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スティーヴ・クロッパーの5ロイヤルズ・トリビュート
 
つぎも映画でいこうと思っていたのですが、候補にあげたものの見直しが終わっていないので、それまでのあいだ、最近聴いたスティーヴ・クロッパーのアルバムのことを少々書きます。

もちろん、わたしはブッカー・T&ザ・MG'sのファンなので、スティーヴ・クロッパーはMG'sで聴くのがいちばんいいと思いますが、アル・ジャクソン没してすでに四十年近くがたち、MG's抜きのスティーヴ・クロッパーもずいぶん聴きました。

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MG'sほどタイトに縫い上げられたバンドは稀なので、MG'sという文脈で聴いていては意識しないことがずいぶんあるものだと、MG's以外で聴くと思います。

ネッド・ドヒーニーのバッキングにまわったときのクロッパーも興味深いものでしたし、最近ではFelix Cavariereとの2枚のアルバムでも、なるほどねえ、と思いました。

理屈をこねる前に、スティーヴ・クロッパーの今年リリースされたアルバム、Dedicated a Salute to The 5 Royalesから一曲。これがとくにいいというわけではないのですが、クリップがあまりないのです。

Steve Cropper with Brian May on vocal - I Do


スティーヴ・クロッパーはテクニックで聴かせるタイプのプレイヤーではないのですが、昔から独特のダウン・トゥ・アースな味をもっていて、この最新作を聴くと、そういうことというのは、年をとっても変わらないものだと再確認させられます。

Dedicated a Salute to The 5 Royalesというタイトルが示すように、今回のアルバムは、スティーヴ・クロッパーがつねに称揚していたギタリスト、ロウマン・ポーリングのグループ、ファイヴ・ロイヤルズの曲をカヴァーしたものです。

トリビュート・アルバムなどまったくなんの関心もありませんが(そんなものを聴く時間があったら、トリビュートされたほうの本物を聴く)、この場合は、トリビュートされた客体ではなく、トリビュートした主体のほうに興味があるのであって、トリビュート・アルバムとして聴いたわけではありません。

じっさい、ファイヴ・ロイヤルズの盤は買ったことがなく、もっているのは、オムニバスに収録された数曲だけですし、シレルズのDedicated to the One I Loveのオリジナルをやったコーラス・グループ、というテキトーな認識をしているだけでした。

とりあえず、ファイヴ・ロイヤルズによるI Doのオリジナルを聴いてみましょう。

The "5" Royales - I Do


時期を考慮すれば、なかなかけっこうな仕上がりですが、カヴァーしやすいタイプの曲だということも明らかです。それに、肝心のロウマン・ポーリングのギターが活躍しません。

もう一曲、こんどはストレートなブルーズで、ゲスト・ヴォーカルはなし、スティーヴ・クロッパーのギターのみです。

Steve Cropper - Help Me Somebody


こういうものはどうとでも加工できるので、生まれもつかぬアレンジになっても驚かないのですが、案外、ストレートにカヴァーしていました。

The "5" Royales - Help Me Somebody


しかし、これでもやはりロウマン・ポーリングのギターがどうだったのかはさっぱりわかりません。スティーヴ・クロッパーのカヴァーのクリップはないのですが、たとえば、つぎの曲ではギターが活躍します。

The "5" Royales - Slummer the Slum


なるほど、これなら、スティーヴ・クロッパーが、おおいなる影響を受けた、というのもわかります。サウンド、アプローチがオーソドクスではなく、1959年という時期を考えれば、かなり先鋭的といえます。

クリップがあまりないので、サンプルをアップしました。このアルバムのベスト・プレイというわけではありませんが、オープナーですし、ゲスト・シンガーはほかならぬスティーヴ・ウィンウッドなので、この曲を。

サンプル Steve Cropper with Steve Winwood on vocal "Thirty Seconds Lover"

さすがのスティーヴ・ウィンウッドも年をとったか、と思わなくもありませんが、それはさておき、なかなか魅力的な仕上がりのトラックです。近年のディフォルトだった、うっとうしいまでに重い低音というのは影を潜めはじめたようで、まことに欣快に堪えません。

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こういうプレイを聴いていると強く感じるのですが、結局、ギターという楽器は、速さでも、正確さでもなく、ニュアンスなのでしょう。

スティーヴ・クロッパーより速く弾けるプレイヤー、正確に弾けるプレイヤーは掃いて捨てるほどいますが、彼ほどチャーミングなプレイ、サウンドを聴かせてくれる人はめったにいません。

大看板の落語家の晩年のように、芸が磨かれて、スティーヴ・クロッパーはじつにいい年のとり方をしたと思います。年をとっても十年一日、相も変わらず、ただ正確なだけの、味わいなどなにもない退屈なプレイばかりしているあのギタリストなんかとは、土台、人間の出来が違うのでしょう。。

ギターだけを取り出せば、アルバムDedicated a Salute to The 5 Royalesにはもっとすぐれたプレイがいくつも入っているので、その点は誤解なきよう。ヴォーカルがあまり好きではないものが多く、ウィンウッドが歌うこのトラックをサンプルに選んだだけです。インスト曲も、クリップに選ばれたものより、いいものがあります。Thinkのほうがよほど盛り上がるのに、なぜあんなだるいブルーズにしたのやら……。

最後に、ファイヴ・ロイヤルズのThirty Seconds Loverを。

The "5" Royales - Thirty Second Lover


この記事のために、ほかのスティーヴ・クロッパーのアルバムも参照したので、次回はそのあたりを取り上げる予定です。


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Dedicated a Salute to The 5 Royales [Analog]
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ファイヴ・ロイヤルズ(Thirty Seconds Lover収録)
Right Around the Corner Rare & Undiscovered Gems
Right Around the Corner  Rare & Undiscovered Gems
by songsf4s | 2011-10-04 23:36 | Guitar Instro