またしてもk_guncontrolさんのコメントに対するレスを拡大して、記事にさせていただきます。主体性なしというのも、楽でいいものでしてね。
そのコメントは、つい先だっての「Dancing in the Street伝説とヒッツヴィル・スタジオの床」という記事に対するもので、バックビートの強調ないしは補強というのがポイントです。
k_guncontrolさんは、グランド・ファンクのLocomotionを例にあげていらっしゃいます。
グランド・ファンク Locomotion
もちろん、オリジナルはリトル・エヴァです。
で、こちらのヴァージョンのドラマーはゲーリー・チェスターだったはずで、そのことを確認しようと検索したら、おお、というものにぶつかりました。ついに登場、オフィシャル・ゲーリー・チェスター・サイト。
The Official Gary Chester Website
The Gary Chester Discography
彼の教則本「New Breed」に付されたディスコグラフィーそのままで、とくに補足はされていないようですが、検索できるようになったので、利便性は飛躍的に増大しました。もっとも、こんなに少ないはずはないので、これはあくまでも生前、チェスター自身が重要と考えたものをピックアップしたにすぎないと受け取ったほうがいいでしょう。
NYのエースですから、重要曲が目白押し、目移り、迷い箸ですが、強引に代表作をあげます。あえて、耳タコ曲連打。
ペット・クラーク Downtown
ペットは、50年代にもビリー・メイなどのアレンジで、ハリウッドで録音し、アメリカ進出をはかったことがあるからでしょう、60年代なかばのアメリカ市場再挑戦でも、NY録音でスタートしました。イギリスからはトニー・ハッチだけがついてきて(そしておそらくは彼自身のコンダクトで)、ベルあたりで録音したのだろうと推測します。
結局、最近は、クウィンシー・ジョーンズなんか二流、アレンジャーのクラウス・オーゲルマンが、プロデューサーごときに左右されないほど有能だから成功したのだと考えるようになったのですが、そのコンビによるレスリー・ゴアのデビュー曲にしてビルボード・チャート・トッパー。
レスリー・ゴア It's My Party
テレビ番組のモンキーズはもちろんハリウッドで制作されていましたが、ドン・カーシュナーが一枚(というか数枚、というか、数百万枚というべきか)噛んだせいで、多くの楽曲がオールドン・ミュージックのソングライターたちによって書かれ、NYから送られました。
それどころか、完パケ状態で送られてきて、あとはモンキーズの歌でデモ・ヴォーカルをオーヴァーライトすればいいようになっていたこともしばしばだったそうです。そのNY完パケ曲の代表にして、ビルボード・チャート・トッパー。
ヒア・ゼイ・カム、ザ・モンキーズ、I'm a Believer
一転して、渋いところへ。ただのアルバム・カットです。悪魔は空腹だった。
ローラ・ニーロ Gibson Street
このGibson Streetを収録したローラ・ニーロのアルバム、New York Tenderberryはリリース当時に買いましたが、Gibson Streetをはじめ、印象に残るドラミングがいくつかありました。しかし、機が熟していないというのは仕方がないというか、まだ資料のない時代だったからでもありますが、この人がレスリー・ゴアのドラマーだったとは知らないまま、チェスターの名前を忘れてしまいました。
星の数ほどあるゲーリー・チェスターのトラックのなかでも、多面的にもっとも好ましいもののひとつ、ふたたびレスリーとクラウス・オーゲルマン。
レスリー・ゴア Look of Love (original mix)
この曲はさまざまなミックスがあって困るのですが、これがいちばんドラムがよく聴こえます。わたしがもっとも好きなレスリーの曲です。
ドラミングとしては、まずイントロとヴァースのつなぎ目のフィルインがけっこうです。タムタムにいったあとで、ふつうならもう一二打、なにか入れるところですが、それを抑えて、ふっと「余り」ができているところで、耳を引っ張られます。
ブリッジ(Here I am all by myselfのところ)の入口での、オープン・ハイハットにぶつかってしまったようなフィルインも意外性がありますし、ブリッジの出口のタムタムによる力強いフィルインも好みです。この曲はタムタムがすごくいい音で録れています。
よけいなことですが、このクリップにつけられた絵は『いつも二人で』のようですね。もう何十年も見ていないので、たしかではありませんが。音楽監督はヘンリー・マンシーニでした。
つづいて、同じレスリー・ゴアのLook of Loveですが、ドラムが聴き取りにくい、スペクター風闇鍋ミックス、もとい、クリスマス・ミックス。
レスリー・ゴア Look of Love (Xmas mix)
ベア・ファミリーのボックスでこのミックスに出合ったときは驚きました。下品といえば下品ですが、ギターのストロークが前に出たおかげで、シャッフル・フィールが強くなり、その点は好ましく感じます。梅にウグイス、シャッフルにはギター・コードです。たとえばこれが典型。
ビーチボーイズ Why Do Fools Fall in Love
こちらのドラマーはハル・ブレイン。四分三連のフィルインが冴えわたるハル・ブレイン畢生のドラミングですが、それはそれとして、どなたのプレイか(勝手にキャロル・ケイさんがあのエピフォンでプレイしたと想像して楽しんでいる)、アコースティック・コードもすばらしく、これぞシャッフルという気持のいいグルーヴになっています。
わたしとしては守備範囲のちょっと外になるグランド・ファンクを聴こうということで書きはじめた記事だったのですが、いきなりゲーリー・チェスターのオフィシャル・サイトなんてものにぶつかって、思いきり脇道に入り込んでしまいました。
チェスターもまだぜんぜん終わりではないし、もちろん、グランド・ファンクは入口を書いただけ、次回以降、どちらもつづけます。ひょっとしたら、またゴチャゴチャになるかもしれませんが。
ということで、グランド・ファンク一件はもう少々お時間をください>k_guncontrolさん。
Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
グランド・ファンク・レイルロード
Shinin on
リトル・エヴァ
B.O. Little Eva
レスリー・ゴア
Essential Collection
レスリー・ゴア box(ベア・ファミリー)
It's My Party
(相変わらず値段が下がらないが、後悔しなかったボックスのひとつ。充実している。)
ペトゥラ・クラーク
Essential
モンキーズ
ファイヴ・オリジナル・アルバムズ(完全生産限定盤)
(5枚もいらないというご意見もありましょうが、このシリーズはすばらしい。ライノのマスタリングなのに廉価版なのです。)
ローラ・ニーロ
New York Tendaberry (Exp)
ビーチボーイズ
Surfer Girl / Shut Down 2