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Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 4
  
PCを相手にしていると、いろいろなことで時間を空費するもので、今日はほとんど時間がないところにもってきて、オープナーの選択で迷いに迷い、さらに時間を空費してしまいました。下手な考え休むに似たり、目に付いたのからスタート。

チャレンジャーズ Pipeline


ハル・ブレインという人は、いつだって、派手の国から派手をひろめにきたようなところのあるドラマーですが、インストになると、歌の邪魔をしてはいけない、という配慮が消え、思う存分、派手にやるときがあり、そこがじつに楽しいと、毎度思います。

これ、サーフ・ミュージックではないのですが、「スパイ・サーフ」という造語をしたくなるような豪快なプレイなので、気にせずにいっちゃいましょう。リードはビリー・ストレンジ御大と想定しています。

チャレンジャーズ The Man from UNCLE


別に強引に我が田に水を引くつもりはないのですが、子どものころの気分としては、サーフ・ミュージックのすぐとなりに、こういうスパイ・ファイ・ミュージックはありました。もうひとつはマカロニ・ウェスタンです。もちろん、ハル・ブレインはこの三分野すべてで活躍しました。証明したっていいのですが、これ以上脱線がひどくなるのもなんなので、ここから浜辺に引き返します。

だんだんハル・ブレイン特集なのだか、ブルース・ジョンストン特集なのだかわからなくなってきましたが、まあ、どっちをやっても結果は同じでしょう。

ブルース&テリー Look Who's Laughing Now


タムタムが派手に録れていて、ワッハッハです。こういう風に、ふつうならバックビートだけの空の小節にするところに、タムタムのフィルインのようなものをパターンとして組み込むのはハル・ブレインの発明だったとわたしは考えています。

親子がいっしょに仕事をするのはむずかしいもので、たとえば、父親がプロデューサーだったリッキー・ネルソンはいろいろ大変だったようです。でも、なんとか切り抜けたようで、父親のほうも、だんだんリッキーを大人として認めるようになったのかもしれません。

しかし、ブライアン・ウィルソンの父親、マレイ・ウィルソンはかなり困った人だったようです。どのレコーディングのときだったか、ブライアンが爆発して、父親をスタジオから叩き出したという話が伝わっています。

それで黙って引退し、息子の稼ぎで安楽に暮らせば、よくある話で終わったのですが、この人はその後、腹いせにいろいろな悪さをしました。最悪はブライアンの楽曲を売り飛ばしたことですが、もっとずっとささやかな悪事もしました。自分のほうが息子より才能があるのだと証明しようとしたのです。

その親子抗争の結果、マレイ・ウィルソンのプロデュースでデビューしたグループもまた、ビーチボーイズ同様、ハル・ブレインの顧客名簿に記録されました。なにかが分裂するたびに、顧客が増殖していった幸せなドラマーだったのです。

サンレイズ Andrea


選曲が派手なほうに偏重しているのは認めます。でも、なにか派手なプレイを行ってみよう、なんていうと、無尽蔵にそういうのが出てきちゃうのが、ハル・ブレインなのです。

またしても、女性シンガーが少ないのが気になってきたので、一所懸命さがしてしまいました。ミックスは抑えめながら、そんなことはエンジニアにきいてくれと、ハル・ブレインはやっぱり叩くだけは叩きました。プロデュースはジャック・ニーチー、歌うはウェストウッズ、I Miss My Surfer Boy Too



トレイドウィンズのNew York's a Lonley Townの語り手は、家族がNYに引っ越したために、カリフォルニアとサーフィンに別れを告げたのですが、この曲は、カリフォルニアに取り残されたガールフレンドの視点から歌っています。

ウェストウッズなんてグループはご存知ないでしょうが、じつはジャック・ニーチー夫人とブライアン・ウィルソン夫人のデュオ、まるで後年のウィルソン・フィリップスのシニア版、といっちゃ失礼、まだ二人ともこのときは若かったのでした。

さすがはジャック・ニーチー、なかなかすばらしいサウンド・メイキングですし、あたくしはマリリン・ウィルソンの声が好きなので、つづけてもう一曲いっちゃいます。これがまた渋い。

ウェスト・ウッズ Will You Love Me


ジム・ケルトナーが、ハルのボー・ディドリー・ビートはじつにきれいだったといっていましたが、この変形ボー・ディドリー・ビートのイントロ・リックを聴くと、そうそう、俺もそう思う、といいたくなります。

いま、ジャック・ニーチー合切袋フォルダーを見てみましたが、ウェストウッズはこの2曲ですべてのようです。シングル盤を一枚リリースしただけということですね。

いやはや、だれも知らないようなプロジェクトなのに、こんなハイ・レベルのサウンドとパフォーマンスなんだから、やっぱり60年代はアメリカン・ポップ・ミュージックの黄金時代だったとつくづく思います。

いつも、ポップ・ミュージックはヒットしてナンボ、俺はトップ40ヒットという明るい大通りを闊歩する、裏町でゴミ缶をあけてはゴミを拾ってきて、いいだろ、などと見せびらかす、しみったれた真似はしないんだ、と啖呵を切ることにしています。

でも、こういうヒドゥン・ジェムを聴くと、ゴミ漁りに血道を上げる諸兄がいるのも、まあ不思議はないと、いくぶんか譲歩する気になります。60年代というのは、どんな辺鄙な町の暗い裏通りにも、それなりの美人がいる時代でした。

このシリーズをずっとご覧になっている方は納得されるでしょうが、ハル・ブレインは異常なほど大量にサーフ・ミュージックでプレイしています。

どの入口からスタジオの世界に浸透していくかは、人それぞれでしょうが、ハル・ブレインは、サーフ・ミュージックは彼ら若いプレイヤーにとってはチャンスだったのだといっています。

楽器を弾く方ならおわかりのように、サーフ・ミュージックは単純きわまりない構造で、ブルースのように3コードしか必要としないものも数多くありました。ハルは、ヴェテランたちは、こういう仕事をしたがらなかったので、自然、彼らにお呼びがかかるようになり、これを足がかりにスタジオの世界で地歩を築いたというのです。

じっさい、ハル・ブレイン、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル、キャロル・ケイ、レイ・ポールマン、ビリー・ストレンジといったレッキング・クルーの面々は一団となって、ヴェンチャーズからラウターズへ、マーケッツからTボーンズへ、ジャン&ディーンからビーチボーイズへ、ブルース&テリーからファンタスティック・バギーズへと、つぎつぎに衣を着替え、サーフし、ドラッグしていきます。

映画Bikini Beachより、主演アネット・ファニチェロ歌うBikini Beach、that's it, that's right!!!



いいリズム・ギターですなあ。どなたでしょうか。うまい人というのはコードもきれいに弾くものなので、クルーのギター陣はみなリズム・ギターがうまいのですが、わたしはキャロル・ケイさんとトミー・テデスコのストロークがとくに好きです。CKさんは美しく、トミーは豪快かつワイルドにドライヴします。

サーフ・ミュージックが「レッキング・クルーの音楽」になったのには、べつの側面もあります。この音楽形式は、アマチュアの若者がプレイすることで広まっていきました。それは黎明期のトラックを聴けば明白です。

ところが、この音楽が生まれたのがLAだったのが運の尽き。ハリウッド音楽産業は、これは商売になると考えたのですが、アマチュアのプレイは問題外とみなし、盤にするには洗練が必要と、プロで録音することにしました。

むろん、ハリウッドには音楽産業ばかりでなく、映画産業もあるので、これは若者向け、というか、ドライヴイン・シアター向けの映画の題材にもされ、ここでも、盤の制作にたずさわった同じプレイヤーが呼ばれることになりました。

かつて、映画音楽というのは、クラシック出身のプレイヤーがやるもので、60年代になってもまだ、ジャズ系プレイヤーですら少数派でした。まして、ロックンロールができるプレイヤーなど、従来の映画産業にはいなかったのです。

もうひとつハル・ブレインにとって幸運だったのは、50年代後半にほとんどのメイジャーが経営危機に陥り、音楽部門を解体してしまったことです。これは見ようによっては、映画音楽の解放でした。映画スタジオに伝手のない外部の若いプレイヤーが、映画音楽でプレイできるようになったのです。

かくして、ハル・ブレインをはじめとする若いプレイヤーたちは、サーフ・ミュージックを梃子にして、音楽産業と映画産業の狭き扉をこじ開けたのでした。

最後の曲もアネット・ファニチェロ、ハルはちょっとミスッたCalifornia Sun



次回は未定ですが、もう一回、サーフィン・ウィズ・ハル・ブレインをやるかもしれません。


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by songsf4s | 2011-07-27 23:39 | ドラマー特集