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殺菌消毒済み、ソフトにして安全なり――ブラザーズ4のRevolutionほか
 
このところ、過去の記事の点検をやっているのですが、消されてしまったクリップも多くて、新しいクリップを貼りつけるのに時間がかかっています。

また、貼りつけることはできても、著作権者の意向などで、ブログに貼りつけたものは再生できず、ユーチューブに行かなくては再生できないという、これまでになかったタイプもたくさんあります。

ユーチューブならよくて、ブログはダメというのは明らかな差別、区別で、検閲に準じる行為です。でも、情状酌量の余地もあります。

なにしろ、風前の灯火の業界、レコード会社がなんらかの物体に音楽を封じ込め、それを販売するというビジネス・モデル自体が前世紀のもので、すでに有効性を失っています(配信というビジネス・モデルも、すでに古いと思うが)。

しかし、そうはいっても、その仕組みのなかで生きている人たちはたくさんいるし、なにごとも、一挙に覆すのは、多くの弊害を生みます。

だから、断末魔のあえぎぐらいのことは我慢しなければならないでしょう。ゆっくりと縮んで、知らないあいだに消滅していた、というのが、望ましいあり方、いや「ない方」でしょう。

いちいちクリップの右下のユーチューブ・ボタンをクリックするという面倒な作業は、そうした消えゆくものの残照なのだから、同情と憐憫の気持をもって我慢していただけたらと思います。

今日、音楽について思ったのはそれだけなのですが、これでおしまいというのもなんなので、冗談のようなクリップをいくつか貼りつけます。

今日、べつのものを検索していて、昔、買いそうになって、思いとどまった盤を見かけ、そういえば、こういう笑えるものがあったなあ、と思ったのです。

その「Soft, Safe & Sanitized」、すなわち「ソフトにして安全、殺菌消毒済み」という、ライノによるオムニバスに収録された曲をまずひとつ。

The Brothers Four - Revolution


あはは。たしかにソフトにして安全なカヴァーです。

だれでもご存知の曲だから、こういうカヴァーに思わず笑うのですが、最近はそういう思いこみは通用しないようです。ツイッターで、ポール・マッカートニーってだれよ、というのが話題になっている、というツイートを見て、なるほど、そういう世代だっているさ、と思いました。わたしだって、アンドルーズ・シスターズをはじめて聴いたのは高校のときですからね。あいこです。

で、原曲は「云うまでもなくビートルズの」といいそうになりますが、これはかならずしも自明ではないのでしょうね、お若い方たちにとっては。では、殺菌消毒前のハードで危険なオリジナルを。

The Beatles - Revolution


東芝EMIは特別熱心に検閲しているので、このクリップもユーチューブへいけ、と表示されるかもしれませんが、どうかあしからず。貼りつける段階では、そこまではわからないのです。

coverという言葉は、現在ではちがう意味で使われていますが、もともとは、ブラック・ミュージック、いや、その時代の呼び方で云うなら「レイス・ミュージック」を白人市場に移転する場合に使った、という説を読んだことがあります。

ラジオの白人局ではブラック・ミュージックはかけてはいけなかったのですが、しかし、そのままほうっておくのももったいないから、白人局でもかけられるように、ブラック・ミュージックを白人が歌うことを「カヴァーする」と言い習わした、という説です。

ロックンロール黎明期でも、まだ白人局と黒人局の区別はあり、それでパット・ブーンがリトル・リチャードの曲を白人局用にカヴァーしたりしたのです。そういう習慣がなくなってからも、言葉だけは生き残ったわけですが。

黒人曲の白人局向け移転ではありませんが、これなんかも、なかなか素敵な安全性を確保していると思います。

Mel Torme - Sunshine Superman


ドラムのタイムがちょっと早めで、そこで安全性がややそこなわれていますが、それにしても、メル・トーメはなんだってこんな曲をやろうと思ったのでしょうかね。

これまたわれわれの世代には自明の曲なのですが、ある世代にとっては、ドノヴァンてだれよ、でありましょうな。クリップには69年とありますが、まちがえるに事欠いて、なんてえ間違いをするんだ、トンチキが、です。1967年ですよ。サイケデリックのど真ん中だったんですから。

Donovan - Sunshine Superman


ドノヴァンはMellow Yellowがいちばん危険な匂いがあり、そのつぎがSunshine Supermanでしょう。最初に聴いたのがMellow Yellowだったので、なんなのこいつ、変なヤツと思いました。そのせいで、あとでColorsなんかを聴いたときは、なんと凡庸な、なんと退屈な、とあくびが出たほどです。

時間切れは迫っていますが、もう一曲消毒してみましょう。これがいちばん馬鹿っぽくて楽しめるかもしれません。

Mitch Miller & The Gang - Give Peace A Chance


あはは。なにごとも、一方の極端は、もう一方の極端に接続してしまうという、この世のメビウス構造を体現した曲、などとホラをいいたくなります。ここまで愚劣だと、ほとんどラディカルといっていいのではないでしょうか!

この曲も自明に類するでしょうが、ジョン・レノンてだれよ、という人もいるでしょうから、いちおう貼りつけます。またあの会社の管理するものなので、プレイできなかったらハイごめんよ。

John Lennon - Give Peace a Chance


ジョン・レノンというのは、ビートルズというイギリスのバンドのメンバーだった人で、ビートルズ解散後は、ソロ・シンガーとなり、って、時間がないときに、こんなくだらない冗談はやめておきます。ジョン・レノンを知らない人は、適当に検索してバイオをお読みあれ。


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by songsf4s | 2012-02-13 23:54 | 60年代