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ラロ・シフリン・フィルモグラフィー1 ピーター・イエイツ監督『ブリット』中篇
 
前回は、『ブリット』という映画自体にはふれませんでした。アクション映画の里程標、転換点となった作品ですから、いまさら、という気もしますが、ごくかいつまんで書いておきます。

サンフランシスコ市警のフランク・ブリット警部補(スティーヴ・マクウィーン)は、上院議員(かなにからしい)のチャーマーズ(ロバート・ヴォーン)が小委員会の参考人として出席させようとしている男を、保護するように命じられます。

『ブリット』フル パート2


この証人は「組織」の金を盗んでシカゴから逃亡してきたギャングで、ブリットは男をホテルに閉じ込め、部下二人とともに警護にあたりますが、部下がシフトについている夜間に、二人組の襲撃を受けて、証人も警官も撃たれてしまいます。

ブリットは、証人がだれに、どのように襲撃されたかを追及しつつ、いっぽうで、襲撃後、まもなく病院で死亡した証人の遺体を隠し、捜査のために死を隠蔽します。死の前日、証人を乗せたタクシーの運転手(ロバート・デュヴァル)の証言などをヒントにし、やがて、証人と思われていた男が、じつは別人だとわかり……。

◆ 「例のあの場面」 ◆◆
映画のシーンのタイプとしての「カー・チェイス」という言葉が広く使われるようになったのは、『ブリット』以後のことだったという記憶があります。

『ブリット』 カー・チェイス・シークェンス


このフェンダー・ベースもやはりキャロル・ケイでしょう。本格的な追いかけっこがはじまるまでの、サスペンスを高めていく演出と編集もちょっとしたものですし、ラロ・シフリンも、サスペンスの醸成におおいに貢献しています。

なにしろこちらは十五歳だったので、むろん、大興奮でした。いまになると中程度の出来に見えるかもしれませんが、当時は、こんなものははじめて見た、とおおいに驚きました。

たとえばジェイムズ・ボンド・シリーズのなにかで、カー・チェイス・シーンというのをすでに見ていたはずですが、そういうものとはまったく異なるものと受け止めました。

その違いはなにか? ひとことでいえば、リアリズムです。撮影方法もディテールの演出も編集も、当時としては非常に先端的で、以後、こういうものを見るたびに、『ブリット』が切り拓いた土壌の上にできたものだと、つねに意識したほどです。

その後、驚くべきカー・チェイス・シーンはいくつも見ていますが、それでもなお、今回の再見でも、これはこれでよくできたシークェンスだと感嘆しました。坂の使い方は斬新ですし、カメラに車がぶつかってくるところにも、車載カメラの「一人称視点」にも、転がるホイール・キャップにも、転倒するバイクにも、すごい、すごい、とびっくりした記憶が、あざやかによみがえりました。カー・チェイスをこのように演出したのはピーター・イエイツをもって嚆矢とする、といって大丈夫でしょう。

◆ ヒットマンの影 ◆◆
『ブリット』にも当然ながらさまざまなタイプの音が使われていますが、たとえばラウンジ的なもの、ロック・ニュアンスの強い曲といったものは次回にまわすことにし、今回は、もうひとつサスペンスフルなタイプの音楽を貼りつけておきます。

『ブリット』よりIce Pick Mike


証言者が銃撃を生き延びたので、ヒットマンはこんどはひそかに病院で襲撃しようとしますが、この男に病室をきかれた医師がブリットに知らせたために、襲撃は失敗し、男は逃走します。ブリットが逃走するヒットマンを追う、夜の病院内でのシークェンスに使われたのがこの音楽です。

ただし、このクリップは盤にするために再録音されたステレオ・トラックを使っています。べつにこちらだって悪くはないのですが、しいて優劣をつけるなら、やはり映画用のオリジナル・レコーディングのほうが、強いエッジがあって、好ましく感じます。

そういうニュアンスの違いに関心をもたれる方は多くはいらっしゃらないでしょうが、いちおう、モノーラルの映画ヴァージョンもサンプルとしてアップしておきます。

サンプル Lalo Schifrin "Ice Pick Mike" (original mono recording)

ちらっと出てくるタムタムのプレイを頼りに卦を立てるだけですが、このドラムはアール・パーマーではないでしょうか。いや、ラリー・バンカーやスタン・リーヴィーのプレイに通じているわけではないので、たんなる山勘のようなものですが。

リード楽器に使うこともあれば、あるいはちょっとしたオブリガートのこともありますが、ラロ・シフリンはほんとうにフルートの好きな人だと、この曲を聴いても思います。

次回は、上述のように、いくつかタイプの異なる、非アクション映画的な曲をあげ、『ブリット』を終えるつもりですが、それにしては残った曲数が多く、「後篇」で終わらなかった場合はどういえばいいのかと悩みつつ、今回はおしまい。


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by songsf4s | 2011-07-06 23:44 | 映画・TV音楽