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Adventures in Paradise その2 by Henry Mancini
タイトル
Adventures in Paradise
アーティスト
Henry Mancini
ライター
Dorcas Cochran, Lionel Newman
収録アルバム
Music of Hawaii
リリース年
1966年
他のヴァージョン
The Atlantics, Henry Mancini, Johnny Gibbs & Orchestra, Arthur Lyman, The Gene Rains Group, the Paradise Island Trio, Werner Muller
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このところ、日常生活でも、ブログでも、とんでもないミスをするので、すくなくとも一日一回は驚いています。年をとるのも思いのほか意外性に満ちていて、なかなかどうして退屈するどころではありません。

昨日は、よしできた、といって、最後の確認をするまで、「他のヴァージョン」欄になにも書いていないことに気づませんでした。いや、それくらいのミスならよくあることなのですが、じつは、他のヴァージョンが存在していること自体、コロッと失念していたのです。

画像の貼り付けを終わって、もう一度、文字校をやっているときに、突然、ギャッ、うちにはヘンリー・マンシーニ盤Adventures in Paradiseがあったぞ、と思いだし、あわてて検索をかけたら(それすらやっていなかった)、マンシーニどころか、ぞろぞろヴァージョンが出てきて、あららー、でした。

ということで、今日は休むつもりだったのを変更し、軽く、短く、簡明に(いや、ホントに!)、他のヴァージョンのいくつかを見ていくことにします。

◆ オーケストラもの ◆◆
この曲は1959年から1962年まで、3シーズンにわたってつづいた、20世紀フォックスの制作になる同題のテレビドラマのテーマ曲だったのだそうです(50年代なかば、映画会社がつぎつぎとテレビ・ドラマの制作に乗りだしたことと、ハリウッド音楽界が隆盛を迎えることとのあいだには密接な関係があるが、その点については近々くわしく見る予定)。

f0147840_06665.jpg20世紀フォックス音楽部の名物ボス、ライオネル・ニューマンによるAdventures in Paradiseのオリジナル・ヴァージョンはわが家にはありませんが、この画像でチラッと聴くことができます。

ライオネル・ニューマンだから、そうだろうとは思っていましたが、なかなかゴージャスなオーケストレーションで、こういう曲はやっぱりオーケストラのほうがいいかな、という気がしてきます。

それにしても、たかがテレビドラマだっていうのに、当今では本編でも聴けないような、フルスケールのオーケストレーションで、昔は考え方が根本的にちがっていたのだな、と思います。どうであれ、盤になっているのなら、ぜひ手に入れたいと感じる出来です。

よけいなことですが、このドラマに登場する、主人公が乗りまわすスクーナーの名前が「ティキ」だっていうんで、やっぱりエキゾティカだなあ、と思っちゃいました。さらによけいなことをいうと、『ハワイアン・アイ』や『サーフサイド6』や『サンセット77』や『バークにまかせろ』といった、あの時代に見ていたドラマを片端から見たくなりました。

うちにあるオーケストラものAdventures in Paradiseというと、なんといってもヘンリー・マンシーニ盤です。とりわけ冒頭のストリングスのサウンドがすばらしいのですが、冒頭のみならず、全体に、ときおりチェンジアップを織り交ぜたストリングスの使い方は、さすがはマンシーニと納得のいくものです。またしても、例の未詳キーボード楽器が使われていて、少し意地になって調べたのですが、タック・ピアノまたはエレクトリック・カリオペの可能性あり、というところまでしか追い込めませんでした。宿題としておきます。

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ヘンリー・マンシーニが弾いているこの鍵盤楽器がなんのか、すごく気になるのだが……。

ウェブで遭遇しただけで、なんだか正体不明のヴァージョンなのですが、ジョニー・ギブズ&オーケストラという名義のAdventures in Paradiseは、ちょっとした出来です。テンポはやや速めですが、ストリングスと女声コーラスというコンビネーションがよく、最初の一分間ぐらいはおおいに楽しめます。しかし、チェンジアップの技をもっていないようで、残念ながら、最初の好印象はだんだん尻すぼみになってしまいます。このへんが、ヘンリー・マンシーニのような大家との差でしょう。

ウェルナー・ミューラーのヴァージョンは、エキゾティカ風味が薄くて、ちょっとちがうのでは、と感じます。テンポが速く、パーカッション・ドリヴンで、ノリはいいのですが、ここはノリを期待するところではなく、「遙かなる感覚」を期待するところのような気が……。

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◆ コンボもの ◆◆
f0147840_0173594.jpgコンボによるヴァージョンもいくつかあります。Board Boogie: Surf 'n' Twang from Down Underというサーフ・アンソロジーに収録されたプレイボーイズ(いくつあるかわからないくらいありふれた名前!)という正体不明のバンドのものは、アトランティックスに近い解釈です。

どこのプレイボーイズかアイデンティファイできず、材料がなにもないのですが、音を聴いたかぎりでは、ガレージ・サーフではありません。では、ハリウッドのプロフェッショナルによるものかというと、そうも聞こえません。下手ではないし、子どもを放し飼いにしてテープを回しただけ、というあの時代に濫造された、ローカル・ヒット狙いのLAガレージ・サーフとは異なるプレイで、それなりにアレンジもされ、いちおうのプロダクションの体はなしているのですが、とくにすぐれた仕上がりではなく、かえって、アトランティックスの出来のよさを確認できたりします。

アーサー・ライマンはそんなにいろいろなことをするバンド・リーダーではないので、Adventures in Paradiseも、いつものアーサー・ライマン、というアレンジとサウンドです。こういうヴァイブラフォーンによるエキゾティカというのは、あの時代にもすでにクリシェになっていたものですが、クリシェゆえにノスタルジックな響きがある、ということもいえます。よかれ悪しかれBGM的です。

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マーティン・デニー、アーサー・ライマンにつづく、ハワイ派エキゾティカの「第三の」バンド・リーダーが、アルフレッド・アパカにスカウトされたジーン・レインズです。レインズもアーサー・ライマンと同じヴァイブ奏者だし、似たようなコンテクストにあるので、音から受ける印象も似通っています。いまでも、世界中の海辺のホテルには、こういうバンドが出演していて、こういう曲を、こういう風にやっていることでしょう。そういうリゾート地BGMとしてなら、けっして悪いものではありませんが、とりたててイマジネーションを刺激される出来でもありません。

なんだか、うちにあるものより、未入手のライオネル・ニューマン盤のことが気になってしかたがありません。どうやらCDはないようなので、正攻法はダメとわかりました。蛇の道は蛇なので、いずれはなんとかなるものと期待しています。じつは、かなりそそられてしまい、落ち着かない気分なのです。
by songsf4s | 2008-07-06 23:59 | Exotica