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【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇7 1963年の7
 
先日は、次回からサード・アルバムへ、と書いたのだが、ハンブルクのスター・クラブでのライヴ盤も63年にドイツでリリースされたようなので、先にこちらを検討する。

それが終わったらサード・アルバムへと進むかというと、これがまた微妙で、ほかに同時期のBBCやスウェーデンのラジオ・ライヴも盤になっていて、収録曲を検討したうえで、そちらも取り上げるかどうか、後日決める。

スター・クラブのライヴ盤は、LPの時代とCDになってからでは、曲数が異なっているので、ここでは手元にあるCDヴァージョンの収録曲にしたがって見ていく。

いちおう、最初のLPヴァージョンの構成をDiscogsから以下に引き写した。

Sweets For My Sweet - The Searchers At The Star-Club Hamburg

Sweets For My Sweet
Ain't That Just Like Me?
Listen To Me
I Can Tell
Sick And Tired
Mashed Potatoes
I Sure Know A Lot About Love
Rosalie
Led In The Game
Hey, Joe
Always It's You
Hully Gully
What I'd Say

【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇7 1963年の7_f0147840_2240268.jpg

今回検討するCDヴァージョンは以下のような構成。

Complete Live at The Star-Club Hamburg

Sweets For My Sweet
Ain't That Just Like Me
Listen To Me
I Can Tell
Sick And Tired
Mashed Potatoes
I Sure Know a Lot About Love
Rosalie
Led in the Game
Hey Joe
Always It's You
Hully Gully
What'd I Say (uncutted long version)
Beautiful Dreamer
Sweet Nothin's
Shakin' All Over
Sweet Little Sixteen
Don't You Know
Maybelline

オリジナルLPが13曲なのに対して、CDのコンプリート・ヴァージョン21曲構成になっている。しかし、ライヴだから、すでに検討したスタジオ盤と重なる曲もあり、そういうものは省略する。

なお、盤のライナーには録音日時が記載されていないのだが、こういうものはレーベルと正規の契約を結ぶ以前のものと決まっているので、62年または63年前半の録音だろう。

◆ I Can Tell ◆◆
最初の3曲、Sweets For My Sweet、Ain't That Just Like Me、Listen To Meはすでにこのシリーズで取り上げているので、4曲目のI Can Tellへ。

作者はイーラス・ベイツ、すなわちボー・ディドリーで、オリジナルを歌ったのもディドリー自身。

The Searchers - I Can Tell (live)


Bo Diddley - I Can Tell


ほとんど別人28号と化していて、好みからいえば、スピードアップしたサーチャーズ盤がいい。ディドリーのオリジナルはそこらによくあるブルース崩しにしか思えない。

とはいえ、それもまた考えようで、オリジナルに隙があるとカヴァーは多くなる傾向がある。ボー・ディドリーの曲はそのパターンが多い、という偏見を持っている。

サーチャーズ盤のリード・ヴォーカルは、いつもの二人の声とは違うので、クリス・カーティスなのだろう。メロディックなものはトニー・ジャクソンとマイク:ペンダーに任せ、自分はロック系、ブルーズ系と思っていたのだろうか。

イギリスでは、サーチャーズより早く、または同時期にこのグループもカヴァーしている。

Johnny Kidd & The Pirates - I Can Tell


サーチャーズのカヴァーは、ボー・ディドリーのオリジナルより、こちらのほうにずっと近いので、ディドリー盤直接ではなく、ジョニー・キッド経由でカヴァーした可能性もあると思う。

ほかにゼファーズ(サーチャーズと同時代のイギリスのマイナー・グループ)のものもある。ゼファーズはほとんど盤がないにもかかわらず、クリップが上がっていたので、これも貼り付けておく。

The Zephyrs - I Can Tell


惜しかったねえ、ささやかなヒットがあれば、アルバムを出すぐらいのところには行けたのに、という感じだが、それにはヴォーカルの魅力が不足していたかもしれない。

サー・ヘンリー&ヒズ・バトラーズという60年代のデンマークのグループのものもちょっと面白いのだが(ギターとドラムがいい)、クリップはないし、サンプルをアップするほどのものでもないので、割愛。

I Can Tellなどという変哲もないタイトルなので、HDDに検索をかけると、同題異曲がずいぶんヒットしてしまう。レスリー・ゴア、ハニーカムズ、レパラータ&ザ・デルロンズ、ベイカー・ナイトなどのものは別の曲である。

それで通り過ぎられれば問題なかったのだが、以下の曲は引っかかった。同じ曲ではないのだが、共通点があって、まったく無関係の曲とはにわかに断定できない。

サンプル The Youngbloods - I Can Tell

こちらの作者はボー・ディドリーではなく、チャック・ウィリスで、作者自身のヴァージョンはクリップがあった。

Chuck Willis & The Sandmen - I Can Tell


曲の構造はブルーズだが、スタイルは典型的なドゥーワップである。

結局、これも古い歌がベースになっているということではないか。それぞれに変形して歌っていて、アダプトした人間が作者としてクレジットされる、といういつものパターンで、同題にしてかつ共通点がありながら、作者名が異なるヴァリエーションが存在するのだろうと考える。

◆ Sick and Tired ◆◆
サーチャーズの曲はシンプルなものが多いが、ライヴになるといよいよ3コードばかりになっていく。つぎはアール・パーマーが単純きわまりないといったファッツ・ドミノの、じつに単純な曲。

The Searchers - Sick and Tired (live at The Star Club, Hamburg)


Fats Domino - Sick and Tired


やりやすそうだからか、オブスキュアな曲のわりにはカヴァーが多い。それぞれに味があって面白いのだが、たとえば、このヴァージョンはどうだろうか。

The Righteous Brothers - Sick and Tired


フィレーズ時代の録音だが、アルバム・トラックなので、スペクターは無関係、ビル・メドリーのプロデュースだろう。トラックはストレートでそれほど面白くないが、デュエットでやるのもまたいいな、と感じさせる。

つぎはファット・ドミノと同じニューオーリンズ録音。4つの4分音符のあつかいが平等ではない、うねるグルーヴがファッツのオリジナルと共通する。

Chris Kenner - Sick and Tired


テンポが違いすぎて比較しにくいかもしれないが、もう一度、ニューオーリンズとは異なるストレートなグルーヴのヴァージョンを。

Ronnie Hawkins - Sick and Tired


わたしはどうもホークス(ロニー・ホーキンズのバンド)が苦手なのだが、これはタイムが安定していて、危なっかしい感じがなく、もしもこれがホークスのプレイなら、「どうもお見それしました」である。

サム・ブテーラや、エディー・コクランがプロデュースしたボブ・デントンのもの、ドゥエイン・オールマンがプレイしたロニー・ホーキンズのリメイクなど、それぞれに面白いのだが、クリップがないので割愛する。

また、グレイトフル・デッドもやっているが、うちにはWBからのデビュー前の、あらま、と困惑するようなヴァージョンしかないので、これもなかったことにする! ヴォーカルはピグペンで、結局、その後、レパートリーからはずされたのだろう。

まだ二曲だけだが、聴くべきヴァージョンは山ほどあり、調べに手間取った疑問もあり、長くなったので、以下は次回へと。


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by songsf4s | 2014-02-25 22:48 | ブリティシュ・インヴェイジョン