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祝 オフィシャル・ゲーリー・チェスター・ウェブサイト誕生 その4 ニール・セダカ篇
 
当ブログではかつて一度だけ、ゲスト・ライターを迎えて、わたしは読む側にまわったことがあります。「日本の雪の歌」という特集を組み、「霧の中のトニー」さんに書いていただいたときのことです(「日本の雪の歌」特集が気になる方はこのページの一番下にあるリンクからどうぞ)。

そのトニーさんが、今朝、当家のゲーリー・チェスター・トラックス・シリーズにふれて、ニール・セダカのことをツイートされていたのを読みました。いずれにせよ、どこかでニール・セダカの回というのをやる予定だったので、ちょうどいいから、今日は他動的にニール・セダカと決めました。

まあ、いろいろございましょうが、ドラムを基準にしてみると、ニール・セダカの数々のヒットのなかでも、この曲をオープナーにするのが妥当でしょう。

ニール・セダカ Calendar Girl


久しぶりでしたが、ちゃんとつくってあって、じつに気持よく聴けました。アレンジ、サウンド、プロダクションの重要性を再確認させられるトラックです。プロダクションで手を抜かなければ、半世紀後に聴いても、歴史のお勉強をしている気分にはならず、リラックスして自然にヒット・チューンを楽しむ気分になれます。

大昔のことなので、ドラムがハイテクニックをひけらかしたりするのはポップ・チューンではご法度ですが、きっちりしたタイムで遅滞なく曲をエンディングまで運んでいくところが、まさにスタジオ・エースの技と感じます。

シンバルなし、両手ともスネアによる、こういうマーチング・ドラムのヴァリエーションは、えてしてかったるくなりがちですが、それはもちろん下手なプレイヤーの場合で、本物のプロはそういうことはありません。もたつきのないところが賞味のしどころでしょう。

ドラムがどうのこうのではなく、ニール・セダカが書いたものでどの曲が好きかとなると、まず指を折るのがこれ。

ニール・セダカ Breaking Up Is Hard to Do


なるほど、これなんか、まさにリトル・エヴァのLoco-Motionと同じドラマーだ、と感じます。現在のマスタリングではキック・ドラムがはっきり聞こえるのですが、きれいなタイムでやっています。メトロノーム的なプレイではありますが、「いいメトロノーム」です。

Breaking Up Is Hard to Doには無数のカヴァーがありますが、それは後まわしにして、ニール・セダカのヒット曲をもうひとつ。

ニール・セダカ Happy Birthday Sweet Sixteen


しばらくニール・セダカを聴いていませんでしたが、どの曲もよくできていて、アーティスト・イメージはとりあえず横に置き、純粋に楽曲を検討しなおしたほうがいいと感じます。

ゲーリー・チェスターはここでもほとんどメトロノームですが、大昔の歌伴はたいていこんな感じでした。この曲で面白いのは、スネアのサウンドとプレイが同時期のアール・パーマーを連想させることです。

ボビー・ヴィー Take Good Care of My Baby (Earl Palmer on drums)


ボビー・ヴィーで思い出しました。「京南大学入学──東宝映画『エレキの若大将』のスコア」という記事(6月20日追記 正しくは「加山雄三「ブーメラン・ベイビー」映画ヴァージョン(東宝映画『海の若大将』より)」という記事のほうだった。まちがえたもののほうも関連記事なので削除せずに残しておく)で、加山雄三が「ブーメラン・ベイビー」を書くときに意識していたのは、ボビー・ヴィーだろうと書きましたが、まとめてニール・セダカを聴いてみて、思いのほかダブル・トラックを多用していることに気づきました。加山雄三にインスピレーションを与えたのは、ボビー・ヴィーのみならず、ニール・セダカの可能性もあるかもしれません。

ゲーリー・チェスターとは関係がないのですが、ちょうど雨の季節でもあるので、70年代にハリウッドで録音され、ビルボード・チャート・トップへのカムバックをなしとげた大ヒット曲をおまけとして貼り付けておきます。

ニール・セダカ Laughter in the Rain


当家は2007年6月下旬にスタートしたので、デザイン用のダミー記事として、このLaughter in the Rainを題材にしたのですが、結局、本番の記事にすることはなく終わってしまいました。

Oh Carolというヒット曲でよく知られているように、ニール・セダカはかつてキャロル・キングと付き合っていました。月日はめぐり、キャロル・キングはTapestryによって、パフォーマーとして脚光を浴びることになりますが、もういっぽうのニール・セダカは、ビートルズ以降の市場の変貌のなかで忘れられてしまいます。エルトン・ジョンのCrocodile Rockがヒットしたとき、ああ、ニール・セダカか、と懐かしく感じたほど、深い忘却の淵に沈んでしまったのです。

エルトン・ジョン Crocodile Rock


いまはなんでもありの時代ではあるし、恐ろしく昔のことなので、当時を知らない人にはニュアンスがわからないでしょうが、ミュートしたギターのアルペジオなど、長いあいだ忘れていたので、この1972年の時点では、あまりにも古めかしく、それゆえに、かえって新鮮に響いたものでした。ニール・セダカは新鮮に感じるほど古びてしまったのでした。

だから、1975年だったか、Laughter in the Rainを聴いたときは、へえ、まだ生きていたか、てなものでした。ちょうど時代が一巡りしたのも幸いしたのかもしれません。

以前にも書いたと思うのですが、ヒットから見離されていた時期、ニール・セダカは録音でハリウッドのどこかのスタジオにいったところ、ばったりキャロル・キングに会いました。そのとき、彼女は「あんた、いったいこんなところでなにしてるの?」ときいたそうです。スタジオにくるのは録音のために決まっているだろうが、とセダカはいまいましげに回想していました。

キャロル・キングですら、ニール・セダカがスタジオにいるのを見てびっくりしてしまうほど、彼は時代においていかれたということでしょう。Laughter in the Rainは、セダカにとってもっとも感慨の深いヒットだろうと想像します。

◆ Breaking Up Is Hard to Do各種 ◆◆
Breaking Up Is Hard to Doにはいくつか聴くに値するカヴァーがあります。どういうわけか、この曲のカヴァーはどうでもいいものしかクリップがないので、自前サンプルの連打とまいります。

この曲はガール・シンガーが歌ったほうがいいと思うのですが、これなどがその一例。

サンプル Little Eva "Breaking Up Is Hard to Do"

ところ変わって、つぎはハリウッド録音(のはず)。

サンプル Shelley Fabares "Breaking Up Is Hard to Do"

シェリー・ファブレイはべつにシンガーになりたいと思ってはいなかったのでしょう。テレビ・ドラマで有名になったアイドルとして、いきがかりで歌うハメになったJohnny Angelは、じつに歌いにくそうで、聴いていてハラハラしてしまいますが、Breaking Up Is Hard to Doはピッチがジャンプする難所がなく、スムーズなメロディーのおかげか、リラックスして、軽々と歌っています。

つぎはかなり奇妙な改変をほどこした4シーズンズ盤。このねじれの責任者はボブ・クルーあたりでしょうか。

サンプル The 4 Seasons "Breaking Up Is Hard to Do"

変なアレンジなのですが、結局、いかにも4シーズンズらしい音だと感じさせるのだから、やはりたいしたものだと思います。

ほかに、ハプニングス、パートリッジ・ファミリー、カーペンターズなどがあります。ハプニングスも、4シーズンズ同様、強引に自分の土俵に持ってきているところが興味深く、これほどサンプルだらけの日でなければ、アップしてもいい出来です。

ゲーリー・チェスターはブリル・ビルディング・サウンドとは切っても切れない関係にあるプレイヤーなので、次回もそのあたりを予定しています。


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ニール・セダカ
Definitive Collection
Definitive Collection


ニール・セダカ(ベア・ファミリーによる8枚組)
Oh Carol-Complete Neil Sedaka 1956-1966
Oh Carol-Complete Neil Sedaka 1956-1966


ボビー・ヴィー
Very Best of Bobby Vee
Very Best of Bobby Vee


エルトン・ジョン
Don't Shoot Me I'm Only
Don't Shoot Me I'm Only


シェリー・ファブレイ
Shelly / Things We Did Last Summer
Shelly / Things We Did Last Summer


リトル・エヴァ
Locomotion
Locomotion


4シーズンズ
Dawn (Go Away) / Big Girls Don't Cry & Twelve
Dawn (Go Away) / Big Girls Don't Cry & Twelve
by songsf4s | 2011-06-19 22:00 | ドラマー特集