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Be Young, Be Foolish, Be Happy by Booker T. & the MG's
タイトル
Be Young, Be Foolish, Be Happy
アーティスト
Booker T. & the MG's
ライター
James Cobb, Ray Whitley
収録アルバム
Soul Limbo
リリース年
1968年
他のヴァージョン
The Tams
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ときおり、書いても書いても、どこにもいきつかない原稿というのがありまして、三日も泥沼にはまったままです。とはいえ、あんまりご無沙汰していると、寄る年波、とうとうか、なんて思われるので、軽くつなぎのインストでご機嫌伺いをします。

◆ ハモンドB3との「対話」 ◆◆
世の中には、お気楽なシングアロング・ソングというのがけっこうありますが、楽器のほうにも、お気楽なプレイアロング・ソングというのがあります。ややこしいコードをコピーして疲れたとき(昨秋取り上げたキンクスのAutumn Almanacなんかが典型)など、ちょいと気分転換に弾いたりすると、混乱した頭がほぐれるような曲です。

La Bambaなんかもいいのですが、あれはイントロ・リックがお気楽なだけで、あとはギターの観点からはとくに面白いわけでもなく、どちらかというとチューニング確認用の曲でしょう。ヴェンチャーズのインスト・ヴァージョンもあまり面白い出来ではありませんでした。

f0147840_22145764.jpgわたしが清涼剤として好んでいるのは、MG'sのBe Young, Be Foolish, Be Happyです。シンプルでいながら、ギターがどこでオブリガートを弾き、どこでコードを弾き、いつ前に出るかは、ボンヤリしているとすぐにまちがえる曲で、そのへんが面白くて、あっ、ちがうじゃん、くそっ、またまちがえた、といいつつ、ブッカーTのB3との(仮想的)やりとりを楽しんでいます。

スティーヴ・クロッパーというか、MG'sのアレンジの面白いところは、ハリウッドだったら二人以上のギターをそろえるはずの曲でも、たいていの場合、オーヴァーダブをしないことです。スティーヴ・クロッパーが、カッティング、オブリガート、ソロを一度のランでやってしまうのです。スタックスの低予算からきたことかもしれませんが、これは結果的に、MG'sらしさの一部を形づくっていると思います。ファンともなると、ギターソロに入り、カッティングが消えて、うしろがスカスカになると、いかにもMG'sを聴いている気分になるってくらいでしてね。

Be Young, Be Foolish, Be Happyは、MG'sがカヴァーするには、ちょっとお馬鹿すぎるというか、お気楽すぎるというか、軽薄すぎるというか、アル・ジャクソンとダック・ダンの重いビートには似つかわしくない曲調で、その不釣り合いのゆえに、かえって耳に残ります。ボックスでは、むちゃくちゃに浮いています。たまには、こういうのもいいチェンジアップでしょう。

先にもちょっとふれましたが、とくにブリッジのあとの後半、オルガンとギターの出入りのタイミングが微妙で、単純に、オルガン・ソロ、ギター・ソロとはいえない、B3とテレキャスターの短いフレーズのやりとりになるところが、アレンジ面の魅力です。

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左下から時計回りに、ブッカー・T・ジョーンズ、アル・ジャクソン・ジュニア、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・“ダック”・ダンというMG'sの面々

Soul Dressing、Time Is Tight、Mrs. Robinson、Hip Hug-Her、Soul Limbo、Heads or Tailsなど、だれもが思い浮かべるMG'sのサウンドとはちょっとずれる曲ですが、そこがまた面白いところで、ベスト盤には箸休めとしてかならず入れてもらいたいと思っています。

Be Young, Be Foolish, Be Happyをオープナーとし、Hang 'Em High、Over Easy、Soul Limbo、Heads or Tailsといったエヴァーグリーンがつづく、Soul Limboというアルバムは、MG'sのカタログのなかでもっとも充実していると思います。LPのときには、なかからオマケの45回転盤が転がりだしてビックリしました。それをスキャンしようとしたのですが、どこかにまぎれこんでしまい、間に合いませんでした。あとで発見したら、そっとすべりこませておきます。

◆ タムズのオリジナル ◆◆
f0147840_22222875.jpgこの曲のオリジナルは、「孝行糖」とどっちが有名かってくらい、馬鹿の世界では幅をきかせているタムズです。

しかし、わたしは彼らのもっと有名な馬鹿ソングのほうしかもっていなかったので、またクモの巣を這いまわって、タムズ盤Be Young, Be Foolish, Be Happyを聴いてみました。なかなか堂に入った馬鹿っぷりで、これはこれで悪くないと思いますが、アレンジ、プロダクションがやや乱暴で、時の試練に耐える出来とはいいかねます。

タムズ盤は歌ものなので、ちょっとだけ歌詞を見ます。コーラスとファースト・ヴァースだけです。歌詞サイトには転がっていないし、時間もなくて、聴き取りづらいセカンド・ヴァースは、あっさりギヴアップしました。

Be young, be foolish, but be happy
Be young, be foolish, but be happy

Don't let the rain get you down
It's a waste of time
Have your fun
Feel everyday and the bright sunshine
It's the same old story all over the world
Girl need boy and boy need girl

最初の2行、タイトルを繰り返しているところがコーラスです。雨なんかで落ち込んではいかん、毎日燦然と輝く太陽を感じろ、とか、女には男、男には女と昔から決まっておる、若くあれ、馬鹿になって、人生を楽しめ、といったしょーもない歌詞です。

be youngといわれても、年齢ばかりは意思でどうにかできるものではないし、be happyといわれても、人生、苦のほうがはるかに多く、be foolishといわれても、あれは意識的になるものではなく、無意識のうちになるものだから、この三提案、いずれも簡単には応じかねます。

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たしかにfoolishであれば、人生は楽しいだろうとは思うのですが、それはアダムとイヴの時代に終わったことで、いま、彼らと同じようになれといわれて、さいですか、とホイホイ馬鹿になれる人はいないでしょう。まあ、だからこそ、歌にする意味があり、これを聴いて、人生の真実のようなもの、といっても「井戸端哲学」の真実ですが、そんなものを感じたリスナーも少なからずいたので、ヒットしたのでしょうけれど。

べつにくさすようなものではなく、編集盤に入っていれば、そこそこ楽しめる出来ですが、わたしはMG'sのカヴァーのほうがずっと好きです。MG'sの連中も、たまには馬鹿っぽくやると、ハッピーになれるかも、なんて思ってやったのかどうか、それは知りませんが。
by songsf4s | 2008-04-07 22:43 | 愚者の船