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School Is In by Gary "U.S." Bonds
タイトル
School Is Out
アーティスト
Gary "U.S." Bonds
ライター
Frank Guida, Gene Barge, Gary Anderson
収録アルバム
The Best of Gary "U.S." Bonds
リリース年度
1961年
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もうずっと前のことのような気がしますが(と書くと、まだはっぴいえんどの記事を書いているような気がする、といっても、あの曲を知らないとわからないでしょうか)、ゲーリー・“U・S”・ボンズの曲を取り上げました。School Is Outです。ご覧のように、今回の曲は、OutがInに変わっただけ、前の曲が夏休みに入る話なのだから、こんどは当然、だれでも予想がつくように、夏休みが終わって学校がはじまる話です。

今日九月一日は週末なので、日本では始業式ではありませんが(昔なら、土曜も授業があったので、始業式になっていたはずです)、「手持ちの曲」のなかで、もっとも短時間で書けそうだという、馬鹿馬鹿しい理由によって、ちょっとフライングさせていただきます。

◆ 毎度おなじみ業界慣行、大ヒットの二番煎じ ◆◆
タイトルはほぼ同じ、ライターもほぼ同じ(こんどはプロデューサーのフランク・グィダも名を連ねている)、リリース時期もほぼ同じ、とくれば、当然、音もほぼ同じです。こんなお気楽な続篇もめずらしいというくらいで、こちらも気楽にやらせていただきます。

あらかじめポイントを申し上げておくと、ひとつしかありません。夏休みが終わって学校がはじまるというのは、ふつうに考えると、歌をうたいたくなるほど楽しいことではないわけで、そこをどう回避して、いつものハッピー・ゴー・ラッキー・サウンドにつなげるか、これがすべてです。

Now I'm so glad that school is in
Now I can see my old classmates again
I worked and slaved the summer through
Doing the things my mother told me to do

ファースト・ヴァース前半は、「新学期だ、うれしいな、またクラスメートに会えるぞ」と、あったりまえのことをいっているだけで、先行きが危ぶまれるところです。でも、ヴァースの後半では、リアリティーのあるラインが出てきます。

f0147840_0162962.jpg「もう夏のあいだずーっと、母親があれをしろ、これをしろって、奴隷のようにこき使うんだぜ」ということで、ようやく、この曲が対象とする年齢層の子どもたちが、そうそう、そうなんだよ、とうなずける話になりました。日本では子どもたち、とくに男の子に家事をさせる家はあまり多くないと思いますが、すくなくとも昔のアメリカの子どもたちがよく働かされたことは、フィクションからうかがい知ることができます。

I washed the dishes and scrubbed the floor
And taught little baby how to count to four
I made the beds and cut the grass
I'm glad that school is in at last

セカンド・ヴァースは、まえのヴァースの補足説明です。「食器を洗い、床掃除をして、赤ん坊に4までの勘定を教え、ベッド・メイクをして、芝を刈るってんだから、やっと学校がはじまって助かったぜ」

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前回のSchool Is Outで手持ちのボンズの写真を使い果たしたので、今回は、彼が録音していたヴァージニア州ノーフォークの古い絵はがきを少々。ボンズのバックでプレイしているのは、ジーン・バージを含むチャーチ・ストリート5というバンドですが、そのチャーチ・ストリートというのは、こういうところだったそうです。

これでコーラスに突入しますが、バックが「Schoo is in」と歌い、ボンズが、「Don't forget I'm a-with it」とかなんとか、意味不明、聴き取り不能のことを叫ぶだけです。

◆ School Is Inは嘘だったのか? ◆◆
つぎはサード・ヴァース。

Now vacation time has come to an end
Now I got to get back to my studies again
And make the grades so I can pass
I'm glad that school is in at last

「夏休みはもうおしまい、勉強にもどらなきゃ、落第しないようにがんばらないとな、学校がはじまってうれしいよ」って、これでいいのかな、というヴァースです。わたしが高校生だったら、このヴァースには感情移入できないだろうと思います。

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港を遠望するノーフォーク風景

ここで間奏に突入し、前作同様、「Go daddy」と指名されて、ジーン・“ダディーG”・バージのサックス・ソロとなります。ここでの叫び声は「Oh yeah, you sound so good」と、ちゃんと聴き取れるのですがねえ。

そしてフォースにして最後のヴァース。

Now you may think I'm nutty and telling you lies
But I'm going out now to buy my school supplies
This semester's gonna be a gas
'Cause school is in at last

「頭がおかしくなって、駄法螺を吹いてると思うかもしれないけれど、これから出かけて勉強道具を買うんだ、今学期はサイコーだぜ、なんたって学校がはじまったんだから」というように読めます。

school suppliesって、鉛筆だの消しゴムだのノートだのを指しているとしか思えないのですが、これからそういうものを買いに行くといっているわけですし、しかも、俺がそんなことをいったら、おまえらは頭がおかしくなったと思うかもしれないけどな、なんて念の入ったことまでいっているわけで、それでいままでどうやって進級してきたんだよ、と呆れ果てます。優等生のことなんか歌っても、反感を買うだけで商売にならないから、危ない劣等生を思いきり戯画化したのだろう、としか考えようがありません。

f0147840_0303826.jpgCrispus Attucks Theaterという劇場。「ノーフォークのアポロ劇場」とあだ名されたのだとか。

それにしても、今学期(正確には前後期制の学期、この場合は前期)はサイコーっていうのは、あまり共感を得られそうもないのですが、進級できたのが奇蹟みたいなヤツがいうから可笑しい、というあたりでしょうか。学習用品ももっていないような困った生徒ですが、やっぱり、家で母親にこき使われているよりは、学校に行くほうがまだしも楽しいのでしょうね。

でも、疑問に思うことがあります。School Is Inのときは、ヤンキー・スタジアムで野球観戦だの、ダンス・パーティーだのと楽しそうなことばかりいっていたけれど、あれはなんだったんだ、です。結局、期待に反して、球場にも行けなければ、クラブにも行けず、芝刈りと皿洗いで夏休みを終わっちゃったのでしょうかね。

◆ 晩秋のヒット ◆◆
同じスタッフですし、二匹目のドジョウを狙った曲なので、サウンド的に前作ととくに変わったところはありません。Inのほうは、バンジョーが使われていることが大きなちがいといえるでしょう。もちろん、フォークっぽい使い方ではなく、しいていうと、ディクシーランド風です。

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ボンズのプロデューサー、フランク・グィダの作品を集めた編集盤。ボンズの下に、ジミー・ソウルの名前が見える。そういえば、ジミー・ソウルもボンズと同じ高血圧サウンドだった!

正確なリリース・デイトは不明ですが、ビルボード誌ではこの曲は1961年10月23日にホット100初登場、11月13日に28位のピーク・ポジションに到達しています。時季がズレていますが、そもそも前作が、同年7月24日にホット100初登場、9月4日にピークの5位と、やや遅れ気味だったので、続篇も遅れざるをえなかったことになります。

いやはや、なんともイージー・ゴーイングな続篇ですが、そのあたりがいかにもお気楽な時代をあらわしているように感じます。こちらも、ずいぶんと楽をさせてもらっちゃいましたが、そういうことではあまり面白い話にはならないわけでして、つぎはしっかり汗をかこうと反省しつつ退場。
by songsf4s | 2007-09-01 23:57 | 九月をテーマにした歌