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The Better of the Dave Clark Five オブスキュア・トラックから見たDC5 その3
 
そろそろ、デイヴ・クラーク・ファイヴのその後を決定したともいえる、EMIとの契約のことを書かないといけないと思うのですが、マックス・ワインバーグによるDCインタヴューがどこかに行ってしまったので、数字を確認できず、弱ったな、です。

まあとにかく、一曲いきます。66年にヒットした、デイヴ・クラーク&レニー・デイヴィッドソン作のロッカー。

The Dave Clark Five - At the Scene


これも66年に買ったベスト盤収録曲のなかで、とくに好きだった一曲です。

デイヴ・クラークはケレンの人なので、ドラムでもビシッと見得を切りますが、プロデューサーとしても、ケレンの重要性がよくわかっていて、ドラム・リックも含めて、いいイントロをたくさんつくっています。

At the Sceneのイントロは盛り上がりますし、ドラミングも総じてうまくいき、好ましいトラックになっています。

もう一曲、同じ時期のもの、ただし、バラッドを。デイヴ・クラーク&デニス・ペイトン作。

The Dave Clark Five - I Miss You


DC5の盤は長いことアウト・オヴ・プリントでした。わたしが知るかぎり、日本でのLPリイシューは一回だけ、それもベスト盤のみでした。なぜリイシューがなかったかは、マックス・ワインバーグのThe Big Beatに収録されたDCインタヴューを読んでやっとわかりました。

デイヴ・クラークというのは驚くべき人物です。彼は直接にレコード会社と契約するのではなく、楽曲だけを一定期間、一定の条件で貸し出す、いわゆる「原盤リース契約」をEMIと結びました。

原盤リース契約は現代ではごく一般的ですが、60年代にあっては少数派で、時代を先取りしたビジネス・スタイルでした。ミッキー・モストを見習ったのか、あるいはジョー・ミークの背中を見ていたのかもしれません。

DCはクレヴァーな若者でした。音楽ビジネスというものをよく研究し、すべてのトラブルの原因はマネージャーにあると見抜いたのでしょう、セルフ・プロデュースの道をとっただけでなく、セルフ・マネージメントが最善だと判断し、すべてのビジネス・マターをみずからおこないました。たぶん、二十一か二、大学生の年齢のときにです。

数字は忘れましたが、デイヴ・クラークはEMIに乗り込んで、その時点のプロデューサー印税率の最高値をきき、それにさらに上乗せしたレートで、自分がプロデュースした原盤をEMIにリースする、という契約を結んだのです。

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左からマイク・スミス(リード・ヴォーカル、キーボード)、リック・ハクスリー(ベース)、レニー・デイヴィッドソン(リード・ギター)、デイヴ・クラーク(ドラムズ、リーダー、プロデューサー、マネージャー)、デニス・ペイトン(サックス、アコースティック・ギター)。ハーモニーは全員参加だったことを、このマイク・セッティングも示している。

また、非常に不利な契約を強いられたビートルズの、たしか倍ほどのアーティスト印税率も契約に盛り込まれていました。たぶん、一発屋と思われたから、そんな提示が受け入れられたのだろう、とデイヴ・クラーク自身はいっています。しかし、二十歳そこそこでそこまでやったのだから、たいしたネゴシエイターぶりです。

セルフ・マネージメントによる中間搾取の排除、きわめて高い印税率、そして、アメリカでの大成功のおかげで、御大デイヴ・クラーク以下、全員が札束を抱えて引退し、その後もそれぞれに順調だったおかげで、たぶん、リイシューがなかったのです。

よく、ゴミもホコリもチリも、なんでもかんでもすべてリリースするアーティストがいますが、そのほとんどは金詰まりが理由でしょう。ビートルズだって、ジョージ・ハリソンが借金を抱えたことが、アンソロジー・シリーズのリリースにつながったといわれているほどですから。

まとめると、こうなります。原盤の権利はEMIではなく、デイヴ・クラーク自身が保持していたために、会社が勝手にリイシューすることはできなかった、しかも、DCが経済的に困ることはなく、その面からもリイシューの必要はなかった、これがDC5の盤が極度に入手困難だった理由です。

つぎは、あのころはよくあった、楽曲としてはバラッドなのに、ぜんぜんバラッドらしくないアレンジ、サウンドをかぶせた、典型的なミッド・シクスティーズ・スタイルの曲を。デイヴ・クラーク&デニス・ペイトン作。

The Dave Clark Five - Do You Still Love Me


塵芥までリイシューしたあげくに、大々的なツアーを繰り返して、衰えた姿をさらさなくてすんだのはまことに慶賀に堪えません。しかし、逆にいえば、70年代以降、いっさいのプロモーションをしなかったことになり、そのために、DC5は幻のバンドになってしまったのだから、痛し痒しです。

つぎはデイヴ・クラーク&マイク・スミス作のストレートなバラッド。フォー・トップスのヒット曲とは同題異曲です。

The Dave Clark Five - Bernadette


やっぱりコードが素直ではありません。だから、バラッドでも甘さに辟易することがなく、いまになると、DC5というのは、じつは、バラッドを得意としたグループだったのではないかという洞察に至ったりするわけですが。

いま、思いだしたことを、忘れないうちに書いておきます。たぶん1965年のことだろうと思いますが、全米ツアーのおり、NYのクラブに行ったデイヴ・クラークは、そこに出演していたバンドが気に入り、ツアーのオープニング・アクトとして起用しました。

それが、ヤング・ラスカルズだったというのだから、さもありなん、と笑いました。ラスカルズのディノ・ダネリとデイヴ・クラークよく似たタイプのドラマーで、ともに、明るく、派手で、ケレン味たっぷりのショウマンでした。デイヴ・クラークが惚れ込むドラマーがこの世にいるとしたら、それはディノ・ダネリにちがいありません。

いや、まじめに考えると、フィル・スペクターのファンだったデイヴ・クラークは、やはりハル・ブレインのドラミングを研究したと思います。DCの明るく華やかなサウンドとプレイは、ハル・ブレインに通じるものです。

ちょっと時期が前後して、65年にもどります。デイヴ・クラーク&マイク・スミス作。

The Dave Clark Five - I'll Be Yours My Love


いかにもマイクらしい歌いっぷりで、好きだったなあ、と遠い目つきになってしまいます。いや、自分で歌うなら、アイルービーヨーズと、ヴァースのバッキングをやりたいですけれどね。

ドラムも自分でやりたくなるようなプレイで、これまた楽しいアレンジです。この曲にかぎったことではなく、レニー・デイヴィッドソンはよく使うのですが、ジャランという短いアルペジオないしはゆっくりしたコード・ストロークが、この曲でもドラマティックな味を加えています。これもDC5サウンドの大事な一部でした。

60年代の他のヒットメイカーとちがい、デイヴ・クラーク・ファイヴはすっかり忘れ去られた、と思っていたのですが、今回、検索してみて、相当オブスキュアな曲もユーチューブにあがっていることがわかりました。

われわれの世代が、ことのほか深い愛惜の念をもって懐かしんでいるのか、ようやくリイシューの成果が上がって、DC5があの当時「ビートルズのつぎにビッグ」だったことが理解されてきたのか、そのへんはわかりませんが、どうであれ、これだけ多くの曲が聴けるようになっていたのはうれしい驚きでした。

したがって、いままで、かけたいと思って見つからなかったのはただ一曲だけ、本日最後の曲は、このDC5特集で最初の自前サンプルです。

アルバムI Like It Like Thatから、デイヴ・クラーク&レニー・デイヴィッドソン作。

サンプル The Dave Clark Five "A Little Bit of Love"

かなり地味な曲ではありますが、じつに面白い展開で、最初に聴いたときは、へえ、といってしまいました。歌いだしのところのメロディーとコードの展開は大好きです。いやはや、それにしても、よくヴァースに戻れたものだ、といいたくなるような、変なコードの展開です。

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ミディアム・バラッドでDCがスネアをハード・ヒットするのは毎度のことで、Hurtin' Insideのようにブラシを使うほうが例外でした。このミディアム・テンポのバラッドでのスネアがまたいいサウンドで、改めて惚れ直します。プレイ・スタイルにはハル・ブレインの影響を感じます。

DCは、やりたいことを百パーセント実現できるだけの十分なテクニックは持ち合わせず、しばしば拍を食うミスをする人でしたが、プロデューサーとして、ドラマーとして、なにがしたいのかはプレイから明快に伝わってきますし、じつにいいドラミング・センスをもっていました。

次回の選曲をまだしていませんが、フリーハンドでどかどか曲があふれてくる状態は終わりました。次回は、カヴァー曲が中心になりそうな気もします。

でも、オミットしたヒット曲がずいぶんあるので、「ベスト・オヴ」をやれば一回分は軽く埋まりそうですし、探せば、まだオブスキュアな佳曲もかなりありそうな気もして、なんとも予想ができませんが、次回完了の可能性もあり、ということで本日はおしまいです。


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by songsf4s | 2011-09-05 22:47 | ブリティシュ・インヴェイジョン