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Hal Blaine Takes You to Surfin' Vol. 3
 
このハル・ブレイン・サーフ・ミュージック特集は、ハル・ブレイン・ディスコグラフィー読解のスピン・オフとしてやっているのでして、考えてみると、いままでハル・ブレイン自身の名義による盤が登場しなかったのは手落ちでした。

ハル・ブレイン&ザ・ヤング・クーガーズ(ってそんなバンドが存在したわけではないが) (Dance With The) Surfin'Band


このヤング・クーガーズなるバンドの内訳は、

Glen Campbell, Billy Strange, Tommy Tedesco, Carol Kaye, Howard Roberts (guitar)
Steve Kreisman (saxophone)
Russell Bridges (Leon) (piano, organ)
James "Jimmy" Bond (bass)
Frank Capp (drums, percussion).

豪華ギター陣なのですが、あまり活躍しません。スティーヴ・クライスマンとはたしかスティーヴ・ダグラスの本名。ラッセル・ブリッジズはもちろんリオン・ラッセルです。AFMのコントラクト・シートは本名記載なので、あとからパーソネルを調べると、こうなったりします。

フランク・キャップがドラムとパーカッションとなっているということは、ハル・ブレインのかわりに叩いたのか、なんておかしなことになりますが、たぶん、ダブル・ドラムのトラックがあるからでしょう。グレン・キャンベルのギター・インストで、ビリー・ストレンジ御大が6弦リード、グレンは12弦を弾いたなんて例がありましたが、そのたぐいと思われます。

わからないのはジミー・ボンドしかベースがいないことです。ボンドはアップライトのみで、フェンダーは弾かないと思うのですが。そのへんはCKさんがハンドルしたということでしょうか。

この特集のために、曲をリストアップしていて、妙にブルース・ジョンストンが聴きたくなりました。それで、ブルース・ジョンストン偏重の選曲になっているのです。

ブルース&テリー Here Comes Summer


といってもこの曲のリードはテリー・メルチャーのほうでした! 指が痛くなりそうですが、ピアノの三連とスレイ・ベルが重合したサウンドがすばらしく効果的です。

作者ジェリー・ケラーによるオリジナル・ヴァージョンはシンプルで軽いサウンドですが、フィル・スペクター革命を通り抜けたあとのハリウッドでは、ブルース&テリーのアレンジ、サウンドでないと通用しなかったでしょう。

ハル・ブレインは関係ないのですが、いちおう念のために、これだってなかなか楽しい、ジェリー・ケラーのオリジナルHere Comes Summer



これはこれでなかなか長閑でけっこうなのですが、やっぱりわたしが聴きはじめる以前のサウンドなので、古いものを楽しもう、という構えが必要になります。

こんどはブルース・ジョンストンのSurfin' 'Round the Worldから、インストを。

ブルース・ジョンストン Maksha Midnihgt


ギターになにをしたのか、妙な音になっていて、気になります。気になるといえば、左チャンネルの金属的なパーカッションはなんなのでしょうか。ブライアン・ウィルソンが使った自転車のベルに似ています。

さらにブルース&テリーがらみの曲をいきます。

リップ・コーズ Three Window Coupe


リップ・コーズというグループはいちおう実在し、ブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーのコンビがプロデュースしていたようです。

ハリウッドではめずらしいことではないのですが、なにかの曲ができあがると、後先考えず、スタジオを押さえ、プレイヤーを集めて、さっさと録音してしまいます。しかるのちに、このテープをどうしようか、と考えるわけですな。

このThree Window Coupeの場合は、ブルース&テリーのつもりで録音したのだけれど、なにかの都合で、たとえば、彼らがプロデュースしているリップ・コーズにヒット曲がほしい、こいつは仕上がりがいいから、リップ・コーズにしちゃえ、てなことで、ブルース&テリーがリップ・コーズになってしまったようです。いや、そのへんも微妙で、リップ・コーズははじめからツアー専用であり、スタジオに入れるつもりなんかなかったのかもしれませんが。

同じく、録音が終わってから、あと知恵で誕生したグループのトラックを。

ホンデルズ Hot Rod High


ハル・ブレインが叩いたサーフ&ドラッグ・チューン、というと、ゲーリー・アシャーを思い浮かべる人もいるでしょうが、わたしはアシャーのような粗製濫造業界ゴロにはあまり興味がないので、やっと彼のプロジェクトの初登場と相成りました。

ものを知らない評論家が、アシャーをむやみにもちあげた文章を書いたからって、そんなチョボイチにころっと騙されるようでは情けないでしょう>お子さま諸君。自分の耳でお聴きなさいな。

アシャーのような半チク野郎とちがって、仕事のフォームができていたプロフェッショナル、正しくコマーシャリズムに徹し、きっちり商売になる盤をつくったのがジョー・サラシーノ。サーフ・ミュージックの大貢献者のひとりです。

そもそも、サラシーノがSurfer's Stompという曲を書き、これで一儲けしようと考えたところから、本格的なサーフ・ミュージック・ブームへの道が開けたといっていいほどです。

その、史上初めてビルボードにチャートインしたサーフ・チューン、Surfer's Stompのドラマーはエドワード・“シャーキー”・ホールでした。

サーフのつぎは当然ながら車もの、という安易なセカンド・アルバム、The Marketts Take to Wheelsではハル・ブレインがストゥールに坐ります。そのセカンドのオープナー、と思ったのですが、当たり前の曲しかクリップがないため、これはサンプルで。

サンプル The Marketts "Woody Wagon"

Woody Wagonとはもちろん、ボディーに木を使ったステーション・ワゴンで、サーフボードを乗せるためのものです。湘南の路地裏じゃないんだから、自転車にボードを乗せるなんて話は聞いたことがありません。

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なお、この曲はAdd More Musicの「レア・インスト」ページで頂戴してきたものです。ギター・インストのお好きな方は、あちらに行かれてアルバム丸ごとお聴きになるとよろしいでしょう。

最近、マイケル・ゴードンが、マーケッツとラウターズは俺のバンドだ、みたいなことをいっていて、困ったものです。ラウターズはゴードンが関与して誕生したものかもしれませんが、スタジオにおける音楽的貢献はごく微少でしょう。スタジオでラウターズの音楽を作ったのは、ジョー・サラシーノであり、ハル・ブレインやトミー・テデスコといった面々でした。

ひょっとしたら、マイケル・ゴードンはいまでもマーケッツないしはラウターズの名前でツアーをしているのかもしれません。名前の権利がクリアされているなら、その点についてはご自由に、ですが、いくつかの曲をアレンジした程度のことで、音楽そのものをつくったような顔をされてはかないません。

ざっと見渡して、女性シンガーがほとんど登場していないのが気になります。フランキー・アヴァロンの相方としてアネット・ファニチェロを登場させただけです。しからば、つぎはドナ・ローレンかなと思ったのですが、適当なクリップがないので、毎度おなじみながら、ハニーズにしました。

ハニーズ Shoot the Curl
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ギターの入りが遅れているところがあって、おいおい、です。しかも、ビリー・ストレンジ御大に聞こえます。まあ、こういうことというのはプロデューサーの責任なのですが。責任者はブライアン・ウィルソンでした!

Shoot the Curlというのはサーフ用語で、curlというのは波の先端が丸くパイプ状になったところ、それをshootするとは、すなわち、あのトンネルをくぐり抜けることです。

theではなくthatになっていますが、ほとんど同じようなタイトルの曲があったので、聴いてみたら、これまたハル・ブレインでした。こっちもいってみましょう。

キャシー・ヤング&クリス・モンテイズ Shoot that Curl


どうも聴いたような覚えがあるので検索したら、Cowabunga the Surf Boxに収録されていたようです。もうこの箱はもっていないのですが、ライナーにはパーソネルが書いてあったはずです。ハルだなんて書いてあったかどうか記憶なし。

のちにA&Mと契約して、オカマ声でふにゃふにゃバラッドを(やっぱりハル・ブレインのドラミングで)歌うハメになるクリス・モンテイズも、初期はけっこうロックンロールしていて(チカーノ・ロックのオリジネイターのひとりだった)、これはそのころのものでしょう。

まだまだストックがあるので、さらに次回もサーフィン・ウィズ・ハル・ブレインを続ける予定です。いやまったく、よくもこれほどたくさんサーフ・ミュージックを録音したものです。なぜそうなったか、といったハル・ブレインの説明などは次回に。


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ハル・ブレイン
デュース,“ティーズ”,ロードスターズ&ドラムス(紙ジャケット仕様)
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ジェリー・ケラー(MP3)
Here Comes Summer - The Best Of Jerry Keller
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ブルース・ジョンストン
Surfin' 'round the World!
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ブルース&テリー
The Best Of Bruce & Terry
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リップ・コーズ
Hey Little Cobra & Other Hot Rod Hits / Three
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ホンデルズ
Go Little Honda
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マーケッツ
Outer Space Hot Rods & Superheroes
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ハニーズ(MP3)
Shoot The Curl
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クリス・モンテイズ
Let's Dance - Monogram Sides
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by songsf4s | 2011-07-26 23:03 | ドラマー特集