続ジェイムズ・ボンド・テーマはだれがつくったのか: モンティー・ノーマンによる原曲(のようなもの)
 
前回の「ジェイムズ・ボンド・テーマはだれがつくったのか: ヴィック・フリック・ストーリー」なる記事をお読みになって、Wall of HoundのO旦那がメールをくださいました。

以前、ジェイムズ・ボンド・テーマの問題を書いたときにも、O旦那にコメントをいただいたのですが、今回はそれを補足する形で、モンティー・ノーマンが、『ドクター・ノオ』のテーマとして加工するようにと、ジョン・バリーに渡したという曲を聴かせていただきました。同じものを以下に貼り付けます。

Monty Norman - Good Sign, Bad Sign


わっはっは! メロディー部分ではなく、あの半音進行の有名なギター・リック(もちろん、昔の子どもはギターを持つとすぐに試したリフ!)が、このGood Sign, Bad Signという曲ではヴァースのメロディーになっているわけで、変な曲、としかいいようがありません!

さて、これだけつくってあれば、この曲の作者がすなわちジェイムズ・ボンド・テーマの作者といえるか否か?

逆のケースを考えたほうがよさそうです。James Bond Themeという曲の作者がジョン・バリーとされていたとしましょう。それに対して、モンティー・ノーマンは、あの曲のギター・リックは、わたしが1959年に書いたGood Sign, Bad Signのメロディーの一部を利用している、したがって、あの曲の作者はジョン・バリーではなく、わたくしモンティー・ノーマンである、という訴訟を起こしたら、どういう結果になったでしょう?

わたしは、モンティー・ノーマン敗訴だと思います。こんな音のきれっぱし、どこにでもある自明のものである、わずか四音の四分音符のみでは著作物とは認められない、以上、原告敗訴、と裁判官は断ずるのじゃないでしょうか。

いや、わずか四つの四分音符ながら、たしかにあれは重要なリックです。でも、それをいうなら、有名なギター・イントロなどにも著作権が認められることになるわけで、昔からそのたぐいは門前払いと決まっています。チャック・ベリーのギター・イントロはコピーし放題なのです。

あのリックを装飾として配置しつつ、一貫した曲を書いたのはジョン・バリーです。法が裁けないのなら俺が裁く、というミッキー・スピレイン流ア・ラ赤いハンカチ風にいうなら、クレジットや裁判所がどういおうと、やはりJames Bond Themeの作者はジョン・バリーです。

そもそも、音楽はメロディーだけで成り立つものではありません。どういうコードをつけ、どういう楽器にどのパートをプレイさせるか、そして、それをどのように録音し、なにを強調してバランシングをおこなうか、こうしたすべてが最終的な音のテクスチャーを決定するのが、モダーン・レコーディッド・ミュージックの本質です。

モンティー・ノーマンはこのリックの作者かもしれませんが、James Bond Themeの作者というには不満足な仕事しかしていないと、わたしは考えます。

前回、ヴィック・フリックのギターを聴いていて、思いだしたものがあるので、つぎはそれを取り上げると予告しました。いちおう、一通り聴きなおし、途中まで選曲もしたので、正真正銘、次回こそはそれをいってみる予定です。


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Best of Bond: James Bond (Score)
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by songsf4s | 2011-09-01 23:54 | 映画・TV音楽