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Holiday on Skis by Al Caiola and Riz Ortolani
タイトル
Holiday on Skis
アーティスト
Al Caiola and Riz Ortolani
ライター
LeRoy Holmes
収録アルバム
The Sound of Christmas
リリース年
1967年
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◆ 犬の世界からきたコンダクター ◆◆
昨日は歌詞が短いジュリー・ロンドンのI'd Like You for Christmasで、久しぶりに楽をしましたが、今日はついに歌詞がなくなり、インストゥルメンタルです。本番の週末がきて、皆さまもいろいろお忙しいことでしょうし、わたしも野暮用やら、それほど野暮でもない用やら、いろいろあったりするわけでして。

Al Caiola & Riz Ortolani - Holiday On Skis


本日は、Silver Bellsのときに、隠し球だからといって、アルバム・ジャケットに無粋な目隠しをつけて、チラッとごらんいただいた、アル・カイオラとリズ・オルトラーニの共演盤の登場です。

f0147840_0112445.jpgアル・カイオラがギタリストで、The Maginificent Seven(『荒野の七人』)や、Bonanza(『カートライト兄弟』)のヒットがあることは、それなりに知られていることだと思います。しかし、リズ・オルトラーニはどうでしょうか。いや、じつは、どなたでも彼の曲をお聴きになったことがあるはずなのです。Moreの作曲者だからです。

f0147840_0124293.jpgもっとも、Moreというタイトルは、英語詩がつけられてからのもので、原タイトルはTi Guardero' Nel Cuoreだと盤に書いてあります。意味は知りません。この曲をテーマとした映画のほうのタイトルはMondo Caneといって、意味は「犬の世界」だそうです(邦題は『世界残酷物語』)。そういえば、犬の学名がなんかそんな名前だったと思い、いま辞書を調べたら、canis familiarisとありました。サントラ盤でも、冒頭に犬の鳴き声が入っています。公開当時に見たきりなので(超満員立ち見)、おっかない映画だったということしか覚えていません(こちらはまだ小学生で、牛が殺されるところでは目をつぶった!)。

とにかく、そういう人たち二人が、片やギター・プレイヤーとして、片やオーケストレーター兼コンダクターとして、共同プロデュースで制作したのが、このThe Sound of Christmasというアルバムです。

◆ アル・カイオラとビリー・ストレンジ ◆◆
看板に立てたHoliday on Skisという曲は、タイトルどおり(こういう場合のholidayは、たんなる休日ではなく、クリスマスの休暇をいいます)の軽快な仕上がりで、文句がありません。アル・カイオラは、鬼面人を威すインプロヴなどをするプレイヤーではなく、きれいなピッキングと運指で、あざやかにメロディーを弾くタイプなので、子どものころはあまり面白いとは思いませんでしたが、年をとって、「なにもしない」うまさがよくわかるようになりました。

f0147840_0142079.jpgアル・カイオラとビリー・ストレンジのプレイには共通点があるように感じ、ビリー・ザ・ボスにアル・カイオラのことをたずねたことがあります。絶賛でした。わたしは、ビリー・ストレンジは、アル・カイオラに影響を受けた、とまではいわないにしても、つねに意識して、自分のアルバムをつくっていたと考えています。微妙な細部のニュアンス、ちょっとしたピッキングや、タイミングの遅らせた方、すなわち「間」だけに「自己主張」をこめ、ストイックに、そして美しくメロディーを弾くことに徹したという意味で、アル・カイオラとビリー・ストレンジは東西の両巨頭です。こういううまさが子どものころにわかっていたらなあ、とこの年にして思います。

リズ・オルトラーニのオーケストレーションも、控えめながら、このトラックの華やかなムードをつくるのに欠かせない要素になっています。ささやかなオブリガートにも手間をかけていて、献身的なアレンジャーだと感じます。まあ、それだけ予算も潤沢だったのだと思われますが。

Holiday on Skisの作曲者であるリロイ・ホームズは、オーケストラ・リーダー兼アレンジャーで、このアルバムが録音されたときには、ユナイティッド・アーティスツでのアル・カイオラのレーベル・メイトだったと思われます。他人の曲、主として映画音楽のカヴァー・アルバムで売った人のようですが(代表作は、われわれの世代はシャドウズやサベージのカヴァーで記憶しているThe High and the Mighty、すなわち『紅の翼』のテーマ)、Holiday on Skisを聴くかぎり、すくなくともインストゥルメンタル曲の作者としては、悪くないセンスをもっていると感じます。

◆ 他のクリスマス・クラシック ◆◆
つい最近、入手したばかりの盤なので、残念ながら、本特集でこれまでに登場した楽曲では、この盤に収録されたヴァージョンにふれることができませんでした。アルバム・オープナーはSleigh Rideです。アヴァランシェーズ盤とはまったくタイプの違うアレンジですが、カイオラ=オルトラーニ盤も、軽快で、華やかで、いい出来です。このアルバムのハイライトのひとつでしょう。

Silver Bellsも、たとえばヴェンチャーズ盤とは大きく方向性が異なっていて、これはこれでいいヴァージョンです。リズ・オルトラーニというのは、このアルバムと、Mondo Caneのサントラを聴いたかぎりでは、管よりも弦の扱いに長けた人で、Silver Bellsの弦による間奏は印象的です。

f0147840_0184081.jpgWhite Christmasでは、アル・カイオラはめずらしく、かなりメロディーをくずしてプレイしています。べつにそれが悪いということはなく、他のトラック同様、心地よいプレイです。スロウな曲になると、リズ・オルトラーニの厚みのある弦がいっぽうの主役として前に出てきます。

総じて、非常に気持ちのよい盤で、わたしが知っているクリスマス・アルバムのなかで、五本指に入る出来と感じます。こんなに出来のよいアルバムが、CD化されないどころか、クリスマス・コンピレーションにとられることも少ないのはなんとしたことか、といいたくなります。わたしにとっては、今シーズンのベスト・クリスマス・アルバムです。これを聴けたことで、今年もけっこうなクリスマスとなりました。


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by songsf4s | 2007-12-23 00:03 | クリスマス・ソング