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White Christmas その1 by the Drifters
タイトル
White Christmas
アーティスト
The Drifters
ライター
Irving Berlin
収録アルバム
The Definitive Drifters
リリース年
1954年
他のヴァージョン
別掲
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このところ、質より量で勝負になってしまい、数ばかりこなしていますが、まだ粗製濫造をつづけてなければならないようです。

Jingle BellsとWhite Christmas、どちらがたくさんあるだろうか、勝負は伯仲するだろうと思っていました。とんでもない。ダブル・スコアでWhite Christmasの圧勝です。いやはや、Summertimeのときに、なんてヴァージョンが多いんだ、と嘆いたのが懐かしく思えます。あのときはたったの14曲ですから。

見たくもないでしょうが、わが家のHDDを検索した結果を以下に、ドンと投げ出してみました。

Aaron Neville
Alvin & The Chipmunks
Andre Kostelanetz
Andy Williams
The Beach Boys
Bette Midler
Bing Crosby
Bing Crosby & Frank Sinatra
Bing Crosby-Danny Kaye-Peggy Lee-Trudy Stevens
Bob Conrad
Booker T. & The MG's
Burl Ives
Chet Atkins
Chet Atkins [alt. take]
Cliff Richard
Connie Francis
Darlene Love
Dean Martin
Dean Martin [alt. take]
Dick Haymes
Dolly Parton with Kenny Rogers
Domenico Savino & His Orchestra
Doris Day
The Drifters
Ella Fitzgerald
Elvis Presley
Esquivel
Fats Domino
Frank Sinatra
Frank Sinatra [alt. take]
Frank Sinatra [another alt. take]
Henry Mancini
Jackie Gleason
Jo Stafford
John Denver
Johnny Mathis
Louis Armstrong
Louis Armstrong & Friends
Rosemary Clooney
Olivia Newton-John with Kenny Loggins & Clint Black
Otis Redding
Patti Labelle & The Bluebelles
Paul Mauriat And His Orchestra
Peggy Lee
Percy Faith
Perry Como
Ray Conniff
Rosemary Clooney
The Supremes
The 50 Guitars
The 4 Seasons
The Carpenters
The Four Lovers
The Isley Brothers
The Lennon Sisters
The Osmonds
The Partridge Family
The Statues
The Temptations
The Three Suns
The Ventures
Tony Bennett
Willie Nelson

これで63種あります。ほんとうはもっとあるのですが、うるさいから、大嫌いな数ヴァージョンを刈り取ってしまいました。いや、これでもまだ十分にうるさいですけれどね。

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看板にはドリフターズ盤を立てましたが、これはもうきわどい勝負でして、いまもまだ迷っています。すくなくとも3枚、できれば5枚は看板を立てないと、ビリングの秩序を保てないってぐらいなものです。

すくなくとも、わが家のHDDのなかで統計をとったかぎりでは(まだ圧縮していないLPが数千枚あるのですが)、White Christmasは、シンガーたちにもっとも人気のある曲であることはまちがいありません。となると、その人気のよって来たるところはなんなんだ、と追求したいような気もしますが、シンガーというのは複雑で思索的な人種ではないので、理由はきっと単純なものにちがいありません。歌うと気持ちがいい、といったあたりじゃないでしょうか。

◆ オールド・ファッションド・クリスマス・ソング ◆◆
まあ、そういうことはあとまわしにして、とりあえず歌詞を見ていきましょう。当ブログへの、アーヴィング・バーリン師匠の初登場であります。

I'm dreaming of a white Christmas
Just like the ones I used to know
Where those treetops glisten, and children listen
To hear sleigh bells in the snow, the snow

f0147840_1274173.jpg「わたしはホワイト・クリスマスを夢見ている、木々の頂きが雪でぴかぴか光り、子どもたちが雪のなかに響くスレイ・ベルの音に耳を澄ます、そんな、昔知っていたクリスマスそっくりそのままのクリスマスを」

つづいてセカンド・ヴァース。この時期、つまりクライド・マクファーターがリード・テナーだった初期のドリフターズは、基本的にはドゥーワップ・グループなので、ところどころこぶしがまわっています。Iがつづくのは、どもっているのではなく、こぶしです。

Then, I-I-I am dreaming of a white Christmas
With every Christmas card I write
May your days, may your days, may your days be merry and bright
And may all your Christmases be white

f0147840_1443897.jpg「クリスマス・カードを一枚一枚書くごとに、ホワイト・クリスマスを夢見る、あなたがすばらしい毎日を送れますように、あなたのクリスマスがホワイト・クリスマスでありますように」

以上の2ヴァースでおしまいです。今日はヴァージョンが多すぎ、プレイヤーに根太があるなら、いまごろ折れているだろうという重さなので、短い歌詞は涙が出るほどうれしいですわ。

◆ ドリフターズ盤 ◆◆
いきなり細かい話になりますが、ドリフターズ盤のアレンジで好きなところは、May your days, may your days, may your daysのところです。楽器ではなく、バック・コーラスで、メイジャー・セヴンスのペダル・ポイント的な響きを強調しているしてところもいいですし(ここを強調しないとポイントがボケてしまう。そういう平板なヴァージョンも多数あり)、リードが、他のヴァージョンとはちがうラインを歌うところも、すごく魅力的です。

ドリフターズ盤のキーはAbですが、簡略化のために便宜的にCに移調していうと、ここはC-Cmaj7-C7-F-Fmという流れになっています。ルートだった音は、B-Bb-A-Ab-Gときれいに半音ずつ下がっていきます。明らかに、この曲の見せ場、聴かせどころ、フック・ラインです。とりわけドリフターズ盤は、ここの流れがきれいに響き、いつも待ちかまえていっしょに歌っています。

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しかし、当ブログはじまって以来の、団塊世代の大学受験のような、とてつもない競争率(63分の1の確率!)のなかで、ドリフターズを看板に立てたのは、メロディーの改変が理由ではありません。ひとことでいえば、このヴァージョンが「現代クリスマス・ソング」の扉を開いたからではないか、と考えたからです。

f0147840_1475987.jpgほかにいくらでも曲があるのに、よりによってアーヴィング・バーリン書くところの国民的愛唱歌を、こともあろうにドゥーワップ・アレンジでやってしまったのは、ひょっとしたら、小さな革命ではなかったでしょうか。

賛美歌や、それに範をとったお行儀のよいクリスマス・ソングの時代がほんとうの意味で終わったのは、アーヴィング・バーリンがWhite Christmasを書いたときではなく、アーヴィング・バーリンのWhite Christmasに、黒人ドゥーワップ・グループが、黒人音楽のアレンジを適用し、大ヒットさせたときだと思います。

f0147840_1493388.jpgきちんと検証したわけではなく、いろいろなクリスマス・ソングを聴いていて、ここが大きな転回点ではないか、と直感的に思っただけにすぎないのですが、行儀の悪い現代クリスマス・ソングの出発点として、ドリフターズのヴァージョンは重要だと、目下のところは信じています。これがあったから、フィル・スペクターやヴェンチャーズのクリスマス・アルバムも生まれたのではないか、とさえ思います。

ちなみに、1955年以降、ビルボード・チャート100位以内に到達したWhite Christmasは、ビング・クロスビー盤をのぞけば、ドリフターズ盤のみです。ビング盤がリイシューでも大ヒットしているのに対し、ドリフターズは下位ですが、それでも、ほかのヴァージョンはまったく影も形もないのだから、この曲のレンディションとして、ドリフターズ盤はビング盤と並ぶ代表作なのだといってかまわないでしょう。

◆ とりあえずビール、じゃなくて、とりあえずビング ◆◆
ここからは、歴史的重要性など抜きにして、好きなものをいくか、なんて思うのですが、White Christmasともなると、なかなかそうはいかないですねえ。本来なら、これを看板に立てるべきじゃないか、という重要ヴァージョンがいくつもあって、「本来」もなにもあったもんじゃないだろ状態であります。

たとえば、チップマンクス盤、いや、そうじゃなくて、ジングル・キャッツ盤、でもなくて、ビング・クロスビー盤ですよね、やっぱり。たしかに、ビングのWhite Christmasが流れると、これがクリスマス・ソングじゃなければ、この世にクリスマス・ソングなどない、と思います。

f0147840_1524338.jpgなんたって、うちでわかる1955年以後のチャートだけだって、なんと8回もチャートインしているんだから呆れます。1942年のリリースですから、55年以前は毎年チャートインしていたのではないでしょうか。それも当然でしょう。これが流れれば、どこでなにをしていても、クリスマスだなあ、と思うのですからね。逆にいえば、クリスマスだなあ、と思いたくなったら、ビングのWhite Christmasを流せばいいのです。

f0147840_1552021.jpgWhite Christmasといえばビング、ビングといえばWhite Christmasというくらいで、一心同体、死なばもろとも、おまえ百まであたしゃ九十九まで、鶴は千年亀は万年(これは関係ない)ですから、一回や二回の録音ですむはずがありません。あまりにもヴァージョンが多くて、リストからうまくビングのだけを拾い出せないのですが、フランク・シナトラとのデュエットや、ダニー・ケイ、ペギー・リー、トゥルーディー・スティーヴンズとの共演盤もあります。テレビでデイヴィッド・ボウイとやったのも見たことがあります。いや、あれはWhite Christmasではなく、Little Drummer Boyだったか。

f0147840_1574056.jpgそれはともかく、シナトラとの豪華競演でも、ビングが自分の土俵に持ち込んだ、というか、シナトラが三舎を避けたというか、オーソリティーに敬意を払ったかっこうになっています。

最後に「Merry Christmas, Bing」「Merry Christmas, Frank」と挨拶を交わすところが、なんだか妙にジンときます。ビング・クロスビーとフランク・シナトラがいっしょに歌って、挨拶までしている、すごいなあ、てえんで完璧にミーハーですわ。歌の出来なんかどうでもよくて、クリスマスにふさわしい豪華さが珍重に値します。お釈迦さんとマホメットが、まあ、今日はほかならぬキリストくんの誕生日だからね、なんてえんで、教義の違いはとりあえず棚上げにして、握手したみたいなもんです。

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by songsf4s | 2007-12-16 00:05 | クリスマス・ソング