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2007年 12月 11日 ( 1 )
Grandma Got Run Over by a Reindeer by Elmo & Patsy
タイトル
Grandma Got Run Over by a Reindeer
アーティスト
Elmo & Patsy
ライター
Randy Brooks
収録アルバム
Billboard's Greatest Christmas Hits
リリース年
1979年
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本日は色物ではなく、ふつうのクリスマス・ソングをいこうと思っていたのですが、時間の都合がつかず、カヴァーのないもの、音楽的にあれこれ検討すべき奥行きがないこと、歌詞がストレートであること、という条件で、登場予定曲のリストを見ると、この曲が浮上してきました。色物つづきで恐縮ですが、ノヴェルティー・クリスマス・ソングの古典をもう一曲どうぞ。

Elmo & Patsy - Grandma Got Run Over By A Reindeer


◆ サンタクロースとトナカイの「犯罪」 ◆◆
この曲がいまもクリスマスの定番として生き残っている理由は、馬鹿馬鹿しい歌詞にしかないと思われます。盤ではコーラスから入っているので、ここでもまずコーラスから。

Grandma got run over by a reindeer
Walking home from our house Christmas Eve
You can say there's no such thing as Santa
But as for me and Grandpa, we believe

「クリスマス・イヴにぼくらのうちから自分のうちに歩いて帰る途中、おばあちゃんがトナカイに轢かれた、サンタクロースなんかいるもんか、なんていうのは勝手だけれど、ぼくとおじいちゃんは、ほんとうにいると信じている」

見てのとおりなので、つづいてファースト・ヴァース。

She'd been drinking too much eggnog
And we begged her not to go
But she forgot her medication
And she staggered out the door into the snow

「おばあちゃんはエッグノッグを飲み過ぎたので、ぼくらはうちに泊まっていくようにといったんだ、でも、おあばちゃんは薬をもってくるのを忘れちゃったので、雪の降るなか、千鳥足で出て行ってしまった」

f0147840_0491086.jpgわたしはエッグノッグを飲んだことがないのですが、わたしだけでなく、日本ではあまり飲まないのではないでしょうか。辞書には「砂糖とかきまぜた鶏卵にミルクを入れ、しばしばラムやブランデーなどを加えて、温めるか冷やすかして飲む」とあります。わたし個人としてはあまり飲みたくありませんが、冬の飲み物として好む人もいるようです。

セカンド・ヴァース。

When we found her Christmas morning
At the scene of the attack
She had hoof prints on her forehead
And incriminating Claus marks on her back

「クリスマスの朝、事件の現場で発見したとき、おばあちゃんの額にはひづめのあとがあり、背中にはサンタの仕業だと立証する証拠があった」

f0147840_0443899.jpgこれだけでは、トナカイに轢かれたと断定する十分な証拠とはいえず、公判を維持できないような気がするのですが、まあ、ノヴェルティー・ソングなので、深く追求せずにおきます。でも、司法解剖はぜったいに必要でしょう。

incriminating Claus marksというのはよくわかりません。状況から考えて、橇の跡だと思いますが、なぜこのようにもってまわった言い方をするのか。(Santa) Clausと、法律の条文という意味のclauseをかけているのかもしれません。発音は同じです。

◆ 不幸に負けない健気なおじいちゃん ◆◆
コーラスをはさんでつぎのヴァースへ。まだ先は長いので、ここではサードとフォースをひとまとめに。

Now we're all so proud of Grandpa
He's been takin' this so well
See him in there watchin' football
Drinkin' beer and playin' cards with Cousin Nell

It's not Christmas without Grandma
All the family's dressed in black
And we just can't help but wonder
Should we open up her gifts or send them back?
SEND THEM BACK!

「うちじゅうみんな、おじいちゃんは立派だと思っている、こんなことがあってもとりみだしたりせず、テレビでフットボールを見たり、ビールを飲んだり、いとこのネルとカードをやったりしている、おばあちゃんのいないクリスマスはクリスマスとはいえない、うちじゅうみんな喪服を着て、おばあちゃんのプレゼントを開けたものか、送り返したものか、迷っているんだ(送り返せ!)」

最初にサゲであるコーラスを歌っちゃっているので、この曲でいちばん笑えるのは、このヴァースです。

またコーラスがあって、つぎのふたつのヴァースへ。これで最後です。

Now the goose is on the table
And the pudding made of fig (ahhhhhh)
And a blue and silver candle
That would just have matched the hair in Grandma's wig

I've warned all my friends and neighbours
Better watch out for yourselves
They should never give a license
To a man who drives a sleigh and plays with elves

「さて、ガチョウとイチジクのプリン(オエ!)も食卓に出たし、おばあちゃんのかつらの色に合わせた青と銀のキャンドルもつけた、友だちや近所のだれかれにいったんだ、気をつけたほうがいいよって、橇を運転し、いたずらっ子と遊ぶような男に免許証をやっちゃいけなかったんだ」

おばあちゃんが死んでも、まったく動じていないらしいおじいちゃんも困ったものだと思ったのですが、奇怪なコンビネーション・カラーのかつらをかぶっているおばあちゃんじゃあ、おじいちゃんが平穏を得て、人生を楽しみはじめたらしいのも、まあ、無理もないかと思い直します。

◆ シンガー/起業家の根性と投資が生んだヒット ◆◆
音としては、要するに、調子っぱずれに歌ったカントリー・ソングで、歌詞に見合ったヴォーカル・レンディションだとは思いますが、音楽的にすぐれているかといわれれば、まさかね、です。

f0147840_043633.jpgこれを歌ったドクター・エルモことエルモ・シュロップシャイアは獣医で、趣味でブルーグラス・バンドをやっていました。でも、エルモが歌うと、みな笑うので、しまいには、客に受ける方向に転じる、つまり、コミカルな歌をうたうようになりました。そして、タホー湖で知り合った他のバンドのプレイヤー、ランディー・ブルックスが、エルモのシンガーとしてのキャラクターを見込んで、自分がつくった曲を歌ってみないかと勧めたのが、この「おばあちゃんが橇に轢かれちゃった」だったのだそうです。

しかし、この曲がクリスマス・クラシックになるまでには、紆余曲折があったようです。最初は自主制作盤で、わずか500枚プレスしただけ。自分やバンド仲間がクリスマス・プレゼントして送るためにつくったものでした。その仲間のひとりが、友人や親戚ではなく、サンフランシスコのラジオ局にこれを送り、かなり大きな反響があったのですが、これを流通ルートに載せようというレコード会社はあらわれず、しばらくのあいだは、どこの州のラジオ局も、サンフランシスコのラジオ局にテープを送ってもらってすませてしまいました。

f0147840_050333.jpg1983年、エルモは、こんどは3万ドルを投じた自主制作ヴィデオをMTVに送りました。ちょうどMTVが盛りあがったときだったのをご記憶の方も多いでしょう。これがMTVの取り上げるところとなり、独立系流通業者の手で盤の供給もスムーズにおこなわれるようになって、このあたりから、クラシック化がはじまりました。

クリスマス・ソングのありがたいところは、毎年シーズンになると、ヒット曲には再ヒットのチャンスが、ノンヒットには大ヒットのチャンスがめぐってくることで、Grandma Got Run Over by a Reindeerは、それから数年のあいだにしだいに人気を高め、クリスマス・ノヴェルティーとしては最大のヒットといわれるほどになったとか。めでたし、めでたし。

◆ またしても訴訟話 ◆◆
以下はウェブで拾ったこぼれ話。

エルモ&パッツィーと、デュオの名義にはなっていますが、パッツィー、すなわち当時のエルモ・シュロップシャイア夫人は、このレコーディングにはまったく参加していないそうです。すくなくとも、女声が聞こえないのはたしかです。

2000年にはテレビ・アニメになり、エルモはおじいちゃんの声で出演したそうです。これは現在ではDVDになっています。

f0147840_0514328.jpgこのアニメのおかげもあって、Grandma Got Run Over by a Reindeerを使用したキャラクター商品は多数にのぼり、エルモ・シュロップシャイアに大きな利益をもたらしたようです。自分の才能に投資した人が経済的に報われるのは、めでたいことだと思います。

しかし、ヒットすれば、当然、ダウン・サイドもあります。エルモからキャラクター使用権をあたえられたと主張し、エルモがその権利を行使させなかったとして、契約不履行で訴訟を起こした企業があるそうです。これまでにも何度か見てきたことで、大ヒット作品にはこの種のことはつきものですから、もはや、どうとも思いませんが。

わたしが奇妙に感じたのは、シンガーにすぎなかったエルモ・シュロップシャイアの名前しか、この種の話題に登場しないことです。第一の権利をもっているはずの、ソングライターのランディー・ブルックスはどうなってしまったのでしょう? なんとなく妙なものを感じます。法律的に問題はなくても、道義的に問題のある、アンフェアな契約、権利の移動があったのではないかと勘繰ってしまいます。音楽業界には、その種の話が山ほどありますからね。


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エルモ&パッツィー(MP3ダウンロード)
Grandma Got Run Over By a Reindeer
Grandma Got Run Over By a Reindeer
by songsf4s | 2007-12-11 00:11 | クリスマス・ソング