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(Ghost) Riders in the Sky その2 by the Ventures
タイトル
(Ghost) Riders in the Sky
アーティスト
The Ventures,
ライター
Stan Jones
収録アルバム
Another Smash!!!
リリース年
1961年
他のヴァージョン
Vaughn Monroe, Bing Crosby, Peggy Lee, Burl Ives, Kay Starr, Dean Martin, Johnny Cash, Marty Robbins, Frankie Laine, the Ramrods, the Shadows, The Baja Marimba Band, Dick Dale
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まず、前回の「Ghost) Riders in the Sky その1 by Vaughn Monroe」の訂正から。ヴォーン・モンローは、ファースト・コーラスで、Ghost riders in the skyと歌っていると書きましたが、聴き直したら、モンローもGhost herds in the skyと歌っていました。謹んで訂正させてたいただきます。陳謝。

◆ 幽霊カウボーイを演じた幽霊バンド ◆◆
昨日はこの曲の歌ものを看板にしたたので、今日はインスト盤のどれかを看板に立てようと思ったのですが、ヒット・ヴァージョンであるラムロッズ盤には問題があって、ヴェンチャーズ盤で代用させていただきました。

f0147840_0172696.jpgどういう問題かというと、正体がよくわからないのです。なんたって、グーグルでthe ramrods riders in the skyのキーワードで検索をかけると、「うち」の昨日の記事が4番目にきてしまうというのだから、いかに取り上げているところがすくないかがわかります。「日本語のページ」じゃなくて、「Web全体」の検索で、ですよ。

いちおう、こんなページを見つけたので読んでみましたが、1956年にコネティカットで生まれたバンドだとかで、なるほど、ヴェンチャーズと同じね、と納得しました。そもそも、わたしは、ラムロッズがまがりなりにも実在していたとする記事があったこと自体に、ビックリ仰天してしまいました。てっきり「幻のバンド」、スタジオにしか存在しないグループだと思いこんでいたのです。

そんな、ちょこっと出てきて、すぐ消えた素人バンドのドラマーが、これほど安定したバックビートが叩けるなら、アール・パーマーもゲーリー・チェスターもハル・ブレインもジム・ゴードンもジム・ケルトナーもまったく不要で、彼らはみな仕事にあぶれ、歴史に名を残すこともなかったに決まっています。ラムロッズ盤(Ghost) Riders in the Skyはプロフェッショナルたちの仕事にちがいありません。

f0147840_0465830.jpgラムロッズがコネティカットに生まれようが生まれまいが、この(Ghost) Riders in the Skyを録音したメンバー、たぶんニューヨークのレギュラーたちの知ったことではないでしょう。わたしがプロデューサーで、今日の録音に呼べるドラマーは、レヴォン・ヘルムとジョン・グェランとラムロッズの陰のドラマーの3人しかいないといわれたら、迷わずラムロッズのドラマーを選びます。正確なグルーヴです。

ドラマーのみならず、他のメンバーも当然、素人ではないでしょう。サックスは明らかに一流のプロ、ドゥエイン・エディー風に低音弦でトゥワングするギターも、見せ場はありませんが、見せ場のない曲を無難に弾けることこそ、プロフェッショナルの証明です。

これで終わりと思ったところで、ライノのThe Histroy of Rock Instrumentalsにこのヴァージョンが収録されていることを思いだし、ライナーを読んでみました。コネティカットのラムロッズは、といっているだけで、あとは具体的にこのグループのことはなにもいっていません。ライノのライナーが無視するぐらいだから、実在のラムロッズがいかに吹けば飛ぶようなバンドだったかがしのばれちゃいます。

このライナーが指摘しているように、サウンド・イフェクトやカウボーイの叫び声のような演出は、インスト・グループにとっては重要な武器ですが、それよりも気になったのは終盤に出てくるApacheのメロディーです。

f0147840_029284.jpgシャドウズのApacheがイギリスでヒットしたのが1960年7月、ラムロッズの(Ghost) Riders in the Skyのチャートインは61年1月、つまり録音は60年晩秋ごろ、ヨルゲン・イングマンのApacheのアメリカでのチャートインも同じく61年1月。

となれば、ラムロッズ(のアレンジャーまたはプロデューサー)は、イングマン盤Apacheを聴いてから、(Ghost) Riders in the Skyを録音した可能性はきわめて低く、オリジナルのシャドウズ盤Apacheから引用したと考えるのが順当でしょう。アメリカのインスト盤制作関係者のあいだでは、シャドウズが評判になっていたのかもしれません。歌ものは、ビートルズが出るまでは、アメリカではイギリスの歌手など存在しないも同然でしたが、インストのほうは事情がちがっていたのかもしれません。翌62年には、トーネイドーズのTelstarがビルボード・チャートトッパーになります。

◆ どこにでもあらわれる「ゴースト」 ◆◆
ヴェンチャーズ盤は、ラムロッズ盤のヒットを受けたもので、つまりアルバム・トラックとしてカヴァーしたにすぎないでしょう。基本的にはラムロッズ盤を踏襲したアレンジですが、ビリー・ストレンジは、ラムロッズのようにドゥエイン・エディー風のトゥワンギン・ギター・スタイルは使わず、他のヴェンチャーズのトラックと同じようなトーンとスタイルで弾いています。ドラムはハル・ブレインでしょう。

f0147840_0332797.jpgディック・デイル盤は、もっとテンポが速く、ギターは当然、深いリヴァーブとトレモロをかけたデイルのスタイルです。キャピトルと契約してからは、彼のバンド、デル・トーンズはスタジオに入れてもらえなくなったので、当然、ドラムはハル・ブレインがプレイしています。暴れています。

バハ・マリンバ・バンドは、いってみれば、「ティファナ・ブラスの子ども」です。あの「グループ」(実体はスタジオ・プロジェクト)のサウンドを、マリンバに置き換えただけのものです。それだけの安易な企画ですが、いくつかシングル・ヒットがあり、アルバムもかなり出しているのだから、音楽商売は奇妙なものだといわざるをえません。

ハーブ・アルパートとTJBは、「ブラス」というぐらいで、オリー・ミッチェルをメインとするトランペッター陣(といってもTJBサウンドは、2本のトランペットによるデュオであることを特長としているのですが)が活躍しますが、BMBの場合は、ハリウッドのヴェテラン・パーカッショニスト/マレット・プレイヤーのジュリアス・ウェクターをリーダーとしたマレット・プレイヤーたちが中心となっています。あとはTJBと同じ、メンバーも同じです。

f0147840_0351311.jpgスタジオ・プロジェクトだから、技量さえあれば、だれがドラムをやってもいいのですが、TJBも、BMBも、ほとんどすべてがハル・ブレインで、このBMB盤(Ghost) Riders in the Skyもハルが叩いています。いつもよりちょっとチューニングが高く、何度か出てくるロールが派手に響くように工夫しています。毎度申し上げるように、ハル・ブレインという人は、「小さな工夫、大きな親切」の立派なプロフェッショナルなのです。

いやはや、毎度ながら、インスト盤を並べると、ハル・ブレインを並べたような状態になってしまい、大笑いです。どんな柳の下にもかならず立っている「ゴースト」の元締めであります。

f0147840_0371583.jpgこれで終わったかと思ったら、シャドウズが残っていました。わたしはシャドウズの大ファンである、と宣言をしたうえで申し上げますが、この70年代終わりのシャドウズはひどいものです。シャドウズがディスコやってどうするんだよ、であります。You Tubeにも、later yearsの耐えがたいシャドウズのライヴ映像があったりします。美しかった女優がおばあさん役をやるのは、生きるため、またはパフォーマーの業なのでしょうが、見せられるほうは世をはかなんでしまいます。そんな感じの映像です。シャドウズも、ヴェンチャーズ同様、60年代いっぱいで退場するべきバンドでした。

◆ ローリン、ローリン ◆◆
歌ものでは、フランキー・レイン盤が好きです。例によって、当面「必要な」曲をプレイヤーにドラッグしてあり、他のことをしているときもずっと流しているのですが、フランキー・レイン盤(Ghost) Riders in the Skyが出てくると、おや、これはだれだっけ、と作業の手が止まります。

f0147840_0391251.jpgフランキー・レインは「ローハイド」のテーマを歌った人です。したがって、わたしの世代の人間は、毎週、彼の歌を聴き、翌日、幼稚園や学校に行くときには「ローレン、ローレン」と彼の口真似をしていたわけで、いわば、子どものころに可愛がってくれた「近所のおじさん」みたいなものです。だから、久しぶりにこの人の声を聴くと、無条件に、いいなあ、と感じ入ってしまいます。しかし、ローハイドの出だしは、じつは「Rollin', rollin'」と歌っているということをあとで知りました。やっぱり「ローレン、ローレン」と聞こえると思うのですが。

レインの声には、とくに低音にいったときですが、独特の「嫌味のない太さ」とでもいうようなものがあって、これがこの人の最大の魅力になっていると感じます。なんだか、フランキー・レインの曲を集めて、まとめて聴いてみたくなりました。

tonieさんご推奨のマーティー・ロビンズ盤もけっこうな出来です。ロビンズもまた、美声なのに嫌味がなく、さまざまなタイプの曲を歌えるヴァーサティリティーをもっているので、スタンダード曲をやるのに向いています。ロビンズの盤には、たいてい、凄腕のギタリストがオブリガートをつけているのですが、この曲も例外ではなく、毎度ながら、すげえなあ、と思います。わが家にある2枚組ベストにはパーソネルが書いてあるのですが、目下、行方不明なので、後日、このギタリストの名前は補足させていただきます。

◆ その他のヴォーカル盤 ◆◆
そろそろ時間切れなので、あとは駆け足で。

ディーン・マーティンは、ラウンジっぽい、くつろいだ歌のほうがわたしの好み(ハンパじゃなく「好み」です)に合っていますが、映画での役柄(ハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演、リッキー・ネルソンも「歌って撃つ」若き天才シンガー/ガン・ファイターをやった『リオ・ブラヴォー』など)の印象もあるのか、カントリー系の曲を歌うこともよくあります。これはこれで、悪くはありません。あの映画でのディノは、飲んだくれぶりがじつによかったなあ、と思います。シンガーとしても、ああいう「飲んべえの女ったらし」の自堕落さが味になった人だと思います。

ビング・クロスビー盤はヒットしているそうですが、うちにあるのは怪しい編集盤に収録された、ものすごくノイジーな、明らかにSP、それも状態のよくない盤から起こしたもので、よく聞こえません。わかるのは、背筋を伸ばした楷書の歌いぶりだということだけです。

f0147840_0432537.jpgバール・アイヴズは俳優としてのほうが名(と顔)を知られているでしょうが、歌もなかなか、というか、面白い声とキャラクターをもっています。オムニバスでもっているだけなのですが、ベスト盤ぐらいは聴いてみたくなりました。

ケイ・スター盤もペギー・リー盤も、出来は悪くないのですが、女性がこういう歌をうたうのは、どういうんだろうなあ、と思います。『アニーよ銃をとれ!』みたいな、ある種の倒錯美を狙ったものでしょうかね。男まさりの勇ましい女性像というのは、アメリカ大衆の好みなのかもしれません。

ケイ・スターは、そういう仮定に合致する、お転婆娘みたいな歌い方で、好きかどうかイエス、ノーで答えろ、といわれたら、答えに窮し、訊ねたヤツを殴り倒して逃げるしかないという感じです。

ペギー・リーも、真夜中のラウンジ、といった雰囲気の曲をやっているほうがいいんじゃないでしょうかね。当方の個人的な都合にすぎないのですが、女性アナウンサーの野球中継を聴いているようで、なんだかそわそわしてしまいます。電車のアナウンスは女性の声のほうがいいと思うのですが、やっぱり、野球中継と(Ghost) Riders in the Skyは男の声にかぎります。
by songsf4s | 2007-10-22 23:52 | Evil Moonの歌