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2007年 08月 27日 ( 1 )
Summertime Blues by Eddie Cochran その1
タイトル
Summertime Blues
アーティスト
Eddie Cochran
ライター
Eddie Cochran, Jerry Capehart
収録アルバム
The Eddie Cochran Box Set
リリース年
1958年
f0147840_23193931.jpg

他のヴァージョン
live version of the same artist, the Beach Boys, Bobby Vee, the Who x 3 versions (Live at the Monterey International Pop Festival, Live at the Woodstock Festival, Live at Leeds), Blue Cheer, the Ventures



夏の歌ということになれば、とりあげないわけにはいかない曲というのが一握りながらありまして、その代表であり、ガーシュウィンのSummertimeと同じぐらいに、いや、ロックンロールの文脈ではもっとプライオリティーの高い曲が、すなわち本日のSummertime Bluesです。ほんとうは七月に取り上げるべきだったのに、いままでほったらかしにしていたのは、後年のカヴァーが暑苦しくて、夏にはあまり聴きたくないことと、カヴァーが多すぎて面倒見きれないためです。

しかし、どんなことでもそうですが、避けて通れないものは、やっぱり避けて通れないのですね。一日で全部を聴くというわけにはいかなかったので、本日は歌詞の検討をし、各ヴァージョンのサウンドとレンディションの検討は明日にまわします。

◆ エディー・コクランの時代感覚 ◆◆
例によって、各ヴァージョンごとに歌詞は微妙に異なりますが、依拠するべきはやはりオリジナルなので、エディー・コクランのスタジオ録音ヴァージョンを使います。

Well I'm gonna raise a fuss
I'm gonna raise a holler
About a workin' all summer
Just to try to earn a dollar
Every time I call my baby
And try to get a date
My boss says,
"No dice son, you gotta work late"
Sometimes I wonder what I'm a gonna do
But there ain't no cure for the summertime blues

「このクソ暑いのによー、たかが1ドル稼ぐのにあくせくしなきゃなんねえってんだから、もーアッタマきちゃうぜ、デイトしようとするたびに、ボスが『ダメだ、残業しろ』とくるんだからな、いったいどうしろってんだよ、ったく、夏の憂鬱はどーもなんねーぜー」てなあたりでようござんしょうか。

f0147840_2324989.jpgガキの甘ったれ口調が、わたしの場合、ちょっとクラシックになってしまうのは、世代の関係でやむをえないわけで、そのへんはご容赦を。とにかく、大人がつらつらと仕事のつらさに思いをはせる口調ではなく、レザー・ジャケット(って、そんなもの、夏には着ていられませんが)にリーゼントのあんちゃんが、ガムを噛みつつ、ブーツで中古のシェヴィーのぼうずタイヤでも蹴っ飛ばしながら、ったく腹立つよなー、としゃべっているような口調なのです。

ガキによる、ガキのための、ガキの音楽というものが、じつはこの世に存在しうるのだ、ということにお子様たちが気づいた革命の年1956年から2年後、まだロックンロール・ブームがつづいていた時期にリリースされた、まさにこれぞロックンロールという曲なのだから、これがヒットしなければ、世の中のほうがまちがっています。コクランの鋭敏な時代感覚がもたらしたヒットでしょう。コクランはエルヴィス・フォロワーでしたし、会社も第二のエルヴィスとして彼と契約したにちがいありませんが、エルヴィスとコクランがちがうところは、コクランがソングライターであり、アレンジャーであり、プロデューサーであり、稀有なギタリストであったということです。まあ、そのへんはのちほど。

◆ 労働者階級のティーネイジャーの夏休み ◆◆

Well my mama and papa told me
"Son you gotta make some money
If you want to use the car
To go ridin' next Sunday"
Well I didn't go to work
Told the boss I was sick
"Now you can't use the car
'Cause you didn't work a lick"
Sometimes I wonder what I'm a gonna do
But there ain't no cure for the summertime blues

あんちゃん口調は疲れたのでやめます。両親に「つぎの日曜に車を使いたいなら、すこしは稼いでこい」っていわれたけれど、ボスには病気だといって仕事にはいかなかった、そうしたら「働かなかったんだから、車は使っちゃダメだ」といわれた、といったあたりの意味です。ジャン&ディーンの二人のような金持ちのお坊ちゃんの場合、カリフォルニアでは高校生ぐらいでも自分の車をもっているということは、すでに書きましたが、この語り手はあまり豊かな家の子どもでないという設定で、バイトはしなきゃいけない、車は家に一台しかない、という家庭環境だということです。

f0147840_2326258.jpgあとでくわしくふれるチャンスがあるかもしれませんが、じっさい、コクランの家はそれほど裕福ではなく、ビーチボーイズのウィルソン家と同じように、豊かなカリフォルニアに仕事を求めて他州から移住してきた、典型的な「流入世帯」でした。それに対してジャン・ベリーの父親は有名な医師で、ジャンは高校のときに、当時はまだ高価だったアンペクスのテープ・マシンをもっていて、デビュー盤は自宅で録音し、独立スタジオ(プロが使うスタジオ)でミックスしたそうで、ほぼ同じ時期にハリウッドのスタジオを闊歩していたこの二人の早熟な才能が、天と地ほども違う環境で育ったことは興味深く感じます。

◆ リーバー&ストーラーの影響 ◆◆

I'm gonna take two weeks
Gonna have a fine vacation
I'm gonna take my problem to the United Nations
Well I called my congressman
And he said Quote:
"I'd like to help you son
But you're too young to vote"
Sometimes I wonder what I'm a gonna do
But there ain't no cure for the summertime blues

2週間休んで楽しいヴァケーションをするんだ、俺が抱えている問題を国連に持ち込んでやる、とりあえず地区選出の下院議員に電話したら、「君のことを助けてあげたいのは山々だけれど、まだ選挙権がないんではね」といわれた、というわけで、「いったいどうすりゃいいんだ、夏の憂鬱はどうにもできないんだよな」と締めくくられます。「Quote:」すなわち「議員がいったことをそのまま引用するぜ」という箇所はなかなか笑えます。

f0147840_23273141.jpg歌詞の内容、そして、仕事場のボス、父親、下院議員のセリフのところはストップ・タイムになる、という構成から、わたしはジェリー・リーバーとマイク・ストーラーが、コースターズのためにつくった一連のノヴェルティー・ヒットを連想します。とりわけ、Youngbloodがよく似ていると思うのですが、これは57年のヒットなので、Summertime Bluesより先です。たぶん、コクランはリーバー&ストーラーを意識してこの曲を書いたのだと思いますが、しかし、両者とも、ブルースをルーツにしていた結果なのかもしれません(コクランのほうは、ヒルビリーの匂いも濃厚にありますが)。

ちょうど切りのよいところにたどりついたようなので、オリジナル盤もふくめ、わが家にあるあらゆるヴァージョンのサウンドとレンディションのことは、すべて明日以降にまわします。まだ道はなかばまで来ていないので、今夜楽をしてしまうと、明日がつらくなるとわかっていながら、やっぱり苦しいことは先送りしてしまう人間の浅はかさよ。There ain't no cure for the summertime fool!
by songsf4s | 2007-08-27 23:48 | 夏の歌