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Moon of Manakoora by the 50 Guitars
タイトル
Moon of Manakoora
アーティスト
The 50 Guitars
ライター
Frank Loesser, Alfred Newman
収録アルバム
The 50 Guitars Visit Hawaii
リリース年
未詳
他のヴァージョン
Dorothy Lamour, Axel Stordahl, Los Indios Tabajaras, the Ventures, Hal Aloma and His Orchestra, Al Shaw & His Hawaiian Beachcombers
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昨夜に引きつづき、今夜も過去の記事の補足です。

Beyond the Reef by the Venturesの記事で予告しておいたので、すでにダウンロードをすませた方がいらっしゃるでしょうが、右のリンクからいける、Add More Musicの50ギターズ・シリーズの公開はちょっと前からはじまっています。

最初に公開された2枚はずいぶん以前にCD化され、わたしも持っているのですが、ここから先は未知のアルバムが登場するはずだと思い、興味津々、一日千秋の思いで待っていました(大げさだってば)。期待にたがわず、というか、予想に反して、というか、意外な企画、意外なサウンドでした。

このあいだの週末に公開されたThe 50 Guitars Visit Hawaiiは、タイトルが示すとおり、ハワイアンだったのです。

◆ サウンドの変化 ◆◆
今回のMoon of Manakooraという曲は九月のHarvest Moon特集のときに取り上げたのですが、よく考えると、十月のEvil Moon特集のほうがふさわしかったようです。ヴードゥーの雰囲気が濃厚な曲ですから。十月にこの50ギターズ盤Moon of Manakooraがあることを知っていれば、そのときに補足を兼ねて取り上げたのですが、一歩遅れてしまいました。しかし、出来はなかなかなので、ここで補足させていただきます。

この曲の歌詞や背景、各種ヴァージョンについては、Moon of Manakoora by Dorothy Lamourに書きましたので、ご興味のある方はそちらをご参照ください。今回は50ギターズ・ヴァージョンのみにふれます。

f0147840_23302621.jpg50ギターズの最初の2枚は、タイトルが示すとおり「国境の南」的なサウンドでした。メキシコのコンボが使う、ギターを巨大にしたような楽器というか、スタンダップ・ベースを寝かせたような楽器というか、フェンダー・ベースがアンプラグドしたみたいなものも使われたようです。

最初の2枚は、いってみれば小手調べのような盤で、可能性としては面白い、しかし、なにかが足りない、端的にいえば、「乗れる」サウンドにはなっていない、BGM止まりだ、と感じるものでした。

それはたぶん、企画者であるスナッフ・ギャレット自身、多数のアコースティック・ギターがユニゾンで弾いたときのサウンド、あるいは、ハーモニーを弾いたときのサウンドを、十分に計算できていなかったためではないかと感じます。とりあえず集めて鳴らしてみたら、こうなってしまった、という音ではないでしょうか。

その後、トミー・テデスコがリードを弾いた50ギターズの盤を数枚聴き、印象が変わります。多数のギターによるナチュラルなエコーは面白いけれど、それはそれとして、かなりひねくれたものとはいえ、ある種の「ギター・インスト」なのだから、リードが活躍してこそ魅力が生まれる、という風に、スナッフ・ギャレットの考えがシフトしたのではないかと思います。ギター好きのリスナーは、やはり、すぐれたギター・プレイを聴きたいことぐらい、ギャレットだってわからぬはずがありません。

◆ 長寿シリーズへの一歩 ◆◆
わたしの手もとにある50ギターズの盤はほんのわずかで、ローリンド・アルメイダがリードをとった最初の2枚と、何枚目にあたるものか、トミー・テデスコがリードをとったものが数枚にすぎません。リード・ギタリストの技量とは無関係に、この間にプロデューサーであるスナッフ・ギャレットのアプローチが微妙に変化し、テデスコの数枚は、色気のある「乗れる」盤になっています。

では、どこでそういうシフトが起きたのかというと、このMoon of Manakooraが収録された3枚目からなのだということがわかりました。「50ギターズ」という企画の厳密性なんか、だれも気にしないことに気づいたのだと思います。要は、楽しい音楽かどうか、それに尽きるのです。

f0147840_23333292.jpg50ギターズという企画を厳密に考えたら、マンドリン合奏のピッチの低いものができあがってしまうわけで、それじゃあ商売になりません。スナッフ・ギャレットは商売人です。1枚目のヒットから稼げるだけのものを稼ぐために、「商品としての色気」を加える方向にシフトするのは、当然の選択でしょう。

「ハワイに行く」という企画に合わせて、多くのリード・パートをペダル・スティールが担当したおかげで、この盤には最初の2枚にはなかった華やかさがあります。この3枚目の出来のよさが、50ギターズの長寿シリーズ化を保証したのではないでしょうか。

The Hukilau SongやLovely Hula Handsなど、後半の曲のほうが、スティールとバックのアコースティック・ギター集団の役割配分に妙味があると感じますが、とりわけMoon of Manakooraは、半音進行のメロディーがペダル・スティール向きにできていますし、そこにからむアコースティック・ギター集団のオブリガートのアレンジもよく、この盤のなかでもとくに好ましい仕上がりになっています。アレンジャーの名前がわからないのが残念。

◆ 東奔西走南船北馬 ◆◆
f0147840_23344351.jpg50人のギターを持った渡り鳥たちは、まず国境の南に行き、つぎにそこから西へと向かってポリネシアに渡りました。ポリネシアは正確には西南で、ちゃんと真西に行った(というか、そもそも西で録音しているから、そこから動かなかったというか、せいぜい、すこし南に行っただけというべきでしょうが)証拠もあります。わが家にある盤では、方向音痴になってしまったものもあるのですが、東に行ってイギリスの音楽をやったこともあります。そこまでは手もとの盤でわかっています。

f0147840_23355074.jpgじゃあ、北はどうか? これがちゃんとあるんですね。ひょっとしたら、キムラセンセは、お客さんを楽しませようと、ひそかに準備しているところで、ネタばらしをするな、とお怒りになるかも知れませんが、雪が降っている50ギターズがあるんです。

順番からいったら、これはだいぶあとのものになるのかもしれませんが、そこはそれ、融通というやつをきかせて、シーズンズ・グリーティングとして、つぎは「50ギターズ、北上す」を聴きたいのですが、いかがなものでしょうか>キムラセンセ?
by songsf4s | 2007-11-07 23:50 | Harvest Moonの歌