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The Christmas Song その2 by Herb Alpert & the Tijuana Brass
タイトル
The Christmas Song
アーティスト
Herb Alpert & the Tijuana Brass
ライター
Mel Torme, Robert Wells
収録アルバム
Christmas Album
リリース年
1968年
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以前にも書きましたが、ありとあらゆるツールが利用できるグーグル・ブロガー(たとえば、ここの右側カラムをご覧あれ)の正反対で、エクサイト・ブログはほとんど統計らしい統計がとれず、わずかにわかるのはユニーク・ユーザー数とページ・ヴューほか数種だけです。

このブログをはじめて以来、なぜか病気がちになってしまい、1年半のあいだに数回にわたって寝込んでいるのですが、そういうときには、上記のような数字はいっさい見ません。なにも更新していないのにお客さんがいらしていることを確認するのは、アルコールやタバコなどよりよほど健康に有害なのです。最初に寝込んだ去年八月には、ユニーク・ユーザー数は30程度だったのですが、いまでは200などだったりするので、なおのこと見たくありません。

今回も統計数値はいっさい見ず、ときおり開いて、人間としての誇りを失ったあわれな人たちによるスパム書き込みの有無だけを確認していました。そして昨日、久しぶりに更新したので、病中の数字を見て、ギャッといいました。12月13日土曜に、「470」という、当家のページ・ヴューの最高値が記録されていたのです。

検索キーワード・ランキングを見ると、やはりクリスマス関連の曲が上位を占めていて、おそらく、13日土曜はそういう需要がピークに達したために、当家のページ・ヴューも過去最高を10ほど上まわることになったのでしょう。どうせなら、500ページまでいってくれたら、そろそろやめてもいいと見切りがつけられただろうに、惜しい!

やめるといえば、年初に、年内いっぱいは継続する、と書いた、その「年内いっぱい」がすぐそこに迫っています。来年はどうするのか、いちおう考えたのですが、結論はないので、やるのやめるのといったファンファーレはなしにして、気が向いたときは書き、気が向かなければ書かない、ずっと気が向かなかったら結果的にやめたことにする、というずるずるべったりのダラダラでいってみようと思います。

ということで、本日は先日のつづきで、The Christmas Song (Merry Christmas to You)のヴァージョン検討をやらかしてみます。

◆ ナット・コール盤 ◆◆
この曲の作者のメル・トーメも、シンガーだからして当然、このThe Christmas Songを歌っていますが、もっとも人口に膾炙したヴァージョンは、数種あるナット・コール盤のいずれかでしょう。

最初の1946年録音はトリオだけのものだそうで、これはわが家にはありません。この年のうちに、こんどはストリングスつきでリメイクしていて、こちらはわが家にもあります。

オリジナルの直後にリメイクしたについては、歌詞のどこかを間違えたので、それを修正するためだったという話をWall of HoundのオーナーであるO旦那にうかがったことがありますが、どこをどう間違えたのかは忘れてしまいました。相済みませぬ。どうであれ、わたしの好みは、この1946年の弦つきヴァージョンです。

Nat King Cole - The Christmas Song


1953年には、同じアレンジで、ネルソン・リドルのコンダクトによって、ストリングスの人数を大幅増大して録音しているそうですが、これはわが家にはないのかもしれません。あいまいないい方で恐縮ですが、HDDを検索したら、ナット・コールのThe Christmas Songというのが20種類以上ヒットしてしまったため、時間がなくて全部は確認できず、冒頭の数秒を比較して、手早くダブりかそうでないかを見極めてしまったのです。

f0147840_23521437.jpgさらに、60年代はじめにステレオによるリメイクもしていて、これはわが家にもあります。こちらのナット・コールのヴォーカルは、やはり晩年だなあ、という感じで、低いところにいったときにクラックしています。このへんは好みが分かれるでしょうが、わたしは、クラックする声が嫌いではないので、これはこれでいいと感じます。

たんに聴き慣れているだけかもしれませんが、今回、聴き直しても、ナット・コール盤でこの曲が知られているのは当然だと感じました。じつに据わりのいいヴァージョンです。

◆ ビング・クロスビー盤 ◆◆
据わりがよいといえば、ビング・クロスビーのヴァージョンもやはりけっこうな出来です。ふだん、あまり意識しないのですが、こういう風に「オールスター揃い踏み顔見世興行」をやると、やっぱり、この人はフランク・シナトラ、ナット・コールと並ぶ、史上最強のクルーナーだと感じます。第一声が聞こえた瞬間の印象、手触りが凡百のシンガーとは隔絶しています。何百曲もビルボード・ヒットがあるというのは、ただごとではないのです。

f0147840_23534277.jpgなにしろ、クルーニングなどというものが存在しないときに、クルーニングをはじめたオリジナル世代ですから、歌い方にも「本物だけがもつ厚みと奥行き」というやつがあります。ビングのようなヴォイス・コントロールは、やがて後続の世代によって徹底的に陳腐化され、1960年代の子どもたちに「わが生涯の敵」と罵られることになるのですが、大元まで戻ると、陳腐化する前の迫力があって、オリジネーターはものがちがうのだ、という当たり前のことを再認識します。White Christmasの枕詞がいつまでたっても「ビングの」なのは、そういう意味なのでしょう。

クルーナーは細部のラインのとり方、日本的にいうところの「節回し」にこだわるわけですが、ビングのThe Christmas Songで面白いのは、yuletide carolのところです。ビングのキーはAで、それに即していうと、ここはふつうなら、A-A-B-Aとルートに戻るのですが、ビングはA-A-B-Dbと上がっていて、ここがなかなか風情があります。

よけいなことながら、ビング・クロスビーが神父役で主演するThe Bells of St. Mary'sという映画を手に入れ、昨夜から見はじめているのですが、まだ20分ほどなので、どこへいく話なのかさっぱり見えません。クリスマス・ストーリーだろうと思ってみているのですが、そうじゃなかったら、パアでんねん。

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監督はマルクス兄弟の映画などを撮ったレオ・マケアリー、共演はイングリッド・バーグマン。

いやはや、今年は病中に3種類の忠臣蔵(溝口健二、稲垣浩、深作欣二、どれも長く、全部合わせると10時間を超える!)も見たし、長年、気になっていたThe Bells of St. Mary'sも見たし(いや、まだ途中だが)、すっかり紋切り型人間と相成り候。もちろん、大晦日には、だれのヴァージョンかは決めていませんが、恒例で「穴どろ」を聴くことになるでしょう。「穴どろ」なしには年は越せないのです。年を越したら、こんどは「七福神」「けんげ者茶屋」というぐあいで(ついでに、正月を背景にした雷蔵版オリジナル眠狂四郎の2本目も用意してある!)、農耕民族的暦日コンプライアンスの実現です。

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◆ ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス盤 ◆◆
去年、取り逃してしまった、The Christmas Songを今年はやるかと思ったとき、だれのだかわからないながら、ファースト・ラインを歌う声が頭のなかに流れました。ファイルをプレイヤーにドラッグし終わり、ひととおり聴いていて、ああ、これだ、と思ったのが、このTJB盤です。いやはや、「そりゃないだろう」ですよねえ、おのおのがた。

ハーブ・アルパートという人は、まあ、ぶっちゃけていえば、シンガーとしては箸にも棒にもかからないほど下手です。This Guy's in Loveが大ヒットしたのは、彼の恐ろしく不安定なピッチのおかげではないかと思うほどです。たぶん、その方面(って、どの方面かはさておき)の女性たちは、こういうハンサムだけれど、頼りなげに見える男がお好きなのでしょう。

ハーブ・アルパートだって馬鹿でもなければ、ツンボでもありません。自分のピッチの悪さはよく承知しているはずで、それをプラスに転化できる曲をしばしばうまく見つけています。このThe Christmas SongのTJBヴァージョンがわたしの意識に染みこんだのも、そういうことなのだろうと思います。

Herb Alpert & The Tijuana Brass - The Christmas Song


この曲の特徴のひとつは、The folks dressed up like Eskimosのところの、意外なライン、意外なコードにあります。ということはつまり、「夜霧よ今夜もありがとう」などの系列に属す、素人が歌うとそこに来るたびにみな音を外す、困った罠が組み込まれているのです。ハーブ・アルパートは素人っぽいので、やっぱり、このEskimosはかなり不安定で、こういうのを褒めていいのだろうかと、一瞬、迷いが生まれるほどです。

しかし、この難所での無理もないつまずきに目をつぶるならば(なんだか、近所のカラオケ・バーから聞こえてくるそこらのおっさんの歌に似ていて、ほんとうにこれをみすごしにしていいのだろうか、という気もするが!)、なかなか魅力的なレンディションです。わたしは50年代のイヤッたらしいジャズ・ヴォーカルが大嫌いなのですが、このハーブ・アルパート盤の、そういうもののベタベタした物欲しげなイヤらしさとは完全に手を切っているところは、おおいに好感をもてます。歌のうまさを、いかにもことありげにひけらかすほど世に下品なことはありません。

ハル・ブレインはブラシでシャーとやっているだけで、ドラムは聴きどころがありませんが、ギターは地味ながら、うまさもうまし、立派なものですし、コーラスも効果的で、総合的に見ると、ハーブ・アルパートの堂に入った下手下手ぶりまで含めて(そりゃそうでしょ、これがうまい歌だったら面白くもなんともないのだから!)、これは膨大な数のあるこの曲の全ヴァージョンのなかでも、最上位にくるものといえるでしょう。

◆ コニー・フランシス盤 ◆◆
一時期は、このブログのために、ずいぶんおおぜいの女性シンガーをHDDにおいていたのですが、もともとそれほど好きではないので、もうスタンダードはやらないと決めたときに、ほとんど撤去してしまいました。だから、この曲を検索しても、女性シンガーのものはほんの一握りしかヒットしませんでした。ほんの一握りなのに、いいと感じるものはあまりないのだから、やっぱり女性シンガーは嫌いなのです。

そのなかで唯一嫌みがないのが、コニー・フランシス盤です。この人の声は好きなのですが、典型的な「ベンチがアホ」の罠にはまった人で、プロダクションが素晴らしいと感じるものがなく、みな古びてしまっています。センスのいい人がまじめにプロデュースすると、半世紀ぐらいではびくともしないものなのですが、コニー・フランシスのヒット曲はダメです。いまではみな聴くに堪えないほど古めかしく響きます。

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ただし、ヒットが出なくなったレイター・イヤーズになると、総合力の勝負ということがわかったのか、いいプロダクションが増え、この人の本来的な美質が生かされた盤があることに、ボックスを聴いていて気づきました。わたしは、コニーを聴くなら、だれも相手にしなかった時代のものにかぎると思っています。

ヒット・アフター・ヒットだった全盛期のもののどこがダメかというと、リズム・セクション、とりわけドラムとギターのプレイとサウンドがおそろしく古めかしいことです。したがって、彼女のバックビートのある曲はまったく好みません。Lipsticks on Your Collarなんか、いい曲だと思うのですが、ギターには耳をふさぎたくなります。

このThe Christmas Songは、その全盛期である1959年のリリースですが、神はコニーを見離さず、ありがたいことに、ロック系のアレンジではなく、大ストリングスをバックに歌っていて、やっぱりダサダサのリズム・セクションさえなければ、この人の歌は素晴らしいと感じるレンディションです。最近、よくいっているのですが、日本では美空ひばり、イギリスではペット・クラーク、アメリカではコニー・フランシス、この三人はやっぱりただ者ではないのです。

歌ものでもふれたいものがあとすこし残っていますし、インストものにはまったくふれていないので、もう一回だけ延長して、次回でこの項を終わるつもりです。

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ナット・キング・コール
Christmas Song
Christmas Song
by songsf4s | 2008-12-23 23:56 | クリスマス・ソング