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The Wild Wild West (TV OST)
タイトル
The Wild Wild West
アーティスト
unknown (TV OST)
ライター
Richard Markowitz
収録アルバム
N/A (TV OST)
リリース年
1965年
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依然として、数多くのヴァージョンの聴きくらべができるほど気力体力が充実していないので、ここからしばらくは、カヴァーの少ない映画、テレビ音楽を取り上げていこうと思います。

記憶というのはおかしなもので、熱心に見たテレビ番組だからといって、かならずしもテーマを鮮明に記憶しているとはかぎらないようです。「アウター・リミッツ」なんか、毎回、○×△□が縮み上がるほど怖がりながら見ていたくせに、あとからテーマを聴いても、これがそうだっけ? てなもので、まったく記憶がありませんでした。

f0147840_228342.jpg「アウター・リミッツ」は覚えにくいメロディーだからなのだろうと思いますが、「わんぱくフリッパー」なんか、選挙の宣伝みたいに「They call him Flipper, Flipper, Flipper」とタイトルを連呼するテーマ・ソングがついているのに、まったく記憶にないというのは、いったいどういうことでしょうか。

「パティ・デューク・ショー」も、かけらも覚えていませんでしたし、「パパは何でも知っている」なんて、単純明快な曲で覚えやすそうなのに、やはり記憶がありません。「ミスター・エド」のように、日本語のテーマ(「馬がしゃべる、そーんな馬鹿な!」)がつけられたものもあるので、記憶のないものというのは、そういうケースもあるのかもしれませんが、それにしても、全部が全部そうだったとは思えず、こういう記憶の選択性、ふるい落としは、どういうメカニズムになっているのだろうと考えこんでしまいます。

◆ ギターの扱い ◆◆
さて、本日の曲は「ワイルド・ウェスト」The Wild Wild Westのテーマです。数年前に、ウィル・スミス主演で本編がつくられましたが、そのもとになったテレビ・ドラマです。本編はおそろしくつまらない出来でしたが、設定としては、テレビ版もあんな感じで、レッテルを貼るとしたら「SFスパイ西部劇」あたりです。あの当時の流行りものである、ジェイムズ・ボンド、マカロニ・ウェスタン、SFといった要素をすべて詰め込んだ、まるで十二歳のわたしのためにあつらえたようなドラマでした。

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本編がつまらなかったのは、金をかければなんでもできてしまうからでしょう。ドラマが面白かったのは、テレビにしては豪華だったせいであり(ジェイムズ・ボンドのアストン・マーティンDB5に相当するのが、主人公ジェイムズ・ウェストの専用列車で、ダイアもへったくれもなく、勝手気ままに鉄道を走りまわるというのには、ビックリ仰天した)、いっぽうで、ところどころセコかったりするところがよかったのです。金をかけて本編に仕立てたのでは、セコさの面白味は吹き飛んでしまいます。

さて、音楽です。とりあえず、You Tubeで1965年版のタイトルをご覧いただきましょうか。カラー版もあります。わたしがどちらを見ていたかというと、わが家もご多分にもれず、東京オリンピックでカラーテレビを買っているので、このときにはカラーのはずです。しかし、この番組を見ていたのは、たぶんわが家でわたしひとりで、ということは、古い白黒テレビで見ていた可能性のほうが高そうです。

このタイトルとテーマについて、わたしの記憶はどうだったかというと、ほとんど忘れていました。テーマは、聴いてから、ああそうだ、こんな感じだったかもしれない、と思いだしたのですが、タイトルは白黒を見ても、カラーを見ても、うん、「グラフィック・タイトルの60年代」らしい、いいタイトルだ、と思うだけで、毎週これを見ていた、という感じはさっぱりしません。

f0147840_22143346.jpgいま、このテーマ音楽を聴いて、なるほどねえ、と思うことがひとつあります。ギターとベースの扱いが60年代中期らしくて、これより数年前のテレビ音楽、たとえば、「サンセット77」や「ハワイアン・アイ」とはちがう時代に入ったことが感じられるのです。ベースのオクターヴ上にギターを重ねる手法は、ハリウッドのポップ/ロック系セッションで一般化したもので、60年代初期までのテレビ音楽を支配していた、ジャズ的手法とは完全に手が切れています。じっさい、このラインをちょっと加工すると、ザ・フーのHappy Jackになるでしょう!

このオクターヴでプレイするギターとベースをとってしまうと、悪い曲ではないものの、平凡なオーケストラ音楽にすぎず、忘れてしまったのもむべなるかなと思います。こういうギターとベースの扱いが、テレビ・ドラマのテーマでも利用されるようになったのは、ビートルズがアメリカを席巻したあとだからです。ギターの時代が到来した証拠であり、オーケストラ音楽もそういう新しい時代と折り合いをつけなければならなくなったのです。それがThe Wild Wild Westのテーマがもつ歴史的な意味でしょう。

The Wild Wild Westは4シーズンつづいたので、アメリカではそこそこのヒットだったようですが、日本ではまったく評判にならず、ひょっとしたら、当家のお客さんのどなたも記憶されていないのではないかと、心もとない思いをしています。つぎは、本日とは逆に、わたし自身は全然見なかったけれど、世間ではおおい評判になったドラマを取り上げようか、と殊勝なことを考えないでもないのですが、根がへそ曲がりなので、やっぱり、だれも見なかったけれど、わたしは贔屓にしていたドラマを取り上げそうな気もします。
by songsf4s | 2008-08-02 22:27 | 映画・TV音楽