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祝オフィシャル・ゲーリー・チェスター・ウェブサイト誕生 その3 Going Out of My HeadとBrown Eyed Girl
 
もう24時間近くたってしまいましたが、散歩ブログを更新しました。

樹の上を歩むもの──本牧散歩どん詰まり篇

◆ リトル・アンソニー&ディ・インペリアルズのオリジナル ◆◆
ゲーリー・チェスター・トラックスの三回目、今回もまた、音楽ファンならたいていの人は知っている人口に膾炙した曲です。

リトル・アンソニー&ディ・インペリアルズ Going Out of My Head


うんざりするほどカヴァーのある曲なので、だれのヴァージョンから入るかは人それぞれ神のみぞ知るヴァリエーションがあるでしょうが、オリジナルは、ゲーリー・チェスターがドラム・ストゥールに坐った、このリトル・アンソニー&ディ・インペリアルズのヴァージョンです。

ライターは、テディー・ランダツォーとBobby Weinstein、プロデュースは前者です。きわめてフィル・スペクター的なサウンドだという点が好ましくもあるのですが、そういうことから離れたレベルにおいても、なかなかいいプロデューシングだと感じます。これだけきっちりつくってヒットしなかったらこの世は闇、もちろん、大ヒットし、スタンダードとなったのはご存知の通り。

◆ 各種カヴァー ◆◆
こういう曲を持ち出しておいて、聴きくらべもせずに通り過ぎられる人間ではないので、ゲーリー・チェスターの話から外れますが、ちょいとほかのヴァージョンも聴きます。いや、ちょいとなどと気楽なことはいえないほど、汗牛充棟なのですが。

まずはハル・ブレインの叩きまくりが楽しいクリス・モンテイズのヴァージョン。

クリス・モンテイズ Going Out of My Head


ひどい音のクリップなのが残念至極。盤ではハルのタムタムとフロア・タムが深い、いい音で鳴っていて、この曲のもっとも好ましいカヴァーのひとつです。

つぎはちょっと変り種、フィリー・ソウル・アレンジです。

デルフォニックス Going Out Of My Head


ハル・ブレインのあとには聴かないほうがいいドラマーですが、こういうアレンジを聴くと、コーラスのスタイルこそが決定的イングリージェントなんだな、と思います。ドラムやベースについてはべつにフィリーらしさなどは感じず、たんにうまくないだけですが、コーラスのつくりは徹頭徹尾非白人的で、これこそがブラック・コーラス・グループの味だと感じます。

イギリスものをつづけて二種。

ペトゥラ・クラーク Going Out of My Head


冒頭はちょっと感情表現が強すぎて違和感があるのですが、さすがはペット、まずまずのところに収めています。音はスタジオ録音と同じものです。ドラムはいいのですが、ティンパニーの遅れがすごく気になります。たとえ意図した遅れであっても、いくらなんでもこれは遅すぎるでしょう。

ゾンビーズ Going Out of My Head


コリン・ブランストーンの声に合った曲を選んだと思います。何年か前に、ゾンビーズの初期トラックのリアル・ステレオ・ヴァージョンが出ましたが、モノより格段にいいマスタリングです。

人それぞれ、さまざまなヴァージョンを入口にしたであろうと書きましたが、わたしの場合は、リトル・アンソニーのオリジナルにたどり着いたのはずっと後年のこと、最初に聴いたのはこのカヴァーでした。

セルジオ・メンデス&ブラジル66 Going Out of My Head


久しぶりに聴いて、へえ、露骨にジャズ・ピアニストしてるじゃん、と笑いました。コードの扱い、テンションのつけ方がきわめてジャズ的で、まだポップ市場を強く意識していなかったことがわかります。いや、後年のポップ的なピアノより、こちらのほうが面白いと思いますが。

このドラマー、変なタイミングのビートもあるのですが、最初の音であるキックの一打は、やや早めではあるものの、いいポイントで叩いて、そういえばセルジオ・メンデスはこういう感じでドラムが四拍目を強めのアクセントで叩いて入ってくる(またはストップ・タイムからの戻りが四拍目の一打)のが多かったな、と思いました。そういうスタイルというのを、子どものころのわたしはセルジオ・メンデスのサウンドと考えていたようです。たとえば、Night and Dayがそうでした。いや、クリップは貼り付けませんが。

ウェス・モンゴメリー Going Out of My Head


わたしの大嫌いなグレイディー・テイトがドラムですが、バックビートはいつもよりずっとマシで、なんだ、チャーリー・ワッツよりうまかったのかと感心しました。しかし、ドラミング設計はゾッとするようなダサさ。この人のもっともいけないところは、抑揚のセンスが最悪だということであって、タイムが悪く感じるのは、イントネーションが悪いことの結果にすぎないのかもしれないと認識を改めました。

ハル・ブレインはウェスには合わなかったでしょうが、メル・ルイスかシェリー・マンあたりだったら、まったくちがった味わいになったでしょうに。あ、これはNYだから、そういうメンバーは無理、なら、バーナード・パーディーぐらいのクラスを呼んでくれよ、です。この泥臭さは我慢ならんぜ>誰だか知らないウェス・ベンチ。

ウェスはいつものようにきっちりプレイしていますが、音楽というのは単独のプレイヤーがつくるものではなく、アンサンブルなのだということを痛感させられます。だって、ウェスもいつもうまいわけで、二、三曲聴くと、やはり「それで?」といいたくなります。アレンジ、サウンドがよくなければ、うまいぶんだけよけいに退屈です。

ウェスの晩年はイージー・リスニングなどといわれていましたが、そういうものをつくるなら、もっときちんとアレンジしないと楽しめるものにはなりません。言い訳のできるお芸術の世界とちがって、ポップというのは、半チクなアレンジャーにはハンドルできない、きびしい世界だということを理解していなかったのでしょう。もっとずっとマシな「イージー・リスニング」は山ほどあります。ウェスを聴くなら、初期のコンボのものでしょう。

ほかには、フランク・シナトラ、ビリー・ストレンジ、ビリー・メイ、ジェリー・フィールディング・ウィズ・ハリウッド・ブラス、ジャッキー・グリーソン、レターメン、フィフス・ディメンションなどがわが家にはありますが、まあ、このへんでよろしいでしょう。ジャッキー・グリーソンのずぶずぶの甘さはちょっと面白いのですが(中間でチェンジアップとしてシタールが入ってくる!)、まあ、サンプルにするほどでもありません。

◆ Brown Eyed Girl ◆◆
ゲーリー・チェスターのディスコグラフィーにあるものをもう一曲。

ヴァン・モリソンがアメリカに渡ってバート・バーンズのバング・レコードと契約して最初にリリースしたアルバムからの、ソロ・デビュー・シングル。彼にとって、唯一のシングル・ヒットらしいシングル・ヒットではないでしょうか。

ヴァン・モリソン Brown Eyed Girl


忘れもしない、ウルフマン・ジャックがしばしばこの曲をかけ、ヴァンの歌に割り込んで、ナンセンス・シラブルをがなりたて、134号線の渋滞に捕まったわれわれも、いっしょに、ラララ、ラディーダ! と車中で叫んだものです。あのときには、もうずいぶん昔のヒット曲になっていたのですが、ウルフマン・ジャック・ショウは、そんなことにはおかまいなし、しじゅうかけていました。

LPのパーソネルは以下のようになっています。

Gary Chester: Drums
Herb Lovell: Drums
Bob Bushnell: Bass
Artie Butler: Keyboards
George Devens: Percussion
Eric Gale: Guitar
Al Gorgoni: Guitar
Hugh McCracken: Guitar
Don Thomas: Guitar
Paul Griffin: Keyboards
Van Morrison: Guitar/Keyboards/Saxophone/Vocal
Russell Savkas: Bass
Arthur Kaplan: Wind
Seldon Powell: Wind
Cissy Houston: Vocal
Dee Dee Warwick: Vocal
Jeff Barry: Percussion/Vocal
Bert Berns: Vocal
Brooks Arthur: Vocal
Myrna Smith: Vocal

Brown Eyed Girlは楽曲そのものがゲーリー・チェスターのディスコグラフィーにあげられているので大丈夫でしょうが、「T.B. Sheets (LP)」と書かれている点については、ハーブ・ラヴェル(ハル・ブレインがメンバーとして加わったころのジョン・デンヴァー・バンドのドラマー)のトラックもあるようなので、吟味を要するでしょう。

ベースは、ラインといい、タイムといい、なかなか好みですが、ボブ・ブッシュネルについても、ラッセル・サヴキャスについても、ほかに記憶がなく、参照もできないので、どちらなのか判断の手がかりはありません。

エリック・ゲイル、ヒュー・マクラケン、アル・ゴーゴーニというギター陣は、60年代後半から70年代にかけてのNYのロック系のレギュラーです。

この曲のカヴァーはわたしが知るかぎり、ジョニー・リヴァーズのものしかありません。なかなかいい出来なのですが、クリップはひどい音なので、これは自前サンプルを。

サンプル Johnny Rivers "Brown Eyed Girl"

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Johnny Rivers "L.A. Reggae" リリース当時もその後も、じつによく聴いた。ハル・ブレインのときとは異なるサウンドで、これはこれで好ましい。

ヴォーカルについてはヴァン・モリソンのほうが上でしょうが、全体のサウンドとしては、ドラム=ジム・ゴードン、ベース=ジョー・オズボーン、ギター=ディーン・パークスおよびラリー・カールトンというジョニー・リヴァーズ盤もNYのトラックに劣りません。どちらかというと、昔はジョニー・リヴァーズ盤のほうを頻繁にターンテーブルに載せました。

どうしても、自分がリアルタイムで聴いた曲が多くなりがちですが、次回はもう少し古い、50年代終わりから60年代はじめのあたりで、なにかみつくろってみたいと思います。


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by songsf4s | 2011-06-18 23:44 | ドラマー特集