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2008年 03月 30日 ( 1 )
Cherry Blossom by Percy Faith
タイトル
Cherry Blossom
アーティスト
Percy Faith
ライター
Percy Faith
収録アルバム
Shangri-La
リリース年
1963年
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昨日今日と、四月の曲の準備に忙殺されていて、なにも更新の材料がありません。こういうときは、しばしばインスト曲に頼っているのは、当ブログのおなじみさんはご存知のとおりです。

そんな場合、ヘンリー・マンシーニはすごくありがたい人で、どれもつねに平均点以上の出来だから、季節に合うタイトルのものをひょいとつまみ出せば用が足りて、過去にも助けてもらったことがあります。しかも、春の曲もちゃんとあるのです。Spring for Hitlerというタイトルです(作者はメル・ブルックス)。出来だって立派なもので、この曲を取り上げなかったのは、またヘンリー・マンシーニかよ、といわれたくなかったためにすぎません。

◆ ほのかなエキゾティカ味 ◆◆
さて、看板にしたパーシー・フェイスのCherry Blossomです。これはちょっとしたサウンドです。この曲だけでなく、Shangli-Laというアルバム全体が、いかにもパーシー・フェイスというスケール感のあるトラックばかりで、わたしが知っているなかでは、最上位にくる出来です。オーケストラというのは、コンボにはない音の広がり、奥行きが命ですが、とりわけ、パーシー・フェイスとマントヴァーニはスケールの人だと思います。

f0147840_22542469.jpgパーシー・フェイスはしばしばツアーに出ていますし、日本にも何度もきていて、それなりにツアー・バンドを維持していたにちがいありませんが、盤の多くはハリウッドで録音されているので、当然、スタジオ・プレイヤーたちの仕事でしょう。このアルバムのメンバーはわかりませんが、ドラムなんか立派なものです。

ハリウッドのオーケストラものの盤の場合、クラシック出身の人がスネアをプレイすることはまずないのですが、それにしては、このスネアはじつにもってカキンカキンの楷書のプレイで、ロールなんか完璧。ジャズ出身の人だとしたら、すごいものだと思います。ジャズ・ドラマーって、ロールをきちんとできないぞろっぺえな人が多いのですが、スタジオ仕事をする人となると、やはり、そこらのクラブでやっているドラマーとはレベルがちがうのでしょう。アール・パーマー(70年代にパーシー・フェイス楽団のドラマーとして来日したことはThe Theme from A Summer Place by Percy Faith and His Orchestraでふれた)なんかも、ロールはきれいですからね。ま、あの人は「セカンド・ラインの国」ニューオーリンズの出身だから、当然ですが。

f0147840_22552835.jpg閑話休題。パーシー・フェイスの場合、ビリー・メイやニール・ヘフティーなどとちがって、グルーヴではなく、シンフォニックな音の広がりで勝負の人なのが、60年代中盤からは、時代の趨勢で、リズムにウェイトを載せなければならなくなっていきます。これはやっぱり苦しくて、70年代のものなど、どうにもなじめません。意味はちがうのですが、ヴェンチャーズなんかでも、60年代後半になるとアメリカでは存在基盤が消滅し(日本には残った)、音自体もどんどん苦しく(馬鹿馬鹿しく、というべきか)なっていくわけで、あの時代、オールドタイマーはみな苦労したなあ、と思います。

パーシー・フェイスもやはり、本来の持ち味だけで勝負できた60年代前半までの録音がよく、このShangri-Laというアルバムには、黄金時代の、そのまたピークで生みだされたものの充実感があります。Stranger In Paradise、Beyond the Reef、The Moon of Manakoora、Return to Paradiseなど、好みの曲をやってくれているのも、個人的にはうれしいところです。

パーシー・フェイス自身が書いたCherry Blossomも、タイトルにふさわしい駘蕩たる雰囲気の横溢した曲で、微妙ながら、日本風味もあります。また、弦のピジカートなどに、ラヴェルのBoleroの影響も感じますが、これは意識してやったことだろうと思います。

先日のエキゾティカ話につづきになってしまいますが、この曲のトライアングルやグロッケンなどのパーカッション・アレンジは、「日本的」雰囲気を表現しようとしたものに思われます。そして、最後にはちゃんと鐘も鳴ります法隆寺。銅鑼ではないし、教会の鐘でもなく、日本の寺にときおりある、高さ数十センチ、径30センチくらい(こういう場合は、一尺というべきか)のごく小さな鐘みたいな音です(それじゃあ半鐘みたいだぞ、といわれると、たしかに強く叩けば「火事だ、火事だ」になりそうな雰囲気もあり)。Cherry Blossomは、このすぐれたアルバムのなかでも、ハイライトのひとつでしょう。

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Percy Faith Plays Koga Melories。こういうのもエキゾティカといっていいのかどうか。この画像を拾った海外の中古盤屋は"Konga" Melodiesと書いていた。古賀政男じゃなくて、近賀政男か! アルファベットで書いてあるんだから、ちゃんとジャケットを見ろよな~。

◆ 色は匂へど散りぬるを ◆◆
四月は、特集をしながら、そのかたわら、桜の曲ももうすこし取り上げようかと思ったのですが、曲をリストアップしてみたら、とうていそんな余裕のないことがわかりました。

なんせ、あまりの数の多さに、スタンダード系はすべてオミットし、ポップ/ロック/ビッグバンド系だけにかぎり、とくに目立つもののみをプレイヤーにドラッグしてみたのですが、それでも160曲ほどになってしまったのです。ヴァージョンが異なるだけのものを統合しても、やはり120種ほどあります。これだけで軽く半年はいけるのですがねえ……。

積み残した桜の曲はそれほど多くありません。プレイヤーにドラッグしてあったものを列挙すると、ニール・ダイアモンドCherry, Cherry、ニール・ヘフティーCheey Point(グッド・グルーヴ)、ムーヴCherry Blossom Clinicおよびその続篇のCherry Blossom Clinic Revisited(じつにもって変な曲で、できれば取り上げたかった)、ジョン・クーガー・メレンキャンプCherry Bomb、ジミー・マグリフ、レイ・チャールズ、ハリー・ジェイムズ、シンガーズ・アンリミティッドなどがやっているCherry、ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ウィールズPeaches on a Cherry Tree(まだ気が残っている。桃の実が生るころに復活か)、そして、ビリー・ジョー・ロイヤルの「桜ヶ丘公園」、もとい、Cherry Hill Parkです。

f0147840_22575169.jpgCherry Hill Parkは、ポップ・ソングとしてはやや異例の題材を扱っているし、曲の出来もいいし、ビリー・ジョー・ロイヤルは好きだし、桜なんか出てこないけれど、そんなことはどうにでもなる、てえんで、かなりその気になっていました。四月の特集に飽きたら、チェンジアップとして、八重桜のころに持ち出すかもしれません。そもそも、これはニュージャージーのチェリー・ヒルという町の公園のことで、桜もイワシの頭もないのですが。

ボビー・ゴールズボロをすぐに取り上げるようなこともいってしまいましたが、これも、もはやその余裕はないようです。来年のいまごろにはこのブログも休眠しているので(つぎのクリスマスで終わる予定)、もうチャンスはないでしょうから、なにをやるつもりだったのかいっておきましょう。Honeyです。歌詞が長いなあ、とおもっているうちに、チャンスを逸しました。

かくして、なにもきちんと片づけられないまま、問題を積み残して会計年度も新しくなり、当ブログのカレンダーも、否応なしにめくれてしまうのでありました。明日三十一日の夜中の更新から四月の特集に入る予定です。
by songsf4s | 2008-03-30 23:25 | 春の歌