ
サーフ・コースターズ
東京キューバンボーイズ

とりあえず、いま思い出すのは以上ですが、もちろん、これ以外にも、記憶に残りにくい、この四半世紀ぐらいの、わたしとは縁遠いマイナーなバンドをはじめ、女性シンガーやらなにやら、いろいろな日本人アーティストに出くわしています。

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◆ 三等国転落 ◆◆
すごいでしょ、という話ではないのです。逆です。たったこれだけとは情けない、日本音楽はこの程度なのか、ということです。ほんとうなら、とっさにはリストなんかつくれないほど、とてつもない数になるべきでしょうに。

先日も書きましたが、「Zip&RAR」ブログの世界では、ラテン系が圧倒的にメイジャーで、そのつぎが英語、あとはほとんどプレゼンスなし。出くわしたことのあるものとしては、ギリシャ、エジプト、ロシア、イタリア、台湾、日本などなどがありますが、いずれもごく少数で、台湾、日本は一例しか知りません。

ラテン系が圧倒的勢力だとなにが起こるか? 彼らは英米のロック・グループを好むいっぽうで、自国や同言語文化圏の音楽を、異文化圏への宣伝として、あるいは同朋の需要にこたえるものとして、しばしばRARにするのです。

この自発的自国文化広報活動の成果がどれほどのものか、わたしにはわかりませんが、ゼロということはないでしょう。わたしは、英米の60年代音楽だけで十分にてんてこ舞いしているので、できるだけそういう方面に興味をもたないようにしていますが、気になって、いくつか聴いたものもあります。気の多い人なら、あるいは異文化に強い関心のある人なら、ウハウハでしょう。どこの国のシンガーかわかりませんが、気が遠くなるほど多数の盤が並べられていて、ああ、彼らにとって、この人は美空ひばりみたいな存在なのだろうなあ、ということがわかったことがあります。

今日、申し上げたいことはただひとつ。東京キューバンボーイズと頭脳警察と寺内タケシが同居する(そして池玲子も!)、上記の支離滅裂なリストでおわかりのように、彼らは新旧の日本の音楽に相応の、あるいは、強い関心をもっています。

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ガレージ/サイケデリック系が受けるのは当然で(英語で書かれた60年代世界ガレージバンド大全といったおもむきの本があり、みんなそれを読んで勉強している)、頭脳警察やモップスやハプニングス・フォーやジャックスやエイプリル・フール(松本隆と細野晴臣が在籍し、はっぴいえんどの母体となったバンド)が登場したのは、そういう流れにあるからです。でも、たとえば、ここにゴールデン・カップスが入っていないのは、わたしにはひどくバランスを欠いたことに思えます。たとえるなら、ブリティッシュ・ハードロック系のブログで、ストーンズとディープ・パープルはあるのに、ゼップはない、みたいな異様な眺めです。

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つまり、そういうことなのです。研究が進展していないというのは、知識がバランスよく配分されないということです。しかし、それを海外のリスナーやブロガーのせいにするのは、お門違いでしょう。われわれ日本人は、ラテン系の連中のように、熱心に自国文化の広報活動をやっていません。彼らの、われわれの文化に関する知識がバランスを失しても、当然のことでしょう(もうひとつ、近年の流行である、意味の解体、歴史的コンテクストからの脱出、という傾向も反映されているのだろうが)。

◆ 血の交換 ◆◆
だれがいっていたのか忘れてしまいましたが、戦争もまたコミュニケーションである、という一節を読んだ記憶があります。戦争によってある文化とある文化が接触して、双方に影響を与え合うということです。

同じようなコンテクストで思ったことがあります。江戸時代末期から明治にかけて、日本は海賊同様の流れ者西洋人の餌食になって、金(きん)が大流出します。それだけでなく、とほうもない数の美術品も海外へと持ち去られます。いま、大英博物館にある日本関係の美術品の多くは、そうした盗品同様のものだといっている人もいました。

たしかに、ちょっと腹立たしくはあります。しかし、日本も半島侵略の際に多くのものを盗み、その結果として、焼き物の技術が向上したり、貴重な書籍が現代に伝えられたりもしているので、被害のほうばかり大声で騒ぎたてる資格ははじめからありません。むしろ、こういうように、盗みにあうという、本来なら災厄であることのプラス面に目を向けるべきのような気がします。

f0147840_036275.jpg戦争というのはろくなものではありませんが、視点を変えて見ると、文化圏の衝突であり、両者のもっている「血」のようなものが、情報として交換されるのも事実です。太平洋戦争後、日本はアメリカ文化の洪水に見舞われますが、それだけではありませんでした。日本に駐留したGIのなかには、日本文化に関心をもち、後年、それを自作に生かした人もいます。たとえば、『ファイヴ・イージー・ピーシーズ』を撮ったボブ・レイフェルソン監督や『シブミ』を書いたトレヴェニアンなどです(こちらが受け取ったものに比して、あちらが受け取ったものはじつにもって呆れるほど微々たるものだが、でも、ゼロではないのである)。

RARにされることをありがたがる人はいないかもしれませんが、見方を変えれば、それは無料の宣伝です。海外には、美空ひばりは知らなくても、池玲子は好きだという人間が生まれてしまったにちがいありません。こういうことというのは、いい悪いの問題ではないのです。たんに、そうなってしまっただけです。

毎度申し上げていますが、この世には百パーセントよいこともないかわりに、百パーセント悪いことというのもありません。明るい表通りとはいえない経路をたどって、異文化の世界に入っていくのも、またひとつのあり方であり、商売人はどういうか知りませんが、わたしは、こういうのもまんざら悪いことではない、よい果実を実らせる種になる可能性が高い、と考えます。

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by songsf4s | 2008-09-09 23:26 | その他