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The Better of the Dave Clark Five オブスキュア・トラックから見たDC5 その4
 
デイヴ・クラーク・ファイヴは、日本ではあまり人気がなかったようで、とどのつまりが、Becauseだけのグループと世の中ではみなされているようです。

しかし、ブルース・スプリングスティーンのドラマー、マックス・ワインバーグのように、DC5を見て人生が変わった、という人がいるほど、アメリカでは、かつては絶大な人気を誇りました。デイヴィッド・レターマンだったか、マイク・スミスをゲストに迎えて、俺の人生を変えた男と紹介していましたし、ホール・オヴ・フェイムへのインダクションのときに、トム・ハンクスは大熱演で子供のときのアイドルを賞賛しました。

64年から66年にかけてなら、DC5はビートルズのつぎにビッグなイギリスのアーティストだったといって大丈夫でしょう。そして、印税率からいって、メンバーが手にした金はビートルズを上まわっていたのではないでしょうか。あの時代、ツアーでの移動は自家用機で、なんていうのはDC5だけだったにちがいありません。

前回、LPリイシューがまったくといっていいほどなかった理由を書きました。これが忘却の最大の原因だと思いますが、「サイケデリックの断絶」を超えられなかったのもまた、忘れられた理由のひとつだろうと思います。影響力の問題です。

DC5と対照的なグループを措定すればはっきりします。たとえばヤードバーズです。彼らのアメリカ・ツアーは売り上げからいえば、DC5の足元にも及ばなかったでしょうが、ジェフ・ベックのデモーニッシュなギターは、自分でプレイしていた若者に強い影響を与え、サンセットのガレージ・バンド群の勃興の背景になりました。

バンドをやっている連中から見れば、DC5は、清潔なユニフォームをまとい、きれいに髪をセットアップして、エド・サリヴァンとにこやかに握手する、古めかしいバブルガムのバンドになってしまったのです。

しかし、時代のコンテクストというのは、いまではたいした意味がありません。ただ裸の音がそこにあるだけです。そろそろそのことに気づいてくれるといいのだが、と思ったのも、DC5を大々的にやってみようと考えた理由のひとつです。

このシリーズは、デイヴ・クラークと相方のマイク・スミス、レニー・デイヴィッドソン、デニス・ペイトンのソングブックのつもりで曲を選んできました。また、オブスキュアと銘打ったので、できるだけヒット曲を避け、アルバム・トラックやB面曲を中心にかけてきました。

しかし、そろそろその方針では苦しくなってきたので、今回は二つのルールをまとめてやぶって、カヴァーの大ヒット曲から入ります。DC5にとっては唯一のビルボード・チャート・トッパー、作者にしてオリジナル盤のシンガーはボビー・デイ。

The Dave Clark Five - Over And Over


ビルボード上では1965年のヒットですが、日本では66年はじめのヒットでした。最初に知ったのがCatch Us If You Can、そのつぎにヒットしたのがOver and Overと、わたしは記憶していますが、この順序は英米のディスコグラフィーとは矛盾します。二曲のあいだはそんなに接近していないのです。

日本ではリリース順が狂って、Catch Us If You Canが遅れ、Over and Overがきびすを接する形になったのか、あるいはわたしの記憶違いか、そのあたりはわかりません。はっきりした記憶のある方はどうぞコメント欄に。

Catch Us If You Canもそうでしたが、この曲もDCの「フライパンのような」ハイパー・ハイ・チューニングのスネアによる四分三連が小学生には大きな魅力でした。今にして思いますが、このチューニングは、やはり、AMラジオでもはっきり聴こえるようにという配慮だったのでしょう。

Gだったか、Cだったか、中学のバンドメイトがハーモニカをもってきたとき、この曲の間奏をやってみました。いまギターがないので、キーを確認できませんが、自分でやったときはG-Cにしました。コードはこの二つだけなので、Gキーのハーモニカなら、どの音を吹いても合ってしまい、間違えたくても間違えられない仕組みになっています。なるほど、ハーモニカというのはそういうものなのかと納得しました。

いちおうボビー・デイのオリジナルも聴いてみます。

Bobby Day - Over and Over


ドラムはアール・パーマーだったような記憶があるのですが、いまは確認できません。これを聴くと、なるほどと思います。ブリティッシュ・インヴェイジョン・グループがアメリカのR&Bチューンをカヴァーすると、たいていの場合、テンポ・ダウンし、ビートを重くします。典型はビートルズのTwist & Shoutです。DC5のOver and Overも、同じ方針によるサウンド構築です。

すこし時期が飛びますが、67年のシングルへ。これまたDC5が書いた曲ではないのですが、たんに外部の曲というだけで、DC5ヴァージョンがオリジナルではないでしょうか。どうであれ、他のヴァージョンというのをわたしは知りません。レス・リード&バリー・メイソン作。

The Dave Clark Five - Everybody Knows


リップシンクながら、このクリップから、リードはレニー・デイヴィッドソンとわかります。Everybody Knows以下のコーラス・パートでは、マイク・スミスの声がめだちますが!

67年でこれですからね。ミュージック・フェアかと思っちゃいます。ジェフ・ベックとヤードバーズに狂ったガレージ・バンドの観点からは、お呼びでないもいいところだったでしょう。

曲がまた、いや、ネガティヴにいうつもりはないのですが、エンゲルベルト・ハンパーディンクのRelease Meのコンビによるもので、いかにもそういうタイプのバラッドとくるわけで、子どもには受けなかったでしょう。

これは、主観的には「DC5の最後のヒット」、記憶にある最後のDC5のシングルです。ビルボード・チャートを見ても、この曲が43位でトップ40にとどかず、以後はバブリング・アンダーが二曲あるだけでなので、アメリカでも最後のヒットといっていいようです。

思うに、サイケデリックのギャップを乗り越えられなかったDC5は、ロックンロールから大人のバラッドへというシフトを試してみたのではないでしょうか。レターメンじゃあるまいし、そういうのは向いていないと思うのですが、ダウンヒルに入ると、人はいろいろ考えるものですから。

今回のために67年を中心に10曲リストアップしたのですが、ここまでくると、ファンもあまり聴かない時期なので、ユーチューブでは軒並みはずれ、クリップが見つかりません。

そんななかで、かろうじて見つかったデイヴ・クラーク&マイク・スミス作のバラッド。

Dave Clark Five - 34-06


気になる方もいらっしゃるだろうから、書いておきますが、タイトルは番地です。69年のシングル、(If) Paradise (Is Half as Nice)のB面としてリリースされたようです。A面のほうはエイメン・コーナーの大ヒットで、競作になったのか、それともたんなる後追いのカヴァーだったのか、そのへんはわかりませんが、すぐれたオリジナル曲が売りものだったバンドが、カヴァーばかりになっていくところに、終わりのときが近いことが暗示されています。

さらに末期のシングルを。こんどはA面のアップテンポ曲。なんだかスティーヴィー・ワンダーのFor Once in My Lifeに似ていますが、それはひとまずおいて……デイヴ・クラーク&マイク・スミス作、69年夏のシングル。

The Dave Clark Five - If Somebody Loves You


65年ごろとはずいぶんサウンドの手触りが違いますが、時代とともに変化するのは当然のことで、この時期のDC5としては、これは最良のサウンドだと思います。67年からオーケストラを多用するようになりますが、それがもっとも成功した曲といえるでしょう。だれがアレンジしたのかわかりませんが、管は好みです。

マイク・スミスはいつもコンボ・オルガンかピアノでしたが、この曲ではハモンドをプレイしていて、時代は変わるんだなあ、と思います。子どものころはVoxやフェンダーのコンボ・オルガンの音はあまり好きではありませんでしたが、いまになると、マイク・スミスはコンボ・オルガンのほうが似合うのに、と思います。

まあ、それは40年以上たって思うことであって、人はそのときそのときに最善と思うことをするしかないのですが。

後期になるとクリップがごくわずかしかなく、やむをえず、はじめのほうに遡って、デイヴ・クラーク&レニー・デイヴィッドソン作のロッカ・バラッドを。

The Dave Clark Five - I Said I Was Sorry


うーん。この曲は、いちどはかけようかと思ったのですが、そのときに選んだ他の曲にくらべて、いまひとつの出来というか、ちょっとメランコリックなところが気に入らなくてオミットしました。

ところが、68年から69年にかけての曲を聴いたあとで戻ると、すごくいい曲に聞こえました。それだけ64年から66年にかけてのDC5がすごかったということでしょう。

本日のラストは、またカヴァーですし、オーセンティックなDC5サウンドでもありませんが、明るくて軽快な曲です。1967年のシングル、最後のトップ40ヒットとなった、ジョニー・マーサー&ハリー・ウォーレン作のスタンダード。

The Dave Clark Five - You Must Have Been a Beautiful Baby


最後のビルボード・トップ40ヒットで、日本でもすくなくともビート・ポップスではよく流れていたのを記憶しています。青空がどうしたとかいう邦題でした。ほかのことはともかく、イントロは、オーセンティックなDC5サウンドではないものの、よくできていて、印象に残りました。Penny Laneを意識したのかもしれませんが。

気になる方もいらっしゃるでしょうから、You Must Have Been a Beautiful Babyの割にノーマルなヴァージョンも貼り付けておきます。こちらなら、ジョニー・マーサーとハリー・ウォーレンの曲だということが納得いくでしょう。

Dean Martin - You Must Have Been a Beautiful Baby


次回は落穂ひろいをやります。時期にとらわれず、これまではオミットしてきたヒット曲をならべる予定です。


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by songsf4s | 2011-09-06 23:51 | ブリティシュ・インヴェイジョン