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書物の肖像

ベスト・オヴ・アール・パーマー、ハリウッド篇はまたしても選曲に手間取っているので、今日はほんのつなぎの駄話、というか、写真の羅列です。

十数年前の引っ越し以来、開けていない段ボール箱というのがあり、ブログをはじめてから、そういうもののなかに使えそうな材料がいくつかあるのを思い出したのですが、本や資料を収めた段ボールは多く、持ち上げるのも重労働で、まあ、いいか、とほったらかしていました。

しかし、もうひとつブログをはじめるとなると、やはり、あれとあれとあれぐらいは読んでおかないと話にならない、というのがあって、今日は重い腰を持ち上げ、狙いをつけた箱をいくつか押し入れから取り出し、開いてみました。ラッキーにも、五つ目の箱で大当たりが出ました。探していた本がごそっと浮上してきたのです。

45回転盤のスリーヴ写真や、SPのレーベル写真を載せているところのなかには、あきれ果てたことに、無断で写真を使うな、などといっているサイトがあります。こういうのは日本だけの島国根性が生む現象ではないでしょうか。英語サイトで画像をもらおうとして、無断使用お断り、などと書いてあるところにでくわしたことはありません。

当たり前ですよ。デザインした当人ではないし、その盤をリリースした会社でもないのだから、スキャンした人間なんかになんの権利もありません。「無断使用」というのなら、そのスリーヴをスキャンしてウェブに掲載し、「無断で使うな」などと反っくり返っているご当人が、そもそも無断使用をしているのです。以前にも書きましたが、もう一度改めて、馬鹿もいい加減になさい、権利のはきちがえもいいところですよ、と申し上げておきます。

以下の写真は必要なら「無断使用」なさってください。使っていただくことを前提に、いつもの当家の写真より大きくし、画質もすこし上げています。どれも自分の新しいブログのためにスキャンしたのですが、ざっと検索をかけてみたところ、小さくて不鮮明なものや、オリジナルではなく、新版や文庫本の写真しか見つからなかったものばかりです。香川登志緒の『大阪の笑芸人』もいっしょに出てきたのですが、これはよそに大きな写真があったので省きました。必要なら画像検索をしてみてください。

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鈴木清順『けんかえれじい』 装幀・林静一、題字・鈴木清順
映画と同じタイトルなので、検索には不都合だが、たぶん、この版の大きな写真はよそにはないと思う。あとがきを読むと、不当解雇裁判の結果が出る前の出版だったことがわかる。また、冒頭付近に収録されている「洋パンと『野良犬』と自動小銃」というエッセイに出てくる、小津安二郎『晩春』をめぐるくだりは、すっかり失念していたので、非常に興味深かった。それにからんで出てくる同じ年に公開された黒澤明『野良犬』についてのくだりも同様である。これはいずれ引用させてもらうことになるだろう。

林静一の装幀は、クレジットがなくてもすぐにわかるが、清順の「ガロ」の連載でも、印象的なイラストを添えていた。


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鈴木清順『花地獄』 装幀・林静一
1972年の第二エッセイ集。以上の写真はカヴァーではなく、函絵の表と裏。見返しに署名があって、記憶がよみがえった。一度、署名なしのふつうの版を買ったのに、たしか、早稲田の安藤書店でサイン入りを見つけ、それをさらに買ったので、ふつうの版はのちに手放すことになった。


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鈴木清順『夢と祈祷師』 装幀・林静一
いまあとがきをちらっと読んで、声を出して笑った。『伊豆の踊子』歴代監督をめぐる話が書かれている。林静一の装幀としては、三冊のなかでこれがいちばんいい。


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松本隆『風のくわるてつと』
当たり前の本だと思うのだが、検索すると、文庫版ばかりで、この元版の大きな写真は見あたらなかった。この年になると、松本隆への思い入れはないのだが、はっぴいえんどファンのためにいちおうスキャンしておいた。ほんとうなら、Tonieさんをゲストライターに招いた「日本の雪の歌」特集のかくれんぼ by はっぴいえんどのときに発見しておかなければいけなかったので、半年遅れの発見。あがた森魚が帯の推薦文を書いていたことなど、すっかり失念していた。


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香川登志緒『てなもんや交遊録』
短い人物エッセイばかりで、それほど重要な本ではないが、上方演芸ファンはもっていたほうがいい一冊かもしれない。わたしは漫才もわからないし、上方落語だってよく知りはしないが、演芸ファンとして、つい、よその土地の本まで念のために買ってしまう。澤田隆治の本も読んだ。
by songsf4s | 2008-10-31 23:57 | その他