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The Fool of the Year by Johnny Burnette
タイトル
The Fool of the Year
アーティスト
Johnny Burnette
ライター
David Gates
収録アルバム
The Best of Johnny Burnette
リリース年
1961年
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今日も無駄話をしている余裕はないので、簡単に。ジョニー・バーネット、デイヴィッド・ゲイツという、ハリウッドだとそういう組み合わせもあるのね、というシンガーとライターです。

片やテネシー、片やオクラホマ、出会った場所はハリウッド。そういう音楽環境だったなあ、と思うのはまだ早い。出身地の話をはじめると、この曲の関係者はもうてんでんばらばら。カリフォルニアの人間を見つけるほうがむずかしいくらいです。

◆ 馬鹿の王者、受賞理由を語る ◆◆
それではさっそく歌詞へ。コーラスから入る構成です。

My friends all say, 'How could you be so blind?'
I never thought she was the cheatin' kind
I lost my pride
And now I fear that I'm the fool of the year

「友だちみんながいうんだ、『おまえはどうしてそんなめくらなんだ?』って、彼女があんな嘘つきとは思わなかった、まったく面目丸つぶれ、ぼくは今年度ナンバーワンの馬鹿かもしれない」

つづいてファースト・ヴァース。

Ring, ring the bells and spread the word around
The king of fools has at last been found
Let's get together and give a cheer
For I'm the fool of the year

「鐘を鳴らして、ニュースを伝えろ、とうとう馬鹿の王者が発見されたってね、みんな集まれ、声援を送ろう、なんたって、ぼくは今年度ナンバーワンの大馬鹿野郎さ」

ブリッジ。

Get the blue ribbons
Strike up the band
Come see the biggest fool
Believe me, here I stand

「青いリボンをつけろ、演奏をはじめろ、さあ、最悪の馬鹿を見てくれ、嘘じゃないさ、ほら、その証拠がここにいる」

リボンをつけるのは主役の印、演奏はファンファーレでしょう。いわれなくてもわかる、よけいな説明でした。

セカンド・ヴァース。

So you can see why I should get the prize
Since I'm the one who fell for all her lies
So clap your hands and I'll shed a tear
You're lookin' at the fool of the year

「これで、ぼくがこの賞を手にした理由はわかっただろう、彼女の嘘っぱちをみんな信じちゃったんだ、さあ、拍手をしよう、うれしくて泣けてくるね、君たちの目の前にいるのが、今年度ナンバーワンの大馬鹿野郎さ」

◆ 今年度ナンバーワンのドラマー ◆◆
f0147840_23325010.jpg以上、ありがちな歌詞というか、典型的なワン・アイディア・ストーリーです。そういうものは、展開しだいで勝負が決まることになっていますが、どうでしょうか? そこそこの出来ではあるけれど、ヒットに結びつくパンチラインはないと感じます。タイトルをひっくり返すとか、ずらすとか、そういうラインが必要だったのではないでしょうか。じゃあ、おまえが書け、なんて、だれにもいわれないことを前提にして、エラそうに小突きまわしているんですけれどね。

しかし、この曲、イントロが流れた瞬間、ムムッとなります。音としてはかなりなもんです。いや、なんでムムッとするかといえば、わたしはドラム馬鹿、夜目遠目笠のうちもなんのその、まごうかたなきアール・パーマー先生のドラミング。いやまったく、みごなグルーヴです。

アール・パーマーのディスコグラフィーを眺めていて思うのは、彼のピークは60年代はじめだということです。この時期にいい仕事が集中しています。すごく読みにくいでしょうが、いちおうディスコグラフィーをスキャンしてみました。

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Selected 45 discography of Earl Palmer 1960-64

61~62年は寝るひまもなかったにちがいありません。このときは、まさか、ハル・ブレインなんてのが彼を押しのけて、「お疲れでしょう、ゆっくり眠ってください」といわんばかりの八面六臂の大活躍をするとは思わなかったから、毎日ボヤいていたことでしょう。でも、おかげで過労死をまぬかれ、長寿を保たれたのではないでしょうかね。

◆ 盛者必滅の理 ◆◆
ジョニー・バーネットというと、You're SixteenかDreamin'ということになっています。たしかに、両方ともいい曲ですし、前者にはリンゴ・スターの有名なカヴァーがあるので、それもむりないとは思います。でも、盤を聴いてみれば、ほかにも捨てがたい曲がけっこうあります。

f0147840_23373174.jpgスウィンギング・ブルー・ジーンズがカヴァーしたIt Isn't Thereなんかも、なかなか面白い出来ですし、今日取り上げたThe Fool of the Yearだって、好調時ならチャートインしていたのではないかと感じますし、お蔵入りしたというカール・パーキンズ作のFools Like Meなんかも、どうしてリリースしなかったんだよ、といいたくなる出来です。

初期はジェリー・アリソンが叩いたようですが、途中からアール・パーマーがストゥールに坐ったおかげで、ドラミングを聴いているだけでも、こりゃすげえな、と思います。アールだけでなく、プロデューサーのスナッフ・ギャレット、アレンジャーのアーニー・フリーマンというのは、ボビー・ヴィーを売り出したのと同じスタッフで、いかにも60年代初期のハリウッドらしい、溌剌としたサウンドを楽しむことができます。

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ジョニー・バーネット(左)とグレン・キャンベル(右)

ボビー・ヴィーがリバティーに入社して最初の録音は、「スプリット・セッション」だったそうです。通常は3時間のセッションで4曲を録音します。「スプリット」とは、この3時間4曲を半分に割って、二人のシンガーのシングルAB面を録音することです。

で、ボビー・ヴィーとセッションをスプリットしたのが、ジョニー・バーネット。ボビーは、バーネットの録音(Dreamin'だった)を聴きながら、あっちはヒット曲だけれど、俺のはダメだ、と思ったそうです。ボビーは、ジョニー・バーネットの録音のあまった時間を分けてもらうだけの、たんなる付録の立場だったのです。

f0147840_23433528.jpgしかし、そのあとのキャリアは逆転します。ジョニー・バーネットは、すぐに右肩下がり、ボビー・ヴィーは飛ぶ鳥を落とす勢いになります。いま、音を聴いても、資料を読んでも、どこでそんな差がついたのか、読み取るのは簡単ではありません。もっとも明白なことは、オールドン・ミュージック(バリー・マンのWho Put the Bompの記事を御参照あれ)の曲は、ボビー・ヴィーにいっているということです。ギャレットが、なぜバーネットにオールドンからの曲を廻さなかったのか、そのへんは手がかりがないのでわかりませんが、これがバーネットのキャリアの失速の原因かもしれません。

しかし、いま聴いて、オールドンであろうがなかろうが、かなりいい曲があったのに、ヒットしなかったことが引っかかります。あるいは、プロモーションのリソース配分が原因のひとつかもしれませんし、ティーン・アイドルとしては、ボビー・ヴィーのほうが役柄にピッタリだったということもあるかもしれません。まあ、そういうことは、いまあれこれ想像しても、詮方ないことで、どうでもいいといえば、どうでもいいのですが。

半世紀の時間がたってみれば、わたしの耳に聞こえるのは、アール・パーマーの飛び跳ねるようなビートと、おそらくはアーニー・フリーマンの仕事であろう、脳天気なアレンジメントだけです。いまの時代、これほど底抜けに明るい音は、たとえサザン・カリフォルニアでだって、もうつくれないにちがいありません。

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ディスコグラフィーのスキャンと貼り合わせに思わぬ時間を食ってしまい、あれこれ書く余裕がなくなってしまいました。たまには手早く終わるのも、お互いの身のためかもしれないので、これでいいのでしょう。
by songsf4s | 2008-04-19 23:56 | 愚者の船