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2008年 07月 25日 ( 1 )
Never on Sunday その1 by Don Costa
タイトル
Never on Sunday
アーティスト
Don Costa
ライター
Manos Hadjidakis
収録アルバム
Don Costa Plays Golden Movie Themes
リリース年
1960年
他のヴァージョン
The Ventures, Al Caiola, Chet Atkins, Charles Magnante, Les Baxter, Herb Alpert & the Tijuana Brass, Henry Mancini, Xavier Cugat, Billy Vaughn, Ann=Margret, Connie Francis, Petula Clarke, the Chordettes
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昨日のThe Third Man Themeに、そこはかとなく南国的なものを感じるといっても、大多数の方は首を傾げるでしょうが、今日は大丈夫、『日曜はダメよ』は、ギリシャの港町が舞台で、南国の陽光あふれ、むやみに歌ってばかりいる陽気な映画であり(といっても、何十年も見ていないので、あまり当てにはならないが)、Never on Sundayはそれに見合ったテーマだからです。

f0147840_22394827.jpgしかし、You Tubeにあった、主演のメリナ・メルクーリがこの曲を歌うシーンを見ると、Never on Sundayという英語タイトルとは無関係な歌詞らしいことがわかります。そして、底抜けに陽気なシーンではなく、どうやら、ちょっと主人公が内省的になったところらしく、静かに、ややさびしげに歌われていることもわかりました。

このほのかな哀愁ないしは自己憐憫の感じられるオリジナル・ヴァージョンも悪くないと思いますが、わたしの頭のなかでは、この曲はインストゥルメンタルなので、アメリカでのヒット・ヴァージョンとなった、ドン・コスタ盤を今日の看板に立てました。

いま、泥縄でちょっとプレイアロングしてみましたが、メロディーはいたって素直で、ギリシャのフォーク・ミュージックをアダプトした曲だという話も、そのまま信じてもいいかもしれないと思いました。コード進行も単純なのです。ただし、ギリシャ的と感じるところはどこにもなく、無国籍というか、ユニヴァーサルなメイジャーコードのポピュラーソングという雰囲気です。この曲がギリシャ以外の国でも親しまれたのはそのおかげでしょう。わたしが子どものころ、Never on Sundayを気に入っていた理由も、この単純明快さと軽くて陽気なところだったのだと思います。

◆ ヴェンチャーズ盤 ◆◆
あまりにも幼いころのことなのでよくわかりませんが、Never on Sundayは、映画もテーマもヒットしたのだろうと思います。映画を見たのはかなり後年のことで、小学校のときには見たことがありませんでしたが、盤を買うまでもなく、この曲はよく知っていました。それくらいの大ヒットだったのだと思います。

最初に盤として聴いたのは、ヴェンチャーズ・ヴァージョンでした。人間のテイストというのはなかなか微妙なものです。1965年の年初から秋まで、集中的に、超高密度でヴェンチャーズ・ファンをやっていた時期に、彼らの盤のどういうところが気に入っていたかといえば、扇情的なギターやレズリー・サックスの音、そしてドラムです。あの時代、リヴァーブをきかせたギターの虜になったのは、わたしひとりのことではなく、ほとんど「時代の潮流」でした。

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そのくせ、いっぽうでは、先日取り上げたCalcuttaや、本日のNever on Sundayのような、非「エレキ・バンド」的なトラックにも好きなものはあり、よく聴いていました。ヴェンチャーズに非「エレキ」的トラック数あれど、Never on Sundayほどの「外道」は、そうたくさんはないでしょう。なんたって、リード楽器が、マンドリンとアコースティック・ギター(だろうと思う。ブズーキなどではない)で、フェンダーギターは、オブリガートというか、スライド・アップする効果音のようなものを入れているだけで、ロック的ニュアンスは皆無といっていいほどです。

地味なプレイではあるものの、ドラムはまちがいなくハル・ブレインなので、かろうじてヴェンチャーズとしてのアイデンティティーは保持しているといえますが、ヴェンチャーズがバンドではなく、プロジェクトにすぎなかったことが、みごとに露呈してしまったトラックだという見方もできるでしょう。

しかし、小学生のわたしは、「ヴェンチャーズは実在したか?」などという、後年の議論とは次元の違う世界に生きていたので、もともと好きだった曲のヴェンチャーズ・ヴァージョンもおおいに気に入りました。自分で買ったわけではなく、近所の同級生の盤で、心ゆくまで聴くわけにいかなかったことも、このヴァージョンへの愛着を増幅したようです。

もうひとつ書いておくべきことは、Never on SundayはアルバムPlay Telstarに収録されていて、Calcuttaのつぎのつぎに出てくるということです。Calcuttaのリード楽器はギターですが、わたしは、小学生のときも、いまも、この2曲のサウンドに強い近縁性を感じます。もう一曲、この時期のヴェンチャーズの映画音楽のカヴァー曲も、このグループに入れていいと感じるのですが、その曲はもうまもなく取り上げる予定です。

◆ オーケストラもの ◆◆
ヴェンチャーズが参照したのは、おそらくヒット・ヴァージョンであるドン・コスタのアレンジでしょう。ドン・コスタも、ブズーキなどの民族楽器は使わず、マンドリンで代用しているのだろうと思いますが、コーラスやらストリングスやらが動員されて、かなり大げさなサウンドになっています。60年代初期のハリウッドなので、ステレオ戦争華やかなりしころ、例によって録音もけっこうなものです。

録音ということでは、ドン・コスタ盤がヒットしてまもない1961年のレス・バクスター盤のほうが上かもしれません。ちょっとチャチャチャが混じったアレンジで、エキゾティカというよりラテン風です。ティンバレスとコーク・ボトルのようなパーカッションが非常に印象的。

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同じラテン風味でも、ザヴィア・クガートは、いわばオーセンティックなラテンなので、レス・バクスターとは大きくニュアンスが異なっています。ここまでくると、映画のなかでメリナ・メルクーリが歌った曲と同じものとは思えなくなってきますが、管楽器のカウンターメロディーまでもパーカッシヴに響かせるアレンジが魅力的で、おおいに楽しめるヴァージョンです。

アレンジという意味では、アコーディオン奏者のチャールズ・マグナンテ(フランス・ルーツを保持していれば、シャルル・マニャーンテだろうが、NY生まれだそうだから、英語式発音の可能性のほうが高い)のヴァージョンは、変化に富んだアレンジでありながら、品よく収めていて、録音もすばらしく、感心しました。

ウェブで聴いただけで、このマグナンテのCarnivalというアルバムはもっていないのですが、レーベルはイーノック・ライトのコマンドなので、プレイヤーはライトやエスクィヴァルやトニー・モトーラなどと共通しているのかもしれません。

コマンドは録音にも凝っていたのだという話は読んだことがありますが(テープ・ヒスを回避するために、映画と同じように、35ミリ・フィルムによる光学式録音をしたことがあったのだとか)、現実には感心するほどのものに出合ったことがありませんでした。しかし、Carnivalの録音はたいしたものです。同時期のハリウッドの最良の録音と肩を並べるか、または鼻の差でリードしているのではないかと感じます。プレイヤーもみな腕がよく、その面でも同時代のハリウッドのラウンジ・ミュージックに十分に太刀打ちできるレベルにあります。

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プレイというよりアレンジ、ないしはラインそのものというべきでしょうが、アップライト・ベースの扱いは非常に面白く、いよいよアレンジャーの名前が知りたくなってきます。そういうケースは多くないと思うのですが、マグナンテのNever on Sundayのベースは、頭から尻尾まですべて、譜面で指定されたラインを弾いていると思われます。このラインがいいし、ときおりギターとオクターヴになるところも、ハリウッドのお株を奪うアレンジで、何度も、うーん、できるなあ、と唸りました。

NY録音のオーケストラものというのは、録音がいいとアレンジが荒っぽいとか、アレンジがいいとドラムが下手とか、アレンジ、プレイ、録音の三拍子がそろったものはまずありません。このチャールズ・マグナンテのCarnivalは、稀な例外で、おおいに感銘を受けました。

まだ半分も片づいていないし、オーケストラものだってまだあって、キリもよくないのですが、半分眠っているどころか、九分通り眠っているような状態で、いまにもキーボードに顔をガーンとやりそうなので、今夜はここまでとし、残りは明日以降に、ヴォーカルものといっしょに見ていくことにさせていただきます。
by songsf4s | 2008-07-25 23:25 | 映画・TV音楽