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森一生『薄桜記』、舛田利雄『影狩り』、市川崑『幸福』、佐藤純彌『君よ憤怒の河を渉れ』ほか
 
ツイッターにはチラチラと書いているのですが、このところ、できたらブログで取り上げようと思い、数本の映画を見ました。

石原裕次郎の、たぶん、最後から三番目と二番目の映画である舛田利雄監督の『影狩り』および『影狩り ほえろ大砲』、市川崑監督『幸福』、犬童一心監督『死に花』、サム・ペキンパー監督『キラー・エリート』、佐藤純彌監督『君よ憤怒の河を渉れ』などです。

『キラー・エリート』をのぞいて、残念ながら、どれも気に入らないか、悪いとはいえないが、ぐらいの出来で、書く気にはなりませんでした。公開当時、忍者が出てくるというので、勘弁しろよ、と敬遠した『キラー・エリート』も、思ったよりはずっとマシではあったものの、書こうと思うほどの出来でもありませんでした。

◆ 無抵抗忍者虐殺物語『影狩り』 ◆◆
いま、時計を見て、今夜、本題に入るのは無理に思えてきたので、以上の映画について、脈絡なしに、思ったことを並べます。

『影狩り』シリーズの二本は、シナリオが問題外、演出も強引というか、雑というか、もう少し手順を踏んでくださいな、と溜息が出ました。

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『影狩り』というのは、劇画が原作ですが、そちらのほうは読んだことがありません。時代劇のほとんどは、考証もへったくれもないのですが、それにしてもなあ、という設定で、わたしはいきなりコケました。

幕末になると、財政破綻した徳川家は、各地に隠密(これをこの映画は「影」と呼んでいる)を送り込み、なにか落ち度を見つけては国を潰して、その富を収奪した、というのです。

幕府が落ち度を見つけたら、どんどん国替えや絶家(改易)をおこなったのは事実ですが、べつに幕末になってはじめたことではなく、初期から一貫してそういう政策ををとっていました。

福島正則や加藤清正といった関ヶ原の合戦の功労者の家も、すぐに取りつぶされてしまった(福島家は正則存命中、加藤家は清正没後)のは有名な話ですし、将軍家の別家自体がたくさんやられています。そのへんは鎌倉幕府の再現といってもいいほどです。

というように、大前提そのものでコケたのですが、展開もまた感心せず、伏線を張らず、細部の筋も通さない強引な演出も、舛田利雄の悪い面だけが出たと感じます。

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石原裕次郎は、ハンス・オットー・マイスナーの『アラスカ戦線』を映画化したいといっていたそうで、それを読んだときは、いいところに目をつけた、と思いました。

でも、『太平洋ひとりぼっち』や『影狩り』といった企画を見ると、クリント・イーストウッドのように一貫して目の付けどころがいいわけではないと考えざるを得ません。

しかし、シナリオや演出が駄目でも、かつては裕次郎が映画を救っていました。それができなくなったところに、俳優・石原裕次郎の落日を感じます。いや、まあ、それを確認するために、自らを叱咤してこの二本を見たのですが。

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「影」という、お庭番、忍者の群も、つまらない存在で、それも大きな欠陥でした。ただ跳ねまわって、ただバタバタと斬られるだけじゃあ、蠅の群と懸隔がありません。背中を見せて逃げまわる忍者たちは、深江章喜親方に「かかれ!」といわれた瞬間、さっさとトンヅラすればよかったのに、と思います。

同じ舛田利雄監督の『嵐の勇者たち』(1969年日活)あたりのアンサンブルの面白みを狙って、内田良平と成田三樹夫を配したのだろうと思います。意図はわかるのですが、その面でも成功したとはいいかねます。

◆ 客のほうが憤怒する『君よ憤怒の河を渉れ』 ◆◆
『君よ憤怒の河を渉れ』はひどさもひどし、これ以上ひどい映画は滅多にないでしょう。ここまでひどいと、どれほどひどいかをたしかめるために見るべきだ、といいたくなるほどです!

高倉健扮する検事が、身に覚えのない窃盗と強盗と強姦で告発され、その疑いをはらすという物語ですが、論理的に考えると、この映画の事件は、はじまった瞬間に解決していたはずです。

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高倉健は、いきなり町で、この人、強盗よー、といわれ、警邏警官に取り押さえられてしまいます。このあたりの乱暴な捜査は、まあ、映画的ウソとして我慢しました。

しかし、高倉健のマンションにいったら、盗難にあったと届出られたカメラが、これ見よがしに棚に鎮座していた、というところで、まともな捜査官なら、たちまち冤罪の可能性を嗅ぎ取るだろうに、と馬鹿馬鹿しくなりました。

鈍感で馬鹿な捜査官であっても、二人の告発者が、じつは夫婦であり、告発の直後に姿をくらましたことがわかった時点で、高倉健の容疑ははれ、釈放です。

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検察官が自分の弁護をできないのも驚愕しますし、容疑者としての権利をいっさい主張しないのも信じがたく、池部良検事も、原田芳雄警部も、こんなものは立件できないに決まっているのに、ごり押しで捜査を進めるので、てっきりこの二人がグルになって、高倉健検事を罠に落としたのだと信じましたよ!

西村寿行の原作もいけないのでしょう。でも、その原作で映画を撮らねばならないと決まったら、なんとか、立件できそうな事件に変更するのが脚本家と監督の仕事でしょうに。盗んだカメラを居間に飾っておく検事だなんて、馬鹿もいい加減にしなさいな。

同じ高倉健と佐藤純彌の組み合わせの『新幹線大爆破』はまずまずの出来だったのですが、あちらは、なにか幸運な偶然のおかげでうまくいっただけだと納得しました。

着ぐるみの熊なんか、恐くもなんともありませんが、鈍感な脚本と演出は映画を即死させます。

以上、やはり、本題にたどりつくにはいたらず、市川雷蔵と勝新太郎の映画は次回見ることにします。


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by songsf4s | 2011-12-26 23:59 | 映画