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Autumn Nocturne by Henry Mancini
タイトル
Autumn Nocturne
アーティスト
Henry Mancini
ライター
Kim Gannon, Joseph Myrow
収録アルバム
Mancini '67
リリース年
1966年
Autumn Nocturne by Henry Mancini_f0147840_22298.jpg

週末の紅葉狩り低山徘徊に忙しく、昨日は休ませていただきましたが、本日は休みとするかわりに、そそくさとインストゥルメンタル曲をご紹介することにします。

インストゥルメンタル曲といっても、調べてみると、このAutumn Nocturneには歌詞があるらしく、たんにわが家にはヴォーカルものがないだけのことです。いま、歌詞を読んでみましたが、緑の葉が黄色くなると、あなたと別れたあの九月のことを思いだす、などと日本人にはよくわからないことが書いてありました。

今日の紅葉狩りでは、黄葉している銀杏はほんの数えるほどで、大部分はまだ緑色のままでした。九月に黄葉といわれても困惑しますが、ヴァン・モリソンのWhen the Leaves Come Falling Downにも、そういうくだりがあるので、九月が紅葉落葉の季節である地域も多いのでしょう。

Autumn Nocturne by Henry Mancini_f0147840_22122326.jpgメロディー・ラインの明快ではない曲ですが、ヘンリー・マンシーニ盤Autumn Nocturneでは、ヴァイブラフォン、ピアノ、ミューティッド・トランペット、テナー・サックスがリードをとっています。トランペットもなかなかうまい人ですが、テナーはおみごと。クレジットでは、だれがソロをとったかまではわかりませんが、プラズ・ジョンソンの名前がサックス陣のなかにあるのだから、当然、彼のプレイでしょう。しかし、ソロがどうこうという以前に、こういうトラックのポイントは管のアンサンブルに尽きるわけで、Autumn Nocturneは、ヘンリー・マンシーニらしい、そして、ハリウッドらしい気持ちのよいサウンドになっています。

クレジットは以下のようになっています。60年代中期の映画/ジャズ系のスタジオ・プレイヤーの顔ぶれを知るうえで参考になるリストでしょう。

Arthur Maebe……French Horn
Dick Nash……Trombone
Richard Perissi……French Horn
Jimmy Priddy……Trombone
Joe Reisman……Producer
George Roberts……Trombone (Bass)
Jack Sperling……Percussion, Drums
Ray Triscari……Trumpet
Vincent DeRosa……French Horn
Johnny Halliburton……Trombone
Karl de Karske……Trombone (Bass)
Jordi Pujol……Producer
Bob Bain……Guitar
Al Porcino……Trumpet
Frank Beach……Trumpet
Dick Bogert……Engineer
Bud Brisbois……Trumpet
Ray Brown……Bass
Larry Bunker……Vibraphone
John Cave……French Horn
Gene Cipriano……Flute, Sax (Tenor), Piccolo, Flute(Bass & Alto)
Maurice Harris……Trumpet
Milt Holland……Percussion
Jack Sheldon……Trumpet
Harry Klee……Flute(Alto), Piccolo, Sax(Alto)
Henry Mancini……Piano, Arranger, Main Performer
Leonard Feather……Liner Notes
Plas Johnson……Flute, Flute(Bass), Sax(Tenor), Piccolo
Jimmy Rowles……Piano
Pete Candoli……Trumpet
Ronnie Lang……Flute, Flute(Alto & Bass), Piccolo, Sax(Baritone)

映画関係ではエースだ、とトミー・テデスコがいっていた、ジャック・スパーリングの名前があります。スパーリングがいれば、ラリー・バンカーはドラム・ストゥールに坐れないのだということもこのリストからわかります。バド・ブリスボア、ミルト・ホランド、ピート・カンドーリ、ボブ・ベイン、ジーン・チープリアーノ(イタリア系ならこの発音、スペイン系ならシープリアーノと発音すると辞書にあります。ハル・ブレインは、チープリアーノはオーボエの第一人者だといっていましたが、やはり、オーボエだけでは食べられず、さまざまな木管楽器をプレイしたのでしょう)、そしてプラズ・ジョンソンと、ポップ系セッションでおなじみの人たちもいます。

それにしても、ヘンリー・マンシーニのボックス、"Days of Wine and Roses"のブックレットを見ると、マンシーニは、1967年に7枚ものアルバムをリリースしています。シングルだって、年間7枚出す人などそうはいるものではないだから、この年間7枚のLPというのが、どれほどとんでもない数字かわかろうかというものです。

◆ ハリー・ジェイムズのAutumn Serenade ◆◆
これだけではさみしいような気がするので、もうひとつ、秋のインストゥルメンタル曲をあげておきます。ハリー・ジェイムズのAutumn Serenadeです。この曲には、のちに歌詞がつけられたそうですが、うちには古いハリー・ジェイムズ楽団のインストしかありません。

Autumn Nocturne by Henry Mancini_f0147840_22132453.jpgじつは、この曲が気に入っているのは、イントロから最初のヴァースぐらいは、日活映画、それもアキラではなく、裕次郎の映画がはじまりそうな雰囲気があるからです。日活のほうは、ハリー・ジェイムズのように、ストリングスまでついたゴージャスなサウンドではありませんが、管だけのところは、なんとも懐かしいムードで、NKマークが目に見えるようです。考えてみれば、日活アクションのある時期のスコアは、ジャズ・プレイヤーが書いていたので、雰囲気が似るのも不思議はないのでしょう。

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今年の秋の歌特集はいちおう本日をもって終了のつもりです。じつは、キンクスのEnd of the Seasonを今日あたりにと思っていたのですが、忙しい紅葉狩りの週末に、レイ・デイヴィーズのような、わたしにとってもっともだいじなソングライターの曲をやろうという計画に無理があり、途中まで原稿を書いて放棄しました。あの曲はいまぐらいの時季を歌っていますが、tonieさんが示唆なさったように、年末に再挑戦を試みるかもしれません。

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2007年11月25日追記

文字校正をしながら、Autumn Nocturneのクレジットをじっと眺めていて、ヘンリー・マンシーニが自伝のなかで、ベース・フルートが好きだといっていたのを思いだしました。このクレジットを見ると、木管プレイヤーたちがみな、ベース・フルートやアルト・フルートという、通常はあまり使わないフルートをプレイしていて、なるほど、これが彼のサウンドの特長なのか、と思いました。

もうひとつ思いだしたことがあります。たとえば、リード楽器はテナー・サックスと決めたら、そのときには、プレイヤーをだれにするかということまで決め、その人の音色やスタイルに合わせてアレンジする、といっていたことです。

Pink Pantherのテーマでのプラズ・ジョンソンのプレイは有名です。しかし、それはたんに、プラズが素晴らしいプレイヤーであることを証明しているわけではないのです。ヘンリー・マンシーニが、プレイヤーやシンガーと、楽曲およびアレンジを、すべて一体のものとして音楽をつくっていたことを証明しているのです。
by songsf4s | 2007-11-24 22:02 | 秋の歌