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Latin Snowfall by Henry Mancini
タイトル
Latin Snowfall
アーティスト
Henry Mancini
ライター
Henry Mancini
収録アルバム
The Days of Wine and Roses (box set)
リリース年
1963年
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そろそろグレイトフル・デッドに戻ろうかと思い、いろいろ調べていたのですが、ロバート・ハンターのメモに、『バスカーヴィル家の犬』をドラマ化したものを見たのがきっかけだった、という一節があり(どの曲についていっているのか、ヘッズ諸兄は推測なされよ)、コナン・ドイルの原作を読まないわけにはいかなくなってしまいました。じつは、小学生のときに一度、大人になってから二度読んでいるのですが、内容はまったく記憶していないのです。

デッドを本気で聴くと、しばしばこうなってしまうのはわかりきったことで、彼らの曲を取り上げようとすること自体、考えが甘いといわざるをえないのです。下手の横好きか、好きこそものの上手なれかわかりませんが、手間をかけることで、その中間ぐらいのところは確保したいと思っています。

◆ アルプスのラテン・ミュージック ◆◆
そういうしだいで、今夜はドイルを読まねばならず、休みにするかわりに、こういうときのための「雨傘用インスト」を一曲。冬の曲というのは、どういうわけかインストが多くて、助かります。

ヘンリー・マンシーニのLatin Snowfallは、スタンリー・ドーネン監督、オードリー・ヘップバーン、ケーリー・グラント主演の映画『シャレード』(ウォルター・マソー、ジェイムズ・コバーン、ジョージ・ケネディーなど、「くせ者」が多数出演)のために書かれた曲ですが、どこに出てきたのか記憶になく、ウェブであれこれ検索して確認しました。開巻まもなく、アルプスの麓という雰囲気のスキー場で、オードリー・ヘップバーンとケーリー・グラントが出会うシーンに使われていました。2時間近い映画なので、登場が最後のほうでなくて助かりました!

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Latin Snowfallというタイトルに、とくに意味があるのかどうかが気になって、映画を確認したのですが、背景は雪景色ではあるものの、南米色はなく、たんにラテン音楽風のアレンジだからという意味のようです。

ヘンリー・マンシーニの盤というのは、自作の映画音楽ばかりでなく、ふつうのポップ・オーケストラとして、他の作曲家の作品を含む、さまざまなタイプの曲が収録されていますし、映画音楽の場合でも、純粋のOSTではなく、再録音したものが収録されることも少なくありません。

f0147840_2332426.jpg映画でこの曲が登場するのはほんの短時間、しかも、オードリー・ヘップバーンとケーリー・グラントのテンポの速い会話の背景で流れるだけなので、きちんと確認はできないのですが、映画ヴァージョンとアルバム・ヴァージョンは同一のものと感じました。また、アルバムCharade収録ヴァージョンと、ボックス・セットThe Days of Wine and Roses収録のヴァージョンにも異同はありません。

この曲でリードをとっているのは、大部分がトロンボーンです(中間部ではホルンがリードをとる)。トロンボーンの音というのは、アタックが弱く、リードをとるのに向いていないと感じますが、そこはマンシーニ、じつにうまく使っています。曲をつくるときに、楽器の種類のみならず、だれがプレイするかも頭においている、といっているだけのことはあります。これほどトロンボーンの音がはまった曲は、そうはないでしょう。

◆ グラフィックなタイトルとテーマ音楽 ◆◆
f0147840_233675.jpgわたしが育った1960年代というのは、音楽を聴くにはいい時代でしたが、映画を見るにはあまりいい時代とはいえません。40年代から50年代前半の名作ラッシュが終わり、経済的ダメージを負ったハリウッドのスタジオが、あれこれコストダウンの方法を探りながら、生き残りをはかっていた時代だからです。『シャレード』はヨーロッパを舞台にしていますが、これもコストダウンの手段として流行したものだということが、あとでハリウッドの歴史を読んでわかりました。

しかし、子どもだったわたしはそんなこととはつゆ知らず、週末はつねに映画館の暗がりにいたので、『シャレード』のような、ヨーロッパの観光地を舞台にした、サスペンス映画というのは、きわめて60年代的なものとして、出来不出来に関わりなく、画面の雰囲気だけは、いまでは懐かしく感じます。

60年代の映画を久しぶりに見て思うのは、タイトルのグラフカルなセンスがすばらしいことです。ジェイムズ・ボンド・シリーズのタイトルにその一端をかいま見ることができますが、あれではまだ超一流とはいえず、もっとすばらしいものがゴロゴロしています。『シャレード』のタイトルも悪くありません。

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有名なのは、やはりヘンリー・マンシーニの音楽でよく知られている『ピンク・パンサー』でしょう。ヒチコックの諸作、なかでもソウル・バスが担当した『サイコ』のタイトルもよく知られている、60年代映画のグラフィカルなタイトルの代表です。

それにしても、ヘンリー・マンシーニのディスコグラフィーをながめると、これは見た、あれも見た、これも見た、という調子で、あの時代の有名作、ヒット作がぞろっと並んでいます。Latin Snowfallのように、挿入曲で印象深いものも多いのですが、やはり、マンシーニはテーマ曲のうまさで際だっています。『シャレード』の音楽は非常によくできていますが、あのグラフィカルなタイトルとともに聴くと、いっそう60年代的な気分にひたることができるでしょう。
by songsf4s | 2008-01-17 23:54 | 冬の歌