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Do the Zombie Juke: The Zombies Remembered
 
なんでもゾンビーズが来ているそうで、タイムライン上でいくつかそういうツイートが流れているのを見ました。

もともと人ごみが苦手だったのですが、年をとるにつれていよいよその傾向がひどくなり、加えて大きな音も苦痛になってきたので、二度とライヴ・ギグに行くことはないから(ただひとり、ジム・ケルトナーだけはもう一回見てみたいような気がするが)、わたしは関係ないのですが、それでも、いくぶんかの感懐無きにしも非ずです。

それでは一曲目、ザ・ゾンビーズ、Whenever You're Ready



わたしはゾンビーズに「間に合った」感覚がありません。いちばんいい曲は、わたしが本格的に聴きはじめたときには、もう過去の曲になっていたし、そもそも日本では、リアルタイムではヒットしなかったのではないかと思います。わたしはインスト・カヴァーによって、外角からそろりとゾンビーズに入っていきました。

ヴェンチャーズ She's Not There


このカヴァーをしつこく聴いたのが小学校六年、おかげで、ゾンビーズというのは子どものわたしの頭のなかで「ヴェンチャーズのShe's Not Thereのオリジナルをやったバンド」として固定されました。

ゾンビーズ She's Not There


結局、ただ一点に集約してしまうと、ロッド・アージェントがどうこうというのは背景に退き、ゾンビーズというのはコリン・ブランストーンの歌、というか、彼の声質それ自体ということになるのではないでしょうか。どの曲も、ヴォーカルが入ってくる瞬間がスリリングです。

このカヴァーもよく聴きました。ヴァニラ・ファッジ、She's Not There



日本でゾンビーズの盤がちゃんと手に入るようになったのは、ローカル盤がヒットしたためだったような記憶があるのですが、わたしが買いはじめる以前に、きちんとリリースされていたのでしょうか。あのころはまだ幼かったので、そのへんは確たる記憶はありません。いずれにせよ、われわれの世代の多くは、このカヴァーを通じてゾンビーズに入っていったのではないでしょうか。ザ・カーナビーツ、好きさ好きさ好きさ。



この曲のときは、のちにアイ高野のライヴを見ることになるとは思いませんでした。カーナビーツのときにはドラマーというよりシンガーという印象でしたが(そもそもまだ高校生だったのではないだろうか)、数年後にはなかなかいいドラマーになっていました。

それはともかく、この曲のオリジナルということで、だれかがゾンビーズの盤を買ってきて、それでこのバンドを聴くようになったと記憶しています。

ゾンビーズ I Love You


ストップタイムのAnd I don't know what to sayのところは、カーナビーツ盤でもフックでしたが、時を隔てて冷静に聴くと、コリン・ブランストーンの味にはとうてい敵するものではないことが明瞭です。感傷過多の一歩手前できっちり踏みとどまる天性のバランス感覚を、彼は持っていたのではないでしょうか。

われわれの世代はゾンビーズには間に合わなかった、と感じるのは、この曲のリリースのときを知らないからです。ザ・ゾンビーズ、Tell Her No。



最後のDon't leave her now for her love belongs to meのあと、ストップタイムになり、一拍だけのハンドクラップ(あるいは手以外のなにかを敲いたか?)が入りますが、これに深めのエコーがかかっていないと、がっかりします。そして、そういうドライなミキシングのものがものすごくたくさんありました。このクリップはエコーが深めです。ボックスをはじめ、最近のものはみな深めにしているようです。

She's Not Thereのほうに気持が傾くときもないではありませんが、わたしにとっては、ゾンビーズといえば、やはりTell Her Noです。まだ「汚なづくり」の連中が表舞台に踊り出る以前の、湿度の低いリリシズムを湛えた良きブリティッシュ・ビートの時代を象徴する特別な一曲です。

不思議なことに、Tell Her Noには有名なカヴァーというのはないようです。HDDを検索しても、出てきたのはコリン・ブランストーンのセルフ・カヴァーのほかには、ただ一種しかありませんでした。

デル・シャノン Tell Her No


なかなか涼しげなサウンドで、これはこれで悪くないと思いますが、いかんせん、デル・シャノンの声自体は、それほど涼しげではないのが珠に瑕です。

ゾンビーズは来英したディオーン・ウォーウィックとツアーしたことがあり、ロッド・アージェントは、ウォーウィックが歌うバカラックの曲を聴いているうちに、メイジャー・セヴンスじゃぶじゃぶのTell Her Noのコード進行を思いついたそうです。彼らはストレートにバカラックの曲をカヴァーしたこともあります。

ゾンビーズ Look of Love


アージェントはバカラックのコードのことをしきりにいっていますが、そのせいなのか、このカヴァーではコードをちょっと変えていて、そこが魅力的です。

ライノがBBC LiveをLPでリリースしたころが、わたしにとってはゾンビーズ・リヴァイヴァルの絶頂で、あのとき手に入るものは片端から買いました。

ブリティッシュ・ビート・グループはみなモータウンをカヴァーしたものですが、わたしがもっとも好きなH=D=Hの曲をカヴァーしたのはゾンビーズでした。

ゾンビーズ This Old Heart of Mine


BBC Liveからのもので、サウンドは貧弱ですが、コリン・ブランストーンのパセティックな声にふさわしい曲です。いや、まあ、本物にはかないませんが。

アイズリー・ブラザーズ This Old Heart of Mine


いろいろ抜けた曲はありますが、そろそろ店じまいの時間なので、「その後」に進まないといけないでしょう。

死んだはずだよお富さんになっていたゾンビーズがホントにゾンビになって生き返った曲。

ゾンビーズ Time of the Season


じつは、ヒットしていた当時は、暗くて、じめついていて、憂鬱で、嫌な曲だなと思っていました。いまも好きではありませんが、この曲が出ないと収まらないお客さんもいらっしゃるかもしれないので、義理でおいておきました。まあ、どちらにしろゾンビーズは明るいというようなものではなく、ちょっと暗いところが魅力的なのでしょうけれど、わたしの基準からいうと、この曲はリンボに入り込みすぎです。

墓からよみがえったゾンビーズの曲のなかには、ヒット・ポテンシャルがあるかどうかはべつとして、ほかに好ましいものがたくさんあります。

ゾンビーズ Walking in the Sun


さて制限時間いっぱい。わたしにとってはゾンビーズは1964年から65年までのバンドです。デイヴ・クラーク・ファイヴ、ピーター&ゴードン、サーチャーズ、ホリーズ、ジェリー&ザ・ペイスメイカーズ、そういった、わたしが幼くて、まだ右も左もわかっていないころにチャートを席巻した、あの軽快なサウンドの時代を象徴するバンドであり、いまも、Tell Her NoやShe's Not Thereが流れると、あの時代の空気に包まれたような気分になります。

つまり、現在のゾンビーズにはそれほど関心がないのですが、昔の人たちがなんらかの手段で生活することを否定するつもりは毛頭ありません。どんな同窓会にも参加したくはありませんが、昔の空気が封じ込められた音には、抗しがたい魅力があるのはまちがいありません。


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The Decca Stereo Anthology
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Begin Here: Complete Decca Mono Recordings
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by songsf4s | 2011-07-12 23:57 | ブリティシュ・インヴェイジョン