人気ブログランキング |
The Windmills of Your Mind その1 by Noel Harrison
タイトル
The Windmills of Your Mind
アーティスト
Noel Harrison
ライター
Michel Legrand, Alan and Marilyn Bergman
収録アルバム
The Thomas Crown Affair (OST)
リリース年
1968年
他のヴァージョン
Dusty Springfield, Petula Clark, Vanilla Fudge, Henry Mancini, Paul Mauriat, Percy Faith, Jose Feliciano, Michel Legrand (instrumental theme from the OST), David Grisman (as Clinch Mountain Windmill), the Sandpipers, Art Farmer with the Great Jazz Trio
f0147840_23194579.jpg

ノーマン・ジュイソンの『華麗なる賭け』(The Thomas Crown Affair、1968年)は、いろいろな意味で非常に印象的な映画でした。なによりもまず、スプリット・スクリーンを多用した映像表現に、子どもは驚きました。強く印象に残っているというとことは、それまでこういう映像は見たことがなかったのでしょう。ストーリーや俳優たちのことでもいろいろ思いましたが、音楽もまた印象に残るものでした。

映画音楽なので、先に映像つきで聴いていただいたほうがよさそうです。You TubeにThe Windmills of Your Mindが流れるシーンがあります。このシーンについても思うことがありますが、それはあとまわしにして、もうひとつ、この動画も、よろしかったらご覧になってみてください。このThe Boston Stranglerという曲についても、あとでふれるつもりです。

f0147840_23224581.jpg

◆ 「解決」しない歌詞 ◆◆
さて、とりあえず歌詞を見ておきます。かなり感覚的で、そのまま英語で聴くだけにしておいたほうが、まだしも意味が了解できるだろうと思います。でも、そういっては身も蓋もないので、日本語に移す努力をしてみますが、なによりもまず(要するに言い訳ですが)、主部が明示されていないということをご了解いただきたいと思います。だから、ルートに戻って「解決」しない曲のように、据わりが悪いのです。それではファースト・ヴァース。ヴァージョンによってかなり異同がありますが、ここではオリジナルのサウンドトラック盤(ノエル・ハリソン盤)にしたがっておきます。

Round like a circle in a spiral
Like a wheel within a wheel
Never ending or beginning
On an ever-spinning reel
Like a snowball down a mountain
Or a carnival balloon
Like a carousel that's turning
Running rings around the moon
Like a clock whose hands are sweeping
Past the minutes on its face
And the world is like an apple
Whirling silently in space
Like the circles that you find
In the windmills of your mind

f0147840_23252651.jpg「螺旋のなかの環のように、車輪のなかの車輪のように円を描き、終わりもなければ、始まりもなく、永遠にめぐりつづける糸車のように、山を転がり落ちる雪玉のように、カーニヴァルの風船のように、廻りつづける回転木馬のように、月のまわりで環を描く、分を刻みながら時計の針が文字盤を一周するように、音もたてずに宙を旋回する、心のなかの風車が環を描くように」

うーん、納得しているわけではないのですが、べつにまちがっているわけでもなく、じっさい、このようなことをいっているので、ご諒解あれ。つづいてセカンド・ヴァース。

Like a tunnel that you follow
To a tunnel of its own
Down a hollow to a cavern
Where the sun has never shone
Like a door that keeps revolving
In a half-forgotten dream
Or the ripples from a pebble
Someone tosses in a stream
Like a clock whose hands are sweeping
Past the minutes of its face
And the world is like an apple
Whirling silently in space
Like the circles that you find
In the windmills of your mind

「トンネルのなかのトンネルをたどるように、穴をたどってけして陽の射しこまぬ洞窟へと、忘れかけた夢のなかで回転しつづけるドアのように、あるいはだれかが小川に投げ込んだ小石が起こした波紋のように、分を刻みながら時計の針が文字盤を一周するように、この世界は心のなかの風車が環を描くように音もなく回転する林檎」

f0147840_23282443.jpg

あれこれいわずにサード・ヴァースへ。

Keys that jingle in your pocket
Words that jangle in your head
Why did summer go so quickly?
Was it something that you said?
Lovers walk along a shore
And leave their footprints in the sand
Is the sound of distant drumming
Just the fingers of your hand?
Pictures hanging in a hallway
And the fragment of a song
Half-remembered names and faces
But to whom do they belong?
When you knew that it was over
You were suddenly aware
That the autumn leaves were turning
To the colour of her hair

「ポケットのなかでジャラジャラする鍵のように、頭のなかで渦巻く言葉のように、なぜ夏はあっという間に終わってしまうのだ? なにかまずいことをいってしまったせいなのか? 恋人たちは渚をそぞろ歩き、砂に足跡を残す、あれは遠くの太鼓の響きなのか、それとも手に握った指の音なのか? 廊下にかかる絵、歌の切れ端、思いだしかけた名前と顔、でも、すでに終わったことがわかっているのだったら、その名前と顔はだれのものなのだ、そして、ふいに、木の葉が彼女の髪の毛と同じ色に紅葉しているのに気づく」

f0147840_23301278.jpg

◆ 映画の時間が止まるとき ◆◆
映画のなかにはよく、ストーリーの流れという面では重要ではない、叙情的なシーンというのがあります。そういうシーンでは、しばしばテーマ曲が流れることになっています。もっとも有名な例としては、『明日に向かって撃て』(Butch Cassidy and the Sundance Kid)のRaindrops Keep Fallin' on My Headが流れるシーンがあります。

こういう付録のようなシーンがいつから生まれたのかわかりませんが、わたしが子どものころには、それほど多くはなかったような気がします。おそらく、ミュージカル映画からの借用として誕生したのではないかと思うのですが、自分が見た映画のなかで、その種のものとして印象に残っているのは、まず、ビートルズのA Hard Day's NightのCan't Buy Me Loveが流れるシーンです。

A Hard Day's Nightは一種の音楽映画なので、たいていは「必然性」、つまり、ビートルズがステージなどでうたう、という形で歌が出てくるのに、このシーンはそういうものではなかったために、強く印象に残りました。同じ映画のなかで拗ねたリンゴが町を放浪するシーンも同じような味わいがありました(You Tubeの映像は正しいが、音はビートルズのThis Boyに差し替えている。本来はインストのThis Boy)。さらにいえば、Help!のAnother Girlのシーンなども同類と感じます。

音楽映画ではなく、ふつうの映画で、音楽と映像の結合による「詩」を感じたのは、ロベール・アンリコの1967年の映画『冒険者たち』(Les Adventuriers)での、複葉機とトラックが「ダンスする」シーンでした。この映画は、当時の中学生、というか、われわれの学校では一大センセーションとなり(おもにジョアナ・シムカスの魅力による!)、わたしも数回見ていますし、どこかの名画座でやっているという情報が伝わると、そのたびに数人は見にいっていました。

f0147840_23584442.jpg

もちろん、映画としてすぐれていたからですし、ジョアナ・シムカスも圧倒的でしたが(あの目!)、いまでもときおりヴィデオをかけて、ちょっとだけ見るのは「トラックのダンス」シーンです。なにしろ、映画音楽には手を出さないことにしていたのに、思わずサントラ・シングルを買ってしまったほどで、あのころ、この曲とそれが流れるシーンにどれほど惚れこんでいたかがわかろうというものです(このアラン・ドロンがうたうテーマ曲は、映画には出てこない。映画のサントラはB面に収録されたJournal de Bordのほう。You Tubeの映像は、うまくない編集がされているが、チラッとだけ、複葉機とピックアップ・トラックのダンス・シーンが織り込まれている。ロベール・アンリコの傑作を再編集するとは、このヴィデオの作成者、神をも恐れぬ太い肝っ玉の持主!)。

こういうシーンは、プロモーション・フィルム、そしてその後のプロモーション・ヴィデオの先駆といっていいでしょうが、そのような流れのなかで、やはり強い印象に残ったのが、本日の曲、The Windmills of Your Mindが流れる、『華麗なる賭け』のグライダーのシーンでした。わたしの頭のなかでは、ビートルズ映画、『冒険者たち』、『華麗なる賭け』、そして『明日に向かって撃て!』という順序で、この系譜はつながっています。いまになれば、明らかですが、これこそが未来につながるメインラインだったと思います。

この曲は、多少ともヒットしたのはダスティー・スプリングフィールドのヴァージョンだけなのですが、じつに多くのカヴァーがあります。楽曲の出来がいいということももちろんあるでしょうが、あのグライダーのシーンが強い印象をあたえたことも、理由のひとつではないかと思います。

今日はここまでとして、各ヴァージョンの検討は明日以降にさせていただきます。
f0147840_003270.jpg
『華麗なる賭け』は基本的にはケイパー映画で、銀行襲撃がひとつのクライマクスになっているが、そこに保険会社の調査員であるフェイ・ダナウェイと、実業家にして強盗の首魁スティーヴ・マクウィーンの微妙な駆け引きが加わり、オフビートなケイパー/ラヴ・ストーリー映画になっていた。

by songsf4s | 2008-05-17 23:54 | 風の歌