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Santa Claus Is Coming to Town その1 by the Crystals
タイトル
Santa Claus Is Coming to Town
アーティスト
The Crystals
ライター
Fred Coots, Haven Gillespie
収録アルバム
A Christmas Gift for You from Phil Spector
リリース年
1963年
他のヴァージョン
別掲
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あんまり馬鹿馬鹿しいので、模様のようなものと思って眺めていただきたいのですが、この曲を検索したところ、わが家には以下のヴァージョンがあるという結果が出ました。

The Beach Boys
Jimmy McGriff
The Crystals
The Ramsey Lewis Trio
Lena Horne
Ray Conniff
The Three Suns
Bing Crosby with the Andrews Sisters
Frank Sinatra
Frank Sinatra [Alternate Take]
Nat King Cole
The 4 Seasons
Alvin & the Chipmunks
The Partridge Family
The Pointer Sisters
Frank Sinatra with Cyndi Lauper
Burl Ives
The Carpenters
Domenico Savino & His Orchestra
Ella Fitzgerald
Bugs Bunny & Taz
Jackie Gleason
The Jackson 5
Louis Armstrong & Friends
Paul Anka
Perry Como
Ray Charles
John Klein
The Hollyridge Strings
Esquivel
Rubber Band
Smokey Robinson & the Miracles
The Temptations
Bobby Vinton
Brenda Lee
The Ventures
Eddie Cole
Willie Nelson
Supremes
Booker T. & the MG's
Lynyrd Skynyrd

50種には届いていないのですが、出来がひどすぎるため、存在しないことにして、検索対象外のフォルダーに移動してしまったものが数種ありますし、同じヴァージョンでも、出所が異なり、マスタリングもちがうものは、いちおうすべて聴いたので、延べ55曲、70種ばかりを聴きました。いや、これだけあれば、どちらにしろ玉石混淆、くそみそいっしょ、呉越同舟、南船北馬(関係ないのが紛れ込んだ)、どうとでもしてくれ、です。

看板はクリスタルズのヴァージョンにしました。もちろん、フィル・スペクターのクリスマス・アルバムに収録されたものです。スペクターのクリスマス・アルバムは、あらゆるクリスマス・アルバムのなかのキング、大看板、大真打ちですから、二十日をすぎたら登場させるつもりでした。しかし、昨日書いたような事情で、重要曲を前倒しにすることにしたので、本日の登場となりました。

クリスタルズ・ヴァージョンだけあれば、わたしとしてはほかのものはいらないようなものなのですが、クリスマス・アルバムを買えば、五分五分以上の確率で入っている曲ですから、こういう長いリストになってしまうのは、もういかんともしがたいのでして、うぬ、やんぬるかな、無念だあ、であります。

◆ 子どもをあやす歌 ◆◆
ほとんどのシンガーが略していますが、この曲には前付けのヴァースがあり、クリスタルズは略していないので、まずはそこから。ここでは各部分ごとにばらばらにしますが、需要の多い曲なので、最後にひとまとめにしますから、歌う必要がある方は、この記事の末尾に飛んで、そちらをコピーなさってください。

Jimmy, I just came back from a lovely trip along the Milky Way
I stopped off at the North Pole to spend the holyday
I called on old dear Santa Claus to see what I could see
He took me to his workshop and told his plans to me
Now Santa is a busy man, he has no time for play
He's got millions of stockings to fill come Christmas day
You better write your letter now and mail it right away
Because he's getting ready, his reindeers and his sleigh

「ジミー、たったいま、天の川めぐりの楽しい旅行から帰ってきたところなの。途中、北極で休日を過ごしたので、懐かしいサンタクロースの様子を見に訪ねてみたわ。サンタはわたしを仕事場につれていき、プランを話してくれたのよ、サンタは忙しい人で、遊んでいるひまはないの、クリスマスがきたら、とてつもない数の靴下をいっぱいにしなければならないのだもの、あなたもいますぐ手紙を送ったほうがいいわよ、もうサンタはトナカイや橇の準備をはじめているんだから」

どこからどこまでがヴァースで、どこがコーラスなのか、わたしにはよくわからないのですが、繰り返しのところだけがコーラスとみなすことにして、以下はファースト・ヴァースとコーラス。

You'd better watch out, you'd better not cry
You'd better not pout, I'm telling you why
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town

「注意していなさい、泣くんじゃないの、ふくれっ面はやめなさい、理由を教えてあげる、サンタクロースがもうじきやってくるの」

ここまでくればだいたいおわかりのように、語り手が話しかけている相手は子どもです。この曲の成り立ちをちゃんと調べたわけではありませんが、エディー・カンター(だったと思います)のラジオ番組で歌われたものだそうで、子どものための歌だったのじゃないでしょうか。「サンタクロースがやってくる」を繰り返すところだけがコーラスなのだろうと思うのですが、よくわかりません。

以下は(たぶん)セカンド・ヴァース。

He's making a list, he's checkin' it twice
He's gonna find out whose naughty or nice
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town

「サンタはリストをつくり、二度チェックをする、サンタはだれが悪い子で、だれがよい子かちゃんと調べ出す」

厖大なリストなので、チェックはぜったいに必要でしょう。どこかの役所は、毎日クリスマスということにして、これを流しておけばよかったかもしれません。もう手遅れですが。日本国民の数なんて、サンタがつくらなければならないリストにくらべれば、ミソッかすの木っ端ぐらいの短いもののはずですが。

つぎはブリッジだと思うのですが、よくわかりません。とにかく、ここまでとはコードもメロディーも異なるパート。

He sees when you are sleeping
He knows when you're awake
He knows if you've been bad or good
So be good for goodness sake

「サンタはあなた寝ていればわかるし、目を覚ましていればちゃんとわかる、あなたが悪い子だったか、いい子だったかを知っているの、だから、ちゃんといい子にしていてね」

以下、ファースト・ヴァースやコーラスの繰り返しとなっています。

◆ フィル・スペクターの夢見た音 ◆◆
クリスタルズ盤Santa Claus Is Coming to Townはすさまじいサウンドで、この音をイメージし、じっさいにつくりだしたフィル・スペクターという人間が、どれほど卑劣であろうと、たとえ殺人者であろうと、そんなことはどうでもよくなります。

1963年はフィル・スペクターのクリエイティヴィティーとイマジネーションがピークに達した年です。このクリスマス・アルバムの直前にはロネッツのBe My Babyを生みだし、この曲がチャートを駆け上がっている最中に、クリスマス・アルバムの録音に入っています。

ほんとうに、この男はどこから想を得て、こんな音をつくりだそうとイメージしたのか、そこからして、わたしにはよくわかりません。とてつもないものが生まれる際の「空白の一瞬」が、あの跳躍がスペクターにも起きたのでしょうか。

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ゴールド・スター・スタジオのブースにて。左からラリー・レヴィン、フィル・スペクター、ニーノ・テンポ。コンソールはビル・パトナムのユニヴァーサル・オーディオ製。

よくわからない誕生の一瞬のことはさておき、この曲でもっとも目立っているのは、ハル・ブレインの圧倒的なプレイです。1963年は、アール・パーマーからハルがセッション・ドラマーの王座を奪った年です。ここからの数年、彼はハリウッド音楽を、ひいてはアメリカ音楽を支えつづけることになります。威厳と自信を得たドラマーが、そのキャリアの最初のピークで、彼の技の全スペクトルのうち、ハードなほうの最外縁にあたる、フルスロットルのプレイを展開するのを聴けるのが、このSanta Claus Is Coming to Townです。

昔、友人のアルテックA7で、この曲を鳴らしてみたことがありますが、いやもう、ハルの雷鳴のようなスネアに、友人と二人で床にひれ伏しそうになりました。この音の手ざわり(なんて表現ですむ柔なものではありませんが)は、もちろん、ドラマーひとりに生み出せるものではありません。ゴールド・スター・スタジオの音響特性、4連のEMI製プレート・エコー、そして、エンジニアのラリー・レヴィンの反対を押し切って、そのエコーを限界まで使うことを要求したスペクターの強い意志がなければ、いくらドラマーのキングが全力で叩きまくっても、これほどの衝撃力をもちえようはずがありません。

◆ フェイドアウトの「ショウ」 ◆◆
クリスタルズの1962年のチャート・トッパー、He's a Rebelで出会って以来、フィル・スペクター、ラリー・レヴィン、そしてハル・ブレインは、明日のドラム・サウンド、明日のドラマー像を追求してきました。

f0147840_118334.jpgドラマーというのは、本来はタイム・キーパーであり、バンドのメトロノームであることを期待されていました。しかし、フィル・スペクターは、彼のサウンドのなかに、ドラマーには特別の場所をあたえました。シンガーと並ぶ、バンドのスターという地位です。

ハル・ブレインのプレイに惚れこみ、その潜在能力の大きさを感じとったフィル・スペクターは、ハルに「前に出る」ように促し、いっぽうで、エンジニアのラリー・レヴィンと協力して、ドラム・サウンドをテープに定着する新しい手法を生みだしました。その新しい方向性がヒット曲として結実したのが、クリスタルズのDa Doo Ron Ronであり、そして、ロネッツのBe My Babyでした。

Be My Babyからあまり日をおかずにはじまった、このクリスマス・アルバムのプロジェクトでは、ハルはまさにバンドのスターとして光り輝いています。バックビートのひとつひとつに、フィルインのひとつひとつに、大スターだけがもつ自信と輝きがあります。

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最初のフィルイン、2小節をフルに使った、スネアからフロアタムまで流すパラディドルの完成度の高さには目を見張ります。ふつうのドラマーは、全力でパラディドルをやれば、どれかのビートのアクセントを乱すものです。どんなに強く叩いても、ハル・ブレインは左右の強弱のバランスを崩すことがありません。つねに安定したタイムで、バランスのよい、スムーズな流れのフィルインを叩くことができるのです。音を聴くだけで、彼の手首がきわめて柔軟なことは、握手をしなくてもハッキリとわかります。

このSanta Claus Is Coming to Townには、彼の四分三連のプレイが満載されていますが、とくに聴くべきは、やはり、「ハルの時間」だった、エンディングでの「ショウ」でしょう。いやもう、すごいのなんの。写譜が困難なタイプの細かいプレイではなく、強く、美しいビートで、クッキリした輪郭の、しかも、そのビートのパターンのコンビネーションに独創性のある、素晴らしいプレイです。

f0147840_1191293.jpg通常、このようなシャッフル・ビートの曲では、三連符によるフィルインを使います。そのほうが自然に響くからです。だから、ハルも歌が終わるまでは、ふつうに、ただし、きわめて美しい流れの四分三連のプレイで押し通しています。しかし、歌が終わり、エンディングに入った瞬間、「ハルのショウ」がはじまります。

いきなり、彼らの術語でいえばstraight sixteenths against shuffle、すなわち「シャッフルに逆らった16分音符の連打」で、まずリスナーを驚かせます。ハル・ブレインとアール・パーマーが、シャッフルにおける16分のパラディドルを「発明する」まで、こんなことはドラミングの常識にはないことでした。

ここからは、ハルはあらゆるパターンを自在に、かつウィッティーに組み合わせ、後年、彼のトレードマークといわれるようになる、二分三連の強い、とてつもなく強いキックの踏み込みも披露して、フェイドアウトにもちこみます。クリスタルズのSanta Claus Is Coming to Townは、まちがいなく、ハル・ブレインの初期の代表作であり、彼がドラマーのキングの座についたことを、アメリカ音楽界に周知徹底する布告状でした。

◆ ビング、アンドルーズ、シマリス……ん、シマリス? ◆◆
f0147840_139499.jpgハル・ブレインの最高のプレイを聴いたあとだと、ほかのものがみな気が抜けて聞こえます。いや、じっさいに気が抜けているのだと思いますが、気が入ったものばかりがいいとはかぎらないので、のんびりしたヴァージョンのなかから、のどかさに味があるものを探すと、まず、ビング・クロスビーとアンドルーズ・シスターズの共演盤でしょうか。

大スター同士の共演ですが、どちらかがもう一方を圧倒するようなことはなく、双方がそれぞれの味を発揮し、理想的な共演になっています。とくに、最後のヴァースにおけるメロディーの改変が魅力的です。シンプルな曲なので、ヴァースひとつで飽きがくることが多いのですが、ビングとアンドルーズは最後まで飽きさせません。

f0147840_1401685.jpg大歌手たちを押しのけて、こういうものを上席に置くのは畏れ多いのですが、つぎに好きなのは、アニメのキャラクター、チップマンクスのものです。ご存知の方には説明の要がありませんが、チップマンクスの音楽は、アニメ同様、低速回転で録音したものを正常回転で再生した、異常にピッチの高い声で歌われています。

この声でハモるところが、チップマンクスの魅力なのですが、当然、それが合うものと合わないものがあります。Santa Claus Is Coming to Townは、ドンピシャ、じつにいい響きのハーモニーになっています。また、「悪い子」役のアルヴィンというシマリスが、なにかいたずらまたは暴走をして騒動が起こり、それをいかに収拾するかがアニメの基本的なストーリーなので、この曲の歌詞と、マンクスたちのキャラクターはピッタリ重なります。チップマンクス盤Santa Claus Is Coming to Townは、大幅に歌詞を増補改訂していますが、それは略させていただきます。

f0147840_1415784.jpgナット・キング・コールは、わが家にあるもののなかで最速まちがいなしの、ものすごく速いテンポでやっています。ナット・コールの歌自体は、「当社比」というか「本人比」では、それほどいい部類ではないでしょうが、サウンドは楽しめます。こういうホットなスウィング・バンド・スタイルは大の好みです。録音の悪さも気にならないというか、むしろ幸いしているような気もします。

一日の仕事としてはこのへんが限界のようなので、残るヴァージョンは明日に持ち越しとさせていただきます。嗚呼、また明日もこの曲を聴きつづけるのか……。

◆ 歌詞のまとめ ◆◆
コピー用に上記の歌詞を以下にまとめました。

Jimmy, I just came back from a lovely trip along the Milky Way
I stopped off at the North Pole to spend the holyday
I called on old dear Santa Claus to see what I could see
He took me to his workshop and told his plans to me
Now Santa is a busy man, he has no time for play
He's got millions of stockings to fill come Christmas day
You better write your letter now and mail it right away
Because he's getting ready, his reindeers and his sleigh

You'd better watch out, you'd better not cry
You'd better not pout, I'm telling you why
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town

He's making a list, he's checkin' it twice
He's gonna find out whose naughty or nice
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town

He sees when you are sleeping
He knows when you're awake
He knows if you've been bad or good
So be good for goodness sake

You'd better watch out, you'd better not cry
You'd better not pout, I'm telling you why
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town
Santa Claus is coming to town

by songsf4s | 2007-12-13 00:18 | クリスマス・ソング