- タイトル
- Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!
- アーティスト
- The Glenn Miller Orchestra
- ライター
- Sammy Cahn, Jule Styne
- 収録アルバム
- Swingin' Santa with the Glenn Miller Orchestra
- リリース年
- 19??年
- 他のヴァージョン
- Dean Martin, Bing Crosby, Frank Sinatra, Andre Kostelanetz, Eddie Dunstedter, Woody Herman, Jackie Gleason, Aaron Neville, Andy Williams, Vaughn Monroe, Wayne Newton, Smokey Robinson & the Miracles, the Temptations, Johnny Mathis, Marie Osmond, the Ray Charles Singers, Chet Atkins, Herb Alpert & the Tijuana Brass, the Three Suns

今日は「クリスマスの十二日間」を舞台にした『あなたが寝ている間に』です。ほんとうは、旧臘のクリスマス映画特集で取り上げるつもりでリストアップしていたのですが、余裕がなくなり、大晦日や六日(「顕現祭」の日)の後片づけも出てくるので、そちらにからめて新年にやろうと、先送りにしたものです。
クリスマスと正月はひとつながりの祝い事なので、たんにクリスマスの最中にクリスマス映画を取り上げただけ、ともいえます。でも、そういうと戸惑う方もいらっしゃるだろうと思い、タイトルは「正月映画」としましたが、正月もクリスマスも同じです。
◆ プリンス・チャーミング ◆◆
『While You Were Sleeping』はchick's movieかもしれませんが、この映画のサンドラ・ブロックはきわめて魅力的で、はじめて見たときは愕きました。『スピード』の女優だと思ってこの映画を見ると、認識が一変するでしょう。ただし、ほかに彼女のいい映画というのを見たことはありませんが。
ルーシー(サンドラ・ブロック)はシカゴの高架鉄道(『フレンチ・コネクション』を思いだす)に勤め、窓口の仕事をしています。彼女は客のひとりに思いを寄せ、毎日、彼の姿を見るのを楽しみにしています。



すでに両親を失い、独身なので、クリスマスの人員配置に困った上司に懇願され、ルーシーは仕方なくクリスマス当日の朝、勤務につきます。腐って下を向いていると、いつのまにか彼女の「プリンス・チャーミング」(あとでピーター・キャラハンという名前だとわかる)が窓口に立ち、トークンを置きながら、彼女に「メリー・クリスマス」と微笑みかけます。
びっくりしたルーシーは、いつかチャンスがあったら、ああしよう、こうしよう、と思っていたことはすべて忘れてしまい、ただ呆気にとられて相手の顔をみつめ、彼が去ったあとで、チャンスが逃げたことに気づきます。





彼のうしろ姿を見ながら、遅かりし由良之助になってしまった一言をブツブツいつのですが、これが「Nice coat, merry christmas to you, too, you're beautiful, will you marry me?」だっていうのだから、愉快。
彼女が自分に向かって、バカ、バカ、バカと腹を立てているその向こうで、数人のストリート・ギャングがピーターに襲いかかり、(たぶんウォレットかなにかを奪い)線路に突き落としてしまいます。この騒動に気づいたルーシーはピーターのところに駈けつけますが、意識がなく、列車が迫ってきたので、必死にピーターを抱えて、プラットフォームの下に転がり込みます。







◆ 誤解が誤解を喚び ◆◆
ルーシーは病院に駈けつけます。でも、このへんの演出はあいまいです。救急車に同乗しなかったのは奇妙ですが、クリスマス・シフトで人員が足りず、窓口を動けなかったと解釈しておきます。代理の手当がついて、あとから駈けつけたというような、曖昧な描き方になっています。
ここが物語の都合というヤツで、病室に行こうとして、医師に「家族か」ときかれて、ちがうと答えたために、拒絶されてしまいます。思わず「彼と結婚することになっていたのに」とつぶやいてしまうと(このヒロインにそういう夢想的なところがあることはすでに二度ばかり描かれている)、看護婦がそれをきいて、病室に入れてもらえ、かくして、これがすべての騒動の原因になります。
事情聴取に来た警官にも、駈けつけた家族たちにも、きちんと説明することができないまま、ルーシーはピーターのフィアンセということになってしまいます。あまりありそうな話ではありませんが、これが映画ではなく、舞台劇なら十分にオーケイな設定ですし、そもそもクリスマス・ストーリーはファンタスティックにつくるものです。






◆ 家族の時間 ◆◆
ピーターは昏睡状態から醒めず、キャラハン家の人びとはルーシーをピーターのフィアンセとして受け入れ、遅れていたクリスマスの食事にルーシーを招きます。いったんは断りますが、猫といっしょに夕食を食べようとして、衝動的にキャラハン家を尋ねてしまうのは、納得の演出です。ルーシーが天涯孤独だという前ふりもここで生きます。
キャラハン家の人びとはちょっと変わっていますが(なんとなくアダムズ・ファミリーを思い起こす!)、善人ばかりで、ルーシーの来訪を大歓迎します。マントルピースに吊した靴下のひとつには、ちゃんとルーシーの名前が縫いつけてあったりするのです。






ただひとり、ピーターの弟のジャック(ビル・プルマン)だけは、兄貴からフィアンセのことをきいていなかったのはおかしいと、一抹の疑いをもちますが、ささやかな幸運が重なった結果、ルーシーはほんとうにフィアンセなのだと信じさせることに成功します。
ルーシーは、たまたま病院で会ったピーターの同僚に、バスケット・ボールをやっているときに、ヒップポケットに入れていた鉛筆でピーターの急所を刺してしまい、ピーターは二つでひと揃いのもののひとつを摘出するハメになったという、家族が知らなかった事実をきいていたので、これを利用するのですが、病室でその実否をたしかめるシーンはおおいに笑えます。結局、お母さんが「いいわ、わたしはこの子の母親ですからね」と決断するのです!


◆ 当人が寝ているあいだに ◆◆
はじめはルーシーのことを疑ったジャックですが、何度か会ううちにルーシーに惹かれていきます。ルーシーのほうもジャックが好きになるのですが、ピーターのフィアンセということになっているので、どちらも身動きがとれません。
そうこうするうちに大晦日がやってきて、高架鉄道の同僚のパーティーにいくというルーシーに、ジャックがついていくことになります。可笑しいのは、ピーターと婚約しているだけでなく、ちょっとしたもののはずみで、妊娠していることにしてしまったため、それをまともに受け取ったジャックが、同僚たちの前でルーシーに、酒を飲むな、お腹の子どもによくない、といってしまうことです。

シテュエーション・コメディーなので、大爆笑ということはありませんが、この妙ちきりんな状況を利用した小さなくすぐりが塩梅よく配置してあり、退屈しません。
できれば今日一回ですませるつもりだったのですが、もはや時間切れ、今回はただシノプシスを書いただけのマヌケな記事になってしまいました。次回は正月風物と挿入曲について書くつもりです。
DVD
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OST
While You Were Sleeping: Original Motion Picture Score

ナタリー・コール
Greatest Hits, Vol. 1

OSTには挿入曲は収録されていない。タイトルで流れるのはナタリー・コールのThis Will Be。
グレン・ミラー
Swingin' Santa with the Glenn Miller Orchestra

ルーシーが訪ねた夜、キャラハン家の居間にはグレン・ミラーのLet It Snow!が流れている。