(サンプルのリンク、修正しました。陳謝)
「The Best of Jim Gordon補足」なんていうタイトルで、その後に聴いたジム・ゴードンのプレイを並べてきましたが、補足のほうが大きくなりそうな気配なので、今回からテイク・ナンバーをリセットし、ここからはリメイク・セッション、「続The Best of Jim Gordon」の、本日は第一回目とします。
◆ ジム・ゴードン唯一のソロ・アルバム ◆◆
ジム・ゴードンのソロ・アルバムというものがあるというのはどこかで読んだことがあったのですが、やっと現物を聴くことができました。
信じようと信じまいと、わたしは蒐集家ではないので、ブツの入手自体にはいたって不熱心です。たまたま遭遇すればよし、わざわざ探す気はないので、いままでほったらかしにしていましたが、じっさいに聴くと、このJimmy Gordon & His Jazznpops Bandの唯一のアルバムは、探すべきだったかもしれないと思いました。
そういってはなんですが、ハル・ブレインのソロよりずっと面白いと思います。時期のちがい、アレンジャーのちがい、というところでしょうが、全体のサウンドも面白いものがあるし、ジミーのプレイも申し分がありません。
気持のいいグルーヴばかりで、どれをサンプルにしたものか迷い箸をしてしまいますが、ファイル・サイズも考えて、この曲にしてみました。
サンプル Jimmy Gordon & His Jazznpops Band "Flying Dutchman"
このジミー・ゴードン&ヒズ・ジャズポップス・バンドのHog Fatというアルバムは、ボブ・シールのフライング・ダッチマン・レコードからリリースされました。ジム・ゴードンはボブ・シールに気に入られたのか、このレーベルからリリースされたさまざまな盤でプレイしています。
ただし、フライング・ダッチマンのいろいろなセッションに参加した結果として、ソロ・アルバムが制作されることになった、という流れではありません。レーベルの発足直後に、ジミーのアルバムは録音されているのです。
どうであれ、この曲にFlying Dutchmanというタイトルがつけられたのは、レーベル名にちなんだのでしょう。インスト曲のタイトルはどうにでもなりますから。
アルバム・パーソネルは以下のごとし。
Jim Gordon - drums
Gary Coleman - percussion
Victor Feldman - percussion
Buddy Childers - trumpet
George Bohanon - trombone
Tom Scott - saxophone
Jim Horn - saxophone
Mike Melvoin - piano
Don Randi - piano
Jerry Scheff - bass
Don Peake - guitar
Louis Shelton - guitar
Dennis Budimir - guitar
ヴェテランはすくなく、1969年の時点における若手のプレイヤーたちが中心です。とくにギターのドン・ピークとルイス・シェルトンはこのころにハリウッドのスタジオでプレゼンスを強めていったといっていいでしょう。ただし、さすがにうまい、と思ったのはピアノですけれどね。
他のフライング・ダッチマン・レコードのリリースにも、興味深いものは数多くあるのですが、それは他日のこととします。
◆ ジョージ・ハリソンのWhat Is Lifeからジョージ・ハリソンをマイナスすれば ◆◆
つぎのクリップに行く前に、話の順序として、まずこれを。おなじみの曲です。
George Harrison - What Is Life
これを分解して、ジム・ゴードンのトラックだけを強調したミックスにしたクリップがありました。
George Harrison - What is Life (drums track)
いやはや、なんとも、すげえな、です。フロア・タムがこんなことになっているとは、いまのいままで知りませんでした。うまい人はなんでもうまいのですが、それにしてもジミーのフロア・タムはすごいものです。
こういうぐあいに、聴きたいものをなんでもかんでも分離して聴ける時代が来てくれないものでしょうか。その気になれば、こんなことは簡単なんですがねえ。CDはやめにして、固体素子メモリーで売ればいいだけです。いや、オンラインだってかまいませんが。好きな曲をみな分解して聴きたくなりました。感動的なプレイ。
◆ グレン・キャンベルとジミー・ウェブ ◆◆
グレン・キャンベルの初期のヒット(といっても、それ以前にすでに長いソロ・キャリアがあるのだが。「ヒットが出るようになったころ」と言い換えてもいい)でドラムを叩いたのは、スタジオの同僚、ハル・ブレインではなく、意外にもジム・ゴードンでした。
以前のThe Best of Jim Gordonには、そのなかから、Wichita Linemanを入れておきましたが、もうひとつの代表作であるこの曲もジミーのプレイでした。
Glen Campbell - By the Time I Get to Phoenix
ベースはキャロル・ケイ。この曲でもジミー・ウェブがピアノを弾いたのかもしれません。Wichita Lineman同様、アル・ディローリーの、空間を生かした控えめなサウンド・メイキングがいまも光芒を放っています。
グレン・キャンベルにとって、ブレイクスルーを助けてくれたジミー・ウェブは非常に重要なソングライターだったはずですが、70年代には他のソングライターの曲ばかりになっていきます。
そして、なにがきっかけになったのか、ふたたびジミー・ウェブの曲を歌ったアルバムReunion: The Songs Of Jimmy Webbが74年にリリースされました。
ヒット曲は生まれませんでしたが、いま聴けば、非常によくできたアルバムです。時代に合わせたのか、ドラム・ビートも以前より強調されていて、その面でもおおいに楽しめます。
ただし、問題があります。ドラムは二人クレジットされていて、もうひとりのドラマーはハル・ブレインなのです。
長いあいだ、Wichita Linemanはハル・ブレインのプレイと思いこんでいた人間としては、これは鬼門だなあ、と思うのですが、でも、非常に好ましいプレイなので、もったいないから、誤認の可能性のあることを承知のうえでクリップを貼りつけます。
Wishing Now - Glen Campbell
いや、さすがはジミー・ウェブという曲だし、ギターもいいし(もちろんグレン自身のプレイだろう)、ドラムもグッド・フィーリンで、文句のないトラックです。
エンディングのあたりを注意深く聴いてみて、やはりジミーと判断していいだろうと思いました。ハイ・ピッチの追加タムのサウンドがジミーのものに聞こえます。
出来はわるくないのに、あまり知られていないアルバムなので、もう一曲いきます。
Glen Campbell - Ocean In His Eyes
これはイントロを聴いた瞬間、ジミーだと思いました。スネアがいかにもジム・ゴードンらしいサウンドで鳴っています。とはいえ、この世にだれか、ハル・ブレインそっくりのサウンドがつくれるプレイヤーがいるとしたら、ジム・ゴードンただひとりというぐらいで、つねにミスの可能性はあるのですが!
アルバム・クレジットをコピーしておきます。
Glen Campbell - guitar, vocals
Jimmy Webb - piano
Hal Blaine - drums
Jim Gordon - drums
Joe Osborn - bass
Dean Parks - guitar
Buddy Emmons - pedal steel guitar
Larry Knechtel - keyboards
やはり70年代だなあ、と思います。かつてグレン・キャンベルの相方はビリー・ストレンジだったりしたのですが、ここではディーン・パークスです。
いや、ディーン・パークスもいいプレイヤーです。グレンと二人で、このアルバムではなかなか楽しいアコースティック・ギター・サウンドをつくっています。
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ジョージ・ハリソン
All Things Must Pass (30th Ann) (Dig)
グレン・キャンベル
Reunion: Songs of Jimmy Webb